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第61話 第二のジャニスの正体
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抱きしめられて、どうしようかと思った。少佐の顔は見えなかった。二人は固まっていた。
そのとき、少佐のGPSがかすかにピーと鳴った。
「……じゃ、次はテントの中で続きをやろう」
「え?」
「まあ、いいから。続編があるんだ。シナリオが決まっててね。悪いな」
彼は私をまるで抱きかかえるようにして、無理やりテントの中へ引っ張って行った。何する気だ。抵抗すべきかどうか考えたが、なんだか、妙な具合だった。合意を得ないでつれ込むなんて、普段の少佐だと考えられない。そのうえ、何の迷いもなかったし、断固とした事務的な行動だった。
テントのふたを閉めると、私をさっさと離して彼は言った。
「はあー、ごめん。すまなかった。これもシナリオなんで、悪いね。」
少しほっとしたように少佐は言った。
「シナリオ?」
「うん。囮シナリオなんだ。」
「囮作戦のシナリオの続きは、テントの中なんですか?」
まだ、胸がドキドキしていた。どうか、このドキドキが聞こえませんように……と思った。
これは本気じゃないんだと、言い聞かせた。うっかり、信じてしまいそうになる。普段から、少佐の方はどうも怪しいなと思っていたからだ。
だが、この成り行きに私は首をかしげた。
テントの中では、誰にも見てもらえないじゃないか。そんなことして何になるんだろう。もちろん、テントの外でも、会話の中身は聞こえないだろうし、誰も見ていないはずだのに、一見恋人同士のような光景を展開するというのは、何の意味があるんだろう。
「さっき、ピーと言ったろう。敵が動き出したというオーツ中佐からの合図なんだ」
少佐はちょっとうれしそうだった。
「オーツ中佐?」
「ジェレミーかもしれないな」
私は仰天した。じゃあ、中佐やジェレミーが、あれをずっと見ていたというわけか。
「いままでのあれは全部、中佐や、ジェレミーに見せるためのものだったんですか?」
「いや、違う。見せたい相手は、第二のジャニスだ」
床の上にあぐらをかいて座り、私にも座れと合図して少佐は言った。
「第二のジャニス!」
私は叫んだ。
「私たちが何をしていたのかを見て欲しい相手はジャニスで、中佐やジェレミーが見ていたのは、私たちではなくて、ジャニスの動静のほうさ。まあ、私たちのほうも見ていたかもしれないが。うまくやっているかどうか、確認するために」
私は、複雑な顔をして黙り込んだ。
「抱きついちゃってごめんね」
少佐は薄笑いを浮かべていた。
「ああしないといけなかったんだ。それから、これからはテントの外に出さないからな」
「……一体、どういう作戦なんですか?」
私は、だんだん腹が立ってきた。意味はわからないし、抱きつかれたのも不愉快だ。ホントに好きなら別だが。
「外から見てると、抱きついて、それからテントの中に入る。まあ、意味するところは明らかだ。これをやれと、オーツ中佐から命令されている」
「すっごく変な作戦ですね。なにか、誰かに勘違いでもされたらどうするつもりだったんですか」
私はかなりむっとして言った。
「大丈夫。勘違いじゃない。
さて、後は誰がこの役を演じるかという問題だったんだが、色々考えた末、オーツ中佐が私に決めた。
ギルという案もあったんだが。なにしろ、ギルは君の恋人になりたがっていたからね。うまくできるに決まっている。やりすぎが心配なところだが、まあ、ギルなら大丈夫だろう。
でも、作戦の性格から考えて、秘密を知っている人間の数が少ないほうがよかったので、私になったのさ。もうちょい、若い相手役の方がいいんじゃないかといわれたのだけど、遠目からじゃわからないだろう。君には悪かったが、やらないわけにはいかないんだ」
「今の演技をですか?」
少佐は真剣だった。大芝居が済んだ後で、いつもの少佐に戻ったらしかった。慎重だが、指令は明確で速い彼だ。
「私達は、君に抱きついてテントに引きずり込む作戦を立てた。ほんとに申し訳ない。どんなに抵抗しても引きずり込むことになっていた。事前に君に話さなかったのは、反対されるかもしれなかったからだ。たいして抵抗しなかったのが不思議なくらいだけど」
「少佐はそんなことはなさらない方です。なにかあるんだろうと思っていました」
喜ぶかと思ったのだが、少佐は苦々しげな表情を浮かべた。
「私達は、君に話さなくてはいけない。私達は、君の言うとおり第二のジャニスが存在する可能性を、ローレンス博士から指摘されたのだ」
私は、はっとした。
「ローレンス博士から……」
「その人物は、ここ数ヶ月の間にローレンス博士に数回接触してきたという。
ローレンス博士は動物行動学については高名だから、グラクイの習性について相談を受けることは自体は、おかしなことではない。
ただ、問い合わせ内容が、グラクイに言うことを聞かせる方法についてだったという点が問題だったのだ」
「数ヶ月前にですか?」
時期がおかしい。その頃は、グラクイが人から命令されて、言うことを聞いているなんて、誰一人想像もしていなかった。
「でも、グラクイが人の命令を聞くだなんて、どうして思ったんでしょうか?
むろん、我々は知っていますが、それもジャニスの事件の時に、実際にその様子を見て、ようやくその可能性に気がついたくらいです。
それにジャニスの暗殺は、完全に秘密のはずです。
このことを知っているのは、タマラ少将など軍上層部とオーツ中佐、それに現場にいた少佐と私くらいなものです」
「そのとおり。それなのに、なぜ、その人物はそんな問い合わせをしてきたのだろう。
もちろん、グラクイの行動の研究の途中で、そういった疑問が出てくることは考えられる。
だが、今までどの研究者もそんなことは思いつきもしなかった。
博士自身も、軍からグラクイが人の命令に従って行動する可能性があると聞くまで、その人物の話を鼻で笑っていたらしい。それで、その話は忘れていたらしかった。
だが、資料の提供を受けた後、その人物から今度は雑談のような電話がかかってきて、話のついでのように、資料の内容と関連する話をされたというのだ」
私は眉を寄せた。ローレンス博士に対して雑談のような電話をかけるとは度胸のある人物だ。博士はなかなかの権威主義者である。「雑談のような」電話に割く時間は彼にはないといっていい。
「ローレンス博士と親しい人物なのですか?」
「そうだ。生物学者だ。まだ若い」
そういって少佐は私を見つめた。私は、何も答えなかった。ただ、だまって少佐の顔を見つめていた。意味がわからなかった。
「そして、君とも親しい」
私は、はっとして少佐を見つめた。そして、グラクイと関係のある人物。まるで私だ。
少佐がまじまじと見つめていた。時間がたっていく。
たった一人しか思いつけなかった。その人物に間違いなかった。だが、まさか、そんなことってあるのだろうか。
「だから、今日はこのテントから君を出すわけには行かない。連絡も取らせない。申し訳ないが、私が君の監視役だ。君が敵か味方かわからない」
彼は続けた。
「だから、私が適任だった。ギルにはできない。これでギブアンドテイクだ。私と君は同じだ。君の弱み、私の弱みに付け入るようだが、それぞれが世界に対して迷惑を掛けているのかも知れない。我々には、何の責任もないのだけれど」
もう、何も言えなかった。
「なぜだか、わかったね?」
少佐は言った。
つまり、私ととても親しい人間がジャニスだったのだ。
そう、そして、なぜ少佐が私に抱きついたのかといえば、私が抱きつかれたことに反応する立場の人間がジャニスだったからだ。
囮作戦の内容が、私に男が「抱きついて、テントの中に引きずりこむ」ことだったことを考えると、もう、疑いを入れなかった。
私は少佐の妻を撃って殺した。
今度は、少佐が私の夫を殺す番だ。
そのとき、少佐のGPSがかすかにピーと鳴った。
「……じゃ、次はテントの中で続きをやろう」
「え?」
「まあ、いいから。続編があるんだ。シナリオが決まっててね。悪いな」
彼は私をまるで抱きかかえるようにして、無理やりテントの中へ引っ張って行った。何する気だ。抵抗すべきかどうか考えたが、なんだか、妙な具合だった。合意を得ないでつれ込むなんて、普段の少佐だと考えられない。そのうえ、何の迷いもなかったし、断固とした事務的な行動だった。
テントのふたを閉めると、私をさっさと離して彼は言った。
「はあー、ごめん。すまなかった。これもシナリオなんで、悪いね。」
少しほっとしたように少佐は言った。
「シナリオ?」
「うん。囮シナリオなんだ。」
「囮作戦のシナリオの続きは、テントの中なんですか?」
まだ、胸がドキドキしていた。どうか、このドキドキが聞こえませんように……と思った。
これは本気じゃないんだと、言い聞かせた。うっかり、信じてしまいそうになる。普段から、少佐の方はどうも怪しいなと思っていたからだ。
だが、この成り行きに私は首をかしげた。
テントの中では、誰にも見てもらえないじゃないか。そんなことして何になるんだろう。もちろん、テントの外でも、会話の中身は聞こえないだろうし、誰も見ていないはずだのに、一見恋人同士のような光景を展開するというのは、何の意味があるんだろう。
「さっき、ピーと言ったろう。敵が動き出したというオーツ中佐からの合図なんだ」
少佐はちょっとうれしそうだった。
「オーツ中佐?」
「ジェレミーかもしれないな」
私は仰天した。じゃあ、中佐やジェレミーが、あれをずっと見ていたというわけか。
「いままでのあれは全部、中佐や、ジェレミーに見せるためのものだったんですか?」
「いや、違う。見せたい相手は、第二のジャニスだ」
床の上にあぐらをかいて座り、私にも座れと合図して少佐は言った。
「第二のジャニス!」
私は叫んだ。
「私たちが何をしていたのかを見て欲しい相手はジャニスで、中佐やジェレミーが見ていたのは、私たちではなくて、ジャニスの動静のほうさ。まあ、私たちのほうも見ていたかもしれないが。うまくやっているかどうか、確認するために」
私は、複雑な顔をして黙り込んだ。
「抱きついちゃってごめんね」
少佐は薄笑いを浮かべていた。
「ああしないといけなかったんだ。それから、これからはテントの外に出さないからな」
「……一体、どういう作戦なんですか?」
私は、だんだん腹が立ってきた。意味はわからないし、抱きつかれたのも不愉快だ。ホントに好きなら別だが。
「外から見てると、抱きついて、それからテントの中に入る。まあ、意味するところは明らかだ。これをやれと、オーツ中佐から命令されている」
「すっごく変な作戦ですね。なにか、誰かに勘違いでもされたらどうするつもりだったんですか」
私はかなりむっとして言った。
「大丈夫。勘違いじゃない。
さて、後は誰がこの役を演じるかという問題だったんだが、色々考えた末、オーツ中佐が私に決めた。
ギルという案もあったんだが。なにしろ、ギルは君の恋人になりたがっていたからね。うまくできるに決まっている。やりすぎが心配なところだが、まあ、ギルなら大丈夫だろう。
でも、作戦の性格から考えて、秘密を知っている人間の数が少ないほうがよかったので、私になったのさ。もうちょい、若い相手役の方がいいんじゃないかといわれたのだけど、遠目からじゃわからないだろう。君には悪かったが、やらないわけにはいかないんだ」
「今の演技をですか?」
少佐は真剣だった。大芝居が済んだ後で、いつもの少佐に戻ったらしかった。慎重だが、指令は明確で速い彼だ。
「私達は、君に抱きついてテントに引きずり込む作戦を立てた。ほんとに申し訳ない。どんなに抵抗しても引きずり込むことになっていた。事前に君に話さなかったのは、反対されるかもしれなかったからだ。たいして抵抗しなかったのが不思議なくらいだけど」
「少佐はそんなことはなさらない方です。なにかあるんだろうと思っていました」
喜ぶかと思ったのだが、少佐は苦々しげな表情を浮かべた。
「私達は、君に話さなくてはいけない。私達は、君の言うとおり第二のジャニスが存在する可能性を、ローレンス博士から指摘されたのだ」
私は、はっとした。
「ローレンス博士から……」
「その人物は、ここ数ヶ月の間にローレンス博士に数回接触してきたという。
ローレンス博士は動物行動学については高名だから、グラクイの習性について相談を受けることは自体は、おかしなことではない。
ただ、問い合わせ内容が、グラクイに言うことを聞かせる方法についてだったという点が問題だったのだ」
「数ヶ月前にですか?」
時期がおかしい。その頃は、グラクイが人から命令されて、言うことを聞いているなんて、誰一人想像もしていなかった。
「でも、グラクイが人の命令を聞くだなんて、どうして思ったんでしょうか?
むろん、我々は知っていますが、それもジャニスの事件の時に、実際にその様子を見て、ようやくその可能性に気がついたくらいです。
それにジャニスの暗殺は、完全に秘密のはずです。
このことを知っているのは、タマラ少将など軍上層部とオーツ中佐、それに現場にいた少佐と私くらいなものです」
「そのとおり。それなのに、なぜ、その人物はそんな問い合わせをしてきたのだろう。
もちろん、グラクイの行動の研究の途中で、そういった疑問が出てくることは考えられる。
だが、今までどの研究者もそんなことは思いつきもしなかった。
博士自身も、軍からグラクイが人の命令に従って行動する可能性があると聞くまで、その人物の話を鼻で笑っていたらしい。それで、その話は忘れていたらしかった。
だが、資料の提供を受けた後、その人物から今度は雑談のような電話がかかってきて、話のついでのように、資料の内容と関連する話をされたというのだ」
私は眉を寄せた。ローレンス博士に対して雑談のような電話をかけるとは度胸のある人物だ。博士はなかなかの権威主義者である。「雑談のような」電話に割く時間は彼にはないといっていい。
「ローレンス博士と親しい人物なのですか?」
「そうだ。生物学者だ。まだ若い」
そういって少佐は私を見つめた。私は、何も答えなかった。ただ、だまって少佐の顔を見つめていた。意味がわからなかった。
「そして、君とも親しい」
私は、はっとして少佐を見つめた。そして、グラクイと関係のある人物。まるで私だ。
少佐がまじまじと見つめていた。時間がたっていく。
たった一人しか思いつけなかった。その人物に間違いなかった。だが、まさか、そんなことってあるのだろうか。
「だから、今日はこのテントから君を出すわけには行かない。連絡も取らせない。申し訳ないが、私が君の監視役だ。君が敵か味方かわからない」
彼は続けた。
「だから、私が適任だった。ギルにはできない。これでギブアンドテイクだ。私と君は同じだ。君の弱み、私の弱みに付け入るようだが、それぞれが世界に対して迷惑を掛けているのかも知れない。我々には、何の責任もないのだけれど」
もう、何も言えなかった。
「なぜだか、わかったね?」
少佐は言った。
つまり、私ととても親しい人間がジャニスだったのだ。
そう、そして、なぜ少佐が私に抱きついたのかといえば、私が抱きつかれたことに反応する立場の人間がジャニスだったからだ。
囮作戦の内容が、私に男が「抱きついて、テントの中に引きずりこむ」ことだったことを考えると、もう、疑いを入れなかった。
私は少佐の妻を撃って殺した。
今度は、少佐が私の夫を殺す番だ。
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