12 / 18
君があんまり変わってしまって
しおりを挟む
「ダーナ! ダーナなのか?」
王子が叫んだ。
しまった。
そんなに太っちゃったかしら。
「ええっと、私、そんなに変わった?」
「変わったとも!」
王子は情熱を込めて叫んだが、私は絶望的な気持ちになった。
「次のダンスパーティには絶対出て欲しい」
なんでだ。
「ここに一人でいるの? さみしくない?」
しかたない。これまでの経緯を全部話した。
「信じてもらえないと思うけど」
「いや。わかるよ」
王子は驚きながら答えた。
『魔力……それは欲しい。だが、それよりこの美貌だ』
あいにく王子は美人好きだった。
「僕が必ず誘いに来る。だから出席して」
「ドレスがないわ」
「義母には黙っておくんだよ。僕を信じて。ドレスは贈ろう。」
「え?」
婚約者でもない王子が?
「ロジャーがそう言っていた」
当日の夕、王子は侍女連れでやって来た。そして、侍女に木に登れと無理を言っていた。
何してるんだろう。
「こちらから、お入りください」
「鍵開けられたの?」
フィル殿下は驚いていたが、当たり前よ。
「じゃあ、どうして逃げなかったの?」
「どこへ?」
私は言葉少なに聞いた。
「僕のところへ。母がいる」
それが出来ればそうしている。どこにも私は行くところがなかった。だから、ここにいた。なんだか寂しかったけれど。
仕度は出来たが、王宮の会場の前でフィル王子は言った。
「ダーナ、一人で先に行って。僕はしなくちゃいけないことがあるんだ。それが済んだら、必ず君のところに戻るから」
おデブの自分が王太子殿下なんかと一緒に入場したら、殿下の恥だ。もちろん、わかっている。
だけど、久しぶりのダンスパーティ会場はちょっと怖い。
誰もが驚きの目を向けてくる。
「まあ。なんて、なんて……」
「なんという方だ! これまで見たこともない」
……見たこともないくらいのすげぇデブ
一人になってやることもないので、リンゴの季節は、リンゴのパイ、リンゴのケーキ、生リンゴを埋め込んだマッフィン、リンゴジャムの作り置きまでつまみ食いと、食べて食べて食べまくった記憶が走馬灯のように頭をよぎる。
「失敗したわ」
公爵家から、砂糖とバターを取り放題にちょろまかしていたバチが当たったのだわ。
一方、王太子殿下はロジャーを連れて、マチルダのところを回っていた。
「王妃様は本当にいいって言ったのか?」
ロジャーは半信半疑だった。
「もちろんだ。大丈夫だ。俺が保証する。マチルダ嬢に頼んで来い。14歳でもいいって言ってた」
「今日明日結婚する訳じゃないんだぞ?」
王子が叫んだ。
しまった。
そんなに太っちゃったかしら。
「ええっと、私、そんなに変わった?」
「変わったとも!」
王子は情熱を込めて叫んだが、私は絶望的な気持ちになった。
「次のダンスパーティには絶対出て欲しい」
なんでだ。
「ここに一人でいるの? さみしくない?」
しかたない。これまでの経緯を全部話した。
「信じてもらえないと思うけど」
「いや。わかるよ」
王子は驚きながら答えた。
『魔力……それは欲しい。だが、それよりこの美貌だ』
あいにく王子は美人好きだった。
「僕が必ず誘いに来る。だから出席して」
「ドレスがないわ」
「義母には黙っておくんだよ。僕を信じて。ドレスは贈ろう。」
「え?」
婚約者でもない王子が?
「ロジャーがそう言っていた」
当日の夕、王子は侍女連れでやって来た。そして、侍女に木に登れと無理を言っていた。
何してるんだろう。
「こちらから、お入りください」
「鍵開けられたの?」
フィル殿下は驚いていたが、当たり前よ。
「じゃあ、どうして逃げなかったの?」
「どこへ?」
私は言葉少なに聞いた。
「僕のところへ。母がいる」
それが出来ればそうしている。どこにも私は行くところがなかった。だから、ここにいた。なんだか寂しかったけれど。
仕度は出来たが、王宮の会場の前でフィル王子は言った。
「ダーナ、一人で先に行って。僕はしなくちゃいけないことがあるんだ。それが済んだら、必ず君のところに戻るから」
おデブの自分が王太子殿下なんかと一緒に入場したら、殿下の恥だ。もちろん、わかっている。
だけど、久しぶりのダンスパーティ会場はちょっと怖い。
誰もが驚きの目を向けてくる。
「まあ。なんて、なんて……」
「なんという方だ! これまで見たこともない」
……見たこともないくらいのすげぇデブ
一人になってやることもないので、リンゴの季節は、リンゴのパイ、リンゴのケーキ、生リンゴを埋め込んだマッフィン、リンゴジャムの作り置きまでつまみ食いと、食べて食べて食べまくった記憶が走馬灯のように頭をよぎる。
「失敗したわ」
公爵家から、砂糖とバターを取り放題にちょろまかしていたバチが当たったのだわ。
一方、王太子殿下はロジャーを連れて、マチルダのところを回っていた。
「王妃様は本当にいいって言ったのか?」
ロジャーは半信半疑だった。
「もちろんだ。大丈夫だ。俺が保証する。マチルダ嬢に頼んで来い。14歳でもいいって言ってた」
「今日明日結婚する訳じゃないんだぞ?」
288
お気に入りに追加
1,208
あなたにおすすめの小説

腹に彼の子が宿っている? そうですか、ではお幸せに。
四季
恋愛
「わたくしの腹には彼の子が宿っていますの! 貴女はさっさと消えてくださる?」
突然やって来た金髪ロングヘアの女性は私にそんなことを告げた。

国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。
樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。
ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。
国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。
「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」

骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。

【完結】不倫をしていると勘違いして離婚を要求されたので従いました〜慰謝料をアテにして生活しようとしているようですが、慰謝料請求しますよ〜
よどら文鳥
恋愛
※当作品は全話執筆済み&予約投稿完了しています。
夫婦円満でもない生活が続いていた中、旦那のレントがいきなり離婚しろと告げてきた。
不倫行為が原因だと言ってくるが、私(シャーリー)には覚えもない。
どうやら騎士団長との会話で勘違いをしているようだ。
だが、不倫を理由に多額の金が目当てなようだし、私のことは全く愛してくれていないようなので、離婚はしてもいいと思っていた。
離婚だけして慰謝料はなしという方向に持って行こうかと思ったが、レントは金にうるさく慰謝料を請求しようとしてきている。
当然、慰謝料を払うつもりはない。
あまりにもうるさいので、むしろ、今までの暴言に関して慰謝料請求してしまいますよ?

この罰は永遠に
豆狸
恋愛
「オードリー、そなたはいつも私達を見ているが、一体なにが楽しいんだ?」
「クロード様の黄金色の髪が光を浴びて、キラキラ輝いているのを見るのが好きなのです」
「……ふうん」
その灰色の瞳には、いつもクロードが映っていた。
なろう様でも公開中です。

想い合っている? そうですか、ではお幸せに
四季
恋愛
コルネリア・フレンツェはある日突然訪問者の女性から告げられた。
「実は、私のお腹には彼との子がいるんです」
婚約者の相応しくない振る舞いが判明し、嵐が訪れる。

好きにしろ、とおっしゃられたので好きにしました。
豆狸
恋愛
「この恥晒しめ! 俺はお前との婚約を破棄する! 理由はわかるな?」
「第一王子殿下、私と殿下の婚約は破棄出来ませんわ」
「確かに俺達の婚約は政略的なものだ。しかし俺は国王になる男だ。ほかの男と睦み合っているような女を妃には出来ぬ! そちらの有責なのだから侯爵家にも責任を取ってもらうぞ!」

前妻の子であった私は義母義妹に虐げられていましたが、ある日城へ行ったことをきっかけに人生が変わりました。
四季
恋愛
前妻の子であった私は義母義妹に虐げられていましたが、ある日城へ行ったことをきっかけに人生が変わりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる