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第56話 毒ポーションを撒き散らす
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翼亭にはメアリがいる。メアリの恋人は、有能セス様の無能舎弟だ。
「頼もう!」
私は、堂々と昼食を食べに入った。
「おお! ポーシャ!」
巨漢のコックは、驚いて振り返った。
「大丈夫か? あんたが失恋したと聞いて」
「は?」
「婚約破棄されたと聞いたよ」
コックは痛ましそうに言った。
「え……」
「数日休むのなんか気にしなくていい。恋人が悪獣のせいで変化したそうだな」
変化したの? てか、人間て、変化するのか?
「人の心を失ったと。もう愛することはないと言われたそうだな……」
誰の話だ。
「そして婚約破棄されたと聞いたよ。この辺では多い話だ。悪獣の息を浴びせられた人間は、人の心を失う。恋心も失ってしまう」
「戻らないんですか?」
なにそれ、怖い。
「まあ、ポーシャの婚約者の場合、別の恋人ができたのをゴマ化すためにそう言ったらしいから、まだマシだったね」
え?それだったら、忘れられただけの方がまだマシなのでは。ひどい。
「あのう、とりあえず、闇の帝王に会いたいのですが」
「夕方に晩御飯を食べに来るようになったから、待ってたらいいよ」
「それから、今日はお客として食べさせてください。ここ数日、ロクなものを食べていないので……」
これは余計な発言だった。コックはいかにも悲し気にうなずくと厨房に姿を消した。あっ、ちょっと、違うんです、その話は誤解ですよ?
しかし、誰だ、こんな誤解、まき散らしたの。しかも、妙に設定が細かい。
もうどうでもいいわ。
モリモリ食べているところへ困惑顔のセス様が登場した。
「あ。ポーシャ様」
彼は、私の顔を見ると、そそくさとそばにやって来た。
「殿下、ひどいよね? いくら心配で動転したからって、あの扱いはないよね。ちょっと反省してもらおうと思って……」
私はどうでもいいセス様の話は聞き流した。
「ハイ。毒団子」
私は危険物を指した。私の足元には、サンタクロースの担ぐ袋よろしく不格好な大袋が転がっている。
「は? は? なにこれ? マジ? マジでこんなもの、作っちゃったの?」
セス様の饒舌が一瞬で凍り付き、その袋を凝視した。
「こんなものをどうしろと?」
セス様は震え上がった。彼は一流の魔術師らしく、中の危険度が瞬時に分かったらしい。
「だって、私には戦闘能力はないんですもの。これを山の中に撒くのよ」
「撒く? 後先考えない作戦だな?」
「要は悪獣が人里にさえ来なければいいんでしょう?」
セス様はうなずいた。
「まあ、そうだけど。今年は春に雨が少なくて、思うように食料が取れなかったのだろう。飢えてはいると思う」
「殺すしかないなら、殺すわ。結局、これを撒けば大混乱に陥って、人里どころではなくなるかもしれない」
「本気で撒く気なのか、これを?」
「うん」
私は食べ続けながら答えた。
セス様は向かいの席に座った。
「俺は戦闘力がない」
「知ってる」
「だけど、殿下が使っている精密地図は俺が作ったものだ」
私は顔を上げた。
「それから移動式の小型絨毯も俺の発明だ」
「移動式?」
「同じ魔法の絨毯だ。ただ設置しなくてもいい。俺の作った地図の上の点にならどこにでも行ける」
セス様は言った。
「どうしても行くなら、殿下と一緒に毒を撒きに行け」
「一人でたくさんよ」
「ダメだ。あのままでは殿下が死ぬ」
私は飛び上がった。
「そんな……私の推しが!」
セス様の顔がゆがんだ。
「推しって何?」
推しってナニ?と聞く人間に、推しの説明は難しい。
「要するにナンバーワンに大事な方です」
後から考えると、ここら辺から、道が間違ったのかもしれない。
え?とかセス様はつぶやいたが、とりあえず、二人でいかないとダメだと説得し始めた。
「とにかく殿下を警護役に連れていけ。直接的な攻撃を浴びたら、どうするんだ」
「命のポーションがありますわ」
「飲まなければだめだ。その時間がない。殿下なら、物理的、魔術的に攻撃魔力が強い」
「保護魔法だってありますのよ」
「ダメだ。相手は悪獣だ。保護魔法は物理的攻撃にはそこまで強くない。魔獣の攻撃力は、スターリン家の令嬢のへなちょこ鉄扇とはわけが違う。ぶっ飛ばされるぞ」
た、確かに。いかにたくましいとはいえ、ベアトリス様もカザリン様も、腐っても令嬢でしたわ。
「それからポーシャは二人なら強固な保護魔法がかけられる。自分で作ったその毒から身を守れ」
「でも、推しにそんなお願いはできないわ。推しを守るのがファンの務め。ご迷惑をかけるわけにはいきません。一人で大丈夫です」
「大丈夫ではない。それに殿下にとっても、ご迷惑ではない。このままでは、それこそ殿下が死んでしまう」
私はハッとした。
推しの死……それはもっとも避けたいと同時に最も甘美な瞬間……。
私の推しは孤高の人だ。
「彼は天空に輝く星ですわ」
「俺にはその推し論と言うのがどうも理解できないんだが」
「私もあなたの趣味は理解できませんけど」
「それはどうでもいいので、出かけてこい。殿下付きで。ポーシャ嬢がどっかの山中で倒れていたら、ほかの人間が迷惑するんで」
すごくすごく失礼な言い分だわ。失敗するのが前提みたいな言い方じゃないの。
「護衛に殿下を付けて行け。俺じゃあ役に立たないから」
「でも、殿下がいなかったら、戦線があの場所から後退せざるを得ないって」
「大体、俺はあの戦法はものすごく要領が悪いと思っている。たまたま殿下が出来るだけに、みんなが出来るみたいな誤解をして無駄弾を撃ってる気がしてならない。俺は騎士でも魔法戦士でもないから、黙ってるしかないんだが」
「頼もう!」
私は、堂々と昼食を食べに入った。
「おお! ポーシャ!」
巨漢のコックは、驚いて振り返った。
「大丈夫か? あんたが失恋したと聞いて」
「は?」
「婚約破棄されたと聞いたよ」
コックは痛ましそうに言った。
「え……」
「数日休むのなんか気にしなくていい。恋人が悪獣のせいで変化したそうだな」
変化したの? てか、人間て、変化するのか?
「人の心を失ったと。もう愛することはないと言われたそうだな……」
誰の話だ。
「そして婚約破棄されたと聞いたよ。この辺では多い話だ。悪獣の息を浴びせられた人間は、人の心を失う。恋心も失ってしまう」
「戻らないんですか?」
なにそれ、怖い。
「まあ、ポーシャの婚約者の場合、別の恋人ができたのをゴマ化すためにそう言ったらしいから、まだマシだったね」
え?それだったら、忘れられただけの方がまだマシなのでは。ひどい。
「あのう、とりあえず、闇の帝王に会いたいのですが」
「夕方に晩御飯を食べに来るようになったから、待ってたらいいよ」
「それから、今日はお客として食べさせてください。ここ数日、ロクなものを食べていないので……」
これは余計な発言だった。コックはいかにも悲し気にうなずくと厨房に姿を消した。あっ、ちょっと、違うんです、その話は誤解ですよ?
しかし、誰だ、こんな誤解、まき散らしたの。しかも、妙に設定が細かい。
もうどうでもいいわ。
モリモリ食べているところへ困惑顔のセス様が登場した。
「あ。ポーシャ様」
彼は、私の顔を見ると、そそくさとそばにやって来た。
「殿下、ひどいよね? いくら心配で動転したからって、あの扱いはないよね。ちょっと反省してもらおうと思って……」
私はどうでもいいセス様の話は聞き流した。
「ハイ。毒団子」
私は危険物を指した。私の足元には、サンタクロースの担ぐ袋よろしく不格好な大袋が転がっている。
「は? は? なにこれ? マジ? マジでこんなもの、作っちゃったの?」
セス様の饒舌が一瞬で凍り付き、その袋を凝視した。
「こんなものをどうしろと?」
セス様は震え上がった。彼は一流の魔術師らしく、中の危険度が瞬時に分かったらしい。
「だって、私には戦闘能力はないんですもの。これを山の中に撒くのよ」
「撒く? 後先考えない作戦だな?」
「要は悪獣が人里にさえ来なければいいんでしょう?」
セス様はうなずいた。
「まあ、そうだけど。今年は春に雨が少なくて、思うように食料が取れなかったのだろう。飢えてはいると思う」
「殺すしかないなら、殺すわ。結局、これを撒けば大混乱に陥って、人里どころではなくなるかもしれない」
「本気で撒く気なのか、これを?」
「うん」
私は食べ続けながら答えた。
セス様は向かいの席に座った。
「俺は戦闘力がない」
「知ってる」
「だけど、殿下が使っている精密地図は俺が作ったものだ」
私は顔を上げた。
「それから移動式の小型絨毯も俺の発明だ」
「移動式?」
「同じ魔法の絨毯だ。ただ設置しなくてもいい。俺の作った地図の上の点にならどこにでも行ける」
セス様は言った。
「どうしても行くなら、殿下と一緒に毒を撒きに行け」
「一人でたくさんよ」
「ダメだ。あのままでは殿下が死ぬ」
私は飛び上がった。
「そんな……私の推しが!」
セス様の顔がゆがんだ。
「推しって何?」
推しってナニ?と聞く人間に、推しの説明は難しい。
「要するにナンバーワンに大事な方です」
後から考えると、ここら辺から、道が間違ったのかもしれない。
え?とかセス様はつぶやいたが、とりあえず、二人でいかないとダメだと説得し始めた。
「とにかく殿下を警護役に連れていけ。直接的な攻撃を浴びたら、どうするんだ」
「命のポーションがありますわ」
「飲まなければだめだ。その時間がない。殿下なら、物理的、魔術的に攻撃魔力が強い」
「保護魔法だってありますのよ」
「ダメだ。相手は悪獣だ。保護魔法は物理的攻撃にはそこまで強くない。魔獣の攻撃力は、スターリン家の令嬢のへなちょこ鉄扇とはわけが違う。ぶっ飛ばされるぞ」
た、確かに。いかにたくましいとはいえ、ベアトリス様もカザリン様も、腐っても令嬢でしたわ。
「それからポーシャは二人なら強固な保護魔法がかけられる。自分で作ったその毒から身を守れ」
「でも、推しにそんなお願いはできないわ。推しを守るのがファンの務め。ご迷惑をかけるわけにはいきません。一人で大丈夫です」
「大丈夫ではない。それに殿下にとっても、ご迷惑ではない。このままでは、それこそ殿下が死んでしまう」
私はハッとした。
推しの死……それはもっとも避けたいと同時に最も甘美な瞬間……。
私の推しは孤高の人だ。
「彼は天空に輝く星ですわ」
「俺にはその推し論と言うのがどうも理解できないんだが」
「私もあなたの趣味は理解できませんけど」
「それはどうでもいいので、出かけてこい。殿下付きで。ポーシャ嬢がどっかの山中で倒れていたら、ほかの人間が迷惑するんで」
すごくすごく失礼な言い分だわ。失敗するのが前提みたいな言い方じゃないの。
「護衛に殿下を付けて行け。俺じゃあ役に立たないから」
「でも、殿下がいなかったら、戦線があの場所から後退せざるを得ないって」
「大体、俺はあの戦法はものすごく要領が悪いと思っている。たまたま殿下が出来るだけに、みんなが出来るみたいな誤解をして無駄弾を撃ってる気がしてならない。俺は騎士でも魔法戦士でもないから、黙ってるしかないんだが」
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