10 / 18
真実追及
しおりを挟む
王宮に戻ると、王太子殿下は考え込んでしまった。
残念ながら、ダーナの身の上についてではない。
夕べ、ダーナ嬢はパーティに出ていたらしい。まあ、それならそれで良しだ。おそらく元気なのだろう。
それより……マチルダ嬢である。
ロジャーが差し替えたいと言った意味をフィルは、めちゃくちゃ理解した。
あれはダメだ。パーティなぞに出したら、大ごとになる。
だが……?
そこで、王子はハタと気づいた。
あれほどの美女が社交界に出てきたら、大変な噂になっているはずだ。だが、あまり聞いたことがない。
フィルはロジャーのところに駆け付けた。
そして、夕べ、マチルダ嬢は夜会に出てきていたが、ダーナ嬢は来ていなかったという事実をつかんだ。
「マチルダ嬢に会わせろ」
「おっ、いいのか?誤解されるぞ?」
「そんな女なのか?」
「そんな女だ。あまり品はない」
ロジャーは下品に笑った。
あの窓の女性は、あふれんばかりの気品だった。なんともたおやかな風情だった。
とりあえず事実確認が先なので、次の夜会でマチルダ嬢にフィルは紹介してもらって、大後悔した。
つきまとわれ、話しかけられ、大いに迷惑した。
窓にいた女性ではない。絶対違う。
だが、フィルは意外と狡猾だった。
「迷惑してるんだよね」
そう一言いえば、彼の代わりに鉄拳制裁に出る、いや毒舌制裁に出る身分高いご令嬢や奥方なら、数に不足はないのが王太子殿下だ。
「マチルダ嬢にダーナ嬢を連れてきてほしいと頼んでよ」
フィルはロジャーに言いつけた。
「俺は会いたくない。まだ、マチルダ嬢の方がましだ」
「じゃあ、婚約破棄しろ。俺が許す」
「おっ、本気か? 王妃様にどう言うつもりだ。ダーナ嬢は王妃様のお気に入りだぞ?」
「大丈夫だ。任せろ」
割と黒い王太子殿下だった。
公爵家には、娘は二人しかいないのだ。絶対に使用人には見えなかった。どっちかが、どっちかなのだ。
残念ながら、ダーナの身の上についてではない。
夕べ、ダーナ嬢はパーティに出ていたらしい。まあ、それならそれで良しだ。おそらく元気なのだろう。
それより……マチルダ嬢である。
ロジャーが差し替えたいと言った意味をフィルは、めちゃくちゃ理解した。
あれはダメだ。パーティなぞに出したら、大ごとになる。
だが……?
そこで、王子はハタと気づいた。
あれほどの美女が社交界に出てきたら、大変な噂になっているはずだ。だが、あまり聞いたことがない。
フィルはロジャーのところに駆け付けた。
そして、夕べ、マチルダ嬢は夜会に出てきていたが、ダーナ嬢は来ていなかったという事実をつかんだ。
「マチルダ嬢に会わせろ」
「おっ、いいのか?誤解されるぞ?」
「そんな女なのか?」
「そんな女だ。あまり品はない」
ロジャーは下品に笑った。
あの窓の女性は、あふれんばかりの気品だった。なんともたおやかな風情だった。
とりあえず事実確認が先なので、次の夜会でマチルダ嬢にフィルは紹介してもらって、大後悔した。
つきまとわれ、話しかけられ、大いに迷惑した。
窓にいた女性ではない。絶対違う。
だが、フィルは意外と狡猾だった。
「迷惑してるんだよね」
そう一言いえば、彼の代わりに鉄拳制裁に出る、いや毒舌制裁に出る身分高いご令嬢や奥方なら、数に不足はないのが王太子殿下だ。
「マチルダ嬢にダーナ嬢を連れてきてほしいと頼んでよ」
フィルはロジャーに言いつけた。
「俺は会いたくない。まだ、マチルダ嬢の方がましだ」
「じゃあ、婚約破棄しろ。俺が許す」
「おっ、本気か? 王妃様にどう言うつもりだ。ダーナ嬢は王妃様のお気に入りだぞ?」
「大丈夫だ。任せろ」
割と黒い王太子殿下だった。
公爵家には、娘は二人しかいないのだ。絶対に使用人には見えなかった。どっちかが、どっちかなのだ。
295
お気に入りに追加
1,208
あなたにおすすめの小説

腹に彼の子が宿っている? そうですか、ではお幸せに。
四季
恋愛
「わたくしの腹には彼の子が宿っていますの! 貴女はさっさと消えてくださる?」
突然やって来た金髪ロングヘアの女性は私にそんなことを告げた。

国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。
樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。
ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。
国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。
「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」

骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。

【完結】不倫をしていると勘違いして離婚を要求されたので従いました〜慰謝料をアテにして生活しようとしているようですが、慰謝料請求しますよ〜
よどら文鳥
恋愛
※当作品は全話執筆済み&予約投稿完了しています。
夫婦円満でもない生活が続いていた中、旦那のレントがいきなり離婚しろと告げてきた。
不倫行為が原因だと言ってくるが、私(シャーリー)には覚えもない。
どうやら騎士団長との会話で勘違いをしているようだ。
だが、不倫を理由に多額の金が目当てなようだし、私のことは全く愛してくれていないようなので、離婚はしてもいいと思っていた。
離婚だけして慰謝料はなしという方向に持って行こうかと思ったが、レントは金にうるさく慰謝料を請求しようとしてきている。
当然、慰謝料を払うつもりはない。
あまりにもうるさいので、むしろ、今までの暴言に関して慰謝料請求してしまいますよ?

この罰は永遠に
豆狸
恋愛
「オードリー、そなたはいつも私達を見ているが、一体なにが楽しいんだ?」
「クロード様の黄金色の髪が光を浴びて、キラキラ輝いているのを見るのが好きなのです」
「……ふうん」
その灰色の瞳には、いつもクロードが映っていた。
なろう様でも公開中です。

想い合っている? そうですか、ではお幸せに
四季
恋愛
コルネリア・フレンツェはある日突然訪問者の女性から告げられた。
「実は、私のお腹には彼との子がいるんです」
婚約者の相応しくない振る舞いが判明し、嵐が訪れる。

好きにしろ、とおっしゃられたので好きにしました。
豆狸
恋愛
「この恥晒しめ! 俺はお前との婚約を破棄する! 理由はわかるな?」
「第一王子殿下、私と殿下の婚約は破棄出来ませんわ」
「確かに俺達の婚約は政略的なものだ。しかし俺は国王になる男だ。ほかの男と睦み合っているような女を妃には出来ぬ! そちらの有責なのだから侯爵家にも責任を取ってもらうぞ!」

前妻の子であった私は義母義妹に虐げられていましたが、ある日城へ行ったことをきっかけに人生が変わりました。
四季
恋愛
前妻の子であった私は義母義妹に虐げられていましたが、ある日城へ行ったことをきっかけに人生が変わりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる