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癒やされしもの
34*
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笑いながらそう言えば、エンリィはただごくりと喉を鳴らすだけで答えもしない。
それが心底可愛くて楽しくなり、ベッドに乗り上げた俺はエンリィを見つめたまま手のひらを一度握り締めた。そうして空気を揉むように精液塗れの手のひらをぐちゅぐちゅと鳴らして、ゆっくりと体勢を変えて開脚をする。
ずっと素っ裸だった俺を穴が開くほど見つめるエンリィの視線の先は、俺の中心だ。
そこは既に興奮で完全に勃ち上がり、期待に震えていた。
精液塗れの手で自身をゆっくりと握り締め上下に扱く。ぬるぬるとした感触とエンリィの視線に堪えようのない快楽が背筋を通り、思わず天を仰いだ。
「……は……ン……ッ……ぁ」
エンリィの精液をローション代わりに一人指を動かす。亀頭を手のひらで転がすように撫で、指先で裏筋をなぞり、感じる部分を容赦なく攻めて卑猥な音をさせながら。
くちゅ、くちゅと水音と俺の吐息だけが聞こえる空間に、息を殺して俺を見つめるエンリィの視線がたまらない。
「ほら……お前のと俺のでこんなに……」
言いながら上下させる手を速めると、興奮しきった顔でエンリィがそっと近付く。唇を舐めてエンリィを見上げ、吐息交じりに「そこの瓶取って……」と頼んだ。
エンリィはベッドサイドに置かれた潤滑油の瓶を見つけ、小さく頷いた。ぽん、と軽い音がして蓋を開ける彼から瓶を受け取り、自身から手を離す。
そうして膝立ちで俺を見下ろすエンリィを見上げ、そのまま身体を倒して横になった。
ごくり、と唾を飲み込んだエンリィが俺の手元を凝視している。
緩く笑みを浮かべ、先走りと精液で濡れた手のひらにたっぷりと油を落とし、そのまま欲望を握り締めた。零れ落ちる潤滑油が尻にまで垂れ、膝を立てて双丘の間へ流れるのを感じながら自身を擦り、ゆっくりと睾丸の先へ指を伸ばす。
言葉もなく見つめるエンリィは、俺の指がどこを探っているのか想像しているようだった。童貞に頼むのも一興だが、とりあえず煽りたい俺は簡単に触らせるのはやめておく。
膝立ちのエンリィの股間に目をやれば、ずり下がったままのズボンから先程俺が舐め回したせいで湿った下着が見えていた。暴発した後なのにも関わらず、そこは凶悪なほど膨らんで硬くなっている。
ふと思い当たって、口を開く。無論指は、内部に潜り込ませて解す事を忘れずに。
「……脱いで」
「……っ」
俺の言葉に無言でエンリィがズボンと下着を脱ぎ捨てる。互いに全裸になったことにどこか自信を取り戻したのかエンリィが俺に手を伸ばすのを次の言葉で引き留めた。
「跨がって……」
「……え」
目を見開いたエンリィが視線を彷徨わせる。
その表情に口角が上がるのも隠さず、俺は更に言い募った。
「俺の顔の上に……跨がって」
「ええ……っ……だ、だが……」
「あれだけでいいのか……? ……ちゃんと、しゃぶって欲しくないの?」
呟いてぐちゅりと内部に入れた指を揺らしはぁ、と声を出す。
片腕を尻の下に入れ指を動かす俺にエンリィが再度顔を真っ赤にして、口許を片手で覆う。
見え隠れする完勃ちの男根は長く太めで、緩く反った形もお世辞抜きに良い一物だ。
鍛え上げられた肉体と若々しい肌は女も男も虜にするだろう。綺麗な顔立ちと常に優しげな表情。そんな文句なしの男が、俺を見下ろして顔を赤くしてギラついている。
「……っン、はや、く」
興奮しているのはエンリィだけじゃない。
指を増やし、左右に広げながら出し入れをして感じる場所に時折触れる。それだけで腰が揺れる俺に、エンリィはたまらないと言わんばかりに俺の胸の上に跨がった。
それでも躊躇いはあるのだろう。反り立った自身を掴んで、口を開けて舌を出して待つ俺に膝立ちになり照準を合わせながらなんだか泣きそうな顔をしている。
「……こんな、こんな……っ」
「興奮しすぎて死ぬなよ……ぁむ……っ」
舌先に来た亀頭を舐めれば、真上のエンリィの腹が揺れる。反り返りすぎたその男根が舌先を弾いて上に逃げるのに、必死で追いかければエンリィが意を決したように自身を持ち俺の口に入れてくる。
酔った勢いのあの時とは違い、素面のエンリィは俺を傷つけないようにと考えている。その反面、この状況に甘んじていいのかと葛藤しながら、欲望に負けているのだろう。
そんなところが可愛いと思うのは俺がどうしようもないほど淫乱だからだろうか。
ひどくされるのも好きだと知ったら、エンリィはどうなるのだろう。
「……んぅ……ぶ……っンン……」
「はぁ……はぁっ……ナツヤ……」
硬くなり過ぎた男根は根元まで頬張りきれず半分ほどしか口に入らない。
ゆるゆると腰を動かし始めるエンリィを見上げながら、その恍惚とした表情を食い入るように見つめる。ぐりぐりと上顎が亀頭に犯される。その下をしつこく舌で左右に転がして口を窄めて吸い上げれば、くぐもった声を上げたエンリィが俺の頭を両手で掴んだ。
内心ニヤリと笑いながら、激しさを増していく腰の動きに必死に嘔吐くのを抑え、鼻で呼吸をしながら目を閉じる。
下腹部を愛撫する指が止まり、物のように扱われる現状に脳だけで興奮していく。
「あっ……あ……っ」
「ンンンー! ……ぅ」
びゅく、と口内に熱い飛沫を感じ、咄嗟に喉を開いてそれを飲み込んだ。
エンリィは顔をあげてきつく目を閉じている。絶頂に達したその顔はそれでも壮絶な美形王子のままだ。
先程イったのもなかったかのように大量に出される精液を飲み込み、まだまだと言わんばかりに吸い上げながら亀頭を愛撫すれば、腰を震わせたエンリィが低い声を出して身を引いた。
「……二発目も、濃いな」
「はぁ……っ……すご……かった」
ふうんと笑みを浮かべ見上げる俺に、視線を彷徨わせていたエンリィと目が合う。
そうして次にはハっとしたように俺から身体を離す彼に、俺は言う。
「……本番はこれからだぞ? ……ほらここ、見て……」
足元に回ったエンリィが、指を入れたままの俺を恐る恐る見下ろした。
見てはいけない場面を見ずにはいられないといった鬼気迫った表情がひどく可愛い。
ぐちゅり、と二本入れた指をかき回しながら、その部分を凝視しているエンリィの腕をもう片方の手で掴んだ。
「……指入れてみて」
「……っ」
見せつけるようにゆっくりと指を引き抜き、エンリィの男らしい骨ばった指を取り、人差し指と中指だけにさせる。喉仏が上下するその様子を見ながら、ふらふらと俺の指示通りに自身の指をそこに押し入れる男は、これからの事を期待しているのだろう。
すぐに復活する欲望に目を細め、若さは素晴らしいと改めて思う。
「ゆっくり……そう……んっ」
「……はっ……熱いし……凄い……こんなに狭いのか……」
「ふ、ここにお前の……入るんだぞ……?」
「……ッ……大丈夫なのか……」
遠慮がちに探るように動いていた指が一瞬そこに触れ、びくっと腰が浮く。
は、とエンリィはすぐに気付き、訝しげに俺を見下ろしている。その顔を見ながら俺は笑う。
「……っ今の、もっとやって……」
「っ」
「あ、あ、あ、ァ……っ……ああっ」
「気持ちいいのか……? 凄い……かわい」
それからのエンリィは優秀だった。僅かに膨らんだ前立腺を指腹で的確に押しながら、早くも遅くもない出し入れで俺を喘がせていく。
感じれば感じるほど声を上げ腰を震わせるその反応を見るのが、楽しくて仕方がないと言うように。
「だ、だめ……っ……エン……リ、」
「……ナツヤ、もう……」
イきそうになるのが嫌で、咄嗟にエンリィの腕を掴んだ俺に、エンリィが熱の籠もった眼差しで見つめてくる。
俺を抱きたい、入りたい、余すことなく感じたい。そう瞳が雄弁に語っていた。
来いよ、と呟く。掠れたその声が思った以上に欲情にまみれていて、エンリィと少しも変わらないじゃないか、と一人自嘲する。
ぐい、と脚を持ち間に入ってくる彼はもう男の顔をしていた。俺と目を合わせる事もなく、先端をその部分に押し付けている。
灼熱のようなその感触に入れてもいないのにイってしまいそうだった。
グ、と肉を押しのけて、ゆっくりと熱が侵入してきた。
「……せま……っ」
「ンンっ……はぁっ……ァ」
「なんだこれ……柔らかくて……きつ……」
眉を寄せて腰を進めるその男の顔を目を細めて見つめながら、思った以上に大きい熱に必死に息を整える。大きく出張ったカリの部分が、弱い部分を押し上げて奥へと進んだ。
その感触に背を仰け反らせて声を失った俺の先端から、白濁が飛び出る。
「……っうそ」
「……ぅンー……ッ! ……イ……ちゃ……っ」
びくびくと男根が震え、挿入で浮いているその体勢ゆえに胸や首まで飛んでいった精液をエンリィが血走った目で見ていた。
はぁはぁと肩で息をしながら、未だにびくびくする俺の両脚を痛いほどに掴み、慎重さをなくしたエンリィが更に奥へと入り込んでくる。
「アッ……ァ、あ……!」
ぐい、ぐい、ぐいと三度ほど突かれただろうか。
呻き声を上げたエンリィが突然動きを止め腹筋を震わせている。更に大きくなった内部のものが断続的に震えているのを感じ、ハ、と口許を緩めた。
「早漏」
息を飲んだエンリィは、笑う俺と目を合わせ恥ずかしそうに目を伏せた。
三回目に関わらず体内を濡らすその量に内心驚いているが、まあ今の今まで童貞だったし若いし……と頷く。
とうとう、王子の純潔を奪ってしまった。当の本人はそれどころではなさそうだが。
「く、ナツヤ……っ」
ぱちゅ、と穿たれ眉を上げる。
まだ元気なのか……。と考えられたのは一瞬だった。
「……ぅ、あ、あ、あ、あ……っ!」
「はぁっ……ナツヤ……ナツヤ……」
上から叩きつけられるような腰の動きに抵抗も出来ず翻弄される。数度の絶頂など無かったかのようにそそり立つその男根が相変わらず急所を抉り、慣れた体がカっと熱くなる。
ぐりぐりと回す様に押されるだけで無意識に出る精液がダラダラと腹を汚していく。イキそうでイケない、そんな快楽が終始続いている状態だった。
目も開けられず馬鹿みたいに喘ぐ俺の口をエンリィが塞ぐ。苦しさに首を振ってもしつこく舌を追われ、最後の方は殆ど泣いていた。
「だ、だめ……っ……エンリ、エンリ……ッ……イ……っちゃ」
「見せて……ナツ、見せて……」
初めてとは思えぬ腰使いで感じる箇所と最奥を容赦なく責められ、涎を垂らしながら弱々しく首を振る。
その瞬間、ぐう、と強烈な快感が全身を駆け巡り脳髄まで行き渡った。
全身に力が入り、それをエンリィが容赦ない力で押さえつけ、更に腰をゆすってくる。
死んでしまう、と思った。
呼吸さえできず絶頂を迎える俺に、エンリィもまた腰を震わせた。温かい濡れた感触にさえ感じてしまい、ただ身体が反応する。自身を見ても白濁はもう出ていない。
童貞のちんこで中イキしたのだ。
「……はっ……はっ……はっ」
強烈なセックスだった。
汗まみれで忙しなく呼吸しながら頭上のエンリィを見上げる。純潔を捨てたからか、元々そうなのか。王子の色気は壮絶で汗ばんた髪を掻き上げる仕草までも完璧だった。
綺麗なやつだな。
過ぎた快楽と心地良い疲労に呆然としている俺に、エンリィはふと目を合わせ口元を緩める。
「可愛かった」
「……そりゃよかったな。って、なに……」
身を起こしたエンリィがずるりと内部から出て行き、そうして俺を横に向かせる。そのまま背をエンリィに向かされ片腕で腰を支えられ……
「ってまだやんのかよ……!」
答えぬエンリィがぐい、と再度侵入してくるのに息を詰まらせながら、おっさんの俺は抵抗も出来ず。
今後童貞拗らせてる若いやつには、安易に近づかない方がいいと学習した一夜となった。
それが心底可愛くて楽しくなり、ベッドに乗り上げた俺はエンリィを見つめたまま手のひらを一度握り締めた。そうして空気を揉むように精液塗れの手のひらをぐちゅぐちゅと鳴らして、ゆっくりと体勢を変えて開脚をする。
ずっと素っ裸だった俺を穴が開くほど見つめるエンリィの視線の先は、俺の中心だ。
そこは既に興奮で完全に勃ち上がり、期待に震えていた。
精液塗れの手で自身をゆっくりと握り締め上下に扱く。ぬるぬるとした感触とエンリィの視線に堪えようのない快楽が背筋を通り、思わず天を仰いだ。
「……は……ン……ッ……ぁ」
エンリィの精液をローション代わりに一人指を動かす。亀頭を手のひらで転がすように撫で、指先で裏筋をなぞり、感じる部分を容赦なく攻めて卑猥な音をさせながら。
くちゅ、くちゅと水音と俺の吐息だけが聞こえる空間に、息を殺して俺を見つめるエンリィの視線がたまらない。
「ほら……お前のと俺のでこんなに……」
言いながら上下させる手を速めると、興奮しきった顔でエンリィがそっと近付く。唇を舐めてエンリィを見上げ、吐息交じりに「そこの瓶取って……」と頼んだ。
エンリィはベッドサイドに置かれた潤滑油の瓶を見つけ、小さく頷いた。ぽん、と軽い音がして蓋を開ける彼から瓶を受け取り、自身から手を離す。
そうして膝立ちで俺を見下ろすエンリィを見上げ、そのまま身体を倒して横になった。
ごくり、と唾を飲み込んだエンリィが俺の手元を凝視している。
緩く笑みを浮かべ、先走りと精液で濡れた手のひらにたっぷりと油を落とし、そのまま欲望を握り締めた。零れ落ちる潤滑油が尻にまで垂れ、膝を立てて双丘の間へ流れるのを感じながら自身を擦り、ゆっくりと睾丸の先へ指を伸ばす。
言葉もなく見つめるエンリィは、俺の指がどこを探っているのか想像しているようだった。童貞に頼むのも一興だが、とりあえず煽りたい俺は簡単に触らせるのはやめておく。
膝立ちのエンリィの股間に目をやれば、ずり下がったままのズボンから先程俺が舐め回したせいで湿った下着が見えていた。暴発した後なのにも関わらず、そこは凶悪なほど膨らんで硬くなっている。
ふと思い当たって、口を開く。無論指は、内部に潜り込ませて解す事を忘れずに。
「……脱いで」
「……っ」
俺の言葉に無言でエンリィがズボンと下着を脱ぎ捨てる。互いに全裸になったことにどこか自信を取り戻したのかエンリィが俺に手を伸ばすのを次の言葉で引き留めた。
「跨がって……」
「……え」
目を見開いたエンリィが視線を彷徨わせる。
その表情に口角が上がるのも隠さず、俺は更に言い募った。
「俺の顔の上に……跨がって」
「ええ……っ……だ、だが……」
「あれだけでいいのか……? ……ちゃんと、しゃぶって欲しくないの?」
呟いてぐちゅりと内部に入れた指を揺らしはぁ、と声を出す。
片腕を尻の下に入れ指を動かす俺にエンリィが再度顔を真っ赤にして、口許を片手で覆う。
見え隠れする完勃ちの男根は長く太めで、緩く反った形もお世辞抜きに良い一物だ。
鍛え上げられた肉体と若々しい肌は女も男も虜にするだろう。綺麗な顔立ちと常に優しげな表情。そんな文句なしの男が、俺を見下ろして顔を赤くしてギラついている。
「……っン、はや、く」
興奮しているのはエンリィだけじゃない。
指を増やし、左右に広げながら出し入れをして感じる場所に時折触れる。それだけで腰が揺れる俺に、エンリィはたまらないと言わんばかりに俺の胸の上に跨がった。
それでも躊躇いはあるのだろう。反り立った自身を掴んで、口を開けて舌を出して待つ俺に膝立ちになり照準を合わせながらなんだか泣きそうな顔をしている。
「……こんな、こんな……っ」
「興奮しすぎて死ぬなよ……ぁむ……っ」
舌先に来た亀頭を舐めれば、真上のエンリィの腹が揺れる。反り返りすぎたその男根が舌先を弾いて上に逃げるのに、必死で追いかければエンリィが意を決したように自身を持ち俺の口に入れてくる。
酔った勢いのあの時とは違い、素面のエンリィは俺を傷つけないようにと考えている。その反面、この状況に甘んじていいのかと葛藤しながら、欲望に負けているのだろう。
そんなところが可愛いと思うのは俺がどうしようもないほど淫乱だからだろうか。
ひどくされるのも好きだと知ったら、エンリィはどうなるのだろう。
「……んぅ……ぶ……っンン……」
「はぁ……はぁっ……ナツヤ……」
硬くなり過ぎた男根は根元まで頬張りきれず半分ほどしか口に入らない。
ゆるゆると腰を動かし始めるエンリィを見上げながら、その恍惚とした表情を食い入るように見つめる。ぐりぐりと上顎が亀頭に犯される。その下をしつこく舌で左右に転がして口を窄めて吸い上げれば、くぐもった声を上げたエンリィが俺の頭を両手で掴んだ。
内心ニヤリと笑いながら、激しさを増していく腰の動きに必死に嘔吐くのを抑え、鼻で呼吸をしながら目を閉じる。
下腹部を愛撫する指が止まり、物のように扱われる現状に脳だけで興奮していく。
「あっ……あ……っ」
「ンンンー! ……ぅ」
びゅく、と口内に熱い飛沫を感じ、咄嗟に喉を開いてそれを飲み込んだ。
エンリィは顔をあげてきつく目を閉じている。絶頂に達したその顔はそれでも壮絶な美形王子のままだ。
先程イったのもなかったかのように大量に出される精液を飲み込み、まだまだと言わんばかりに吸い上げながら亀頭を愛撫すれば、腰を震わせたエンリィが低い声を出して身を引いた。
「……二発目も、濃いな」
「はぁ……っ……すご……かった」
ふうんと笑みを浮かべ見上げる俺に、視線を彷徨わせていたエンリィと目が合う。
そうして次にはハっとしたように俺から身体を離す彼に、俺は言う。
「……本番はこれからだぞ? ……ほらここ、見て……」
足元に回ったエンリィが、指を入れたままの俺を恐る恐る見下ろした。
見てはいけない場面を見ずにはいられないといった鬼気迫った表情がひどく可愛い。
ぐちゅり、と二本入れた指をかき回しながら、その部分を凝視しているエンリィの腕をもう片方の手で掴んだ。
「……指入れてみて」
「……っ」
見せつけるようにゆっくりと指を引き抜き、エンリィの男らしい骨ばった指を取り、人差し指と中指だけにさせる。喉仏が上下するその様子を見ながら、ふらふらと俺の指示通りに自身の指をそこに押し入れる男は、これからの事を期待しているのだろう。
すぐに復活する欲望に目を細め、若さは素晴らしいと改めて思う。
「ゆっくり……そう……んっ」
「……はっ……熱いし……凄い……こんなに狭いのか……」
「ふ、ここにお前の……入るんだぞ……?」
「……ッ……大丈夫なのか……」
遠慮がちに探るように動いていた指が一瞬そこに触れ、びくっと腰が浮く。
は、とエンリィはすぐに気付き、訝しげに俺を見下ろしている。その顔を見ながら俺は笑う。
「……っ今の、もっとやって……」
「っ」
「あ、あ、あ、ァ……っ……ああっ」
「気持ちいいのか……? 凄い……かわい」
それからのエンリィは優秀だった。僅かに膨らんだ前立腺を指腹で的確に押しながら、早くも遅くもない出し入れで俺を喘がせていく。
感じれば感じるほど声を上げ腰を震わせるその反応を見るのが、楽しくて仕方がないと言うように。
「だ、だめ……っ……エン……リ、」
「……ナツヤ、もう……」
イきそうになるのが嫌で、咄嗟にエンリィの腕を掴んだ俺に、エンリィが熱の籠もった眼差しで見つめてくる。
俺を抱きたい、入りたい、余すことなく感じたい。そう瞳が雄弁に語っていた。
来いよ、と呟く。掠れたその声が思った以上に欲情にまみれていて、エンリィと少しも変わらないじゃないか、と一人自嘲する。
ぐい、と脚を持ち間に入ってくる彼はもう男の顔をしていた。俺と目を合わせる事もなく、先端をその部分に押し付けている。
灼熱のようなその感触に入れてもいないのにイってしまいそうだった。
グ、と肉を押しのけて、ゆっくりと熱が侵入してきた。
「……せま……っ」
「ンンっ……はぁっ……ァ」
「なんだこれ……柔らかくて……きつ……」
眉を寄せて腰を進めるその男の顔を目を細めて見つめながら、思った以上に大きい熱に必死に息を整える。大きく出張ったカリの部分が、弱い部分を押し上げて奥へと進んだ。
その感触に背を仰け反らせて声を失った俺の先端から、白濁が飛び出る。
「……っうそ」
「……ぅンー……ッ! ……イ……ちゃ……っ」
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はぁはぁと肩で息をしながら、未だにびくびくする俺の両脚を痛いほどに掴み、慎重さをなくしたエンリィが更に奥へと入り込んでくる。
「アッ……ァ、あ……!」
ぐい、ぐい、ぐいと三度ほど突かれただろうか。
呻き声を上げたエンリィが突然動きを止め腹筋を震わせている。更に大きくなった内部のものが断続的に震えているのを感じ、ハ、と口許を緩めた。
「早漏」
息を飲んだエンリィは、笑う俺と目を合わせ恥ずかしそうに目を伏せた。
三回目に関わらず体内を濡らすその量に内心驚いているが、まあ今の今まで童貞だったし若いし……と頷く。
とうとう、王子の純潔を奪ってしまった。当の本人はそれどころではなさそうだが。
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ぱちゅ、と穿たれ眉を上げる。
まだ元気なのか……。と考えられたのは一瞬だった。
「……ぅ、あ、あ、あ、あ……っ!」
「はぁっ……ナツヤ……ナツヤ……」
上から叩きつけられるような腰の動きに抵抗も出来ず翻弄される。数度の絶頂など無かったかのようにそそり立つその男根が相変わらず急所を抉り、慣れた体がカっと熱くなる。
ぐりぐりと回す様に押されるだけで無意識に出る精液がダラダラと腹を汚していく。イキそうでイケない、そんな快楽が終始続いている状態だった。
目も開けられず馬鹿みたいに喘ぐ俺の口をエンリィが塞ぐ。苦しさに首を振ってもしつこく舌を追われ、最後の方は殆ど泣いていた。
「だ、だめ……っ……エンリ、エンリ……ッ……イ……っちゃ」
「見せて……ナツ、見せて……」
初めてとは思えぬ腰使いで感じる箇所と最奥を容赦なく責められ、涎を垂らしながら弱々しく首を振る。
その瞬間、ぐう、と強烈な快感が全身を駆け巡り脳髄まで行き渡った。
全身に力が入り、それをエンリィが容赦ない力で押さえつけ、更に腰をゆすってくる。
死んでしまう、と思った。
呼吸さえできず絶頂を迎える俺に、エンリィもまた腰を震わせた。温かい濡れた感触にさえ感じてしまい、ただ身体が反応する。自身を見ても白濁はもう出ていない。
童貞のちんこで中イキしたのだ。
「……はっ……はっ……はっ」
強烈なセックスだった。
汗まみれで忙しなく呼吸しながら頭上のエンリィを見上げる。純潔を捨てたからか、元々そうなのか。王子の色気は壮絶で汗ばんた髪を掻き上げる仕草までも完璧だった。
綺麗なやつだな。
過ぎた快楽と心地良い疲労に呆然としている俺に、エンリィはふと目を合わせ口元を緩める。
「可愛かった」
「……そりゃよかったな。って、なに……」
身を起こしたエンリィがずるりと内部から出て行き、そうして俺を横に向かせる。そのまま背をエンリィに向かされ片腕で腰を支えられ……
「ってまだやんのかよ……!」
答えぬエンリィがぐい、と再度侵入してくるのに息を詰まらせながら、おっさんの俺は抵抗も出来ず。
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