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第7章 遅れてやっときた二人の新婚生活
5.叔母タキの心遣い、そして叔母の勘
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十兵衛と煕子が帰蝶の部屋を訪れた日から一週間後、体力を回復した十兵衛は妻煕子、叔父明智光安と共に1年ぶりに明智城へ戻った。
明智城で働く総ての人々は、城門迄出ており、両手を広げ十兵衛の帰りを喜び、そして1年の長きに渡る十兵衛の苦労を労ったのは言うまでもない。
十兵衛達が部屋に荷物を置き、再び皆が待つ部屋に戻って改めて帰りの挨拶を皆に伝えた。
二人のオジ光安の妻タキは、祝言を挙げたばかりで離れ離れにされてしまった二人を不憫に思って、暫くの間は煕子に雑務をさせまいと、城の雑務は総て自分が取り仕切るとスゴイ迫力であった。
夫十兵衛の挨拶を皆と共に聞き、夫とは別に何時も通り城の女性衆たちと一緒に仕事を始めようとした煕子であったが、城主光安の妻タキは、そうはさせなかった。
自分の目の前で、煕子が仕事をしようとするのを見ると、スゴイ剣幕で怒るように言った。
『煕子、これから暫くは仕事なんかせず、十兵衛殿の傍におりなさい・・。』
『貴方達は、夫婦としての生活を1年も待たされたのよ、これからは、その待たされた時間を取り戻す為に、二人の時間を大切しなければならないのよ!』
『十兵衛殿、貴方も、こんな可愛い煕子を、1年も放っておいた罰を受けなければならないわ!』
妻の大きい声を聞き、光安が妻の暴走を止めようと叱ろうとするが、『タキよ・・』と妻の名を呼んだ瞬間、『貴方様は黙ってらっしゃい!!』と鬼の剣幕で怒鳴りつけられるのだから、光安も唯々黙るしかなかった。
(叔母上殿の怒っている姿など、初めてみる、こんなに気性の激しい方であったのか・・)
その場を取り仕切る叔母の迫力と、その叔母に怒られた妻と叔父の可哀そうな姿を見て、十兵衛は驚いてしまった。
『煕子、何落ち込んでいるのよ!』
『別に貴女は悪くないの、十兵衛殿だって悪くないわ!』
『強いて悪いと言えば、二人が祝言を挙げたばかりだと分かっていて、十兵衛殿を稲葉の城に留めた道三様、・・いえ、一番悪いのは、道三様の理不尽な要求を、そのまま聞いた、殿(光安の意)が悪いのよ!!』
叔母の怒りの矛先が、その場にいる一番無害な顔をしている光安に向く。
『エッ、ワシ??』
いきなり、罪人として糾弾された光安は、驚き確認する様に自分の指で自分の顔を指し、タキに確認した。
『そうです、他に誰が居りますか!』
『グエェ・・・本気か。』と言って、光安はガックリ肩を落とす。
『・・そうじゃな、タキの言う通り、ワシが一番悪い。ワシにもう少し勇気があれば・・悪かったな二人とも・・』
愛妻タキの鋭い眼光に晒された光安は、迫力に負けた様子で妻の主張を認めたのであった。
『十兵衛、煕子、城主として命を下す。これからお主らは暫くの間完全休養じゃ』
『仕事をする事を禁ずる、皆の者も、その事を周知すべし、二人は暫く身の回りの事以外はしてはならぬぞ、空いた時間をとにかく二人で過ごすのじゃ!』
叔父光安の宣言を聞かされた十兵衛は、困った顔をして煕子を見つめたが、煕子は何処か元気が無く、下を向いていた。
それは、まるで十兵衛と過ごすように言われた事を嫌がっている様であった。
その場が少し落ち着くと、煕子は光安とタキに頭を軽く下げ、部屋から出て行ってしまった。
『十兵衛、煕子は照れておるのじゃ、ホレッ早く後を追っていけ』
『・・・ハツ、叔父上、叔母上、お心遣い感謝致します』
十兵衛も又、光安とタキに頭を下げ煕子の後を追う様に部屋を出たのであった。
『煕子の奴、どうしたのじゃ、少し元気が無いようじゃったが・・ちょっと前から少し様子が変じゃのう』
光安が煕子の様子を思い出し、呟く。
『殿・・・あの二人、危ういですわ。きっと何かあったんだわ・・』
『タキ、何かとは何だ?』
『・・・十兵衛殿、この一年の間、外に女子でも作られたのではないですか?』
『それを、煕子が知って、怒ってるような感じだったわ』
『バカ言うでない。あの十兵衛に限って、そんな事がある訳が無い!』
『何を根拠に・・』
『同じ女子である私の勘とでも申しましょうか・・殿、二人の事で少しご相談したい事が・・』
『・・何事じゃ??』
『些細な事です・・此方へ』
言葉とは裏腹にタキの顔は嬉しそうであった。
二人が部屋を後にした後、優しい叔父夫婦も又、若い甥っ子夫婦を応援できる事はないかと相談する為にその部屋を出たのであった。
明智城で働く総ての人々は、城門迄出ており、両手を広げ十兵衛の帰りを喜び、そして1年の長きに渡る十兵衛の苦労を労ったのは言うまでもない。
十兵衛達が部屋に荷物を置き、再び皆が待つ部屋に戻って改めて帰りの挨拶を皆に伝えた。
二人のオジ光安の妻タキは、祝言を挙げたばかりで離れ離れにされてしまった二人を不憫に思って、暫くの間は煕子に雑務をさせまいと、城の雑務は総て自分が取り仕切るとスゴイ迫力であった。
夫十兵衛の挨拶を皆と共に聞き、夫とは別に何時も通り城の女性衆たちと一緒に仕事を始めようとした煕子であったが、城主光安の妻タキは、そうはさせなかった。
自分の目の前で、煕子が仕事をしようとするのを見ると、スゴイ剣幕で怒るように言った。
『煕子、これから暫くは仕事なんかせず、十兵衛殿の傍におりなさい・・。』
『貴方達は、夫婦としての生活を1年も待たされたのよ、これからは、その待たされた時間を取り戻す為に、二人の時間を大切しなければならないのよ!』
『十兵衛殿、貴方も、こんな可愛い煕子を、1年も放っておいた罰を受けなければならないわ!』
妻の大きい声を聞き、光安が妻の暴走を止めようと叱ろうとするが、『タキよ・・』と妻の名を呼んだ瞬間、『貴方様は黙ってらっしゃい!!』と鬼の剣幕で怒鳴りつけられるのだから、光安も唯々黙るしかなかった。
(叔母上殿の怒っている姿など、初めてみる、こんなに気性の激しい方であったのか・・)
その場を取り仕切る叔母の迫力と、その叔母に怒られた妻と叔父の可哀そうな姿を見て、十兵衛は驚いてしまった。
『煕子、何落ち込んでいるのよ!』
『別に貴女は悪くないの、十兵衛殿だって悪くないわ!』
『強いて悪いと言えば、二人が祝言を挙げたばかりだと分かっていて、十兵衛殿を稲葉の城に留めた道三様、・・いえ、一番悪いのは、道三様の理不尽な要求を、そのまま聞いた、殿(光安の意)が悪いのよ!!』
叔母の怒りの矛先が、その場にいる一番無害な顔をしている光安に向く。
『エッ、ワシ??』
いきなり、罪人として糾弾された光安は、驚き確認する様に自分の指で自分の顔を指し、タキに確認した。
『そうです、他に誰が居りますか!』
『グエェ・・・本気か。』と言って、光安はガックリ肩を落とす。
『・・そうじゃな、タキの言う通り、ワシが一番悪い。ワシにもう少し勇気があれば・・悪かったな二人とも・・』
愛妻タキの鋭い眼光に晒された光安は、迫力に負けた様子で妻の主張を認めたのであった。
『十兵衛、煕子、城主として命を下す。これからお主らは暫くの間完全休養じゃ』
『仕事をする事を禁ずる、皆の者も、その事を周知すべし、二人は暫く身の回りの事以外はしてはならぬぞ、空いた時間をとにかく二人で過ごすのじゃ!』
叔父光安の宣言を聞かされた十兵衛は、困った顔をして煕子を見つめたが、煕子は何処か元気が無く、下を向いていた。
それは、まるで十兵衛と過ごすように言われた事を嫌がっている様であった。
その場が少し落ち着くと、煕子は光安とタキに頭を軽く下げ、部屋から出て行ってしまった。
『十兵衛、煕子は照れておるのじゃ、ホレッ早く後を追っていけ』
『・・・ハツ、叔父上、叔母上、お心遣い感謝致します』
十兵衛も又、光安とタキに頭を下げ煕子の後を追う様に部屋を出たのであった。
『煕子の奴、どうしたのじゃ、少し元気が無いようじゃったが・・ちょっと前から少し様子が変じゃのう』
光安が煕子の様子を思い出し、呟く。
『殿・・・あの二人、危ういですわ。きっと何かあったんだわ・・』
『タキ、何かとは何だ?』
『・・・十兵衛殿、この一年の間、外に女子でも作られたのではないですか?』
『それを、煕子が知って、怒ってるような感じだったわ』
『バカ言うでない。あの十兵衛に限って、そんな事がある訳が無い!』
『何を根拠に・・』
『同じ女子である私の勘とでも申しましょうか・・殿、二人の事で少しご相談したい事が・・』
『・・何事じゃ??』
『些細な事です・・此方へ』
言葉とは裏腹にタキの顔は嬉しそうであった。
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