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サジシーム
第149話 戦いの準備(ダリア)
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ベルブルグでは、バジエ辺境伯ギュレーターが待っていた。彼はいったん自領に向かったが、再度参戦するつもりでフリースラントを待っていたのだ。
「ありがとう、ギュレーター」
フリースラントは、口数は少なかったが、ギュレーターの手を握った。
そのバカ力にギュレーターは思わず顔をしかめた。
「前と同じだな、フリースラント。力加減をいいかげんに覚えろ」
フリースラントは思い出して、ふっと笑った。
ベルブルグに着くとすぐ、フリースラントは副院長が貸してくれた修道僧に、王宮の危機とカプトルの占領を口述させ、各地の修道院経由で、全国の主だった貴族に事情が伝わるよう手配した。
トマシンに鳩便を送り、戦費を修道院経由で調達した。
「とりあえず、インゴット五本分を換金しよう。食料と輸送代と武器代だ」
「フリースラント、お前は商売人だな……」
ギュレーターが妙な顔をしながら褒めた。
「武芸一辺倒かと思っていた」
「いや? ずっと、商売をしてきたので、運送や金の支払いは得意かな? 船をもう少し欲しいな。ハブファンの船を使いたいところだが……ハブファンをこの状態で野放しにしているのは危険なので、ロドリックに頼んで身柄を拘束してもらうつもりなんだ」
ギュレーターは目をぱちくりさせた。
「ハブファンはベルブルグの事実上の支配者だろう。身柄拘束だなんて、大騒ぎになる。そんな簡単に……」
「おお、ロドリックが帰ってきた」
ロドリックは、変な格好の大きな袋を背負って帰ってきた。フリースラントが聞いた。
「中身はハブファンか?」
「そうだ」
ロドリックは、軽々と荷物を下ろすと、修道僧に牢屋の代わりになりそうな部屋はないかと聞いていた。
「地下に反省の部屋があります」
「そこでいい。ただし、脱走されないように気を付けてくれ。外部との連絡も厳禁。あと、ここがどこなのか、ばれないように気を付けてくれ」
「それは無理ですね。全員、修道僧の格好ですから」
「じゃ、そこは妥協しよう」
好奇心でいっぱいになったゼンダの領主が聞いた。
「ほんとに袋の中身はハブファンか? 俺は奴に恨みがある。どうやって捕まえたんだ」
「商工会の会議に出ていたんだ。慈悲の家のフィリス尼から言伝がありますと言って連れ出した」
「ン? フィリス様と言えば、あの徳の高い尼僧様か? そんなお方の名前を勝手に使っていいのか?」
「そこは気にするな。フィリス尼からの言伝となれば、聞かないわけにはいかない。慈悲の家に連れ込んで、殴って失神させて連れてきた」
ゼンダの領主はあっけにとられたらしかった。ギュレーターもである。
「そんなことをしたら、慈悲の家の連中が黙っていないだろう。それにフィリス尼にばれたら……」
「大丈夫」
フィニス尼はそれどころな女ではないと言いかけてロドリックは黙った。よく考えたら、この騒動も、もとはと言えば、フィニス尼の責任なんじゃないだろうか。
「女性の方々には、レイビックに戻っていただいた方がいいと思うが。道中が心配じゃな」
ザリエリ侯爵が心配そうに言った。女伯とルシアのことを言ったのである。
「それも大丈夫」
ロドリックは言った。
ルシアのことは知らないが、女伯なんか、フリースラントやロドリックよりも強いかもしれなかった。
「大丈夫でございましょう。頼もしいお方ばかりでございます」
女伯はそう言った。
知り合いになって以来、すっかり女伯のファンになり果てていたザリエリ侯爵が早速抗議した。
「戦争なのです。あぶのうございます」
「フリースラントが守ってくれますわ」
「う、うむ。レイビック伯とよくご相談なさるがよろしい」
だが、午後になって乗船して、船中に二人の姿を見かけて、ザリエリ侯爵は腰を抜かすほど驚いた。
「一体、どうして?」
「私たち、鳩使いですの」
船上で髪を風に流しながら、女伯は説明した。
「連絡係ですわ」
ザリエリ侯爵がフリースラントのところに抗議しに行こうとしたところで、ロドリックに捕まった。
「あ、ロドリック、なぜ女伯が船に乗っているのじゃ。戦場ですぞ? ご婦人方には危険じゃ」
「大丈夫。全然、大丈夫」
レイビックでは、今、トマシンを始めとした鉱夫連中が金山を守っていた。
金山と城のどちらを守るかと聞かれれば、当然金山である。城の方まで戦力を割きたくなかった。となれば、金山に二人を滞在させることになる。金山は山の中なので、慣れないロンゴバルト兵など、金山にたどり着くどころか山中で遭難するのが関の山だ。したがって金山の方が城を思えば格段に安全だったが、鉱夫連中がいる。美女二人を男だらけの鉱山に置いておくのは危険だ。
結果、むしろ、一緒に行動した方が安全だとフリースラントが決定したのだ。
「大丈夫なわけがあるまい」
ザリエリ候が真剣に抗議を始めたが、ロドリックはそれをさえぎった。
「フリースラントが、今、布陣についてザリエリ侯爵の意見を聞きたいと言っているので、会議室にお集まりくだされ」
ルシアの同行を希望したのは、フリースラントである。
女伯の同行は、女伯自身の希望もあった。フリースラントは、母の同行に難色を示したが、それは彼女の実力を知らないからである。
ロドリックは、女伯なんか、勝手にしやがれの気分であった。ルシアの件については、フリースラントなんか、勝手にしやがれと思っていた。
「もっとも問題なのは、砦を取られていることで……おお、侯爵、よくおいでくだされた」
ザリエリ侯爵の後ろから体の大きなロドリックが入ってきて、入念にドアを閉めた。
「野営するにも、付近に民家とてなく、少し離れているが、地理的に好適なのが、この元のルシア妃の館かモルラ殿の屋敷だ。これを使いたい」
「モルラ殿は、ものの分からぬ頑固爺である」
ザリエリ侯爵が思わず注釈を加えた。
「奥方はとうにあきれ果てて、実家に戻られた。屋敷を貸してくれるとは思えん」
「まあ、お貸しくださらなければ、借りるまでのことだ」
フリースラントはまるで気にしていないように言った。
「さるぐつわでもかましておこう。で、ルシア妃の城館にはバジエ辺境伯の軍三千に入っていただき、モルラ殿の屋敷側にはゼンダの領主殿に二千を率いていただきたい。砦からは少し距離があるが高台だ。砦からよく見える。彼らは、気付いて襲撃してくるだろう」
「して、本体は?」
「本体とは?」
「フリースラント、貴公のことだ」
「私の隊は、ここの真ん中の教会だ」
それは小高い丘の上にある小さな教会だった。
「約二百。この隊で砦を取り戻す」
果たしてそんな布陣で大丈夫なのか?
人数配分がおかしいではないか。
ザリエリ候も、ゼンダの領主もギュレーターも、その場にいた全員が不安になった。
砦にロンゴバルト兵が集結していることはわかっていた。王宮とカプトルの街を守るために、交通の要所に建てられた堅牢な砦だ。
立てこもられると、難攻不落の砦であった。
王宮とカプトルの街を守るための頑丈な砦である以上、ここに敵が入ると、どうしようもなかった。ここを取り戻さないと、首都を守れない。
「わずか2百の兵で、どうやって砦を取り戻すのだ? 警備するならともかく」
確かに砦は王宮方向からの攻撃には脆弱だった。しかし、仮にも砦である。城門を固く閉ざされ、閉じこもられたら手が出せない。
「一番いいのは兵糧攻めであろう。他国の中だ。補給が利かない」
「それはその通りだが、連中を砦に閉じ込めて干上がらせるのに時間がかかるので、別の方法を試したい」
フリースラントは言った。
「バジエ辺境伯とゼンダ殿には、派手に戦ってほしい」
「派手に戦う?」
「そうだ。戦いは夕刻から始める。連中がカプトルの町から、略奪を終えて帰って来た時間を狙う。疲れているはずだ。暗闇に火を煌々と燃やし、鬨の声をあげる。いかにも戦闘を仕掛けるように見せかけて、砦からやつらをおびき出したいのだ」
全員が黙った。
「そこまでマヌケか? そんなことくらいで、あの砦を捨てて打って出るほど?」
「出てくれればいいなと思っている」
それじゃあ、ダメじゃないかとザリエリ候が顔で喋った。
「打って出ない時は問題ない」
フリースラントが静かに言った。
「戦闘にならない。つまり安全だ。もしダリアの様子に危険を感じて、彼らが砦に閉じこもれば、兵糧作戦の始まりだ」
ゼンダの領主がジロリとフリースラントを見た。
「打って出てきた場合は、戦闘が始まるのか?」
フリースラントはバジエ辺境伯とゼンダの領主になだめるような調子で言った。
「戦わずに逃げて欲しい」
「なんだと?!」
「正面きって戦うのは人数的に不利だ。砦から引き離すのだ。こちらの方が地の利がある。追って来れば、その分、彼らは帰りにくくなり、戦線が細長くなる。攻めやすい」
ロンゴバルト軍の人数は、相変わらず把握できていなかった。
とは言え、ロンゴバルト自身が、自分たちの兵の規模がわかっていないので、スパイも秘密も存在しなかった。
「打って出れば、本隊が城門の開いた砦を襲う」
「わずか二百の本隊がか? 無理だろう。気が付いて、ロンゴバルトが戻って来たらどうするのだ? 全滅するぞ」
「俺が出る」
それまで一言も発しなかったロドリックが口を挟んだ。
全員が彼を振り返って見た。
ロドリックは顔の筋一つ変えず、単調に付け加えた。
「鋼鉄の騎士は俺だ」
「ありがとう、ギュレーター」
フリースラントは、口数は少なかったが、ギュレーターの手を握った。
そのバカ力にギュレーターは思わず顔をしかめた。
「前と同じだな、フリースラント。力加減をいいかげんに覚えろ」
フリースラントは思い出して、ふっと笑った。
ベルブルグに着くとすぐ、フリースラントは副院長が貸してくれた修道僧に、王宮の危機とカプトルの占領を口述させ、各地の修道院経由で、全国の主だった貴族に事情が伝わるよう手配した。
トマシンに鳩便を送り、戦費を修道院経由で調達した。
「とりあえず、インゴット五本分を換金しよう。食料と輸送代と武器代だ」
「フリースラント、お前は商売人だな……」
ギュレーターが妙な顔をしながら褒めた。
「武芸一辺倒かと思っていた」
「いや? ずっと、商売をしてきたので、運送や金の支払いは得意かな? 船をもう少し欲しいな。ハブファンの船を使いたいところだが……ハブファンをこの状態で野放しにしているのは危険なので、ロドリックに頼んで身柄を拘束してもらうつもりなんだ」
ギュレーターは目をぱちくりさせた。
「ハブファンはベルブルグの事実上の支配者だろう。身柄拘束だなんて、大騒ぎになる。そんな簡単に……」
「おお、ロドリックが帰ってきた」
ロドリックは、変な格好の大きな袋を背負って帰ってきた。フリースラントが聞いた。
「中身はハブファンか?」
「そうだ」
ロドリックは、軽々と荷物を下ろすと、修道僧に牢屋の代わりになりそうな部屋はないかと聞いていた。
「地下に反省の部屋があります」
「そこでいい。ただし、脱走されないように気を付けてくれ。外部との連絡も厳禁。あと、ここがどこなのか、ばれないように気を付けてくれ」
「それは無理ですね。全員、修道僧の格好ですから」
「じゃ、そこは妥協しよう」
好奇心でいっぱいになったゼンダの領主が聞いた。
「ほんとに袋の中身はハブファンか? 俺は奴に恨みがある。どうやって捕まえたんだ」
「商工会の会議に出ていたんだ。慈悲の家のフィリス尼から言伝がありますと言って連れ出した」
「ン? フィリス様と言えば、あの徳の高い尼僧様か? そんなお方の名前を勝手に使っていいのか?」
「そこは気にするな。フィリス尼からの言伝となれば、聞かないわけにはいかない。慈悲の家に連れ込んで、殴って失神させて連れてきた」
ゼンダの領主はあっけにとられたらしかった。ギュレーターもである。
「そんなことをしたら、慈悲の家の連中が黙っていないだろう。それにフィリス尼にばれたら……」
「大丈夫」
フィニス尼はそれどころな女ではないと言いかけてロドリックは黙った。よく考えたら、この騒動も、もとはと言えば、フィニス尼の責任なんじゃないだろうか。
「女性の方々には、レイビックに戻っていただいた方がいいと思うが。道中が心配じゃな」
ザリエリ侯爵が心配そうに言った。女伯とルシアのことを言ったのである。
「それも大丈夫」
ロドリックは言った。
ルシアのことは知らないが、女伯なんか、フリースラントやロドリックよりも強いかもしれなかった。
「大丈夫でございましょう。頼もしいお方ばかりでございます」
女伯はそう言った。
知り合いになって以来、すっかり女伯のファンになり果てていたザリエリ侯爵が早速抗議した。
「戦争なのです。あぶのうございます」
「フリースラントが守ってくれますわ」
「う、うむ。レイビック伯とよくご相談なさるがよろしい」
だが、午後になって乗船して、船中に二人の姿を見かけて、ザリエリ侯爵は腰を抜かすほど驚いた。
「一体、どうして?」
「私たち、鳩使いですの」
船上で髪を風に流しながら、女伯は説明した。
「連絡係ですわ」
ザリエリ侯爵がフリースラントのところに抗議しに行こうとしたところで、ロドリックに捕まった。
「あ、ロドリック、なぜ女伯が船に乗っているのじゃ。戦場ですぞ? ご婦人方には危険じゃ」
「大丈夫。全然、大丈夫」
レイビックでは、今、トマシンを始めとした鉱夫連中が金山を守っていた。
金山と城のどちらを守るかと聞かれれば、当然金山である。城の方まで戦力を割きたくなかった。となれば、金山に二人を滞在させることになる。金山は山の中なので、慣れないロンゴバルト兵など、金山にたどり着くどころか山中で遭難するのが関の山だ。したがって金山の方が城を思えば格段に安全だったが、鉱夫連中がいる。美女二人を男だらけの鉱山に置いておくのは危険だ。
結果、むしろ、一緒に行動した方が安全だとフリースラントが決定したのだ。
「大丈夫なわけがあるまい」
ザリエリ候が真剣に抗議を始めたが、ロドリックはそれをさえぎった。
「フリースラントが、今、布陣についてザリエリ侯爵の意見を聞きたいと言っているので、会議室にお集まりくだされ」
ルシアの同行を希望したのは、フリースラントである。
女伯の同行は、女伯自身の希望もあった。フリースラントは、母の同行に難色を示したが、それは彼女の実力を知らないからである。
ロドリックは、女伯なんか、勝手にしやがれの気分であった。ルシアの件については、フリースラントなんか、勝手にしやがれと思っていた。
「もっとも問題なのは、砦を取られていることで……おお、侯爵、よくおいでくだされた」
ザリエリ侯爵の後ろから体の大きなロドリックが入ってきて、入念にドアを閉めた。
「野営するにも、付近に民家とてなく、少し離れているが、地理的に好適なのが、この元のルシア妃の館かモルラ殿の屋敷だ。これを使いたい」
「モルラ殿は、ものの分からぬ頑固爺である」
ザリエリ侯爵が思わず注釈を加えた。
「奥方はとうにあきれ果てて、実家に戻られた。屋敷を貸してくれるとは思えん」
「まあ、お貸しくださらなければ、借りるまでのことだ」
フリースラントはまるで気にしていないように言った。
「さるぐつわでもかましておこう。で、ルシア妃の城館にはバジエ辺境伯の軍三千に入っていただき、モルラ殿の屋敷側にはゼンダの領主殿に二千を率いていただきたい。砦からは少し距離があるが高台だ。砦からよく見える。彼らは、気付いて襲撃してくるだろう」
「して、本体は?」
「本体とは?」
「フリースラント、貴公のことだ」
「私の隊は、ここの真ん中の教会だ」
それは小高い丘の上にある小さな教会だった。
「約二百。この隊で砦を取り戻す」
果たしてそんな布陣で大丈夫なのか?
人数配分がおかしいではないか。
ザリエリ候も、ゼンダの領主もギュレーターも、その場にいた全員が不安になった。
砦にロンゴバルト兵が集結していることはわかっていた。王宮とカプトルの街を守るために、交通の要所に建てられた堅牢な砦だ。
立てこもられると、難攻不落の砦であった。
王宮とカプトルの街を守るための頑丈な砦である以上、ここに敵が入ると、どうしようもなかった。ここを取り戻さないと、首都を守れない。
「わずか2百の兵で、どうやって砦を取り戻すのだ? 警備するならともかく」
確かに砦は王宮方向からの攻撃には脆弱だった。しかし、仮にも砦である。城門を固く閉ざされ、閉じこもられたら手が出せない。
「一番いいのは兵糧攻めであろう。他国の中だ。補給が利かない」
「それはその通りだが、連中を砦に閉じ込めて干上がらせるのに時間がかかるので、別の方法を試したい」
フリースラントは言った。
「バジエ辺境伯とゼンダ殿には、派手に戦ってほしい」
「派手に戦う?」
「そうだ。戦いは夕刻から始める。連中がカプトルの町から、略奪を終えて帰って来た時間を狙う。疲れているはずだ。暗闇に火を煌々と燃やし、鬨の声をあげる。いかにも戦闘を仕掛けるように見せかけて、砦からやつらをおびき出したいのだ」
全員が黙った。
「そこまでマヌケか? そんなことくらいで、あの砦を捨てて打って出るほど?」
「出てくれればいいなと思っている」
それじゃあ、ダメじゃないかとザリエリ候が顔で喋った。
「打って出ない時は問題ない」
フリースラントが静かに言った。
「戦闘にならない。つまり安全だ。もしダリアの様子に危険を感じて、彼らが砦に閉じこもれば、兵糧作戦の始まりだ」
ゼンダの領主がジロリとフリースラントを見た。
「打って出てきた場合は、戦闘が始まるのか?」
フリースラントはバジエ辺境伯とゼンダの領主になだめるような調子で言った。
「戦わずに逃げて欲しい」
「なんだと?!」
「正面きって戦うのは人数的に不利だ。砦から引き離すのだ。こちらの方が地の利がある。追って来れば、その分、彼らは帰りにくくなり、戦線が細長くなる。攻めやすい」
ロンゴバルト軍の人数は、相変わらず把握できていなかった。
とは言え、ロンゴバルト自身が、自分たちの兵の規模がわかっていないので、スパイも秘密も存在しなかった。
「打って出れば、本隊が城門の開いた砦を襲う」
「わずか二百の本隊がか? 無理だろう。気が付いて、ロンゴバルトが戻って来たらどうするのだ? 全滅するぞ」
「俺が出る」
それまで一言も発しなかったロドリックが口を挟んだ。
全員が彼を振り返って見た。
ロドリックは顔の筋一つ変えず、単調に付け加えた。
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