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告白
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◇
火災事件と真我被害の犠牲者は、計二十三人にも及んだ。
あの日の火事で死んだ者は一人もいなかったのにも関わらず、避難した住人が集まっている場に大型の真我が現れ、その場は瞬く間に阿鼻叫喚の地獄絵図となった。
火災の消火活動にあたった消防団と、放火犯を追う騎士団員が数人殉職し、真我に食われた住人の中には騎士団員の家族が多くいたと言う。
中央地区の商店街は駐屯地に近い事もあり、ある一帯は同世代の子たちがこぞって騎士団に勤務していたらしい。
談話室で俺が見た彼等もその家族達だったようだ。あれから姿を見ていないのはせめてもの救いか。
駐屯地は多くの犠牲者を出した真我騒動と殉職した者たちを想い、数日喪に服していた。
暗い顔をした騎士団員はそれでも次第に現実に戻り、憎しみを抱き、怒りの相手を討伐しようと生を過ごす。
あの日の事後処理は無論隊員だけにとどまらず、事務員も総動員で対応にあたっていた為、毎日は目まぐるしく過ぎ去り過去を振り返る暇もない日々がしばらく続いていた。
ようやく日常に戻りつつある今日、昼食を外で済ませてきた俺は事務室に戻るなり金髪の若者が項垂れたように椅子に座っているのが目に入り、固まった。
「……ナツヤ、私を避けてるな」
座っていたエンリィは、俺を見るなり不機嫌な顔をして溜め息を吐いた。
ほんの少し大人びた表情に見えるのは、あんなことがあった後だからか。
いやぶっちゃけエンリィは忘れていると踏んでいたんだが。
「……ていうか酔っ払いの癖に覚えてたの」
「忘れるわけないだろう」
いやそこは覚えてないふりでもしとけよ。
という発言をすんでのところで飲み込んで、俺は自分の椅子に座りエンリィと向き直った。
蒼白な表情はこいつが参っている証拠で、目の下の隈は寝られていない証しだ。
「ナツヤ……なかったことにしたいのか?」
「……その方がいいだろう。ところでお前、なんでこんなに連れてきたの……?」
「なんだ、またなにか憑いているのか? いやそんな事はどうでもいい。ずっと話したかったんだ」
エンリィはそう言って、俺をじっと見つめてくる。真剣なその眼差しに少し怖じ気づいて咄嗟に誤魔化す様に肩を竦めた。
あの日の事を忘れるわけがないと言った彼に、どんな意味が含められているのか知りたいようで知りたくない。逃げ場を探しても狭い個室はそんな場所もなく。
だからエンリィに憑いている霊に感謝したいくらいだった。核心に触れなくともしばらくは誤魔化せるだろうと希望を持った。
しかしエンリィは俺の行動を先に読んでいたかのように、口を開く。
「ナツヤ、私は酔ったからあんな事をしたんじゃない」
「……エンリィ」
「いや、酔った勢いなのは間違いないが……。だからと言って決してあれを酔ったせいにするつもりはないし……その、つまり」
「待てエンリィ。お前は若いし兄貴の動向に興味を持っただけだろ……。俺をどうこうするのは若気の至りでいいんだよ、あんなのに律儀に理由をつけなくとも、」
「ナツヤ! 何故私を信じない!」
ばっとエンリィが身を起こして俺を射るように見つめてくる。体調の悪さを必死に隠し、逃げる俺を繋ぎ止めようとするような勢いだった。
その真っ直ぐな思いに思わず息を飲んで、それから何も言えずに言葉を飲み込んだ。
これ以上逃げるのは無駄な気がした。
彼はもう、会わない間に覚悟を決め考え抜いたのだ。俺と違い、逃げ出さずに自身と向き合い、悩んだのだ。
「……最初は、変わった男だと思っただけだ。霊が見えて……でも私も霊も見捨てずに真剣に向き合う少し変わった……、それでいて優しい人なのだと……」
「……それしかないからだ。俺には、それしかできないから。あとから大事になるのも、後悔するのもいやなんだ」
呟くように言えば、エンリィは眉を下げて笑う。頼りない笑みだった。
「……それでも、私はあなたを尊敬したし……同性愛者でどうしようもない節操なしだと知っていても止められなかった」
「エンリィ、俺は」
「あなたに悲しそうな顔をさせる兄上が憎いと思ったし羨ましかった……。真我と話せることもその才能に逃げ回るあなたも……、私はすべて愛おしい」
「……っ」
「愛おしいんだ、ナツヤ」
頬に血が上る感覚がして、俺は目を泳がせた。
若く真っ直ぐなこの想いを、受け止める自信が俺にはない。かといって、思いを流せる方法も、どこかでときめいてしまう愚かな感情も。
エンリィはどこまでも真剣だった。それはきっと俺がかつて持っていたもので、今は捨ててきたものだ。
彼はまだ若い。その若さが、今は憎い。
「エンリィ」
緊迫した空気をどうにかしたくて、俺は深く息を吐いて苦笑する。真剣な思いには同じように返すべきだと理解している。
けれど大人になった俺は、どこまでも狡く愚かだ。
「態々こんなおっさん選ばなくていいだろ? お前は王子だしその見た目なら女だって選びたい放題だろ」
「六番目のいてもいなくてもいい王子だって言ったのはあなただろう。それに、私はあなたがいい」
「……あのなぁ。そもそもお前は若いしなあ」
「年が関係あるのか?」
「そりゃあるだろ」
「どんな風に?」
「……どんなって……そりゃ……」
躊躇う俺にエンリィが溜め息をついて、そして次には冷静な瞳でじっと見つめてくる。その瞳から視線を逸らしながらぼそぼそと続けようとした俺にエンリィは言う。
「私が若いから、本気じゃないと言うのか? なら、どうすれば信じてくれる」
「……どうすればって……いや、信じていない訳じゃなくてだな……」
変な汗が背中を伝い、耐えきれなくなって俺は立ち上がった。そしてエンリィの背後に佇む若い男に話しかける。
「伝えたい事があるのか? 誰に……、」
「ナツヤ!」
「……勘弁してくれよ」
声を荒らげたエンリィが俺の背後に来て、そのまま腕を回され息が止まる。突拍子のない行動に狼狽え逃げ出そうと身を捩るが、グっと力強く抱きしめられて動きを止められた。
「あなたが信用しないならそれでいい。信じてくれるまで頑張るだけだ」
エンリィはそう言ってすっと身を引いた。その顔を振り返り俺は少し後悔する。
断るならもっと早く断るべきだった。遅くも早くも傷付けることに変わりはない。
薄汚れた臆病者の自分を隠す必要はない。
嫌われて捨てられる事こそが、俺の生き方であり、それはこいつの人生を救うからだ。
後ろ髪を引かれる思いで、俺は口を開く。
「お前の兄貴と俺は寝るよ。あいつが俺を捨てるまで、ずっと、何度でも」
「……」
「それでも俺を口説くか? ……やめておけ、時間の無駄だ」
佇む霊を通り抜け、俺は腕を組んで壁にもたれかかる。
真っ青な顔のエンリィは、更に顔を蒼白にして唇を噛み締めた。
「アーシュだけじゃない。寂しくなったらその辺の男を誘うし、好みの男に望まれたら簡単に股を開く。俺はこういう男だ。……お前にそんな男を愛せるのか?」
「……兄上はそんなあなたを許しているんだな」
口を噤んだのは俺の方だった。
エンリィは口許を緩め、形勢逆転だと言わんばかりの表情をして肩を竦める。
「兄上は負い目があって、そんなことをあんたに許してたんだろうな。でも私は、」
その長い脚が一歩踏み出せば、エンリィはすぐに俺の前に来られる。もたれかかる俺を見下ろして壁に片腕をつき覗き込んでくる。
綺麗な桃紫の瞳とさらさらの金髪は完璧な王子だ。
若くて、真っ直ぐで綺麗な、男。
「私はナツヤに全部あげられる。裏切りもしない。だからあなたを同じ様に縛ってやる」
「縛るって……」
「あなたが他の男に抱かれるのを許さない。口説くのも、誰かのものになるのも」
エンリィは首を傾げて俺の唇をスっと撫でた。
その行動に息を飲み、背筋を震わせる。
いやこいつ本当は童貞じゃないよな、これ。
冷静にそんなことを思う一方で、俺はその瞳から目を逸らせずに彼を見上げていた。勿体ないくらいの男に口説かれるのは、悪い気はしない。
「誰かに抱かれたくなったら私が抱く。なんなら兄上にだってやらせない」
「……そうじゃなくて」
「ナツヤ。あなたこそ諦めろ。私は簡単に男を抱く男じゃないし、酒に酔って手軽に手を出す男でもない。その意味を分からないと言うのなら、何度でも分からせてやる」
「……嘘でしょ」
それは強烈な殺し文句だった。
参ったとばかりに赤面する顔を見られたくなくて俯く俺に、エンリィは晴れたような表情をして俺の顎を持ち上げて唇を寄せてきた。
その一瞬の動きに目を見開いて、固まった。
くちづけは子どもみたいなもので終わり、その感触はすぐに去っていく。それでも固まったままの俺にエンリィは噴き出し、俺の手をギュッと一度握り、名残惜し気に離れていった。
「仕事が終わったらまた来る。そしたら……私が引き連れてる者を救ってくれ」
爽やかな笑みを浮かべ、エンリィは扉の向こうへ躊躇もなく消えていった。しっかりとした足音が段々と遠ざかっていくのを聞きながら、俺は両手で顔を覆いズルズルと座り込んだ。
「イケメンすぎんだろ……」
真っ直ぐな若い男の本気は、途轍もない破壊力だった。
火災事件と真我被害の犠牲者は、計二十三人にも及んだ。
あの日の火事で死んだ者は一人もいなかったのにも関わらず、避難した住人が集まっている場に大型の真我が現れ、その場は瞬く間に阿鼻叫喚の地獄絵図となった。
火災の消火活動にあたった消防団と、放火犯を追う騎士団員が数人殉職し、真我に食われた住人の中には騎士団員の家族が多くいたと言う。
中央地区の商店街は駐屯地に近い事もあり、ある一帯は同世代の子たちがこぞって騎士団に勤務していたらしい。
談話室で俺が見た彼等もその家族達だったようだ。あれから姿を見ていないのはせめてもの救いか。
駐屯地は多くの犠牲者を出した真我騒動と殉職した者たちを想い、数日喪に服していた。
暗い顔をした騎士団員はそれでも次第に現実に戻り、憎しみを抱き、怒りの相手を討伐しようと生を過ごす。
あの日の事後処理は無論隊員だけにとどまらず、事務員も総動員で対応にあたっていた為、毎日は目まぐるしく過ぎ去り過去を振り返る暇もない日々がしばらく続いていた。
ようやく日常に戻りつつある今日、昼食を外で済ませてきた俺は事務室に戻るなり金髪の若者が項垂れたように椅子に座っているのが目に入り、固まった。
「……ナツヤ、私を避けてるな」
座っていたエンリィは、俺を見るなり不機嫌な顔をして溜め息を吐いた。
ほんの少し大人びた表情に見えるのは、あんなことがあった後だからか。
いやぶっちゃけエンリィは忘れていると踏んでいたんだが。
「……ていうか酔っ払いの癖に覚えてたの」
「忘れるわけないだろう」
いやそこは覚えてないふりでもしとけよ。
という発言をすんでのところで飲み込んで、俺は自分の椅子に座りエンリィと向き直った。
蒼白な表情はこいつが参っている証拠で、目の下の隈は寝られていない証しだ。
「ナツヤ……なかったことにしたいのか?」
「……その方がいいだろう。ところでお前、なんでこんなに連れてきたの……?」
「なんだ、またなにか憑いているのか? いやそんな事はどうでもいい。ずっと話したかったんだ」
エンリィはそう言って、俺をじっと見つめてくる。真剣なその眼差しに少し怖じ気づいて咄嗟に誤魔化す様に肩を竦めた。
あの日の事を忘れるわけがないと言った彼に、どんな意味が含められているのか知りたいようで知りたくない。逃げ場を探しても狭い個室はそんな場所もなく。
だからエンリィに憑いている霊に感謝したいくらいだった。核心に触れなくともしばらくは誤魔化せるだろうと希望を持った。
しかしエンリィは俺の行動を先に読んでいたかのように、口を開く。
「ナツヤ、私は酔ったからあんな事をしたんじゃない」
「……エンリィ」
「いや、酔った勢いなのは間違いないが……。だからと言って決してあれを酔ったせいにするつもりはないし……その、つまり」
「待てエンリィ。お前は若いし兄貴の動向に興味を持っただけだろ……。俺をどうこうするのは若気の至りでいいんだよ、あんなのに律儀に理由をつけなくとも、」
「ナツヤ! 何故私を信じない!」
ばっとエンリィが身を起こして俺を射るように見つめてくる。体調の悪さを必死に隠し、逃げる俺を繋ぎ止めようとするような勢いだった。
その真っ直ぐな思いに思わず息を飲んで、それから何も言えずに言葉を飲み込んだ。
これ以上逃げるのは無駄な気がした。
彼はもう、会わない間に覚悟を決め考え抜いたのだ。俺と違い、逃げ出さずに自身と向き合い、悩んだのだ。
「……最初は、変わった男だと思っただけだ。霊が見えて……でも私も霊も見捨てずに真剣に向き合う少し変わった……、それでいて優しい人なのだと……」
「……それしかないからだ。俺には、それしかできないから。あとから大事になるのも、後悔するのもいやなんだ」
呟くように言えば、エンリィは眉を下げて笑う。頼りない笑みだった。
「……それでも、私はあなたを尊敬したし……同性愛者でどうしようもない節操なしだと知っていても止められなかった」
「エンリィ、俺は」
「あなたに悲しそうな顔をさせる兄上が憎いと思ったし羨ましかった……。真我と話せることもその才能に逃げ回るあなたも……、私はすべて愛おしい」
「……っ」
「愛おしいんだ、ナツヤ」
頬に血が上る感覚がして、俺は目を泳がせた。
若く真っ直ぐなこの想いを、受け止める自信が俺にはない。かといって、思いを流せる方法も、どこかでときめいてしまう愚かな感情も。
エンリィはどこまでも真剣だった。それはきっと俺がかつて持っていたもので、今は捨ててきたものだ。
彼はまだ若い。その若さが、今は憎い。
「エンリィ」
緊迫した空気をどうにかしたくて、俺は深く息を吐いて苦笑する。真剣な思いには同じように返すべきだと理解している。
けれど大人になった俺は、どこまでも狡く愚かだ。
「態々こんなおっさん選ばなくていいだろ? お前は王子だしその見た目なら女だって選びたい放題だろ」
「六番目のいてもいなくてもいい王子だって言ったのはあなただろう。それに、私はあなたがいい」
「……あのなぁ。そもそもお前は若いしなあ」
「年が関係あるのか?」
「そりゃあるだろ」
「どんな風に?」
「……どんなって……そりゃ……」
躊躇う俺にエンリィが溜め息をついて、そして次には冷静な瞳でじっと見つめてくる。その瞳から視線を逸らしながらぼそぼそと続けようとした俺にエンリィは言う。
「私が若いから、本気じゃないと言うのか? なら、どうすれば信じてくれる」
「……どうすればって……いや、信じていない訳じゃなくてだな……」
変な汗が背中を伝い、耐えきれなくなって俺は立ち上がった。そしてエンリィの背後に佇む若い男に話しかける。
「伝えたい事があるのか? 誰に……、」
「ナツヤ!」
「……勘弁してくれよ」
声を荒らげたエンリィが俺の背後に来て、そのまま腕を回され息が止まる。突拍子のない行動に狼狽え逃げ出そうと身を捩るが、グっと力強く抱きしめられて動きを止められた。
「あなたが信用しないならそれでいい。信じてくれるまで頑張るだけだ」
エンリィはそう言ってすっと身を引いた。その顔を振り返り俺は少し後悔する。
断るならもっと早く断るべきだった。遅くも早くも傷付けることに変わりはない。
薄汚れた臆病者の自分を隠す必要はない。
嫌われて捨てられる事こそが、俺の生き方であり、それはこいつの人生を救うからだ。
後ろ髪を引かれる思いで、俺は口を開く。
「お前の兄貴と俺は寝るよ。あいつが俺を捨てるまで、ずっと、何度でも」
「……」
「それでも俺を口説くか? ……やめておけ、時間の無駄だ」
佇む霊を通り抜け、俺は腕を組んで壁にもたれかかる。
真っ青な顔のエンリィは、更に顔を蒼白にして唇を噛み締めた。
「アーシュだけじゃない。寂しくなったらその辺の男を誘うし、好みの男に望まれたら簡単に股を開く。俺はこういう男だ。……お前にそんな男を愛せるのか?」
「……兄上はそんなあなたを許しているんだな」
口を噤んだのは俺の方だった。
エンリィは口許を緩め、形勢逆転だと言わんばかりの表情をして肩を竦める。
「兄上は負い目があって、そんなことをあんたに許してたんだろうな。でも私は、」
その長い脚が一歩踏み出せば、エンリィはすぐに俺の前に来られる。もたれかかる俺を見下ろして壁に片腕をつき覗き込んでくる。
綺麗な桃紫の瞳とさらさらの金髪は完璧な王子だ。
若くて、真っ直ぐで綺麗な、男。
「私はナツヤに全部あげられる。裏切りもしない。だからあなたを同じ様に縛ってやる」
「縛るって……」
「あなたが他の男に抱かれるのを許さない。口説くのも、誰かのものになるのも」
エンリィは首を傾げて俺の唇をスっと撫でた。
その行動に息を飲み、背筋を震わせる。
いやこいつ本当は童貞じゃないよな、これ。
冷静にそんなことを思う一方で、俺はその瞳から目を逸らせずに彼を見上げていた。勿体ないくらいの男に口説かれるのは、悪い気はしない。
「誰かに抱かれたくなったら私が抱く。なんなら兄上にだってやらせない」
「……そうじゃなくて」
「ナツヤ。あなたこそ諦めろ。私は簡単に男を抱く男じゃないし、酒に酔って手軽に手を出す男でもない。その意味を分からないと言うのなら、何度でも分からせてやる」
「……嘘でしょ」
それは強烈な殺し文句だった。
参ったとばかりに赤面する顔を見られたくなくて俯く俺に、エンリィは晴れたような表情をして俺の顎を持ち上げて唇を寄せてきた。
その一瞬の動きに目を見開いて、固まった。
くちづけは子どもみたいなもので終わり、その感触はすぐに去っていく。それでも固まったままの俺にエンリィは噴き出し、俺の手をギュッと一度握り、名残惜し気に離れていった。
「仕事が終わったらまた来る。そしたら……私が引き連れてる者を救ってくれ」
爽やかな笑みを浮かべ、エンリィは扉の向こうへ躊躇もなく消えていった。しっかりとした足音が段々と遠ざかっていくのを聞きながら、俺は両手で顔を覆いズルズルと座り込んだ。
「イケメンすぎんだろ……」
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