22 / 185
フリースラント
第22話 レイビックはハンターの町
しおりを挟む
「レイビックには、なにしにきたの?」
泊まりたいと言うと、宿の亭主は、まだ若い少年に聞いた。
「ここでは、勤め口は有りますか?」
亭主はびっくりしたらしかった。
「ないよ」
それから、親父は少年の顔をつくづく眺めて言った。
「レイビックは猟師の町だ。みんな狩猟で生活を立てている。ハンターが多いが、そのほか、猟の獲物の市場だとか、獲物を捌く人や、売ったり買ったりする商人だとか……」
それから彼は付け加えた。
「ここへ来たからには、ハンターとして名をあげるつもりなんだろうけど、そう簡単にはいかないよ」
フリースラントには、レイビックがハンターの町だと言うのは初耳だったが、宿の親父は、彼がハンター志望だと、判定したようだった。
「狩猟でチームに入れてもらいたかったら、それなりの腕がないとダメだ。足手まといになるだけだからな。あんたみたいな子供にはまず無理だと思うが……」
「ここら辺では何が獲れるのですか?」
「そんなことも知らないのに、ハンター志望なのかい! 鹿とかイノシシもいるが、そいつらは食肉用だな。飾り用の大熊や灰色熊はいい値段になる。だが、最も値が付くのはユキヒョウだ。一攫千金だ。でも、山の高いところに住んでいるんだ。それに危険だ。よほど腕のいいハンターでないと無理だ」
「弓の腕ですか?」
「もちろん」
ほかに何があるんだと言わんばかりに力を込めて親父は答えた。
「興味があるなら、表通りを行くと、マーケットがある。毛皮の取引所だ。まあ、見に行ってごらん。レストランや役場やハンター登録所もある」
「ハンター登録所?」
「誰でも狩りに行っていいわけないだろ。登録しないと、ハンターになれないんだ。でないと密猟者扱いになる。ハンターもレベルがあって、レベルによって狙える獲物が違う。ハンターになりたいなら、まずはウサギやウズラなんかを狙ったらどうかね? 結構、すばしこいから獲るのは難しいぞ? いい練習になるし、危なくないから、最初のレベルにはもってこいだ」
宿の親父は、親切な男だった。
フリースラントは、部屋に案内してもらって、それから町に出た。
ハンターになることは、考えたことがなかった。
別に働きたいわけではなかった。ただ、土地の者でもない人間がぶらぶら教会や古い言い伝えを探し回っていたら、村人に変に思われると心配になっただけだった。何か仕事をしている方がいいだろうと考えたのだ。
「教会に関係できるといいんだが……あるいは学校とか」
とりあえず、マーケットと呼ばれる場所に行くことにした。町に入った時に最も目立っていたあの建物だった。
人が集まる場所には情報もあるだろう。
もう午後も遅かった。外から様子をうかがってみると、かなりの人数が集まっている様子だった。
思い切って中に入ったが、暗かったせいか、誰も少年に注目するものはいなかった。
「ねえ、あんた、こんなところに何しに来たの?」
背中から若い女の声に話しかけられて、フリースラントはびっくりした。
振り向くと、そこはカウンターになっていて、二十代くらいの赤毛の女が、カウンターの上に肘をついてフリースラントを見つめていた。
若い女は、フリースラントの顔に気が付くと、パッと顔を赤くした。
宿の親父に頻繁に話しかけられたり、妙に心配されたりする理由の一つは彼の容貌だった。
若かったが、同時に冷たい美貌の持ち主だった。
フリースラントも、かなりびっくりした。
別に女の反応に驚いたわけではなくて、女が肘をついていたカウンターの後ろに大きく掲げられたハンター登録所と言う文字に驚いたのだ。
よく見ると、横には値段表まで張られている。
ウサギ、うずら、雉などこまごました種類別の買取価格のほか、ハンターのレベルと、それぞれのレベルに登録するための金額が書いてあった。
「なあに、あんた、ハンターをやるつもりなの?」
「やらないよ」
「そうね。無理そうね」
彼女はちょっと笑った。フリースラントはカチンときた。
「弓矢と剣は得意だよ」
彼は文句を言った。
「人は見かけによらないって言うけど……」
彼女は笑いながら、その広い空間の反対側を指して言った。
「もうセリが始まる時間よ」
「セリ?」
「そう。今日、取ってきた獲物をセリにかけるの。見てらっしゃいよ」
体つきのごつい男たちが何人も集まってきていて、それぞれが大きな荷物を運び込んできていた。
「最初が食肉業者、次が毛皮商人よ」
彼女は毎日繰り広げられている光景に、興味はなさそうだったが、フリースラントには親切だった。
フリースラントは初めて見る光景に釘付けだった。
荷物は今日の獲物で、袋から取り出されて検分されて値段が決められていくようだった。
「2フローリンと30ギル!」
声がここまで届いた。
「立派なイノシシね。いい値段だわ」
「イノシシ一頭分の値段?」
「そうよ。ほら次はハイイログマだわ。珍しいわね」
セリは非常に手早く行われていたが、ハイイログマの番になると急に慎重になった。
「高いもの。貴重なのよ。ウサギや鳥は重さで売り買いされるから、相場が決まってるし、取引も早いけど、ハイイログマは食用じゃない。毛皮の質なんかで評価が決まるから時間がかかるわ」
結局百フローリンほどで取引は決まったらしい。
ハイイログマを持ち込んだ連中は、5人くらいのグループで、値段に少し不満らしかったが、きらきらする金貨を手にするとそそくさと隣の酒場へ向かって行った。
「仲間同士で分けるのよ。それから、たいていは飲んじゃうのよ」
彼女はうんざりしたように付け加えた。
急に思いついて、フリースラントは彼女の顔を見た。
「僕の名前はフリーって言うんだ。君の名前はなんていうの?」
赤毛の娘はちょっと顔を赤くした。これで二度目だ。
「ジュリアよ。ハンター登録所で働いているのよ」
フリースラントは、ふと、自分の顔をみんながほめていたことを思い出した。
いま、彼は、情報が欲しかった。これはいけるんじゃないだろうか。
彼は、女の子の目をまっすぐ見つめて、ニコッと微笑んでみた。
「ここは初めてなんだ。いろいろ教えてよ」
「そうね……。もう少ししたら仕事が終わるわ。登録所の仕事は夕方までなの」
これはオーケーらしい。なるほど。顔芸はこうして使うものなのか。彼は妙に納得した。
「夕飯をおごるよ」
彼女はますます顔を赤くした。
「だめよ。お金ないんでしょ? 無駄遣いしちゃだめよ」
国で一、二を争う裕福な大貴族の子弟は微笑んだ。ここでは、誰も彼のことを大金持ちの御曹司だなんて考えていない。
「わかった。でも、一緒に行こうよ」
セリ市が行われる大きな建物の近くには小さなレストランや宿屋、バーなどがたくさんあった。
でも、お金はないはずだと主張するジュリアに折れて、彼らは、ハンター登録所の中に隠れるようにして買ってきた肉やパンをかじることになった。
もうすっかり夜だと言うのに、多くの人たちが出入りしていた。フリースラントは、慣れない様子にきょろきょろしていた。
「ねえ、あの人たちは何?」
まとまって現れた年配の人々にフリースラントは興味をひかれた。
「町の長老たちよ。指さしちゃだめよ」
「長老?」
「そう。この町に領主はいないのよ。長老たちが力を持っているの。ほら、あの黒い服の人がドイチェ氏。私の雇い主で、競り市のオーナーよ。多分一番の勢力家よ」
「悪い人?」
「悪い? いいえ? 正直者と言われているわ」
フリースラントは彼らをじっと眺めた。
「教会の関係者はいるの?」
「あの人よ。」
彼女は脂ぎって、頭の毛をきれいに剃った小男を指さした。
「なんだか、聖職者には見えないな」
「私もそう思うわ。教会もなんだかあの人に似ているわ。最新式で、みんな立派だって言うけど、あんまりありがたみが感じられないわ」
フリースラントは鋭く彼女を見た。
「教会は新しいの?」
「2年ほど前に建て替えたのよ。すごく立派なのよ。2万フローリンもお金がかかったのよ」
彼女は自慢そうに言った。だが、だとすれば、何も残っていないのではないだろうか。
「そこ以外に古い修道院とか、古い教会の分院とかはない?」
「ないわ」
あっさり彼女は期待をぶち壊した。
「だって、この町は新しいんだもん。腕一本で珍しい毛皮を獲って、一攫千金を狙う山師みたいな人間が来るところよ。あなただってそうでしょ?」
最近、変装が板についてきたと思ってはいたが、こんなに評価してもらえるとは考えていなかった。
彼は頷いて見せた。
思った方向とは違う方へ物事が動いていく。
泊まりたいと言うと、宿の亭主は、まだ若い少年に聞いた。
「ここでは、勤め口は有りますか?」
亭主はびっくりしたらしかった。
「ないよ」
それから、親父は少年の顔をつくづく眺めて言った。
「レイビックは猟師の町だ。みんな狩猟で生活を立てている。ハンターが多いが、そのほか、猟の獲物の市場だとか、獲物を捌く人や、売ったり買ったりする商人だとか……」
それから彼は付け加えた。
「ここへ来たからには、ハンターとして名をあげるつもりなんだろうけど、そう簡単にはいかないよ」
フリースラントには、レイビックがハンターの町だと言うのは初耳だったが、宿の親父は、彼がハンター志望だと、判定したようだった。
「狩猟でチームに入れてもらいたかったら、それなりの腕がないとダメだ。足手まといになるだけだからな。あんたみたいな子供にはまず無理だと思うが……」
「ここら辺では何が獲れるのですか?」
「そんなことも知らないのに、ハンター志望なのかい! 鹿とかイノシシもいるが、そいつらは食肉用だな。飾り用の大熊や灰色熊はいい値段になる。だが、最も値が付くのはユキヒョウだ。一攫千金だ。でも、山の高いところに住んでいるんだ。それに危険だ。よほど腕のいいハンターでないと無理だ」
「弓の腕ですか?」
「もちろん」
ほかに何があるんだと言わんばかりに力を込めて親父は答えた。
「興味があるなら、表通りを行くと、マーケットがある。毛皮の取引所だ。まあ、見に行ってごらん。レストランや役場やハンター登録所もある」
「ハンター登録所?」
「誰でも狩りに行っていいわけないだろ。登録しないと、ハンターになれないんだ。でないと密猟者扱いになる。ハンターもレベルがあって、レベルによって狙える獲物が違う。ハンターになりたいなら、まずはウサギやウズラなんかを狙ったらどうかね? 結構、すばしこいから獲るのは難しいぞ? いい練習になるし、危なくないから、最初のレベルにはもってこいだ」
宿の親父は、親切な男だった。
フリースラントは、部屋に案内してもらって、それから町に出た。
ハンターになることは、考えたことがなかった。
別に働きたいわけではなかった。ただ、土地の者でもない人間がぶらぶら教会や古い言い伝えを探し回っていたら、村人に変に思われると心配になっただけだった。何か仕事をしている方がいいだろうと考えたのだ。
「教会に関係できるといいんだが……あるいは学校とか」
とりあえず、マーケットと呼ばれる場所に行くことにした。町に入った時に最も目立っていたあの建物だった。
人が集まる場所には情報もあるだろう。
もう午後も遅かった。外から様子をうかがってみると、かなりの人数が集まっている様子だった。
思い切って中に入ったが、暗かったせいか、誰も少年に注目するものはいなかった。
「ねえ、あんた、こんなところに何しに来たの?」
背中から若い女の声に話しかけられて、フリースラントはびっくりした。
振り向くと、そこはカウンターになっていて、二十代くらいの赤毛の女が、カウンターの上に肘をついてフリースラントを見つめていた。
若い女は、フリースラントの顔に気が付くと、パッと顔を赤くした。
宿の親父に頻繁に話しかけられたり、妙に心配されたりする理由の一つは彼の容貌だった。
若かったが、同時に冷たい美貌の持ち主だった。
フリースラントも、かなりびっくりした。
別に女の反応に驚いたわけではなくて、女が肘をついていたカウンターの後ろに大きく掲げられたハンター登録所と言う文字に驚いたのだ。
よく見ると、横には値段表まで張られている。
ウサギ、うずら、雉などこまごました種類別の買取価格のほか、ハンターのレベルと、それぞれのレベルに登録するための金額が書いてあった。
「なあに、あんた、ハンターをやるつもりなの?」
「やらないよ」
「そうね。無理そうね」
彼女はちょっと笑った。フリースラントはカチンときた。
「弓矢と剣は得意だよ」
彼は文句を言った。
「人は見かけによらないって言うけど……」
彼女は笑いながら、その広い空間の反対側を指して言った。
「もうセリが始まる時間よ」
「セリ?」
「そう。今日、取ってきた獲物をセリにかけるの。見てらっしゃいよ」
体つきのごつい男たちが何人も集まってきていて、それぞれが大きな荷物を運び込んできていた。
「最初が食肉業者、次が毛皮商人よ」
彼女は毎日繰り広げられている光景に、興味はなさそうだったが、フリースラントには親切だった。
フリースラントは初めて見る光景に釘付けだった。
荷物は今日の獲物で、袋から取り出されて検分されて値段が決められていくようだった。
「2フローリンと30ギル!」
声がここまで届いた。
「立派なイノシシね。いい値段だわ」
「イノシシ一頭分の値段?」
「そうよ。ほら次はハイイログマだわ。珍しいわね」
セリは非常に手早く行われていたが、ハイイログマの番になると急に慎重になった。
「高いもの。貴重なのよ。ウサギや鳥は重さで売り買いされるから、相場が決まってるし、取引も早いけど、ハイイログマは食用じゃない。毛皮の質なんかで評価が決まるから時間がかかるわ」
結局百フローリンほどで取引は決まったらしい。
ハイイログマを持ち込んだ連中は、5人くらいのグループで、値段に少し不満らしかったが、きらきらする金貨を手にするとそそくさと隣の酒場へ向かって行った。
「仲間同士で分けるのよ。それから、たいていは飲んじゃうのよ」
彼女はうんざりしたように付け加えた。
急に思いついて、フリースラントは彼女の顔を見た。
「僕の名前はフリーって言うんだ。君の名前はなんていうの?」
赤毛の娘はちょっと顔を赤くした。これで二度目だ。
「ジュリアよ。ハンター登録所で働いているのよ」
フリースラントは、ふと、自分の顔をみんながほめていたことを思い出した。
いま、彼は、情報が欲しかった。これはいけるんじゃないだろうか。
彼は、女の子の目をまっすぐ見つめて、ニコッと微笑んでみた。
「ここは初めてなんだ。いろいろ教えてよ」
「そうね……。もう少ししたら仕事が終わるわ。登録所の仕事は夕方までなの」
これはオーケーらしい。なるほど。顔芸はこうして使うものなのか。彼は妙に納得した。
「夕飯をおごるよ」
彼女はますます顔を赤くした。
「だめよ。お金ないんでしょ? 無駄遣いしちゃだめよ」
国で一、二を争う裕福な大貴族の子弟は微笑んだ。ここでは、誰も彼のことを大金持ちの御曹司だなんて考えていない。
「わかった。でも、一緒に行こうよ」
セリ市が行われる大きな建物の近くには小さなレストランや宿屋、バーなどがたくさんあった。
でも、お金はないはずだと主張するジュリアに折れて、彼らは、ハンター登録所の中に隠れるようにして買ってきた肉やパンをかじることになった。
もうすっかり夜だと言うのに、多くの人たちが出入りしていた。フリースラントは、慣れない様子にきょろきょろしていた。
「ねえ、あの人たちは何?」
まとまって現れた年配の人々にフリースラントは興味をひかれた。
「町の長老たちよ。指さしちゃだめよ」
「長老?」
「そう。この町に領主はいないのよ。長老たちが力を持っているの。ほら、あの黒い服の人がドイチェ氏。私の雇い主で、競り市のオーナーよ。多分一番の勢力家よ」
「悪い人?」
「悪い? いいえ? 正直者と言われているわ」
フリースラントは彼らをじっと眺めた。
「教会の関係者はいるの?」
「あの人よ。」
彼女は脂ぎって、頭の毛をきれいに剃った小男を指さした。
「なんだか、聖職者には見えないな」
「私もそう思うわ。教会もなんだかあの人に似ているわ。最新式で、みんな立派だって言うけど、あんまりありがたみが感じられないわ」
フリースラントは鋭く彼女を見た。
「教会は新しいの?」
「2年ほど前に建て替えたのよ。すごく立派なのよ。2万フローリンもお金がかかったのよ」
彼女は自慢そうに言った。だが、だとすれば、何も残っていないのではないだろうか。
「そこ以外に古い修道院とか、古い教会の分院とかはない?」
「ないわ」
あっさり彼女は期待をぶち壊した。
「だって、この町は新しいんだもん。腕一本で珍しい毛皮を獲って、一攫千金を狙う山師みたいな人間が来るところよ。あなただってそうでしょ?」
最近、変装が板についてきたと思ってはいたが、こんなに評価してもらえるとは考えていなかった。
彼は頷いて見せた。
思った方向とは違う方へ物事が動いていく。
9
お気に入りに追加
86
あなたにおすすめの小説
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました
杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」
王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。
第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。
確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。
唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。
もう味方はいない。
誰への義理もない。
ならば、もうどうにでもなればいい。
アレクシアはスッと背筋を伸ばした。
そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺!
◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。
◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。
◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。
◆全8話、最終話だけ少し長めです。
恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。
◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。
◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03)
◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます!
9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
愛されない皇妃~最強の母になります!~
椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』
やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。
夫も子どもも――そして、皇妃の地位。
最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。
けれど、そこからが問題だ。
皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。
そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど……
皇帝一家を倒した大魔女。
大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!?
※表紙は作成者様からお借りしてます。
※他サイト様に掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる