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最終章 冠山城の戦いと備中高松城攻め
3.後事を託された弟
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1582年1月、備前の国の戦国大名宇喜多直家の死が公になった。死因は病死である。
宇喜多直家は、戦国時代の三悪人の一人と呼ばれた武将で敵国の要人(鶴姫の父家親)を暗殺したり、姻戚で結ばれた縁者を躊躇する事無く切腹に追い込んだり、攻め滅ぼした人物であった。それゆえ敵からも味方からも恐れられた人物である。
しかし、宇喜多直家が亡くなった後、主家を裏切る家臣は皆無であった。
悪評高かった君主の遺児と国に、優秀な家来達は変わらず忠義を尽くしたのである。
それは何故かと興味を持つと、一つの理由が見えてくる。
直家は、敵や主君、親戚縁者を躊躇なく裏切ったが、部下である家来達、命を懸けて働いた者には、使い捨てにせずその功に報いた。
代表されるのが、三村家親の暗殺に成功した遠藤兄弟に直家は、兄には知行3,000石、弟1,000石を与え、その功に報いた。
身分の差が激しく、人の命の価値が平等では無かった時代、身分に関係なく、命を懸けた者にはそれに見合う報酬を彼は約束し、それを実行した。
家来を決して捨て駒にはしなかったのである。何をするかわからない怖さが有るが忠義を尽くせば必ず報いる黒社会の首領のような君主であったと推測できる。
そんな主君であったから、三村家親の暗殺への報復で三村元親が2万(宇喜多兵の4倍)の兵で攻め込んできた時も、織田へ寝返った宇喜多を攻め滅ぼしにきた小早川軍1万5千の大軍の前でも、家来たちは主君を裏切らず、命をかけ国を守ったのであった。
現代に辛川崩れと伝わる毛利軍の大敗、その後も再度侵攻する可能性がある緊張感の中、宇喜多直家は病魔に倒れる。戦中の重圧が直家の死を早めたのは想像に難しくない。
直家は間近に迫る自分の死を感じる中、毛利を裏切り織田へ寝返る決断をした。
その決断が歴史を変え、鶴姫と久之助達、そして高松城の人々の運命を変えたのであった。
1582年3月末直家から後事を託された弟が岡山城にいた。宇喜多忠家である。
『家氏様、それではこれより兵を率いて羽柴軍と合流し、備中の国へ参ります。』と忠家は幼い主君、家氏へ出兵の挨拶をして頭を下げる。
『叔父上、宜しくお願い致します。御武運をお祈り申し上げます。』と家氏は、幼く、言葉も少ないが礼式に沿った挨拶を返す。
(ワシの目が黒いうちは、この子と、この国を必ず守ってみせる。)と忠家は思いながら、『ハハァ、有難き幸せ、忠家命を懸け、家氏様、直家様の名に恥をかけない様、必ずや武功を挙げて参ります。』と決意を述べた後、頭を上げた。
幼き甥っ子を初めて主君として呼び、見上げる宗忠は、兄が存命している頃を思い出していた。
(まさか、あの強く、ふてぶてしい兄者が病なんかに、負けるとは思ってもみなかったな・・・、死んで初めて分かる有難みというが、まさにその通りじゃ。)
(兄者がいる時は、兄者の指示を聞いているだけで良かった。今は、もうワシしかおらぬ、この家を守れるのは・・・。)
主君への挨拶を終え、忠家は馬に乗り兵を率いて城門を出る。
馬に乗りながら、忠家は今後の自分達をまっている試練を思う。
羽柴秀吉は毛利を裏切ったばかりの我らを使い、毛利と戦う。
忠家は、先ずは自分達の血は流さず宇喜多の兵に血を流させる羽柴軍の考えが戦の定石だと頭で分かってはいるが、考えれば考えるほど、使われる立場になってみろと秀吉を恨む気持ちが湧いてくる自分を感じていた。
(兄者、どうして貴方が毛利を見限り、織田、いや羽柴秀吉という男に寝返ったかを、その目が正しかったかどうかを見せてもらうぞ。我らの流す血の対価を、秀吉という男の度量を見届けてやる。)と忠家は亡き兄直家に心の中で、呼びかけ語りかけながら城を後にした。
忠家は、自分達と戦う運命にある備中の国の武士達を恐れていなかった。
二度の大軍を撃退した過去の経験、自信が、宇喜多忠家の心、その軍の者達の頭から敗北という2文字を忘れさせていたのである。
両陣営に属した男達が、それぞれの守る者の為、戦場へ向かったのであった。
宇喜多直家は、戦国時代の三悪人の一人と呼ばれた武将で敵国の要人(鶴姫の父家親)を暗殺したり、姻戚で結ばれた縁者を躊躇する事無く切腹に追い込んだり、攻め滅ぼした人物であった。それゆえ敵からも味方からも恐れられた人物である。
しかし、宇喜多直家が亡くなった後、主家を裏切る家臣は皆無であった。
悪評高かった君主の遺児と国に、優秀な家来達は変わらず忠義を尽くしたのである。
それは何故かと興味を持つと、一つの理由が見えてくる。
直家は、敵や主君、親戚縁者を躊躇なく裏切ったが、部下である家来達、命を懸けて働いた者には、使い捨てにせずその功に報いた。
代表されるのが、三村家親の暗殺に成功した遠藤兄弟に直家は、兄には知行3,000石、弟1,000石を与え、その功に報いた。
身分の差が激しく、人の命の価値が平等では無かった時代、身分に関係なく、命を懸けた者にはそれに見合う報酬を彼は約束し、それを実行した。
家来を決して捨て駒にはしなかったのである。何をするかわからない怖さが有るが忠義を尽くせば必ず報いる黒社会の首領のような君主であったと推測できる。
そんな主君であったから、三村家親の暗殺への報復で三村元親が2万(宇喜多兵の4倍)の兵で攻め込んできた時も、織田へ寝返った宇喜多を攻め滅ぼしにきた小早川軍1万5千の大軍の前でも、家来たちは主君を裏切らず、命をかけ国を守ったのであった。
現代に辛川崩れと伝わる毛利軍の大敗、その後も再度侵攻する可能性がある緊張感の中、宇喜多直家は病魔に倒れる。戦中の重圧が直家の死を早めたのは想像に難しくない。
直家は間近に迫る自分の死を感じる中、毛利を裏切り織田へ寝返る決断をした。
その決断が歴史を変え、鶴姫と久之助達、そして高松城の人々の運命を変えたのであった。
1582年3月末直家から後事を託された弟が岡山城にいた。宇喜多忠家である。
『家氏様、それではこれより兵を率いて羽柴軍と合流し、備中の国へ参ります。』と忠家は幼い主君、家氏へ出兵の挨拶をして頭を下げる。
『叔父上、宜しくお願い致します。御武運をお祈り申し上げます。』と家氏は、幼く、言葉も少ないが礼式に沿った挨拶を返す。
(ワシの目が黒いうちは、この子と、この国を必ず守ってみせる。)と忠家は思いながら、『ハハァ、有難き幸せ、忠家命を懸け、家氏様、直家様の名に恥をかけない様、必ずや武功を挙げて参ります。』と決意を述べた後、頭を上げた。
幼き甥っ子を初めて主君として呼び、見上げる宗忠は、兄が存命している頃を思い出していた。
(まさか、あの強く、ふてぶてしい兄者が病なんかに、負けるとは思ってもみなかったな・・・、死んで初めて分かる有難みというが、まさにその通りじゃ。)
(兄者がいる時は、兄者の指示を聞いているだけで良かった。今は、もうワシしかおらぬ、この家を守れるのは・・・。)
主君への挨拶を終え、忠家は馬に乗り兵を率いて城門を出る。
馬に乗りながら、忠家は今後の自分達をまっている試練を思う。
羽柴秀吉は毛利を裏切ったばかりの我らを使い、毛利と戦う。
忠家は、先ずは自分達の血は流さず宇喜多の兵に血を流させる羽柴軍の考えが戦の定石だと頭で分かってはいるが、考えれば考えるほど、使われる立場になってみろと秀吉を恨む気持ちが湧いてくる自分を感じていた。
(兄者、どうして貴方が毛利を見限り、織田、いや羽柴秀吉という男に寝返ったかを、その目が正しかったかどうかを見せてもらうぞ。我らの流す血の対価を、秀吉という男の度量を見届けてやる。)と忠家は亡き兄直家に心の中で、呼びかけ語りかけながら城を後にした。
忠家は、自分達と戦う運命にある備中の国の武士達を恐れていなかった。
二度の大軍を撃退した過去の経験、自信が、宇喜多忠家の心、その軍の者達の頭から敗北という2文字を忘れさせていたのである。
両陣営に属した男達が、それぞれの守る者の為、戦場へ向かったのであった。
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参考・引用
彡(゜)(゜)「ワイはアドルフ・ヒトラー。将来の大芸術家や」(5ch)
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