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第66話 ハウエル商会
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「メイフィールド夫人、大変ね」
馬車の中で私がそう言うと、バスター君がにっこり笑った。
「大丈夫ですよ。メイフィールド夫人は宮廷に長年お仕えしていましたし、他家での勤務経験もあります。ベリー公爵家にも何年かいたそうです」
私は余計震え上がった。そんな強者、探し出さないでほしいわ。
「侍女についても、お給金さえ問題なければ、優秀な使用人に困ることなんかないでしょう」
「そう言うものなの?」
「はい。良い使用人が欲しければ、きちんと払わなくてはならない。うちの母がそう言っていました」
そうかー。ハウエル商会で働く人の数は、貴族の屋敷どころではない。十倍以上、いやもっと雇っているだろう。使用人問題はプロかもしれない。
「それで、お伝えしておきたいことがあります。僕は公爵家の帳簿を整理しました。二重帳簿になっていました」
「え……スターリン男爵の仕業ね」
バスター君はうなずいた。
「おばあさまの読みの通りでした。ベリー公爵夫人は本当に慧眼でいらっしゃる。スターリン男爵が治めていた期間、アランソン公爵家の財産は倍ほどにも増えています。スターリン男爵は相当頑張ったんだと思います。その成果をタダ取りのおばあさま、凄腕過ぎます」
おばあさま、そこまで考えていなかったのでは?
いつも通り、面倒くさいから任せきりにして、単にその結果、財産が増えたのでは。
運命を変えてしまう、あるいは運命を自分についてこさせるという噂のおばあさま、健在なりってとこかしら。
「ただですね、スターリン男爵も貴族脳って言うのか、土地や建物への投資が多くて、現金が少ないんです」
「では、ドレス代とか宝石代は払えるのかしら」
私は心配になって聞いた。
公爵閣下であるのにも関わらず、なぜかお金で苦労する私。
意味がわからないわ。
「公爵家より、ポーシャ様の方がお金持ちでいらっしゃいますよ。いつか話していらした美肌ポーションのこと、覚えてらっしゃいますか?」
バスター君が目をキラキラさせながら尋ねた。
そう言えば、ドレスメーカーの人たちにあれ以来会っていないので、販促活動、全然やってなかったわ。
「ごめんなさい。ドレスメーカーを通してマダム方に広めるって言ってたのに、まだ、何もしていないわ」
「いいんです。お忙しかったでしょうから。それにポーシャ様は、その間に毒肉ポーションを開発されました。ポーシャ様に販促活動をしていただくより、その方がずっと有意義な時間の使い方です。毒肉ポーションの発明なんか、ポーシャ様以外の誰に出来ますか?」
バスター君に褒められると、なんかいいことしたような気になるわ。
「いいことですよ。とても。そして、美肌ポーションの方は、ポーシャ様がおっしゃった通り、現在、売れに売れています」
「そうなの?」
それは嬉しい。
「ええ。それはもう。これはいけると踏んだ兄は、金貨三枚の値段をつけました」
当初の見込みの三倍の価格だ。
「え。さすが商売人……」
「いいんです。これが、風邪薬だったら、暴利でしょうけど、美肌ですからね。別に生死に関わるようなもんじゃないし。それに見違えるようにツヤツヤピカピカになるので、もう取り合いなんです。予約半年待ちです」
「あ、そうなんだ」
販促活動の必要なんか、全くなかったんだ。
「ですんで、ポーシャ様の取り分も三倍になりました。どんなきらびやかな宝石だって簡単に買えます」
ハウエル商会に着くと、サッとばかりに正面玄関のドアが開かれたのには仰天した。
私の到着を待っていたらしい。
中には、会長、副会長以下、管理職と思しきおじさん、おばさんがズラリと整列していて、一斉に頭を下げ、歓迎の言葉が、広い玄関ホールに響き渡った。
「アランソン公爵閣下、ようこそお越しくださいました」
福の神降臨?
公爵閣下とお近づきだと言うのが、ハウエル商会の従業員としては相当嬉しいらしい。
「さあ、こちらへ」
会長が一歩前に踏み出し、豪勢な客間に案内された。なんだかお尻がむず痒いような歓待っぷりだ。
バスター君はスッと背筋を伸ばして私のあとをついて歩く。
ハウエル商会へ来て嬉しかったのは、バスター君のことだ。
ちょっと前まで、一家は末っ子のバスター君のことを割と軽くみていたように思う。
兄の副会長はバスター君の髪をくしゃっと握って、お前もがんばれよ!とか言ってたし。
でも、今、会長(父)と副会長(兄)を始めとした、従業員の皆さんのバスター君を見る目は、全然違っていると思う。
一言で言えば、尊敬の眼差しだ。
バスター君は、自分自身は魔術師にはなれなかったけど、ハウエル商会の悲願だった超一流の魔術師(私のことだ)と取引を可能にしたのだ。
バスター君は、もうおどおどした様子はしていない。かといって、偉そうにもしていない。
彼は淡々としていて、それでいて、全部に気を配っている。
商売人にはバスター君のお兄さんみたいな陽気な面も必要だろうけど、執事になら彼はピッタリだなと改めて思った。もちろん、まだ若すぎるけど。
私たちは契約を取り決め、ハウエル商会はアランソン公爵家を陰になり日向になり支えることになった。
莫大な金額が動く。
「いえ、莫大だなんてとんでもありません。いわばこれは単なる実績のうちの一部です。化粧水などの売り上げですね」
副会長は真面目に解説した。
「今後、ポーシャ様は、色々なポーションを開発なさると思います」
それはそうかもしれない。ポーション作るの好きだもん。
「悪獣退治に圧倒的な効果があった二種類のポーションの組み合わせは、ポーシャ様の快挙です」
「私は研究に没頭していたので、効果があったと言うことしか知らないのですけど」
会長、副会長は顔を見合わせた。
「あのポーションは劇的に状況を変えました。悪獣の数が確実に減りました」
殿下とのことがあったので、どうも世の中と接触したくなくて、引きこもっている間にそんなことになっていたのか。
「最前線のエッセンにあった参謀本部は、あなたのことを聖女と呼んで国王陛下にとりなしたそうです。あなたは、いまや、悪獣退治の立役者、ルーカス殿下が勇者なら、あなたは彼を導き国を救った聖女として、崇め奉られています」
「グゲェェ?」
私は飲んだ紅茶を口一杯分、会長の頭と副会長の顔に噴出した。
無論、ハウエル商会での紅茶噴出事件は、あっという間になかったことになった。
私の生活魔法をなめてはいけない。
瞬時に紅茶は回収され、ハッとした副会長が自分の鼻の頭に手をやった時にはすでにもう、鼻の頭は完全に乾いていたし、会長の頭はいつも通りフサフサで濡れてもいなかった。
二人とも、キツネにつままれたような顔をしていたが、私は怪訝そうに聞いた。
「どうかなさいました?」
「あ? いえ、なにも」
私は契約書に、ポーシャ・アランソン(本当はもっと長い名前なんだけど)とサラサラとサインして、二人はすぐにそっちの方に夢中になった。
「まずは、バスターにこれだけの金額を渡しておきます」
それは目の玉が飛び出るような金額だった。
「ポーシャ様。ここは遠慮をする場面ではありません」
バスター君の声が厳しくなった。
「メイフィールド夫人が来てくださって、本当に心強かったです。僕には、貴族の礼儀やしきたりがわかりません。もとはと言えば平民ですから。でも、今回の夏の終わりの大舞踏会、この場では絶対に他の貴族の皆様方に侮られるわけにはまいりません」
「ポーシャ様。バスターの言うとおりです」
副会長がまじめになって言った。
「ポーシャ様は、ご自分のポーションを効率的に正しく世に広めるために、頑張ってください」
「そうです。堂々と夏の終わりの大舞踏会に参加なさってください」
バスター君がいつになく厳しい様子で言った。
会長が重々しく言葉を添えた。
「ハウエル商家に出来ることはお金を出すこと、情報を集めること。そして、絶対にポーシャ様を支えることです」
馬車の中で私がそう言うと、バスター君がにっこり笑った。
「大丈夫ですよ。メイフィールド夫人は宮廷に長年お仕えしていましたし、他家での勤務経験もあります。ベリー公爵家にも何年かいたそうです」
私は余計震え上がった。そんな強者、探し出さないでほしいわ。
「侍女についても、お給金さえ問題なければ、優秀な使用人に困ることなんかないでしょう」
「そう言うものなの?」
「はい。良い使用人が欲しければ、きちんと払わなくてはならない。うちの母がそう言っていました」
そうかー。ハウエル商会で働く人の数は、貴族の屋敷どころではない。十倍以上、いやもっと雇っているだろう。使用人問題はプロかもしれない。
「それで、お伝えしておきたいことがあります。僕は公爵家の帳簿を整理しました。二重帳簿になっていました」
「え……スターリン男爵の仕業ね」
バスター君はうなずいた。
「おばあさまの読みの通りでした。ベリー公爵夫人は本当に慧眼でいらっしゃる。スターリン男爵が治めていた期間、アランソン公爵家の財産は倍ほどにも増えています。スターリン男爵は相当頑張ったんだと思います。その成果をタダ取りのおばあさま、凄腕過ぎます」
おばあさま、そこまで考えていなかったのでは?
いつも通り、面倒くさいから任せきりにして、単にその結果、財産が増えたのでは。
運命を変えてしまう、あるいは運命を自分についてこさせるという噂のおばあさま、健在なりってとこかしら。
「ただですね、スターリン男爵も貴族脳って言うのか、土地や建物への投資が多くて、現金が少ないんです」
「では、ドレス代とか宝石代は払えるのかしら」
私は心配になって聞いた。
公爵閣下であるのにも関わらず、なぜかお金で苦労する私。
意味がわからないわ。
「公爵家より、ポーシャ様の方がお金持ちでいらっしゃいますよ。いつか話していらした美肌ポーションのこと、覚えてらっしゃいますか?」
バスター君が目をキラキラさせながら尋ねた。
そう言えば、ドレスメーカーの人たちにあれ以来会っていないので、販促活動、全然やってなかったわ。
「ごめんなさい。ドレスメーカーを通してマダム方に広めるって言ってたのに、まだ、何もしていないわ」
「いいんです。お忙しかったでしょうから。それにポーシャ様は、その間に毒肉ポーションを開発されました。ポーシャ様に販促活動をしていただくより、その方がずっと有意義な時間の使い方です。毒肉ポーションの発明なんか、ポーシャ様以外の誰に出来ますか?」
バスター君に褒められると、なんかいいことしたような気になるわ。
「いいことですよ。とても。そして、美肌ポーションの方は、ポーシャ様がおっしゃった通り、現在、売れに売れています」
「そうなの?」
それは嬉しい。
「ええ。それはもう。これはいけると踏んだ兄は、金貨三枚の値段をつけました」
当初の見込みの三倍の価格だ。
「え。さすが商売人……」
「いいんです。これが、風邪薬だったら、暴利でしょうけど、美肌ですからね。別に生死に関わるようなもんじゃないし。それに見違えるようにツヤツヤピカピカになるので、もう取り合いなんです。予約半年待ちです」
「あ、そうなんだ」
販促活動の必要なんか、全くなかったんだ。
「ですんで、ポーシャ様の取り分も三倍になりました。どんなきらびやかな宝石だって簡単に買えます」
ハウエル商会に着くと、サッとばかりに正面玄関のドアが開かれたのには仰天した。
私の到着を待っていたらしい。
中には、会長、副会長以下、管理職と思しきおじさん、おばさんがズラリと整列していて、一斉に頭を下げ、歓迎の言葉が、広い玄関ホールに響き渡った。
「アランソン公爵閣下、ようこそお越しくださいました」
福の神降臨?
公爵閣下とお近づきだと言うのが、ハウエル商会の従業員としては相当嬉しいらしい。
「さあ、こちらへ」
会長が一歩前に踏み出し、豪勢な客間に案内された。なんだかお尻がむず痒いような歓待っぷりだ。
バスター君はスッと背筋を伸ばして私のあとをついて歩く。
ハウエル商会へ来て嬉しかったのは、バスター君のことだ。
ちょっと前まで、一家は末っ子のバスター君のことを割と軽くみていたように思う。
兄の副会長はバスター君の髪をくしゃっと握って、お前もがんばれよ!とか言ってたし。
でも、今、会長(父)と副会長(兄)を始めとした、従業員の皆さんのバスター君を見る目は、全然違っていると思う。
一言で言えば、尊敬の眼差しだ。
バスター君は、自分自身は魔術師にはなれなかったけど、ハウエル商会の悲願だった超一流の魔術師(私のことだ)と取引を可能にしたのだ。
バスター君は、もうおどおどした様子はしていない。かといって、偉そうにもしていない。
彼は淡々としていて、それでいて、全部に気を配っている。
商売人にはバスター君のお兄さんみたいな陽気な面も必要だろうけど、執事になら彼はピッタリだなと改めて思った。もちろん、まだ若すぎるけど。
私たちは契約を取り決め、ハウエル商会はアランソン公爵家を陰になり日向になり支えることになった。
莫大な金額が動く。
「いえ、莫大だなんてとんでもありません。いわばこれは単なる実績のうちの一部です。化粧水などの売り上げですね」
副会長は真面目に解説した。
「今後、ポーシャ様は、色々なポーションを開発なさると思います」
それはそうかもしれない。ポーション作るの好きだもん。
「悪獣退治に圧倒的な効果があった二種類のポーションの組み合わせは、ポーシャ様の快挙です」
「私は研究に没頭していたので、効果があったと言うことしか知らないのですけど」
会長、副会長は顔を見合わせた。
「あのポーションは劇的に状況を変えました。悪獣の数が確実に減りました」
殿下とのことがあったので、どうも世の中と接触したくなくて、引きこもっている間にそんなことになっていたのか。
「最前線のエッセンにあった参謀本部は、あなたのことを聖女と呼んで国王陛下にとりなしたそうです。あなたは、いまや、悪獣退治の立役者、ルーカス殿下が勇者なら、あなたは彼を導き国を救った聖女として、崇め奉られています」
「グゲェェ?」
私は飲んだ紅茶を口一杯分、会長の頭と副会長の顔に噴出した。
無論、ハウエル商会での紅茶噴出事件は、あっという間になかったことになった。
私の生活魔法をなめてはいけない。
瞬時に紅茶は回収され、ハッとした副会長が自分の鼻の頭に手をやった時にはすでにもう、鼻の頭は完全に乾いていたし、会長の頭はいつも通りフサフサで濡れてもいなかった。
二人とも、キツネにつままれたような顔をしていたが、私は怪訝そうに聞いた。
「どうかなさいました?」
「あ? いえ、なにも」
私は契約書に、ポーシャ・アランソン(本当はもっと長い名前なんだけど)とサラサラとサインして、二人はすぐにそっちの方に夢中になった。
「まずは、バスターにこれだけの金額を渡しておきます」
それは目の玉が飛び出るような金額だった。
「ポーシャ様。ここは遠慮をする場面ではありません」
バスター君の声が厳しくなった。
「メイフィールド夫人が来てくださって、本当に心強かったです。僕には、貴族の礼儀やしきたりがわかりません。もとはと言えば平民ですから。でも、今回の夏の終わりの大舞踏会、この場では絶対に他の貴族の皆様方に侮られるわけにはまいりません」
「ポーシャ様。バスターの言うとおりです」
副会長がまじめになって言った。
「ポーシャ様は、ご自分のポーションを効率的に正しく世に広めるために、頑張ってください」
「そうです。堂々と夏の終わりの大舞踏会に参加なさってください」
バスター君がいつになく厳しい様子で言った。
会長が重々しく言葉を添えた。
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