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第69話 偽情報を流して、おびき寄せる
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「さあ、オーツ中佐、バルク少佐を連れて手配に回れ。五分立ったら、このアサシンを離してやる。使いたまえ。確か少佐、君がそう言っていたな? 彼女がアサシンをしていたと?」
バルク少佐は、話がわかったのかわからなかったのか、落ち着いて一礼した。
「はい。第一のジャニスを七百メートル離れた地点から、一発でしとめました」
「うん。威勢のいい若造だ。それによくしゃべる。男だったらよかったのに」
少将は苦笑いしながら言った。
「さて、ノルライド少尉、私はバルク少佐を通じてジェレミーから、君が囮になる話を聞いたのだ。君の言うとおりだ。君の理解は完全だ。
だが、ひとつだけ間違っている。私は人非人じゃない。
その証拠に、君のためには立派な墓を用意しておいてやる」
墓か。その趣味の悪い冗談口に、私はにやりとした。彼はやる気だ。そして、勝つつもりなのだ。生きて帰ってきたとき用の掛け心地のいい椅子にしてくれと言いたかったが、黙っておいた。
言い過ぎたと思ったのか、少将はくるりと振り返ってつけ足した。
「だが、私は、墓なんかに用事はないぞ。
私が悪人じゃないということのほかに、君みたいに優秀な人間のことは、決して無駄遣いしないことも覚えておいてほしい。
それから、この前の芝居の件については申し訳なかった。あやまろう。
私はスコット家を知っている。息子の件について、君たちの安全性くらいは確保できると信じていた」
他の将校達は、話を聞きながら、どう反応すべきか迷っている様子だった。
「さて、君のジャニスおびき寄せプランは完璧だ。罠を仕掛けよう。
今を逃すわけには行かない。
彼は、我々の仲間を何人も殺害しているのだ。それも、意味もなく残虐なやり方でだ。
罠を仕掛けて、それが上手く行けば、このエリアへ彼は本当に来るかも知れない。チャンスだ。
大学に連絡を取れ。これは誰にも口外するな。皆様方も一緒ですぞ」
将校に対して言ったのだった。
少将は間違いなく、心の何処かに、殺された彼の部下について、怒りを貯めていた。
だが、同時に、野心と功名心を持っていた。
少将の張り切りぶりを目の当たりにして、私は少将の野心と功名心にエンジンがかかったことを感じていた。中央に名を馳せることは彼の願いなのだ。この事件は、彼にとって好都合だった。私にとっては悪い話ではなかった。
私たち三人は文官に促されて外へ出された。
「防音の会議室はほかにありませんか?」
私は尋ねた。
少佐は一言も言わないで、すぐに予約を取った。
三人は黙ったまま会議室へ入り込み、作戦を練った。
今晩、博士が亡くなったこととすること、大学側がもはやグラクイの研究に尻込みしていること、それに対して軍が研究の成果及び研究資料、特に大切なグラクイに関するジャニスが書いた観察資料の返還を求めていること、こういったことをマスコミに発表することにした。
「たぶん、博士死亡の件については、大学と警察が発表するほうが自然でしょう。研究資料返還の件だけ、軍で発表しましょう」
「警察は少将に任せるとして、大学に誰か信用できる人間がいるかね?」
私は博士の夫人を知っていた。私の結婚に反対した慧眼の持ち主だ。彼女のことを考えると、今でも口元がほころぶ。
若いころは(今でもその年齢にしては)大変な美人だったが、博士より5つ年上なので、もう七十歳をたっぷり超えているはずだ。
彼女にとっては、私は初め、どう見ても、よくいるただの馬鹿な若い女たちのうちの一人だったに違いない。なにしろ、ハンサムなお金持ちの御曹司のスコットと結婚しようかと言う女なのだ。だが、話をしてみると、彼女とは恐ろしく気のあう部分があった。
「あなたのその独立不羈の精神と、スコット氏はあわないわ」
やせた手を組み合わせて彼女は言っていた。
「まあ、でも、結婚はいいわ。しないよりましかもしれないわ。やってみなきゃわからないことってあるもの。合わなければ、離婚すればいいのよ。結婚も離婚も何回でも出来るもの。回数制限はないわ。それだけ色々考えることにはなるけど」
自分は若いころ散々遊び回っていたに違いない。それなのに彼女の意見は、いつもどこか殊勝で、そのギャップは可笑しかった。
「そうだな。家族が協力してくれれば、一番楽だ。博士本人に協力を依頼すればいいんだが、今は入院中で話をすることができないし。家族側を押さえれば、ほぼ片がつくだろう」
私は思い出を追っていたが、中佐は神経質そうに状況を吟味してそう言った。そして、電話機を指した。
私は数年ぶりにローレンス夫人に電話をした。
「アイリス、ニュースを聞いたのね」
最後に彼女としゃべってから何年たつだろう。彼女は全然変わってなかった。どこか軽い、からかうような口ぶりだった。
「申し訳ありません。内密に話は出来るでしょうか」
ローレンス夫人は、何もかも知っていた。
彼女は秘密を絶対に漏らさないのに、人からは何でも話してもらえる不思議な人なのだ。ふつう、人間はギブ・アンド・テイクで無い限り情報提供をしたりしないものなのに。
「で、申し上げにくいことなのですが、ローレンス博士の安全を守るために、博士死去のニュースを出したいと考えているのです」
私は説明した。こんなことで取り乱すような人ではない。
「あら、すてき。もう一度独身生活を満喫したいと思っていたところよ。ゴードンが死んだとなれば、大学の連中の恐怖感は、より一層かきたてられるわけね」
「まず、博士の身の安全が確保できます。そして、研究成果をここへ送ることにしたいのです。データ類もろとも。
特にアナログ部分を。そうすればきっと、スコット博士は、ここへやってきます」
「みんなびびってますからね、得体の知れないグラクイとやらには。
聞いたこともない辺境の地の、一生関係がなさそうな不気味な化け物だったのにね。
ゴードンが喜ぶわ。自分の研究が注目されて。
そして、あなたがスコットを撃つの?」
「かも知れません」
私は低い声で言った。
「それはダメよ」
夫人は言った。
「あなたにとって負担になるわ。ほかに戦える男はいないの? あなたしか頼りになる人間がいないのかしら。人材不足なのね」
耳からコードを垂らして傍聴していた少佐が、じろりと私をにらんだ。
「そんなに、大活躍する必要はないと思うわ。ゴードンが心配していたわ。なぜ、あなたがそんな力技ばっかり担当するの。
さては、軍にはいい男がいないのね。あなたなら簡単に釣りまくれるでしょうに、やらないところを見ると、きっと不毛の地なのね。軍服じゃ難しいのかもしれないけど。軍服の間からチラ見せすればいいじゃない。ドレスだって山ほど持ってるはずだわ」
ええ、余計なことを、ペラペラと。まるで、私がしょっちゅうそんなことばかりしていたようではないか。違う。
この人は、確かもう八十歳に近いはずだ。私は彼女の基準で言うとどのへんに位置しているんだろう。
中佐が口元をほころばせ、少佐が目を走らせたのに気がついた。ローレンス夫人のことだ、他にも聞いている人間がいることを察知して、私をからかっている可能性もあった。
「それで、その、話はわかっていただけましたか?」
「言わないところまでわかりました。ところで、大学のほうには、誰が話を付けにいってくれるの?」
「タマラ少将にお願いして、学部長のグレン博士と、病院長のリー博士に、連絡を取ろうかと思っていますが」
「グレン博士は、話が通じると思うわ。
リー博士は止めて。あの男の話を聞くたびに、私は話をはしょりたくなるのよ。彼、きっと、消化不良なのよ。人の話を聞いても、いちいち考えて飲み込む時間がかかるの。
医学部の学部長のオールズ博士のところへ行って説明した方が早いわ。それに、リー博士よりオールズ博士のほうが職責が上なの。オールズ博士は、ゴードンの親友だし、口が堅い。それにスコット博士を小生意気な小僧だといって嫌っていたわ」
端的で貴重な情報だった。
「ありがとうございます。グラディス」
「私から、その二人には話を通しておきましょう。ゴードンの安全の為と言えば、誰も何もしゃべらないわ」
「そうしていただけると助かります」
「軍隊というところは、切ったはったで楽しそうね。ゴードンを殺人するだなんて、そう簡単には出来ないわ」
電話は切れたが、ふたりの男は耳が痛そうだった。二人で顔を見合わせていた。私はおなかの中で笑っていた。私は彼女が大好きだった。
バルク少佐は、話がわかったのかわからなかったのか、落ち着いて一礼した。
「はい。第一のジャニスを七百メートル離れた地点から、一発でしとめました」
「うん。威勢のいい若造だ。それによくしゃべる。男だったらよかったのに」
少将は苦笑いしながら言った。
「さて、ノルライド少尉、私はバルク少佐を通じてジェレミーから、君が囮になる話を聞いたのだ。君の言うとおりだ。君の理解は完全だ。
だが、ひとつだけ間違っている。私は人非人じゃない。
その証拠に、君のためには立派な墓を用意しておいてやる」
墓か。その趣味の悪い冗談口に、私はにやりとした。彼はやる気だ。そして、勝つつもりなのだ。生きて帰ってきたとき用の掛け心地のいい椅子にしてくれと言いたかったが、黙っておいた。
言い過ぎたと思ったのか、少将はくるりと振り返ってつけ足した。
「だが、私は、墓なんかに用事はないぞ。
私が悪人じゃないということのほかに、君みたいに優秀な人間のことは、決して無駄遣いしないことも覚えておいてほしい。
それから、この前の芝居の件については申し訳なかった。あやまろう。
私はスコット家を知っている。息子の件について、君たちの安全性くらいは確保できると信じていた」
他の将校達は、話を聞きながら、どう反応すべきか迷っている様子だった。
「さて、君のジャニスおびき寄せプランは完璧だ。罠を仕掛けよう。
今を逃すわけには行かない。
彼は、我々の仲間を何人も殺害しているのだ。それも、意味もなく残虐なやり方でだ。
罠を仕掛けて、それが上手く行けば、このエリアへ彼は本当に来るかも知れない。チャンスだ。
大学に連絡を取れ。これは誰にも口外するな。皆様方も一緒ですぞ」
将校に対して言ったのだった。
少将は間違いなく、心の何処かに、殺された彼の部下について、怒りを貯めていた。
だが、同時に、野心と功名心を持っていた。
少将の張り切りぶりを目の当たりにして、私は少将の野心と功名心にエンジンがかかったことを感じていた。中央に名を馳せることは彼の願いなのだ。この事件は、彼にとって好都合だった。私にとっては悪い話ではなかった。
私たち三人は文官に促されて外へ出された。
「防音の会議室はほかにありませんか?」
私は尋ねた。
少佐は一言も言わないで、すぐに予約を取った。
三人は黙ったまま会議室へ入り込み、作戦を練った。
今晩、博士が亡くなったこととすること、大学側がもはやグラクイの研究に尻込みしていること、それに対して軍が研究の成果及び研究資料、特に大切なグラクイに関するジャニスが書いた観察資料の返還を求めていること、こういったことをマスコミに発表することにした。
「たぶん、博士死亡の件については、大学と警察が発表するほうが自然でしょう。研究資料返還の件だけ、軍で発表しましょう」
「警察は少将に任せるとして、大学に誰か信用できる人間がいるかね?」
私は博士の夫人を知っていた。私の結婚に反対した慧眼の持ち主だ。彼女のことを考えると、今でも口元がほころぶ。
若いころは(今でもその年齢にしては)大変な美人だったが、博士より5つ年上なので、もう七十歳をたっぷり超えているはずだ。
彼女にとっては、私は初め、どう見ても、よくいるただの馬鹿な若い女たちのうちの一人だったに違いない。なにしろ、ハンサムなお金持ちの御曹司のスコットと結婚しようかと言う女なのだ。だが、話をしてみると、彼女とは恐ろしく気のあう部分があった。
「あなたのその独立不羈の精神と、スコット氏はあわないわ」
やせた手を組み合わせて彼女は言っていた。
「まあ、でも、結婚はいいわ。しないよりましかもしれないわ。やってみなきゃわからないことってあるもの。合わなければ、離婚すればいいのよ。結婚も離婚も何回でも出来るもの。回数制限はないわ。それだけ色々考えることにはなるけど」
自分は若いころ散々遊び回っていたに違いない。それなのに彼女の意見は、いつもどこか殊勝で、そのギャップは可笑しかった。
「そうだな。家族が協力してくれれば、一番楽だ。博士本人に協力を依頼すればいいんだが、今は入院中で話をすることができないし。家族側を押さえれば、ほぼ片がつくだろう」
私は思い出を追っていたが、中佐は神経質そうに状況を吟味してそう言った。そして、電話機を指した。
私は数年ぶりにローレンス夫人に電話をした。
「アイリス、ニュースを聞いたのね」
最後に彼女としゃべってから何年たつだろう。彼女は全然変わってなかった。どこか軽い、からかうような口ぶりだった。
「申し訳ありません。内密に話は出来るでしょうか」
ローレンス夫人は、何もかも知っていた。
彼女は秘密を絶対に漏らさないのに、人からは何でも話してもらえる不思議な人なのだ。ふつう、人間はギブ・アンド・テイクで無い限り情報提供をしたりしないものなのに。
「で、申し上げにくいことなのですが、ローレンス博士の安全を守るために、博士死去のニュースを出したいと考えているのです」
私は説明した。こんなことで取り乱すような人ではない。
「あら、すてき。もう一度独身生活を満喫したいと思っていたところよ。ゴードンが死んだとなれば、大学の連中の恐怖感は、より一層かきたてられるわけね」
「まず、博士の身の安全が確保できます。そして、研究成果をここへ送ることにしたいのです。データ類もろとも。
特にアナログ部分を。そうすればきっと、スコット博士は、ここへやってきます」
「みんなびびってますからね、得体の知れないグラクイとやらには。
聞いたこともない辺境の地の、一生関係がなさそうな不気味な化け物だったのにね。
ゴードンが喜ぶわ。自分の研究が注目されて。
そして、あなたがスコットを撃つの?」
「かも知れません」
私は低い声で言った。
「それはダメよ」
夫人は言った。
「あなたにとって負担になるわ。ほかに戦える男はいないの? あなたしか頼りになる人間がいないのかしら。人材不足なのね」
耳からコードを垂らして傍聴していた少佐が、じろりと私をにらんだ。
「そんなに、大活躍する必要はないと思うわ。ゴードンが心配していたわ。なぜ、あなたがそんな力技ばっかり担当するの。
さては、軍にはいい男がいないのね。あなたなら簡単に釣りまくれるでしょうに、やらないところを見ると、きっと不毛の地なのね。軍服じゃ難しいのかもしれないけど。軍服の間からチラ見せすればいいじゃない。ドレスだって山ほど持ってるはずだわ」
ええ、余計なことを、ペラペラと。まるで、私がしょっちゅうそんなことばかりしていたようではないか。違う。
この人は、確かもう八十歳に近いはずだ。私は彼女の基準で言うとどのへんに位置しているんだろう。
中佐が口元をほころばせ、少佐が目を走らせたのに気がついた。ローレンス夫人のことだ、他にも聞いている人間がいることを察知して、私をからかっている可能性もあった。
「それで、その、話はわかっていただけましたか?」
「言わないところまでわかりました。ところで、大学のほうには、誰が話を付けにいってくれるの?」
「タマラ少将にお願いして、学部長のグレン博士と、病院長のリー博士に、連絡を取ろうかと思っていますが」
「グレン博士は、話が通じると思うわ。
リー博士は止めて。あの男の話を聞くたびに、私は話をはしょりたくなるのよ。彼、きっと、消化不良なのよ。人の話を聞いても、いちいち考えて飲み込む時間がかかるの。
医学部の学部長のオールズ博士のところへ行って説明した方が早いわ。それに、リー博士よりオールズ博士のほうが職責が上なの。オールズ博士は、ゴードンの親友だし、口が堅い。それにスコット博士を小生意気な小僧だといって嫌っていたわ」
端的で貴重な情報だった。
「ありがとうございます。グラディス」
「私から、その二人には話を通しておきましょう。ゴードンの安全の為と言えば、誰も何もしゃべらないわ」
「そうしていただけると助かります」
「軍隊というところは、切ったはったで楽しそうね。ゴードンを殺人するだなんて、そう簡単には出来ないわ」
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