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第23話 パーシヴァル家の夜会
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フィオナは、乗り気ではなかった。
だが、断るだなんてもちろん許されない。
今回ばかりは兄のアンドルーが周りをうろちょろして、アレクサンドラに怒鳴られていた。
「さあ、あれは放っておきましょう」
マルゴットは冷然と、夫婦げんかには取りあわなかった。
「そんな暇はございません」
あのジャックの姉の家……。
来てよかったのか。
ジャックは何かの拍子に姉とは不仲だと宣言していた。姉の主催する会には出たことがないと言っていた。
それに、ジャックは本宅に両親と住んでいるはずで、この瀟洒なアパルトマンにはクリスチンと叔母が(まるで存在感がないと言われている父方の叔母が)一緒に住んでいるだけのはずだった。
小さな夜会にふさわしい、しゃれた感じだが派手ではないドレスに身を包んで、フィオナはクリスチンの元を訪れた。
内装もモダンで、凝った感じのアパルトマンだった。
女が女の家を訪ねるのだから、気を遣う必要はないのだが、あまりよく知らない社交界の女王を訪問するのはやはり緊張した。
「よく来てくださったわね」
クリスチンは心底嬉しそうだった。
何がそんなにうれしいのかわからない。
「久しぶり」
傍らから声を掛けてきた男性に、フィオナは死ぬほどびっくりした。
ジャックだ。
一瞬、嵌められたと思った。
「姉の会にはほとんど出ないんだけど、今回は、姉があなたを招待したと聞いたので」
驚きが顔に出てしまったらしい。
「そんなにビックリしないで」
ジャックはむしろ申し訳なさそうに言った。
そして、次から次へと招待客を招き入れているクリスチンのそばから彼女を連れて奥へ入った。
「これは、姉の計画なんだよ。あなたを呼んだって言うから、ぼくとしては……」
ジャックは、ちょっと言いよどんだ。
それから、少し笑顔を見せて、
「ぼくとしては参加しないわけにはいかなかった。だって、姉の友達にプロポーズされたら大変でしょ?」
そんなわけがない。
初対面の男性からプロポーズしてもらえるくらいなら、これまでのフィオナの努力はなんなんだ。
だが、ジャックの言葉の意味はそこが問題じゃないし、フィオナだって、わかっていた。
返事に困る。
フィオナがジャックから視線を逸らし、恥ずかしそうにうつむいてしまったのを見て、ジャックは満足そうだった。
『うまいことやってるじゃない』
少し離れたところから観察していたクリスチンはニヤリとした。
ニヤリとしたクリスチンを、すぐそばで観察していた男友達のマックは言った。
「クリスチン、今度はどんな悪だくみを考えてるの?」
「あら、いやだ。悪だくみだんて、人聞きの悪い」
マックはロックフィールド家の一族で、クリスチンの男友達の一人だった。パーシヴァル家が霞んでしまいそうな大富豪の一族で、ヨーロッパ一円に海運と保険業で莫大な資産を持っていた。
もしかしたら、昔、彼の一族の誰かがそれなりの爵位をどこかの王族からもらったことがあるのかも知れなかったが、誰も思い出そうともしなかった。それより、彼らの資産や商売の方が重要だった。
「じゃあ、何かおもしろいことって、言い直そうか?」
「いやだわ、そんな言い方。わたくし、弟の恋路を応援してるだけよ」
「へええ?」
マックはジャックとフィオナの方を見た。
とても初々しいカップルだ。
「かわいい子だね?」
「十六歳ですって。伯爵家の令嬢よ。とても、貧乏なんですって」
思わずマークは興味を持った。
広大すぎる領地や偉容を誇る自宅の維持費を捻出しかねて苦しい暮らしを重ねている誇り高い、付き合いづらい、醜いと言ってもいい貴族連中をマックはたくさん知っていた。
数世紀も前から、貸金業などで財をなし、下手をすると貴族より古い家系のロックフィールド家なのに、爵位を生きるプライドにしている連中から成金だのとあてこすりを言われるのにはムカついていた。
だが、フィオナ嬢からは、そんなこだわりや誇りは微塵も感じられなかった。
ただの育ちの良い令嬢である。栗色の髪とありふれた青い目の地味で目立たない娘だが、可愛らしくて落ち着いた雰囲気だった。
「あの、今日は何人くらいお客様が見えられますの?」
フィオナが少し心配そうにジャックに尋ねた。
「まだ、全員そろってないけど、8人くらいかな。そのうち一組は結婚している。ご主人は海軍の人だ。それと姉の男友達が一人新しく自分の友達を連れて来るって言っていたよ」
数えてみると、すでに女性は4人いる。もしその新しい友達とやらが男なら、男女の数を合わせているわけだ。このパーティはどんな意味があるのだろう。もしかすると、自分とジャックの為だろうか。
フィオナは冷や汗をかいた。このままいろいろと既成事実化されてしまうのか。既婚者を混ぜるのは会を穏やかに見せかけるためにはいい方法だろう。
「こういう会での作法はわからなくて。わたくし、クリスチン様のお友達に御挨拶しなくていいのでしょうか」
「僕が紹介しよう。僕だって、彼らを知らないわけじゃないし」
それではまるで、ジャックの婚約者のような扱いになる。だが、ジャックは堂々としていた。
そこへちょうど、クリスチンの最後のお客が、初めてここに来たと言う友人を連れて入ってきた。
「まあ、グレンフェル侯爵! ようこそお越しくださいました!」
フィオナは目が点になった。
「ああ、グレンフェル侯爵が見えられたようだね」
ジャックの声は冷静で、しかも彼女を片手でグッと引き寄せた。
「皆さんに、あなたを僕が紹介しよう」
世の中には、修羅場と言う言葉がある。
フィオナは、不意に思い出した。
これを修羅場と言わずして、いつを一体修羅場と言うのだろう。そして、誰得?
にこやかなジャックとにこやかなクリスチン、そして……ものすごく恐る恐る顔をあげると、そこには苦虫を噛み潰したようなセシルがいた。
とは言え、セシルの顔の表情が読み取れるのは、フィオナくらいのものである。
他の者には、いつもと同じ冷然とした表情に見えた。
フィオナはジャックの顔色も盗み見ないではいられなかった。
どうする?これは?
そして、どういうつもりなの?ジャック?
ジャックは、普通の表情をしていたけれど、フィオナには、彼が緊張しているのがわかった。
だが、何も表には表れていない。
そして、クリスチンと目があった。
彼女がフィオナを見るのはある程度は当たり前だ。この、クリスチンの知り合いだらけの場に、縁もゆかりもないフィオナをわざわざ呼んできたのだから、当然、招待主としてフィオナに気を配らなければいけない。
だが、フィオナを見るクリスチンの目の中には、何か、とても面白がっているような雰囲気があった。
口元が楽しそうに微笑んでいる。
楽しいのか!?
これが?!
ジャックが、冷然と紹介し出した。
「グレンフェル侯爵、フィオナ嬢をご紹介ましょう……」
フィオナは必死で頭を働かせた。
このままだと、ジャックの恋人扱いされてしまう。
そして、わずか8人だが、社交界で名だたるクリスチン嬢のお友達は、それぞれの知人、知り合いにジャックに恋人が出来たと話して歩くのではないだろうか?
まずい。
いや、嫁入り先が確定したのか? それならそれでいいのか? 目的を達成したわけであって、正直、誰でもいいからもらってくれる人を探してくるようにって……
グレンフェル侯爵、セシルの顔を見ると、目的達成が不純な目的に思えてきた。
なんだか。単なる結婚相手探しが微妙に変化して、レベルがどんどん上がっていく……
だが、断るだなんてもちろん許されない。
今回ばかりは兄のアンドルーが周りをうろちょろして、アレクサンドラに怒鳴られていた。
「さあ、あれは放っておきましょう」
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それに、ジャックは本宅に両親と住んでいるはずで、この瀟洒なアパルトマンにはクリスチンと叔母が(まるで存在感がないと言われている父方の叔母が)一緒に住んでいるだけのはずだった。
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「よく来てくださったわね」
クリスチンは心底嬉しそうだった。
何がそんなにうれしいのかわからない。
「久しぶり」
傍らから声を掛けてきた男性に、フィオナは死ぬほどびっくりした。
ジャックだ。
一瞬、嵌められたと思った。
「姉の会にはほとんど出ないんだけど、今回は、姉があなたを招待したと聞いたので」
驚きが顔に出てしまったらしい。
「そんなにビックリしないで」
ジャックはむしろ申し訳なさそうに言った。
そして、次から次へと招待客を招き入れているクリスチンのそばから彼女を連れて奥へ入った。
「これは、姉の計画なんだよ。あなたを呼んだって言うから、ぼくとしては……」
ジャックは、ちょっと言いよどんだ。
それから、少し笑顔を見せて、
「ぼくとしては参加しないわけにはいかなかった。だって、姉の友達にプロポーズされたら大変でしょ?」
そんなわけがない。
初対面の男性からプロポーズしてもらえるくらいなら、これまでのフィオナの努力はなんなんだ。
だが、ジャックの言葉の意味はそこが問題じゃないし、フィオナだって、わかっていた。
返事に困る。
フィオナがジャックから視線を逸らし、恥ずかしそうにうつむいてしまったのを見て、ジャックは満足そうだった。
『うまいことやってるじゃない』
少し離れたところから観察していたクリスチンはニヤリとした。
ニヤリとしたクリスチンを、すぐそばで観察していた男友達のマックは言った。
「クリスチン、今度はどんな悪だくみを考えてるの?」
「あら、いやだ。悪だくみだんて、人聞きの悪い」
マックはロックフィールド家の一族で、クリスチンの男友達の一人だった。パーシヴァル家が霞んでしまいそうな大富豪の一族で、ヨーロッパ一円に海運と保険業で莫大な資産を持っていた。
もしかしたら、昔、彼の一族の誰かがそれなりの爵位をどこかの王族からもらったことがあるのかも知れなかったが、誰も思い出そうともしなかった。それより、彼らの資産や商売の方が重要だった。
「じゃあ、何かおもしろいことって、言い直そうか?」
「いやだわ、そんな言い方。わたくし、弟の恋路を応援してるだけよ」
「へええ?」
マックはジャックとフィオナの方を見た。
とても初々しいカップルだ。
「かわいい子だね?」
「十六歳ですって。伯爵家の令嬢よ。とても、貧乏なんですって」
思わずマークは興味を持った。
広大すぎる領地や偉容を誇る自宅の維持費を捻出しかねて苦しい暮らしを重ねている誇り高い、付き合いづらい、醜いと言ってもいい貴族連中をマックはたくさん知っていた。
数世紀も前から、貸金業などで財をなし、下手をすると貴族より古い家系のロックフィールド家なのに、爵位を生きるプライドにしている連中から成金だのとあてこすりを言われるのにはムカついていた。
だが、フィオナ嬢からは、そんなこだわりや誇りは微塵も感じられなかった。
ただの育ちの良い令嬢である。栗色の髪とありふれた青い目の地味で目立たない娘だが、可愛らしくて落ち着いた雰囲気だった。
「あの、今日は何人くらいお客様が見えられますの?」
フィオナが少し心配そうにジャックに尋ねた。
「まだ、全員そろってないけど、8人くらいかな。そのうち一組は結婚している。ご主人は海軍の人だ。それと姉の男友達が一人新しく自分の友達を連れて来るって言っていたよ」
数えてみると、すでに女性は4人いる。もしその新しい友達とやらが男なら、男女の数を合わせているわけだ。このパーティはどんな意味があるのだろう。もしかすると、自分とジャックの為だろうか。
フィオナは冷や汗をかいた。このままいろいろと既成事実化されてしまうのか。既婚者を混ぜるのは会を穏やかに見せかけるためにはいい方法だろう。
「こういう会での作法はわからなくて。わたくし、クリスチン様のお友達に御挨拶しなくていいのでしょうか」
「僕が紹介しよう。僕だって、彼らを知らないわけじゃないし」
それではまるで、ジャックの婚約者のような扱いになる。だが、ジャックは堂々としていた。
そこへちょうど、クリスチンの最後のお客が、初めてここに来たと言う友人を連れて入ってきた。
「まあ、グレンフェル侯爵! ようこそお越しくださいました!」
フィオナは目が点になった。
「ああ、グレンフェル侯爵が見えられたようだね」
ジャックの声は冷静で、しかも彼女を片手でグッと引き寄せた。
「皆さんに、あなたを僕が紹介しよう」
世の中には、修羅場と言う言葉がある。
フィオナは、不意に思い出した。
これを修羅場と言わずして、いつを一体修羅場と言うのだろう。そして、誰得?
にこやかなジャックとにこやかなクリスチン、そして……ものすごく恐る恐る顔をあげると、そこには苦虫を噛み潰したようなセシルがいた。
とは言え、セシルの顔の表情が読み取れるのは、フィオナくらいのものである。
他の者には、いつもと同じ冷然とした表情に見えた。
フィオナはジャックの顔色も盗み見ないではいられなかった。
どうする?これは?
そして、どういうつもりなの?ジャック?
ジャックは、普通の表情をしていたけれど、フィオナには、彼が緊張しているのがわかった。
だが、何も表には表れていない。
そして、クリスチンと目があった。
彼女がフィオナを見るのはある程度は当たり前だ。この、クリスチンの知り合いだらけの場に、縁もゆかりもないフィオナをわざわざ呼んできたのだから、当然、招待主としてフィオナに気を配らなければいけない。
だが、フィオナを見るクリスチンの目の中には、何か、とても面白がっているような雰囲気があった。
口元が楽しそうに微笑んでいる。
楽しいのか!?
これが?!
ジャックが、冷然と紹介し出した。
「グレンフェル侯爵、フィオナ嬢をご紹介ましょう……」
フィオナは必死で頭を働かせた。
このままだと、ジャックの恋人扱いされてしまう。
そして、わずか8人だが、社交界で名だたるクリスチン嬢のお友達は、それぞれの知人、知り合いにジャックに恋人が出来たと話して歩くのではないだろうか?
まずい。
いや、嫁入り先が確定したのか? それならそれでいいのか? 目的を達成したわけであって、正直、誰でもいいからもらってくれる人を探してくるようにって……
グレンフェル侯爵、セシルの顔を見ると、目的達成が不純な目的に思えてきた。
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