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サジシーム
第151話 本隊は二人だけ(ダリア側)
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もう夕暮れだった。
すでに布陣は終わっており、ロンゴバルト兵がカプトルの町から戻ってくるのを待ち構えていた。
一日が終わって、疲れた時間を狙う作戦だった。
「しかし、我慢しかねる光景じゃった」
気の短いザリエリ候が、市民を装ってカプトルに近づいたらしかった。
「一人で行くのはおやめくださいよ、侯爵」
ロドリックが注意した。
「あぶのうございます」
「なに、遠くの丘の上から見ただけじゃ」
見つかるからやめてくれと言いたかった。
「町が灰埃に帰していた」
フリースラントは黙っていた。
「ザリエリ候はバジエ辺境伯と共に戦っていただく」
「フリースラント、鋼鉄の騎士がいかに強いかはわかっておる。だが、本隊がわずか二百騎とは……」
ザリエリ候は食い下がった。
「お任せください」
フリースラントとロドリック、テンセスト女伯、ルシアは、ロジアン以下兵二百とともに小さな教会に集まった。
そろそろ、暗くなりかけていた。教会の内部は暗く、ロジアンほか、フリースラントとロドリックに常に付き従っている数名の騎士は、小さなローソクを囲んだ。
「時間で動く」
皆がうなずいた。
フリースラントとロドリックが、かわるがわる説明した。
「まず、バジエ辺境伯とゼンダの領主がそれぞれの陣地で派手に燈火を灯し気勢を上げる」
「それに呼応して、ロンゴバルドの首長達が、砦から出撃するかどうかが、この戦いの分かれ目だ」
「出撃しなければ失敗だ。我々は戦わない。だが、犠牲者は出ない。」
「出撃するようなら、彼らが出払った頃に、砦に攻め入る」
全員が真剣にうなずいた。
「おそらく、ロンゴバルトはダリアをなめ切っていると思う。そこがねらい目だ。軽く見て出撃してくる可能性がある」
「出てくれば儲けものだ」
ロンゴバルトは、前回の進撃と異なり、今回はやすやすとカプトルまで進むことができた。王宮でも反撃らしいものは何もなかった。
もし、大部分の兵が砦を出るようなことがあれば……
「俺が出る」
ロドリックが言った。
ルピーダ、ペリソン、ハリルが、ロドリックの顔を見た。ローソクの光だけでは、ロドリックの表情は読めなかった。
彼らは、あの大虐殺の晩、レイビック城に一緒にいた。
ロドリックが何をしたか知っていた。
「砦を取り戻すことができれば、我々は、出撃したロンゴバルトの後を追う。ルシアの城館もモルラ殿の屋敷も平時の居住用で、堀や石垣も、本格的なものではない。ロンゴバルトは、人数は万を数える。ゼンダの領主とバジエ辺境伯が危ない」
若い騎士たちはうなずいた。
「時間との勝負だ」
フリースラントが言った。
「ロドリックと二人で行く」
ルピーダ、ハリル、ペリゾンの三人は、驚いてフリースラントの顔を見た。
ロドリックの図抜けた実力を知りすぎていたので、まさかフリースラントが並ぶとは思わなかったのだ。
騎士の誰かが動いた。ロジアンだった。
「わたくしも……」
「ダメだ」
ロドリックが静止した。
「フリースラントだけだ」
ロジアンは、ロドリックの鎧を見たことがなかった。実際に鋼鉄の騎士が動いているところも。ロドリックがあの鎧を着たのは、ただ一度だけだった。
だから、ほかの3人がロジアンが一緒に行くと言いだしたのを見て驚いた様子なのが解せなかった。
「ご領主様をそのような危険なところへ護衛なしとは! 私どもが非力なことは重々承知しております。僭越だということも。しかし……」
もはや、人間ではなかった。ほかの騎士たちが黙りこくっていたのは、彼らには絶対、真似ができないことを思い知っていたからだった。
ハリルがロジアンの肩に手を置いて無言で彼を止めた。
「女伯とルシアを頼む」
二人が出て行った。
「ふたり……」
誰かがため息のようにつぶやいた。その意味は、ロドリックだけではないことを知った衝撃だった。
彼らの領主、レイビック伯爵フリースラントもまた、鋼鉄の騎士だったのだ。彼は、ロドリックと同じ鎧兜を櫃の中から取り出し、軽々と背負った。
騎士たちは目を見張った。
全く同じもの……
それから、二人は愛用の剣を手にし、出て行った。
「鋼鉄の騎士の再来さ」
夜道を明りも灯さず、黙々と進みながらロドリックは言った。
「もう二度としないと誓ったのに」
フリースラントは無視した。やらねばならない。ゼンダの領主とギュレーターの命がかかっている。ダリアの命運もだ。
「まっすぐ砦を目指す。中の人間は皆殺し。特に首長連中は、必ず殺すこと」
「砦を占拠したら、花火を上げる。教会で待機している二百人の騎士がなだれ込んでくる」
「砦を取り返し、二百の騎士で完全に守る」
既に日は落ち、暗かった。
耳を澄ますと、遠くから声が聞こえる。バジエ辺境伯とゼンダの領主軍が大きな音を立てていた。左右二個所で、大きな火が見えた。
「ギュレーターにもゼンダの領主にも、絶対に持ち場から離れるなと言ってある。もちろん、ロンゴバルトがやって来たときは別だ。すぐに逃げるように命じた」
「怖いのは、あいつらがロンゴバルトに刃向った時だ」
「うん……。おとなしく逃げるようにくれぐれも念押ししたし、不精不精にうなずいていたが」
砦までは、あと少し。誰も彼らに気づいていない。ロドリックはロンゴバルト語がわかる。耳を澄ますと、ロンゴバルト兵の荒い言葉が切れ切れに聞こえて生きた。
「でるらしいな、砦を」
ロドリックが言った。
「成功というわけか」
二人は緊張した。
「あちらは囮。こちらが本隊だ」
「たった二人だが」
フリースラントが、馬車の窓から身を乗り出して、あっという間に馬車の上によじ登った。
「危ないぞ、フリースラント」
ロドリックが声をかけた。彼らの周りは真の闇だった。彼らは暗闇でも見える。燈火など要らない。
「あいつらはバカだ。砦から簡単に出やがった」
フリースラントがつぶやいた。思うつぼだ。だが、急がないといけない。
ちょうど、どこかの首長が旗を先頭に勇ましくバジエ辺境伯のいる元のルシア妃の城館目指して、大声を上げながら砦から飛び出してきたところだった。大勢が篝火を手にしている。
「どんどん出て行っている。砦の扉はあけ放たれている」
始まりだした戦闘は止められない。ダリアに対し、勝利の経験しかないロンゴバルトは、勢い込んで砦から次から次へと流れ出していた。
「降りろ、フリースラント。お前の体重で天井が危ないんだ。俺だったら、確実に屋根を踏み抜いてる。鎧の重さを忘れんな」
フリースラントはそのことはすっかり忘れていた。
あわてて、地面に飛び落ちた。踏みにじられた草の匂いがする。
「行くぞ、ロドリック」
ロドリックはドアを開けて出てきた。二人は走りだした。
真っ暗な晩だった。
砦の門は開け放たれていた。
ちょうど、ほかの首長の一族が勇んで出て行こうとしているところだった。
「早く! 早くいかないと、ほかの部族に手柄を取られてしまう!」
「ダリアの軍など、剣の握り方も知らない連中だ。目にもの見せてくれようぞ!」
「いくら何でも、舐め過ぎだろう」
ロンゴバルト語の分かるロドリックがぼやいた。
かなりの人数が砦から出てきていた。軍隊が途切れるまで二人は待った。
「中に入ろう。門を閉められると厄介だ」
フリースラントが促した。
二人は出来るだけ暗闇に身をひそめながら近づいて、暗闇の中から砦の大扉のど真ん中へ乗り込んだ。
「あ?」
「ああーッ?! ダリアか?」
「待て!これは、こいつらは……もしかして……」
フリースラントとロドリックは、剣を振るった。一薙ぎで二、三人が倒れていく。
「生き返らないといいな」
「次行く! 次!」
二人は階段を駆け上がり、食事の支度をしていた奴隷に当たった。
「それはどこへ持っていくのだ?」
ロドリックが流ちょうなロンゴバルト語で聞いた。奴隷は震え上がって、目で上の部屋を指し示した。
二人はその部屋になだれ込み、食事を待っていた十名ほどを斬り殺した。
部屋部屋を探索し、全室を血まみれにした後、彼らは砦の一番上に上がって花火を上げた。
細い火が上に上がっていくだけの簡単な代物である。
「下へ降りよう」
下は大騒ぎだった。周りにテントを張って野営していた連中が残っていたのである。腕の立つ兵たちは、みな出て行った後なので、戦士と言うより雑務担当の者たちだった。彼らは砦の様子がおかしいので見に来たのだ。
「ああッ?!」
階段を三段飛ばしで、降りてきた、全身を鎧兜で覆われた、信じられないほど大柄な二人の騎士を見て、ロンゴバルトの雑兵は言葉を失った。
砦の中は灯火で照らされていた。おかげで、鎧兜が鉄製であることも、体の大きさが並外れていることも見ることができた。
「あれは……?」
だが、反応している時間はなかった。
騎士はたちまち走り寄って来て、あっという間に彼らをなぎ倒していく。
何十人いたのかわからない。
気が付いて、外へ逃げようとする者もいたが、重い鎧を着ているくせに二人の男の動きは素早かった。誰一人、その剣を逃れた者はいなかった。
砦の扉は、ぽっかりと大きく開け放たれたままで、中からはオレンジ色の燈火があたりを照らしていた。そして、恐ろしく大きな人影が二つ並んでいた。
そこにはもう、ほかに動くものは何もなくなっていた。
すでに布陣は終わっており、ロンゴバルト兵がカプトルの町から戻ってくるのを待ち構えていた。
一日が終わって、疲れた時間を狙う作戦だった。
「しかし、我慢しかねる光景じゃった」
気の短いザリエリ候が、市民を装ってカプトルに近づいたらしかった。
「一人で行くのはおやめくださいよ、侯爵」
ロドリックが注意した。
「あぶのうございます」
「なに、遠くの丘の上から見ただけじゃ」
見つかるからやめてくれと言いたかった。
「町が灰埃に帰していた」
フリースラントは黙っていた。
「ザリエリ候はバジエ辺境伯と共に戦っていただく」
「フリースラント、鋼鉄の騎士がいかに強いかはわかっておる。だが、本隊がわずか二百騎とは……」
ザリエリ候は食い下がった。
「お任せください」
フリースラントとロドリック、テンセスト女伯、ルシアは、ロジアン以下兵二百とともに小さな教会に集まった。
そろそろ、暗くなりかけていた。教会の内部は暗く、ロジアンほか、フリースラントとロドリックに常に付き従っている数名の騎士は、小さなローソクを囲んだ。
「時間で動く」
皆がうなずいた。
フリースラントとロドリックが、かわるがわる説明した。
「まず、バジエ辺境伯とゼンダの領主がそれぞれの陣地で派手に燈火を灯し気勢を上げる」
「それに呼応して、ロンゴバルドの首長達が、砦から出撃するかどうかが、この戦いの分かれ目だ」
「出撃しなければ失敗だ。我々は戦わない。だが、犠牲者は出ない。」
「出撃するようなら、彼らが出払った頃に、砦に攻め入る」
全員が真剣にうなずいた。
「おそらく、ロンゴバルトはダリアをなめ切っていると思う。そこがねらい目だ。軽く見て出撃してくる可能性がある」
「出てくれば儲けものだ」
ロンゴバルトは、前回の進撃と異なり、今回はやすやすとカプトルまで進むことができた。王宮でも反撃らしいものは何もなかった。
もし、大部分の兵が砦を出るようなことがあれば……
「俺が出る」
ロドリックが言った。
ルピーダ、ペリソン、ハリルが、ロドリックの顔を見た。ローソクの光だけでは、ロドリックの表情は読めなかった。
彼らは、あの大虐殺の晩、レイビック城に一緒にいた。
ロドリックが何をしたか知っていた。
「砦を取り戻すことができれば、我々は、出撃したロンゴバルトの後を追う。ルシアの城館もモルラ殿の屋敷も平時の居住用で、堀や石垣も、本格的なものではない。ロンゴバルトは、人数は万を数える。ゼンダの領主とバジエ辺境伯が危ない」
若い騎士たちはうなずいた。
「時間との勝負だ」
フリースラントが言った。
「ロドリックと二人で行く」
ルピーダ、ハリル、ペリゾンの三人は、驚いてフリースラントの顔を見た。
ロドリックの図抜けた実力を知りすぎていたので、まさかフリースラントが並ぶとは思わなかったのだ。
騎士の誰かが動いた。ロジアンだった。
「わたくしも……」
「ダメだ」
ロドリックが静止した。
「フリースラントだけだ」
ロジアンは、ロドリックの鎧を見たことがなかった。実際に鋼鉄の騎士が動いているところも。ロドリックがあの鎧を着たのは、ただ一度だけだった。
だから、ほかの3人がロジアンが一緒に行くと言いだしたのを見て驚いた様子なのが解せなかった。
「ご領主様をそのような危険なところへ護衛なしとは! 私どもが非力なことは重々承知しております。僭越だということも。しかし……」
もはや、人間ではなかった。ほかの騎士たちが黙りこくっていたのは、彼らには絶対、真似ができないことを思い知っていたからだった。
ハリルがロジアンの肩に手を置いて無言で彼を止めた。
「女伯とルシアを頼む」
二人が出て行った。
「ふたり……」
誰かがため息のようにつぶやいた。その意味は、ロドリックだけではないことを知った衝撃だった。
彼らの領主、レイビック伯爵フリースラントもまた、鋼鉄の騎士だったのだ。彼は、ロドリックと同じ鎧兜を櫃の中から取り出し、軽々と背負った。
騎士たちは目を見張った。
全く同じもの……
それから、二人は愛用の剣を手にし、出て行った。
「鋼鉄の騎士の再来さ」
夜道を明りも灯さず、黙々と進みながらロドリックは言った。
「もう二度としないと誓ったのに」
フリースラントは無視した。やらねばならない。ゼンダの領主とギュレーターの命がかかっている。ダリアの命運もだ。
「まっすぐ砦を目指す。中の人間は皆殺し。特に首長連中は、必ず殺すこと」
「砦を占拠したら、花火を上げる。教会で待機している二百人の騎士がなだれ込んでくる」
「砦を取り返し、二百の騎士で完全に守る」
既に日は落ち、暗かった。
耳を澄ますと、遠くから声が聞こえる。バジエ辺境伯とゼンダの領主軍が大きな音を立てていた。左右二個所で、大きな火が見えた。
「ギュレーターにもゼンダの領主にも、絶対に持ち場から離れるなと言ってある。もちろん、ロンゴバルトがやって来たときは別だ。すぐに逃げるように命じた」
「怖いのは、あいつらがロンゴバルトに刃向った時だ」
「うん……。おとなしく逃げるようにくれぐれも念押ししたし、不精不精にうなずいていたが」
砦までは、あと少し。誰も彼らに気づいていない。ロドリックはロンゴバルト語がわかる。耳を澄ますと、ロンゴバルト兵の荒い言葉が切れ切れに聞こえて生きた。
「でるらしいな、砦を」
ロドリックが言った。
「成功というわけか」
二人は緊張した。
「あちらは囮。こちらが本隊だ」
「たった二人だが」
フリースラントが、馬車の窓から身を乗り出して、あっという間に馬車の上によじ登った。
「危ないぞ、フリースラント」
ロドリックが声をかけた。彼らの周りは真の闇だった。彼らは暗闇でも見える。燈火など要らない。
「あいつらはバカだ。砦から簡単に出やがった」
フリースラントがつぶやいた。思うつぼだ。だが、急がないといけない。
ちょうど、どこかの首長が旗を先頭に勇ましくバジエ辺境伯のいる元のルシア妃の城館目指して、大声を上げながら砦から飛び出してきたところだった。大勢が篝火を手にしている。
「どんどん出て行っている。砦の扉はあけ放たれている」
始まりだした戦闘は止められない。ダリアに対し、勝利の経験しかないロンゴバルトは、勢い込んで砦から次から次へと流れ出していた。
「降りろ、フリースラント。お前の体重で天井が危ないんだ。俺だったら、確実に屋根を踏み抜いてる。鎧の重さを忘れんな」
フリースラントはそのことはすっかり忘れていた。
あわてて、地面に飛び落ちた。踏みにじられた草の匂いがする。
「行くぞ、ロドリック」
ロドリックはドアを開けて出てきた。二人は走りだした。
真っ暗な晩だった。
砦の門は開け放たれていた。
ちょうど、ほかの首長の一族が勇んで出て行こうとしているところだった。
「早く! 早くいかないと、ほかの部族に手柄を取られてしまう!」
「ダリアの軍など、剣の握り方も知らない連中だ。目にもの見せてくれようぞ!」
「いくら何でも、舐め過ぎだろう」
ロンゴバルト語の分かるロドリックがぼやいた。
かなりの人数が砦から出てきていた。軍隊が途切れるまで二人は待った。
「中に入ろう。門を閉められると厄介だ」
フリースラントが促した。
二人は出来るだけ暗闇に身をひそめながら近づいて、暗闇の中から砦の大扉のど真ん中へ乗り込んだ。
「あ?」
「ああーッ?! ダリアか?」
「待て!これは、こいつらは……もしかして……」
フリースラントとロドリックは、剣を振るった。一薙ぎで二、三人が倒れていく。
「生き返らないといいな」
「次行く! 次!」
二人は階段を駆け上がり、食事の支度をしていた奴隷に当たった。
「それはどこへ持っていくのだ?」
ロドリックが流ちょうなロンゴバルト語で聞いた。奴隷は震え上がって、目で上の部屋を指し示した。
二人はその部屋になだれ込み、食事を待っていた十名ほどを斬り殺した。
部屋部屋を探索し、全室を血まみれにした後、彼らは砦の一番上に上がって花火を上げた。
細い火が上に上がっていくだけの簡単な代物である。
「下へ降りよう」
下は大騒ぎだった。周りにテントを張って野営していた連中が残っていたのである。腕の立つ兵たちは、みな出て行った後なので、戦士と言うより雑務担当の者たちだった。彼らは砦の様子がおかしいので見に来たのだ。
「ああッ?!」
階段を三段飛ばしで、降りてきた、全身を鎧兜で覆われた、信じられないほど大柄な二人の騎士を見て、ロンゴバルトの雑兵は言葉を失った。
砦の中は灯火で照らされていた。おかげで、鎧兜が鉄製であることも、体の大きさが並外れていることも見ることができた。
「あれは……?」
だが、反応している時間はなかった。
騎士はたちまち走り寄って来て、あっという間に彼らをなぎ倒していく。
何十人いたのかわからない。
気が付いて、外へ逃げようとする者もいたが、重い鎧を着ているくせに二人の男の動きは素早かった。誰一人、その剣を逃れた者はいなかった。
砦の扉は、ぽっかりと大きく開け放たれたままで、中からはオレンジ色の燈火があたりを照らしていた。そして、恐ろしく大きな人影が二つ並んでいた。
そこにはもう、ほかに動くものは何もなくなっていた。
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