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物置小屋に追い出される

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「いったーい!」

悲鳴が上がりマチルダが大げさに、食堂の床に倒れた。

「どうしたの? マチルダ?」

義母が甲高い声で叫び、久しぶりに帰ってきた父が眉をしかめた。

「いつも、いつも、こうなのです!」

義母が父に訴えた。

「お母さま! ダーナお姉さまが! フォークで私を突き刺したの!」

「そんなこと!」

私は叫んだ。するわけないでしょう!

だけど、義母は父に向かって早口で私のこれまでの罪状を並べ立てた。

いわく、階段上からマチルダを突き飛ばした、夜中に部屋に入って来てマチルダのベッドに水を撒いてびしょ濡れにして風邪を引かせた、ダンスパーティでマチルダの悪口を散々言いふらした。

ドレスを取ってしまったとか、宝石を巻き上げたとか、パーティの約束を教えず出席させなかったとか。

「今までは我慢してきました。いきなりやって来た私たちのことが気に入らない気持ちもわかります。でも、最近は、マチルダの命まで危なくなってきた……」

義母は涙交じりの声で父に訴える。

父の眉が曇り、だんだん顔が険しくなる。マチルダは肩を震わせて泣いていた。




それ、全部、私があなた方にやられた話なんですけど。


使用人たちは真実を知っている。でも、義母が怖いのだ。

「ダーナ、本当か?」

「違います! やられてきたのは私です!信じて、お父さま!」

でも、多勢に無勢。何しろ、使用人は父のいない間に、ごっそり入れ替えられた。

新しく義母が雇い入れた者たちは当然の義母の味方をして、私の言うことを嘘だと口々に訴える。
父は元帥と言う地位を持っている。仕事で国境線にいることが多い。留守がちだから、自邸の日々の生活のことまでは知らない。

「ダーナ」

遂に父は言った。

「そんな子だとは思っていなかった。むしろおとなしい子だと思っていたのに。……残念だ。少し、お母さまとマチルダから距離を置こう。隣の別館に移りなさい」

そこは、小さな建物で、使わないので荒れ果てていた。

「心配ない。ハウスキーパーに食べ物や寝具については不自由ないように言っておくから。私は陣地に戻らなくてはいけない」


そんなこと、あの、義母にべったりの女中頭が聞くわけないでしょう!

だけど、私の抗議もむなしく、私は使用人たちの手によって、ボロボロの、隙間風すきまかぜが入るみすぼらしい別館、通称物置小屋へ行くことになった。
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