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第54話 婚約披露の舞踏会
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「フィオナ様、年末恒例のダンスパーティに出ましょう」
「なぜ? もう、婚約は決まったわ。ダンスパーティに行って男の方の気を引く必要はもうないわ」
マルゴットは、首を振った。
「いいえ、そのために行くのではありません。お二人の婚約を皆様に見ていただくのです。きっとクリスチン様とマーク様も、婚約した姿を披露しに一緒に参加されるでしょう」
なんだか面倒だ。
「セシルは行くかしら?」
フィオナはセシルに会うために行く舞踏会は何が何でも行きたかったが、今回の舞踏会は話が違う。マルゴットの説明によると、自分たちは見られるために参加するらしい。
「セシル様も、婚約を公式に披露できるこの機会を逃さないと思います。参加者が多いですからね。お嬢様、着飾って、誰よりもおきれいな姿をお見せくださいませ」
「クリスチンが出るのだったら、誰よりもおきれいなんて無理よ」
「美人コンテストに出るわけではありません。フィオナ様は、ジャック様がお気の毒ではないのですか?」
「どういうこと?」
「あなた様がお美しくて威厳があって、堂々とされていれば、振られたジャック様も面目が立つと言うものですよ」
フィオナは訳が分からなくて、マルゴットの顔を見た。
「そんなものなのかしら?」
「もちろんですとも。誰からも相手されないような女性を争うだなんて、皆さんから笑われます。でも、財産があって、身分も高くて、そしてすばらしい美人を争うのは世の常。破れたところで、相手はグレンフェル侯爵ですし、仕方のないところです。手の届かないくらいの美女ぶりをお見せしましょう」
「マルゴット、それは無理よ」
それに、見栄と体裁でジャックはフィオナに妻になってくれと言ったわけではない。
でも、見栄や体裁も世の中にはあるのだとマルゴットは言った。
「いいえ。女は度胸と努力です。美人は努力してなるものです。セシル様もお喜びになります。あなた様だって、これから社交界で生きて行かないといけないのです。金持ちで美しくて気の利いた女。その方が有利な社会なのです。あなた様は、そこで生きていくことを選び取ったではありませんか、セシル様の妻と言う形で」
マルゴットの言う、クリスマスの慈善舞踏会は華やかである。参加者の人数が多いうえ、粒揃いだ。
参加料という形の寄付金が多額なので、裕福な者しか参加できないし、金だけあっても招待状がないとそもそも参加できない。
伯爵家にはもちろん毎年招待状が来ていたが、寄付金が払えないのでここ数年参加したことがなかった。フィオナが知らないのも当然である。ただ、今年はフィオナはグレンフェル侯爵の婚約者という形で参加することになった。
クリスチンも、今年はロックフィールド氏の婚約者の身分で参加する。
「ああ、本当にお嬢様、おきれいですわ」
ピアで世話になったマッキントッシュ夫人の女中のジェンが手伝いに来ていた。
貴族ものに弱いマッキントッシュ夫人にとって、伯爵令嬢が侯爵家へ嫁ぐだなんて、夢物語のようだった。話を聞き付けた時、真っ先にお祝いの品を持って駆け付けたのだ。
そして、恒例のクリスマスの盛大な慈善舞踏会の招待状を、今年、ようやく手に入れたマッキントッシュ家は、来年の娘のデビューの参考にと、娘のシャーロットと女中のジェンをフィオナのアパルトマンによこしたのだった。
「すばらしいですわ! フィオナ様、いつにも増しておきれいですわ!」
シャーロットとジェンが感嘆した。
「あ、お迎えが来ました!」
うきうきした声がして、そのあとからセシルの低い声が聞こえてきた。
「どうぞ、お入りくださいませ、侯爵」
侯爵家に伝わる宝飾品も惜しげもなく使われ、若い娘らしい華やかな装いは仕立て屋とクリスチンのアドバイスによるものだった。
「おお」
セシルは本当に嬉しそうだった。
「きれいだ」
そう言うセシルだって、すごく素敵だ。正装した彼がこんなにカッコよかっただなんて、今まで自分は彼の何を見ていたんだろう。
彼の目を覗き込むと、ダンスパーティーもどうでも良くなってきた。
「とんでもない。みんなに見せるんだ。僕の婚約者がどんなにきれいかってね。……さあ、急ごう」
会場にはこうこうと灯りがともされ、次から次へと馬車が横付けになっていく。
今日は侯爵家の馬車だった、以前、ピアにマッキントッシュ家の馬車で乗り付けた時は、高位の貴族に場所を譲らねばならなかったが、今回は侯爵家の馬車に人々が場所を譲った。
着飾ったセシルは素敵だった。ほれぼれしてしまう。
仮面舞踏会で出会ったのが、ずっと前のような気がする。
セシルの手を借りて馬車を降りる。
これから、何回、手を借りて馬車を降りるのだろう。
「次からはグレンフェル侯爵夫人として」
耳元でセシルがささやく。
「変な男には気を付けないと」
「大丈夫ですわ」
「大丈夫じゃないよ」
セシルは真剣だった。
「夜の庭なんか誘われて出てっちゃだめだからね」
会場に入った途端、人々の目を引きつけてしまうのは、グレンフェル侯爵の名前ゆえ。まだ、フィオナは認められていない。
だから、横に並ぶ彼女は、好奇心にさらされ、遠慮なく値踏みされていた。
フィオナは、物柔らかに微笑みながら、背筋を伸ばした。
『堂々と。自信たっぷりに。あなたの自信が他の人の評価を高めるのですから』
マルゴットの忠告を実行する時だ。
『美人の半分は自信で出来ているのです』
人は見た目で評価される。
歩き方も、首のもたげ方も、手つきも。
「あれが、グレンフェル侯爵の婚約者ですって。貧乏伯爵家の出身よ。ロクなデビューじゃなかったはずよ。聞いたこともないわ」
隣の若い男が見惚れて言った。
「持参金は美貌だけか。それはそれであこがれるような」
「違うのよ。すごい額の遺産を相続したのよ。侯爵家もお金に困ってやむを得なかったのね」
「遺産がなくても、あれだけの美人なら嫁ぎ先に苦労しないと思うぞ?」
クリスチンが近づいてきた。とても、嬉しそうだ。
「おめでとう!」
「あら、クリスチン様こそ!」
「違うわよ、あなたよ! 頑張ったわね」
「え?」
「誰もブスだなんて言ってないわ。ざまあみろだわ。貧乏伯爵家とかそしってて」
「クリスチン」
後ろからマークが付いてきていて、クリスチンに注意した。
「言い過ぎ。いや、フィオナ嬢が美人だと言うのはその通りだけど、他のご婦人の悪口はいけません」
「悪口じゃないわ。ほんとのことよ。みんな悔しいのよ。ウフフ」
マークは、もうどうしようもないと言った様子でセシルに話しかけた。
「君たちの結婚に猛烈に肩入れしててね、あちこちでスパイ活動さ」
思わずセシルが笑った。そして、感謝した。
「クリスチン嬢がいなかったら、結婚まで漕ぎ着けられなかったよ」
「いや、セシル、君がいなかったら、僕こそ結婚出来なかったよ」
マークは密かにセシルとフィオナに感謝していた。反発する力、それがクリスチンである。誰かが十年前にマークとクリスチンの結婚を全力で阻止しに来てくれていたら、マークは十年前に無事クリスチンと結婚できていたに違いない。あいにく、誰もが大賛成の良縁だった。今回はなにか訳の分からない相乗りのような状況で、クリスチンも一緒に結婚作戦に参戦して、自分の結婚を了承してくれた。
クリスチンはフィオナにとても熱心に、それまでに蒐集した噂を小さな声で教えていた。
「大体、顔と衣装に関しては、男性には大好評だったわ。あんな美人にどうして気がつかなかったんだろうって、残念がってたわ。女性からはやっかみが多かった。やっぱりセシル狙いは多かったもんね。そして、遺産の話を聞いて、女性は諦めてたけど、男性からは妙な怨念を感じたわ!」
「ねえ、クリスチン!」
マークがくるりと振り返って言った。
「僕が感じたところでは、君の婚約が決まった件で僕は男性からものすごいやっかみを感じている。人の世話をしている場合ではないと思うな。僕の側から離れないでね」
「そうそう。フィオナも、ダンスは禁止」
フィオナは、こっそりと婚約者に向かって言った。
「私よりあなたの方が危険よ。あなたはここの誰よりもかっこいいのだから。私なんかの比じゃないわ。のこのこ誘われて出かけないで!」
セシルが赤くなった。
「まあ、フィオナったら、セシルになにを言ったの?」
4人の姿は人目を引いた。
そのうち、顔見知りや友人達が、次々とやってきて祝いの言葉や式の予定など、しゃべったり笑ったりした。
会場の大勢が、一際目立ち華やかな彼らを見つめていた。
帰りの馬車の中でセシルは尋ねた。
「疲れたかい?」
「ええ」
視線を集めることは疲れる。だが、理由はわかっていた。
「ごめんね。でも、あれでみんなに知れ渡ったと思う」
「そのためだったのね」
「そう。それに、話しかけに来なかった人たちも、君と僕を見たから」
そうか、とフィオナは理解した。出来るだけ大きな会に出ていけば、パーティー参加の回数を減らせる。そう言うことだ。
ふたりは顔を見合わせた。
そしてにっこり笑うと、どちらからともなくキスをした。
これから二人は一緒に生きてくのだ。
「なぜ? もう、婚約は決まったわ。ダンスパーティに行って男の方の気を引く必要はもうないわ」
マルゴットは、首を振った。
「いいえ、そのために行くのではありません。お二人の婚約を皆様に見ていただくのです。きっとクリスチン様とマーク様も、婚約した姿を披露しに一緒に参加されるでしょう」
なんだか面倒だ。
「セシルは行くかしら?」
フィオナはセシルに会うために行く舞踏会は何が何でも行きたかったが、今回の舞踏会は話が違う。マルゴットの説明によると、自分たちは見られるために参加するらしい。
「セシル様も、婚約を公式に披露できるこの機会を逃さないと思います。参加者が多いですからね。お嬢様、着飾って、誰よりもおきれいな姿をお見せくださいませ」
「クリスチンが出るのだったら、誰よりもおきれいなんて無理よ」
「美人コンテストに出るわけではありません。フィオナ様は、ジャック様がお気の毒ではないのですか?」
「どういうこと?」
「あなた様がお美しくて威厳があって、堂々とされていれば、振られたジャック様も面目が立つと言うものですよ」
フィオナは訳が分からなくて、マルゴットの顔を見た。
「そんなものなのかしら?」
「もちろんですとも。誰からも相手されないような女性を争うだなんて、皆さんから笑われます。でも、財産があって、身分も高くて、そしてすばらしい美人を争うのは世の常。破れたところで、相手はグレンフェル侯爵ですし、仕方のないところです。手の届かないくらいの美女ぶりをお見せしましょう」
「マルゴット、それは無理よ」
それに、見栄と体裁でジャックはフィオナに妻になってくれと言ったわけではない。
でも、見栄や体裁も世の中にはあるのだとマルゴットは言った。
「いいえ。女は度胸と努力です。美人は努力してなるものです。セシル様もお喜びになります。あなた様だって、これから社交界で生きて行かないといけないのです。金持ちで美しくて気の利いた女。その方が有利な社会なのです。あなた様は、そこで生きていくことを選び取ったではありませんか、セシル様の妻と言う形で」
マルゴットの言う、クリスマスの慈善舞踏会は華やかである。参加者の人数が多いうえ、粒揃いだ。
参加料という形の寄付金が多額なので、裕福な者しか参加できないし、金だけあっても招待状がないとそもそも参加できない。
伯爵家にはもちろん毎年招待状が来ていたが、寄付金が払えないのでここ数年参加したことがなかった。フィオナが知らないのも当然である。ただ、今年はフィオナはグレンフェル侯爵の婚約者という形で参加することになった。
クリスチンも、今年はロックフィールド氏の婚約者の身分で参加する。
「ああ、本当にお嬢様、おきれいですわ」
ピアで世話になったマッキントッシュ夫人の女中のジェンが手伝いに来ていた。
貴族ものに弱いマッキントッシュ夫人にとって、伯爵令嬢が侯爵家へ嫁ぐだなんて、夢物語のようだった。話を聞き付けた時、真っ先にお祝いの品を持って駆け付けたのだ。
そして、恒例のクリスマスの盛大な慈善舞踏会の招待状を、今年、ようやく手に入れたマッキントッシュ家は、来年の娘のデビューの参考にと、娘のシャーロットと女中のジェンをフィオナのアパルトマンによこしたのだった。
「すばらしいですわ! フィオナ様、いつにも増しておきれいですわ!」
シャーロットとジェンが感嘆した。
「あ、お迎えが来ました!」
うきうきした声がして、そのあとからセシルの低い声が聞こえてきた。
「どうぞ、お入りくださいませ、侯爵」
侯爵家に伝わる宝飾品も惜しげもなく使われ、若い娘らしい華やかな装いは仕立て屋とクリスチンのアドバイスによるものだった。
「おお」
セシルは本当に嬉しそうだった。
「きれいだ」
そう言うセシルだって、すごく素敵だ。正装した彼がこんなにカッコよかっただなんて、今まで自分は彼の何を見ていたんだろう。
彼の目を覗き込むと、ダンスパーティーもどうでも良くなってきた。
「とんでもない。みんなに見せるんだ。僕の婚約者がどんなにきれいかってね。……さあ、急ごう」
会場にはこうこうと灯りがともされ、次から次へと馬車が横付けになっていく。
今日は侯爵家の馬車だった、以前、ピアにマッキントッシュ家の馬車で乗り付けた時は、高位の貴族に場所を譲らねばならなかったが、今回は侯爵家の馬車に人々が場所を譲った。
着飾ったセシルは素敵だった。ほれぼれしてしまう。
仮面舞踏会で出会ったのが、ずっと前のような気がする。
セシルの手を借りて馬車を降りる。
これから、何回、手を借りて馬車を降りるのだろう。
「次からはグレンフェル侯爵夫人として」
耳元でセシルがささやく。
「変な男には気を付けないと」
「大丈夫ですわ」
「大丈夫じゃないよ」
セシルは真剣だった。
「夜の庭なんか誘われて出てっちゃだめだからね」
会場に入った途端、人々の目を引きつけてしまうのは、グレンフェル侯爵の名前ゆえ。まだ、フィオナは認められていない。
だから、横に並ぶ彼女は、好奇心にさらされ、遠慮なく値踏みされていた。
フィオナは、物柔らかに微笑みながら、背筋を伸ばした。
『堂々と。自信たっぷりに。あなたの自信が他の人の評価を高めるのですから』
マルゴットの忠告を実行する時だ。
『美人の半分は自信で出来ているのです』
人は見た目で評価される。
歩き方も、首のもたげ方も、手つきも。
「あれが、グレンフェル侯爵の婚約者ですって。貧乏伯爵家の出身よ。ロクなデビューじゃなかったはずよ。聞いたこともないわ」
隣の若い男が見惚れて言った。
「持参金は美貌だけか。それはそれであこがれるような」
「違うのよ。すごい額の遺産を相続したのよ。侯爵家もお金に困ってやむを得なかったのね」
「遺産がなくても、あれだけの美人なら嫁ぎ先に苦労しないと思うぞ?」
クリスチンが近づいてきた。とても、嬉しそうだ。
「おめでとう!」
「あら、クリスチン様こそ!」
「違うわよ、あなたよ! 頑張ったわね」
「え?」
「誰もブスだなんて言ってないわ。ざまあみろだわ。貧乏伯爵家とかそしってて」
「クリスチン」
後ろからマークが付いてきていて、クリスチンに注意した。
「言い過ぎ。いや、フィオナ嬢が美人だと言うのはその通りだけど、他のご婦人の悪口はいけません」
「悪口じゃないわ。ほんとのことよ。みんな悔しいのよ。ウフフ」
マークは、もうどうしようもないと言った様子でセシルに話しかけた。
「君たちの結婚に猛烈に肩入れしててね、あちこちでスパイ活動さ」
思わずセシルが笑った。そして、感謝した。
「クリスチン嬢がいなかったら、結婚まで漕ぎ着けられなかったよ」
「いや、セシル、君がいなかったら、僕こそ結婚出来なかったよ」
マークは密かにセシルとフィオナに感謝していた。反発する力、それがクリスチンである。誰かが十年前にマークとクリスチンの結婚を全力で阻止しに来てくれていたら、マークは十年前に無事クリスチンと結婚できていたに違いない。あいにく、誰もが大賛成の良縁だった。今回はなにか訳の分からない相乗りのような状況で、クリスチンも一緒に結婚作戦に参戦して、自分の結婚を了承してくれた。
クリスチンはフィオナにとても熱心に、それまでに蒐集した噂を小さな声で教えていた。
「大体、顔と衣装に関しては、男性には大好評だったわ。あんな美人にどうして気がつかなかったんだろうって、残念がってたわ。女性からはやっかみが多かった。やっぱりセシル狙いは多かったもんね。そして、遺産の話を聞いて、女性は諦めてたけど、男性からは妙な怨念を感じたわ!」
「ねえ、クリスチン!」
マークがくるりと振り返って言った。
「僕が感じたところでは、君の婚約が決まった件で僕は男性からものすごいやっかみを感じている。人の世話をしている場合ではないと思うな。僕の側から離れないでね」
「そうそう。フィオナも、ダンスは禁止」
フィオナは、こっそりと婚約者に向かって言った。
「私よりあなたの方が危険よ。あなたはここの誰よりもかっこいいのだから。私なんかの比じゃないわ。のこのこ誘われて出かけないで!」
セシルが赤くなった。
「まあ、フィオナったら、セシルになにを言ったの?」
4人の姿は人目を引いた。
そのうち、顔見知りや友人達が、次々とやってきて祝いの言葉や式の予定など、しゃべったり笑ったりした。
会場の大勢が、一際目立ち華やかな彼らを見つめていた。
帰りの馬車の中でセシルは尋ねた。
「疲れたかい?」
「ええ」
視線を集めることは疲れる。だが、理由はわかっていた。
「ごめんね。でも、あれでみんなに知れ渡ったと思う」
「そのためだったのね」
「そう。それに、話しかけに来なかった人たちも、君と僕を見たから」
そうか、とフィオナは理解した。出来るだけ大きな会に出ていけば、パーティー参加の回数を減らせる。そう言うことだ。
ふたりは顔を見合わせた。
そしてにっこり笑うと、どちらからともなくキスをした。
これから二人は一緒に生きてくのだ。
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