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彷徨う舟と黒の使い
目が覚めたら(3)
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◇
愚かだった、と何度もでも後悔する。
無視してきた時間の責任はいつか喪失という形で終わりが来るとも知っていた。
「当時付き合っていた恋人の両親にばれたんだ。元の世界でも同性愛は異質だったから」
施錠をしていない扉を開け、鍵をかけながら姿を探しに二階へと続く階段を上っていた時だ。静かなナツヤの声が微かに聞こえ、アンシュルは足を止める。
少し前から、ナツヤはエンリルと一軒家で二人暮らしを始めた。躊躇わずに同居をした末弟は、自分にないものばかり持っているとつくづく思う。
「──で、どうしたんだ」
「そりゃあもう、泥沼よ。互いの親を含めた話し合いになって……俺の家は母親だけだったんだけど、だからこそ向こうの両親にボロクソ言われて」
あんたんとこの息子が同性愛者なのはどうでもいい。だがうちの息子まで巻き込むんじゃない。
多感な時期に余計な知恵を押しつけられたせいで息子は足を踏み外してしまった。この子は将来だってあるのに──。
「それって、おかしいだろ。将来があるのはナツヤだって同じだし、本当に同性愛に嫌悪しているならば、あなたとつきあってもいないはずだ」
どこまでもまっすぐな弟の声に、ナツヤもまた笑ったようだった。ほんの少し和やかな空気が流れる。
「──そうだよ。でも、俺は親たちに何を言われても良かった。……良かったんだけどな。あいつは無理だった」
だから、結局終わった。
好きなのに苦しい、と言われて、何も言えなくなった。
それはいつものナツヤの口調だったが、エンリルも思うところがあったのだろう。次には長い沈黙が流れ、アンシュルは結局階段を静かに引き返した。
諦める選択もせず突き放す選択すらできなかった己を、末弟は今でも許してはいない。
ナツヤの過去を聞いたのは初めてのことだったが、だからと言ってあの頃の自分が他の選択をしていたのかと言えば、それは否だと断言できる。
だが、エンリルは違う。
彼をそんな思いはさせないと言い切った。
迷いも戸惑いも、世間の目も気にすることもなく。失うくらいなら、何もかもを捨てて傍にいること選択するだろう。そして何よりもナツヤの幸せを願うのだ。
家を出て、足早に町を通り抜ける。感じる視線と挨拶は常のもので小さく頷き返しながら次期国王である自分を唐突に殺したくなった。
姉を殺した因縁の真我は消滅した。
失ったと思った恋人は戻り、その身体もいつだって抱ける。声も笑顔も泣き顔も、うれしさも悲しさも寂しささえ傍で共有できる。
けれどあの家には帰れない。彼等は変わらず受け入れるだろう。でも、あの家には帰れない。
幸せを望んでやりたいのに、そこに自分がいないのなら死んでしまえばいいと思う。笑っている顔が好きなのに、隣が自分じゃなければいつも泣いていろと願ってしまう。
お前のすべては自分であって、自分のすべてはお前で──。
本当は──、
本当は、それを望んでいたのに。
「あ、隊長ここにいらっしゃったんですね。明日の国王陛下の予定なんですが、急遽変更になったようで、明朝港町へ」
「……サウレの船か」
「はい。数日停泊して色々調べていたようですが、やはりあの船──」
手放せるものなら手放している。
誰かのものになるなら、いっそどこかに閉じ込めてしまいたい。
だが、そうできる権利を手放したのは、いつだって自分だ。
諦めて生きるということは、なにも信じていない証拠だ。
いつも遠くを見ていたあの背は、裏切りを知り信頼を失い、愛を捨て去った残像だった。
彼にとって真我とは、ただの凶暴な黒い巨体の生物だっただろうか。生命を脅かす、それだけの存在に見えたことがあっただろうか。
それでもあの頃の彼は、己がすべてだった。だからこそ同じものを返せずにいた自分を責めることもせず、ただ受け入れた。まるでそれも背負うべきものだと言うように、文句も言わず。
諦めてほしかったのか、もうよくわからない。
──諦めてない! だって、お前がいたから俺は戻った! なあ、アーシュ……!
あんなことを言わせるつもりではなかった。
迷わず真我に飛び込んでいったナツヤを見て、もう守らなくてもいいのだと悟ったからだ。それまで彼のすべてだった存在から、ただの男に成り下がった事に気付いたからだ。
ただの男ならまだ良かったのかもしれない。実際はなりふりかまわず投げ捨てることも、覚悟して胸を張ることもできない腰抜けの男がいるだけ。
手にしていたはずのものは、はじめから手に入っていなかった。穏やかな末弟の愚かなほど真っ直ぐな愛に、足を踏み出した彼はもう自分に縋り付くことはない。
どうしてやりたかったのか、どうすればよかったのか、そんなことばかり考える。
そんなことばかり考えるくせに、答えはもう出ているからたちが悪い。
「帰ってらしたのですね。いま、支度します」
不意に背後から声をかけられアンシュルは我に返る。
隊服を脱ぎもせず窓の外を見ていたのに、理由はない。明かりが灯され、暖かい光に包まれる部屋は馴染みがあるようでない住処だ。どこかへ出掛けていたのか妻と子がこちらを見て少し瞠目したようだった。
だがすぐに息子は何も言わず自室へ向かい、妻は早速夕食の支度に取りかかった。
その後ろ姿を見つめていると、今もあの家で二人が笑い合いながら夕食の準備に取りかかっているのだろうと容易に想像してしまい舌を打ちたくなる。
狭いキッチンで『男なら黙って焼けばいい』とひたすら肉を焼くだけの作業を料理と言い張った彼に、思わず笑ってしまったのはいつの話だろう。
抱き寄せて頬を近づけるだけで幸せだった。その腰に腕を回すだけで凍り付いた何かが溶かされるような感覚がした。
でも、もうそこに自分はいない。
「……花を、手向けに行ったんです」
戸惑うような妻の声。
「命日でもないのに、なんだか話をしたくて──」
「……姉も、喜ぶ」
「覚えていますか。イーリス様が私の手を握って偶然通りかかった貴方に」
「『この子、明日からうちの子になるの!』だろう」
「そうです。そうしたら貴方、ちょっとだけ驚いた顔をしたけれど、すぐに『そうか。女が増えれば父も母も喜ぶ』って。至極どうでもよさげに」
くすくす笑う妻の瞳は、純粋にあの頃を思い出している表情だ。まるで覚えていなかった己の返答に思わず呆れたが、一番は姉の無鉄砲さに懐かしさを覚えた。
「……叔父様に引き取られていたのに、私、その言葉がほんとうに嬉しかったんです。イーリス様にはたくさん救われました。──本当に、たくさん」
両親を真我の襲撃で失った彼女を引き取った叔父は、彼女の生きる気力を失うには十分の仕打ちをしていたとその日の夜、イーリスに聞かされた。パンディアは笑い方を忘れ、声すら失っていた。
世話焼きの姉が彼女を放っておけなかったのは当然だろう。手負いの動物を片っ端から拾ってくる姉だ。人間だって、例外ではない。
そしてそれに振り回されていたのは自分も含む弟たちと両親だ。だが誰も、彼女の行動を咎めなかった。
誰よりも面倒見が良く、誰よりも毅然としていた。父も母も彼女の聡明さと優しさを誇りに思い、兄弟たちは心から彼女を慕っていた。惹かれる人間は数多にいたはずだ。彼女の周囲は常に誰かに囲まれていて、だからこそ決してあの化け物に無残に食われる運命ではなかった。
いつだって、間違いの元は己にある。
解放してやらねば、きっと後悔する。だが解放すれば、ずっと後悔する。
決意は常に揺らぐ。
隊服を着込む度、冬が深くなる度、真我を目にする度。
影はきっと今も彼を苦しめている。真我は常に人を求めている。連鎖を食い止めるために剣を振っても、心は晴れない。雪が降らなくなり積雪が融け始めても、曇天は続いている。
苦しさの果てはあるのか、時折誰かに訊きたくなる。
だがアンシュルの顔を見て心配げに様子をうかがう妻子を見れば、何を勝手なことを、と自嘲する。
パンディアは結局、叔父に引き取られたまま成人した。だがイーリスの剣幕に父も思うところがあったのか何やら色々と手を回したようで、彼女はそれから少しずつ良くなった。
結婚相手に彼女を選んだのは偶然ではない。当時姉を見る彼女の瞳が他と違うのに気付いていたし、異性に怯え近づくこともできない彼女なら面倒は起こさないと打算もあった。触れようともしなかった自分を信頼したのか、彼女との子作りは問題なかった。己の瞳の奥に、そしてこの容姿に彼女が思慕する面影があることも功を奏したのだろう。
生まれた子は自分にずいぶん似ていた。
今でははっきり自分に意見を言うほど成長し、母を常に思い遣る立派な男に育っている。その感謝だって、忘れたことはない。
そうだ。
このまま、時さえ流れてくれれば。
恋をしたあの日の記憶も、いつかは色褪せる。
だから眠ろう。灰色の世界でも、息はできる。
手放した毎日は、順調に色を失った。絶望を知ったはずの身だと思っていたのに、それは驕りだと気付いた。
目に入らないようにしても、ここは彼であふれている。
幸せならそれでいいと言い聞かせるのに、時折感じる視線に何度も期待し、これでいいのかともう何十回目の迷路に佇む。
「アーシュ、行くわよ!」
ぐい、と手を引かれ驚く暇もなく立ち上がったアンシュルの背を、イーリスが両腕で容赦なく押し込んできた。揺れる水面に驚いて踏ん張ったが、不意を突かれた身体は既に傾いでいる。咄嗟に桟橋につながれていた小舟にそのままの勢いで乗り込むと、ずいぶんと揺れて、転覆の危機に陥った。
さすがに文句の一つでも言おうとイーリスを振り返れば、彼女は淡い黄色のドレスを身に纏っているのにも気にせず、はしたなく足を上げて舟に乗り込んできた。
ぐらぐら揺れる小舟で転覆から免れようと座り込めば、イーリスもまた向かいに座ってオールを一つ手に取った。
「おい、あぶないだろ」
「早く、クレイスとニールが来ちゃうわ」
「、乗せてくれって泣くだろう」
「だから漕ぐのよ。ほら、早く!」
面倒見のいい姉がそんな事を言うとは思わず、アンシュルは瞠目する。視線に気付いたのかイーリスが、なによ、と口を尖らせる。ひとまず彼女の機嫌をとった方がいいだろうとすぐにオールを持ち水面に潜らせれば、イーリスもまた腕を動かした。
「珍しいな、そんな格好」
「折角の休暇なんだからって、母様が言うの」
「ズボンより、似合ってる」
「うるさいわね」
素直な感想だったが、不正解だったようだ。討伐訓練を好むお転婆な姉には、ドレスは不服らしい。
それ以上は何も言わない方がいいと水面を眺めながらオールを漕ぐと、頭上を大きな白鳥が横切っていった。静かに前進する小舟の少し先で白鳥は羽をしまい、水面に降り立つ。
魚を探すのだろうか。
桟橋で釣りの準備をしていた最中だったと思い出したが、イーリスの目的はわからない。慌てるほどのものはここには何もない。
「折角の休暇なのよ。子守から解放されたっていいはず」
「だが」
夏になると休暇を取りこの城で過ごすのが慣例行事だが、兄弟の多い自分たちにとってそれは町の城での生活とあまり大差ない。討伐隊員のいない家族だけの空間というだけで、無邪気なのは幼い弟たちだけだ。
湖も近くにあるとなれば、誰かが常に見張っていないと無謀な子供はすぐに沈むだろう。
恐ろしくなりオールを漕ぐ手を止め桟橋を振り返ったが、ニールやクレイスの姿は見えなかった。ヴァルが見ているのか、と視線を巡らすと、イーリスがこちらを見て笑っている。
「……なんだ」
「馬鹿ね、アーシュ。あの子たちは父様と港町に行ったわ」
「……先に言ってくれ」
「貴方って本当に真面目よね」
呆れたようにイーリスが空を仰いで、ドレスが汚れるのも構わず足を伸ばした。白い足首がこちらに伸びて、眉を寄せて抗議する。
「母様が、アーシュは完璧主義だから心配だわ、って言うのよ」
「俺が?」
全く身に覚えがない話だ。なぜなら完璧だなんて無理だ。無理だからこそ、努力するしかなく当然それに近づけるとも思っていない。
「勉強も、人付き合いも、家族のことも。アーシュはいつも我慢してやるべき事をやるの。いつか爆発しないかしら、って」
「するわけないだろ。というよりそれは姉上の方じゃないか」
完璧で、隙さえなく正義漢にあふれ面倒見のいい王族の誇り。誰もが彼女を賞賛し、憧れる存在。
だがイーリスは「これで?」と投げ出された足を動かした。汚れた靴先がアンシュルのズボンに当たる。
「私が完璧主義? それはないわ。だって私は計算高いし、いざとなったら父様に甘えるもの。母様にだってそうよ」
「そんなことは」
あるのか。
思い当たる節は確かにある。姉は常に誰かを気遣っていたが、それでいいのかと問いかけると「いいの。あとで父様に返してもらうから」と答えていた。まともに信じたことはなかったが、正直な意見だったのだろう。計算高い、とは少し違う気もするが彼女もそうして息抜きをしているとは思わず意外だった。
考えたこともなかったが、それはそうとしてなぜそんな話をするのか理解できない。一体何を言われるのかと怪訝にイーリスを見たが、彼女は空を仰いだままこちらを見ようとはしない。
「心配してるの。我慢ばかりして取り返しのつかない事態にならないかって」
「そんなことにはならない」
「そう? でも貴方はもっと力を抜いてもいいと思う。弟の面倒なんて見たくないって母様に言っても罰は当たらないわ」
「母上はただでさえ俺たちの面倒で大変だし、休まる時間も必要だろ。大体、それくらいのことは苦じゃない」
「すごいわね、アーシュは。本当にすごいわ」
私にはできない。
イーリスが呟いて、空から視線を戻した。白い頬が少し上気して夏の日差しで赤くなっていた。どうしてこの顔を忘れていたのだろうと思って、なんだか目が離せない。
「でも貴方の我が儘を、望んでいる人もいるの」
「我が儘を……?」
そんな酔狂な人間などいるわけがない。
思わず鼻で笑うと、イーリスが悲しそうな表情を浮かべる。なぜだかそれに胸がひどく痛んで、慌てて言い訳を探すがうまく見つからずに結局沈黙する。
「貴方の我が儘を待っている人がいるの。喜ぶ人が、いるのよ」
「そんなもの、」
「いるのよ、アーシュ」
常に優しい瞳で見守る母と、厳しいながらも真っ直ぐこちら見ている父。欲しいものはあるか、と聞かれても何でも揃っていると答えられる。大事にされているから、我が儘を言うほど不満はない。
「愛する者の我が儘は、それでさえ愛しいの」
愛する者の苦悩は、同じように苦しいの。
「知っているでしょう?」
そうだ。
黒髪の、あの異国人。いつも寂しそうで、いつも諦めている。
抱きしめると細い腕がしっかりと絡みつくのに、一方で簡単にすり抜けていく。今度こそ離さないようにと思うのに、彼はいつも遠くにいた。
寂しいなら傍にいたい。
悲しいなら同じ時を共にしよう。
言い出せぬ苦しみは分け与えてほしい。ひび割れた心を修復できるのなら、苦しみさえも甘美だ。
でも。
本当は違う。
本当は、止めてほしかった。
彼の願いならなんだって聞きたかった。
「……我が儘を言ってほしかった」
お前の我が儘は喜びなのだと知ってほしかった。全身全霊の我が儘でいくらでも生き返ると感じてほしかった。
躊躇と後悔で塗れていたあの時の己は、その願いさえあればどこへでも行けたはずだった。何もかもを捨て、真っ直ぐに前だけを向き、喜びに打ち震えたはずだ。
でもそんな悲しみにまみれた幸福を、彼は望まない。
「……私は、言ってほしかったんだ」
最後の我が儘を、誰よりも望んだ。
「お前の我が儘なら、喜んで受け入れるつもりだった」
言って、気付く。
本当だ。そんな酔狂な人間が、まさに今、ここにいる。
驚いて顔を上げるとイーリスが笑っている。頷いて、まだ笑って、そうして水面を指さした。
ゆら、と黄金色の鱗が見えて、巨大な魚が悠々と泳いでいる。時間から解放されたようなその魚はずいぶんと悠長で雄大で、何もかも知っている主のように見えた。
金色に輝く鱗は水中で日光に反射し、きらきらと瞬きながら夏の湖を優雅に漂う。
「ここの、王よ」
「……王」
「初王が崩御した後、姿を現したんですって」
昔、父様から聞いたの。彼女はそう言って、立てた膝の上に頬杖をついた。足元のドレスが乱れていたので、姫なんだからもう少し考えろ、と言ったはずの声は、どこか遠い。
姉上。
呼びかけると彼女は笑みを深くする。
嫌だ。離れたくない。
でも一方で目覚めなければと望んでいる。身体が知っている。
「喜ぶ人がいるのよ」
再度頷く姉に、アンシュルはもう何も言えなかった。彼女はここで幸せに過ごしている。ただそれだけは理解できるので、恐怖はない。
あの日、ほしかったものは手に入らなかった。でもそれは相手も同じだ。だって二人は、似たもの同士だから。
求めなければ曖昧のままでも時間を共に過ごせるとそう思っていた。今ならわかる。求めてほしかったのは自分だけではなく、彼もそうだったのに。
魚の王は静かに沈んでいった。黄金色の鱗が徐々に見えなくなると、碧色の水は元通り、金色の王族たちを映した。
息を吐く。
もういいのか。
我慢しなくてもいいか。
姉が頷く。貴方が望んだように、相手も望んでいるのだと笑う。
目が覚める。
それは長い夢だった。振り返るとずいぶんと。
◇
「別れてほしい」
春の訪れを報せる小鳥の囀りを聞きながら言うことではない。だが妻の顔を見た途端、アンシュルはこれでいいのだと理解した。
妻は瞠目したが、次には穏やかに微笑んで「はい」と頷く。
まるでそれを予想していたかのような、清々しいほど凪いだ表情だ。
イーリスの言葉を思い出す。
愛する者の我が儘は、それでさえ愛しい。
それは、たぶん彼に限った話ではない気がした。きっと今まで、こうして多くのことを取り零してきたのだろう。
伝えよう。
抱えきれぬ思いを胸に抱いて歩くのには、力が足りない。色褪せた世界では満足に息もできない。
お前を貸してほしい。少しでいいから、助けてほしい、と。
そうされたかったあの日を、今一度やり直しに。
了
愚かだった、と何度もでも後悔する。
無視してきた時間の責任はいつか喪失という形で終わりが来るとも知っていた。
「当時付き合っていた恋人の両親にばれたんだ。元の世界でも同性愛は異質だったから」
施錠をしていない扉を開け、鍵をかけながら姿を探しに二階へと続く階段を上っていた時だ。静かなナツヤの声が微かに聞こえ、アンシュルは足を止める。
少し前から、ナツヤはエンリルと一軒家で二人暮らしを始めた。躊躇わずに同居をした末弟は、自分にないものばかり持っているとつくづく思う。
「──で、どうしたんだ」
「そりゃあもう、泥沼よ。互いの親を含めた話し合いになって……俺の家は母親だけだったんだけど、だからこそ向こうの両親にボロクソ言われて」
あんたんとこの息子が同性愛者なのはどうでもいい。だがうちの息子まで巻き込むんじゃない。
多感な時期に余計な知恵を押しつけられたせいで息子は足を踏み外してしまった。この子は将来だってあるのに──。
「それって、おかしいだろ。将来があるのはナツヤだって同じだし、本当に同性愛に嫌悪しているならば、あなたとつきあってもいないはずだ」
どこまでもまっすぐな弟の声に、ナツヤもまた笑ったようだった。ほんの少し和やかな空気が流れる。
「──そうだよ。でも、俺は親たちに何を言われても良かった。……良かったんだけどな。あいつは無理だった」
だから、結局終わった。
好きなのに苦しい、と言われて、何も言えなくなった。
それはいつものナツヤの口調だったが、エンリルも思うところがあったのだろう。次には長い沈黙が流れ、アンシュルは結局階段を静かに引き返した。
諦める選択もせず突き放す選択すらできなかった己を、末弟は今でも許してはいない。
ナツヤの過去を聞いたのは初めてのことだったが、だからと言ってあの頃の自分が他の選択をしていたのかと言えば、それは否だと断言できる。
だが、エンリルは違う。
彼をそんな思いはさせないと言い切った。
迷いも戸惑いも、世間の目も気にすることもなく。失うくらいなら、何もかもを捨てて傍にいること選択するだろう。そして何よりもナツヤの幸せを願うのだ。
家を出て、足早に町を通り抜ける。感じる視線と挨拶は常のもので小さく頷き返しながら次期国王である自分を唐突に殺したくなった。
姉を殺した因縁の真我は消滅した。
失ったと思った恋人は戻り、その身体もいつだって抱ける。声も笑顔も泣き顔も、うれしさも悲しさも寂しささえ傍で共有できる。
けれどあの家には帰れない。彼等は変わらず受け入れるだろう。でも、あの家には帰れない。
幸せを望んでやりたいのに、そこに自分がいないのなら死んでしまえばいいと思う。笑っている顔が好きなのに、隣が自分じゃなければいつも泣いていろと願ってしまう。
お前のすべては自分であって、自分のすべてはお前で──。
本当は──、
本当は、それを望んでいたのに。
「あ、隊長ここにいらっしゃったんですね。明日の国王陛下の予定なんですが、急遽変更になったようで、明朝港町へ」
「……サウレの船か」
「はい。数日停泊して色々調べていたようですが、やはりあの船──」
手放せるものなら手放している。
誰かのものになるなら、いっそどこかに閉じ込めてしまいたい。
だが、そうできる権利を手放したのは、いつだって自分だ。
諦めて生きるということは、なにも信じていない証拠だ。
いつも遠くを見ていたあの背は、裏切りを知り信頼を失い、愛を捨て去った残像だった。
彼にとって真我とは、ただの凶暴な黒い巨体の生物だっただろうか。生命を脅かす、それだけの存在に見えたことがあっただろうか。
それでもあの頃の彼は、己がすべてだった。だからこそ同じものを返せずにいた自分を責めることもせず、ただ受け入れた。まるでそれも背負うべきものだと言うように、文句も言わず。
諦めてほしかったのか、もうよくわからない。
──諦めてない! だって、お前がいたから俺は戻った! なあ、アーシュ……!
あんなことを言わせるつもりではなかった。
迷わず真我に飛び込んでいったナツヤを見て、もう守らなくてもいいのだと悟ったからだ。それまで彼のすべてだった存在から、ただの男に成り下がった事に気付いたからだ。
ただの男ならまだ良かったのかもしれない。実際はなりふりかまわず投げ捨てることも、覚悟して胸を張ることもできない腰抜けの男がいるだけ。
手にしていたはずのものは、はじめから手に入っていなかった。穏やかな末弟の愚かなほど真っ直ぐな愛に、足を踏み出した彼はもう自分に縋り付くことはない。
どうしてやりたかったのか、どうすればよかったのか、そんなことばかり考える。
そんなことばかり考えるくせに、答えはもう出ているからたちが悪い。
「帰ってらしたのですね。いま、支度します」
不意に背後から声をかけられアンシュルは我に返る。
隊服を脱ぎもせず窓の外を見ていたのに、理由はない。明かりが灯され、暖かい光に包まれる部屋は馴染みがあるようでない住処だ。どこかへ出掛けていたのか妻と子がこちらを見て少し瞠目したようだった。
だがすぐに息子は何も言わず自室へ向かい、妻は早速夕食の支度に取りかかった。
その後ろ姿を見つめていると、今もあの家で二人が笑い合いながら夕食の準備に取りかかっているのだろうと容易に想像してしまい舌を打ちたくなる。
狭いキッチンで『男なら黙って焼けばいい』とひたすら肉を焼くだけの作業を料理と言い張った彼に、思わず笑ってしまったのはいつの話だろう。
抱き寄せて頬を近づけるだけで幸せだった。その腰に腕を回すだけで凍り付いた何かが溶かされるような感覚がした。
でも、もうそこに自分はいない。
「……花を、手向けに行ったんです」
戸惑うような妻の声。
「命日でもないのに、なんだか話をしたくて──」
「……姉も、喜ぶ」
「覚えていますか。イーリス様が私の手を握って偶然通りかかった貴方に」
「『この子、明日からうちの子になるの!』だろう」
「そうです。そうしたら貴方、ちょっとだけ驚いた顔をしたけれど、すぐに『そうか。女が増えれば父も母も喜ぶ』って。至極どうでもよさげに」
くすくす笑う妻の瞳は、純粋にあの頃を思い出している表情だ。まるで覚えていなかった己の返答に思わず呆れたが、一番は姉の無鉄砲さに懐かしさを覚えた。
「……叔父様に引き取られていたのに、私、その言葉がほんとうに嬉しかったんです。イーリス様にはたくさん救われました。──本当に、たくさん」
両親を真我の襲撃で失った彼女を引き取った叔父は、彼女の生きる気力を失うには十分の仕打ちをしていたとその日の夜、イーリスに聞かされた。パンディアは笑い方を忘れ、声すら失っていた。
世話焼きの姉が彼女を放っておけなかったのは当然だろう。手負いの動物を片っ端から拾ってくる姉だ。人間だって、例外ではない。
そしてそれに振り回されていたのは自分も含む弟たちと両親だ。だが誰も、彼女の行動を咎めなかった。
誰よりも面倒見が良く、誰よりも毅然としていた。父も母も彼女の聡明さと優しさを誇りに思い、兄弟たちは心から彼女を慕っていた。惹かれる人間は数多にいたはずだ。彼女の周囲は常に誰かに囲まれていて、だからこそ決してあの化け物に無残に食われる運命ではなかった。
いつだって、間違いの元は己にある。
解放してやらねば、きっと後悔する。だが解放すれば、ずっと後悔する。
決意は常に揺らぐ。
隊服を着込む度、冬が深くなる度、真我を目にする度。
影はきっと今も彼を苦しめている。真我は常に人を求めている。連鎖を食い止めるために剣を振っても、心は晴れない。雪が降らなくなり積雪が融け始めても、曇天は続いている。
苦しさの果てはあるのか、時折誰かに訊きたくなる。
だがアンシュルの顔を見て心配げに様子をうかがう妻子を見れば、何を勝手なことを、と自嘲する。
パンディアは結局、叔父に引き取られたまま成人した。だがイーリスの剣幕に父も思うところがあったのか何やら色々と手を回したようで、彼女はそれから少しずつ良くなった。
結婚相手に彼女を選んだのは偶然ではない。当時姉を見る彼女の瞳が他と違うのに気付いていたし、異性に怯え近づくこともできない彼女なら面倒は起こさないと打算もあった。触れようともしなかった自分を信頼したのか、彼女との子作りは問題なかった。己の瞳の奥に、そしてこの容姿に彼女が思慕する面影があることも功を奏したのだろう。
生まれた子は自分にずいぶん似ていた。
今でははっきり自分に意見を言うほど成長し、母を常に思い遣る立派な男に育っている。その感謝だって、忘れたことはない。
そうだ。
このまま、時さえ流れてくれれば。
恋をしたあの日の記憶も、いつかは色褪せる。
だから眠ろう。灰色の世界でも、息はできる。
手放した毎日は、順調に色を失った。絶望を知ったはずの身だと思っていたのに、それは驕りだと気付いた。
目に入らないようにしても、ここは彼であふれている。
幸せならそれでいいと言い聞かせるのに、時折感じる視線に何度も期待し、これでいいのかともう何十回目の迷路に佇む。
「アーシュ、行くわよ!」
ぐい、と手を引かれ驚く暇もなく立ち上がったアンシュルの背を、イーリスが両腕で容赦なく押し込んできた。揺れる水面に驚いて踏ん張ったが、不意を突かれた身体は既に傾いでいる。咄嗟に桟橋につながれていた小舟にそのままの勢いで乗り込むと、ずいぶんと揺れて、転覆の危機に陥った。
さすがに文句の一つでも言おうとイーリスを振り返れば、彼女は淡い黄色のドレスを身に纏っているのにも気にせず、はしたなく足を上げて舟に乗り込んできた。
ぐらぐら揺れる小舟で転覆から免れようと座り込めば、イーリスもまた向かいに座ってオールを一つ手に取った。
「おい、あぶないだろ」
「早く、クレイスとニールが来ちゃうわ」
「、乗せてくれって泣くだろう」
「だから漕ぐのよ。ほら、早く!」
面倒見のいい姉がそんな事を言うとは思わず、アンシュルは瞠目する。視線に気付いたのかイーリスが、なによ、と口を尖らせる。ひとまず彼女の機嫌をとった方がいいだろうとすぐにオールを持ち水面に潜らせれば、イーリスもまた腕を動かした。
「珍しいな、そんな格好」
「折角の休暇なんだからって、母様が言うの」
「ズボンより、似合ってる」
「うるさいわね」
素直な感想だったが、不正解だったようだ。討伐訓練を好むお転婆な姉には、ドレスは不服らしい。
それ以上は何も言わない方がいいと水面を眺めながらオールを漕ぐと、頭上を大きな白鳥が横切っていった。静かに前進する小舟の少し先で白鳥は羽をしまい、水面に降り立つ。
魚を探すのだろうか。
桟橋で釣りの準備をしていた最中だったと思い出したが、イーリスの目的はわからない。慌てるほどのものはここには何もない。
「折角の休暇なのよ。子守から解放されたっていいはず」
「だが」
夏になると休暇を取りこの城で過ごすのが慣例行事だが、兄弟の多い自分たちにとってそれは町の城での生活とあまり大差ない。討伐隊員のいない家族だけの空間というだけで、無邪気なのは幼い弟たちだけだ。
湖も近くにあるとなれば、誰かが常に見張っていないと無謀な子供はすぐに沈むだろう。
恐ろしくなりオールを漕ぐ手を止め桟橋を振り返ったが、ニールやクレイスの姿は見えなかった。ヴァルが見ているのか、と視線を巡らすと、イーリスがこちらを見て笑っている。
「……なんだ」
「馬鹿ね、アーシュ。あの子たちは父様と港町に行ったわ」
「……先に言ってくれ」
「貴方って本当に真面目よね」
呆れたようにイーリスが空を仰いで、ドレスが汚れるのも構わず足を伸ばした。白い足首がこちらに伸びて、眉を寄せて抗議する。
「母様が、アーシュは完璧主義だから心配だわ、って言うのよ」
「俺が?」
全く身に覚えがない話だ。なぜなら完璧だなんて無理だ。無理だからこそ、努力するしかなく当然それに近づけるとも思っていない。
「勉強も、人付き合いも、家族のことも。アーシュはいつも我慢してやるべき事をやるの。いつか爆発しないかしら、って」
「するわけないだろ。というよりそれは姉上の方じゃないか」
完璧で、隙さえなく正義漢にあふれ面倒見のいい王族の誇り。誰もが彼女を賞賛し、憧れる存在。
だがイーリスは「これで?」と投げ出された足を動かした。汚れた靴先がアンシュルのズボンに当たる。
「私が完璧主義? それはないわ。だって私は計算高いし、いざとなったら父様に甘えるもの。母様にだってそうよ」
「そんなことは」
あるのか。
思い当たる節は確かにある。姉は常に誰かを気遣っていたが、それでいいのかと問いかけると「いいの。あとで父様に返してもらうから」と答えていた。まともに信じたことはなかったが、正直な意見だったのだろう。計算高い、とは少し違う気もするが彼女もそうして息抜きをしているとは思わず意外だった。
考えたこともなかったが、それはそうとしてなぜそんな話をするのか理解できない。一体何を言われるのかと怪訝にイーリスを見たが、彼女は空を仰いだままこちらを見ようとはしない。
「心配してるの。我慢ばかりして取り返しのつかない事態にならないかって」
「そんなことにはならない」
「そう? でも貴方はもっと力を抜いてもいいと思う。弟の面倒なんて見たくないって母様に言っても罰は当たらないわ」
「母上はただでさえ俺たちの面倒で大変だし、休まる時間も必要だろ。大体、それくらいのことは苦じゃない」
「すごいわね、アーシュは。本当にすごいわ」
私にはできない。
イーリスが呟いて、空から視線を戻した。白い頬が少し上気して夏の日差しで赤くなっていた。どうしてこの顔を忘れていたのだろうと思って、なんだか目が離せない。
「でも貴方の我が儘を、望んでいる人もいるの」
「我が儘を……?」
そんな酔狂な人間などいるわけがない。
思わず鼻で笑うと、イーリスが悲しそうな表情を浮かべる。なぜだかそれに胸がひどく痛んで、慌てて言い訳を探すがうまく見つからずに結局沈黙する。
「貴方の我が儘を待っている人がいるの。喜ぶ人が、いるのよ」
「そんなもの、」
「いるのよ、アーシュ」
常に優しい瞳で見守る母と、厳しいながらも真っ直ぐこちら見ている父。欲しいものはあるか、と聞かれても何でも揃っていると答えられる。大事にされているから、我が儘を言うほど不満はない。
「愛する者の我が儘は、それでさえ愛しいの」
愛する者の苦悩は、同じように苦しいの。
「知っているでしょう?」
そうだ。
黒髪の、あの異国人。いつも寂しそうで、いつも諦めている。
抱きしめると細い腕がしっかりと絡みつくのに、一方で簡単にすり抜けていく。今度こそ離さないようにと思うのに、彼はいつも遠くにいた。
寂しいなら傍にいたい。
悲しいなら同じ時を共にしよう。
言い出せぬ苦しみは分け与えてほしい。ひび割れた心を修復できるのなら、苦しみさえも甘美だ。
でも。
本当は違う。
本当は、止めてほしかった。
彼の願いならなんだって聞きたかった。
「……我が儘を言ってほしかった」
お前の我が儘は喜びなのだと知ってほしかった。全身全霊の我が儘でいくらでも生き返ると感じてほしかった。
躊躇と後悔で塗れていたあの時の己は、その願いさえあればどこへでも行けたはずだった。何もかもを捨て、真っ直ぐに前だけを向き、喜びに打ち震えたはずだ。
でもそんな悲しみにまみれた幸福を、彼は望まない。
「……私は、言ってほしかったんだ」
最後の我が儘を、誰よりも望んだ。
「お前の我が儘なら、喜んで受け入れるつもりだった」
言って、気付く。
本当だ。そんな酔狂な人間が、まさに今、ここにいる。
驚いて顔を上げるとイーリスが笑っている。頷いて、まだ笑って、そうして水面を指さした。
ゆら、と黄金色の鱗が見えて、巨大な魚が悠々と泳いでいる。時間から解放されたようなその魚はずいぶんと悠長で雄大で、何もかも知っている主のように見えた。
金色に輝く鱗は水中で日光に反射し、きらきらと瞬きながら夏の湖を優雅に漂う。
「ここの、王よ」
「……王」
「初王が崩御した後、姿を現したんですって」
昔、父様から聞いたの。彼女はそう言って、立てた膝の上に頬杖をついた。足元のドレスが乱れていたので、姫なんだからもう少し考えろ、と言ったはずの声は、どこか遠い。
姉上。
呼びかけると彼女は笑みを深くする。
嫌だ。離れたくない。
でも一方で目覚めなければと望んでいる。身体が知っている。
「喜ぶ人がいるのよ」
再度頷く姉に、アンシュルはもう何も言えなかった。彼女はここで幸せに過ごしている。ただそれだけは理解できるので、恐怖はない。
あの日、ほしかったものは手に入らなかった。でもそれは相手も同じだ。だって二人は、似たもの同士だから。
求めなければ曖昧のままでも時間を共に過ごせるとそう思っていた。今ならわかる。求めてほしかったのは自分だけではなく、彼もそうだったのに。
魚の王は静かに沈んでいった。黄金色の鱗が徐々に見えなくなると、碧色の水は元通り、金色の王族たちを映した。
息を吐く。
もういいのか。
我慢しなくてもいいか。
姉が頷く。貴方が望んだように、相手も望んでいるのだと笑う。
目が覚める。
それは長い夢だった。振り返るとずいぶんと。
◇
「別れてほしい」
春の訪れを報せる小鳥の囀りを聞きながら言うことではない。だが妻の顔を見た途端、アンシュルはこれでいいのだと理解した。
妻は瞠目したが、次には穏やかに微笑んで「はい」と頷く。
まるでそれを予想していたかのような、清々しいほど凪いだ表情だ。
イーリスの言葉を思い出す。
愛する者の我が儘は、それでさえ愛しい。
それは、たぶん彼に限った話ではない気がした。きっと今まで、こうして多くのことを取り零してきたのだろう。
伝えよう。
抱えきれぬ思いを胸に抱いて歩くのには、力が足りない。色褪せた世界では満足に息もできない。
お前を貸してほしい。少しでいいから、助けてほしい、と。
そうされたかったあの日を、今一度やり直しに。
了
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こちらこそまたお付き合いいただきありがとうございます!
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ありがとうございます。お言葉をいただけてすごく嬉しいです。
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ありがとうございます!
また読んでくださってうれしいです^^
コメントもありがとうございました!