災禍使いのモンスターテイマー

魔王なおチュウ(魔闇直樹)

文字の大きさ
上 下
1 / 1

第1話 念願のモンスターテイマー

しおりを挟む
 此処は、ヴォル村の教会。そこに、今日で10歳になる1人の少年が儀式を受けに来ていた。

「リュンよ、お主にこれよりモンスターテイマーの力を授ける」

 リュン・ディラート。10歳。彼が暮らしてるヴォル村では10歳になると、村に住む賢者がモンスターテイマーの力を授けることになってる。

「ジャロンさん、よろしくお願いします」

 少年は、念願のモンスターテイマーになれるとあって珍しく笑みを浮かべている。

「任せておくが良い! いつも暗いお前が微笑むくらい待ち遠しかった事が、わしにも伝わってくるぞ! モンスターをテイム出来る様になればお主の心の隙間を彼らが埋めてくれるのをわしらは楽しみじゃ!」

 賢者は、少年の頭を撫でる。

「『我、ジャロン・マジカルト。賢者の名の下にリュン・ディラートへモンスターテイマーの力を此処に授けん』」

 紫色の光が少年を包む。それにより、リュンは念願のモンスターと契約を結ぶ力を得た。

「ありがとうございました。ジャロンさん。それじゃ俺は、行ってきます」

「やはり、旅にでるんだな。何か有れば帰ってくるんだぞ! わしらは、いつでもお前の味方だからな!」

「あぁ、どうもです。ではこれで」

 リュンは、駆け足で外へ出て行った。





「それで結局、村のモンスターを渡さなくて本当に良かったのか心配じゃな……」

 村の村長が教会でジャロンへ少年の事が気がかりな事を伝える。

「わしも、昨日テイマーになった子供達に授けるモンスターを受け取らないかと伝えたのだが、いつものように例の友達になったモンスターをテイムするからいらないと言ってたから、無理には言えなかった……」

「私らが村で育てている初心者用のモンスターではなく、リュンが確か7歳くらいに出会った謎のモンスターを選ぶとは癪じゃが、そのモンスターのお陰であの子は、今まで何事も無く生きて来れた訳じゃからな……」

「それに、わしら賢者も村に3人もいてあの子の両親を守ってやれなかったからな……わしがもう少し早く気付いていれば、リュンを寂しい想いをさせないで済んだのだが……」

 2人は暗い空気を放ち、ため息を溢す。





「リュン!村の奴らには挨拶したか?」

「うん、一応したよ!」

 リュンは、村の近くにある洞窟へ来ていた。

 そこで、真っ黒な水晶の前でリュンは楽しそうに会話をしている。

 彼と一緒にいる時、リュンは自然と笑顔になれる。

「それじゃあ、封印を解くよ!」

 リュンは、謎のモンスターが封印されているクリスタルの横に左に赤と黄色の水晶。右に水色と青の水晶に、赤には炎、黄色には雷、水色には氷、青には水である属性の魔力を流し込む。

 漆黒のクリスタルは、禍々しく輝き、封印されていたモンスターが解放される。

 そのモンスターは、3つの首を持ち強靭かつ巨大な姿な災禍の邪竜。種族名はアジダカーハ。

「ガハハハッ!!封印解除ありがとな!リュン!それじゃ、早いうちにテイムしてくれ!我の封印が解けた事が村の奴に多分伝わっている」

「了解!」

 リュンは、禍々しい邪竜モンスターに右手をかざし、彼に意識を集中する。

「テイム!」

 少年の右手から放たれた魔力がアジダカーハの全身に伝わる。そして、アジダカーハの魔力の一部がリュンに流れてくる。

「これで、契約完了だね! さあ行こう! アッシュ!」

「良し! そんじゃあ、我の背中に乗れ!」

「よし! それじゃあ、レッツゴー!」

 アジダカーハのアッシュは、洞窟を駆け出し外へ出る。

 そして、空へ羽ばたこうとした時……

「何をやっているんじゃ! リュン!!」

 アッシュの封印を解けた事が、彼の推測通り3人の賢者に伝わっていたらしく、村長と3人の賢者がやってきた。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません

ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは 私に似た待望の男児だった。 なのに認められず、 不貞の濡れ衣を着せられ、 追い出されてしまった。 実家からも勘当され 息子と2人で生きていくことにした。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ * 4万文字未満 * 完結保証付き * 少し大人表現あり

私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜

月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。 だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。 「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。 私は心を捨てたのに。 あなたはいきなり許しを乞うてきた。 そして優しくしてくるようになった。 ーー私が想いを捨てた後で。 どうして今更なのですかーー。 *この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。

ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。 彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。 「誰も、お前なんか必要としていない」 最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。 だけどそれも、意味のないことだったのだ。 彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。 なぜ時が戻ったのかは分からない。 それでも、ひとつだけ確かなことがある。 あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。 私は、私の生きたいように生きます。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

旦那様には愛人がいますが気にしません。

りつ
恋愛
 イレーナの夫には愛人がいた。名はマリアンヌ。子どものように可愛らしい彼女のお腹にはすでに子どもまでいた。けれどイレーナは別に気にしなかった。彼女は子どもが嫌いだったから。 ※表紙は「かんたん表紙メーカー」様で作成しました。

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持

空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。 その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。 ※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。 ※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

【完結】元婚約者であって家族ではありません。もう赤の他人なんですよ?

つくも茄子
ファンタジー
私、ヘスティア・スタンリー公爵令嬢は今日長年の婚約者であったヴィラン・ヤルコポル伯爵子息と婚約解消をいたしました。理由?相手の不貞行為です。婿入りの分際で愛人を連れ込もうとしたのですから当然です。幼馴染で家族同然だった相手に裏切られてショックだというのに相手は斜め上の思考回路。は!?自分が次期公爵?何の冗談です?家から出て行かない?ここは私の家です!貴男はもう赤の他人なんです! 文句があるなら法廷で決着をつけようではありませんか! 結果は当然、公爵家の圧勝。ヤルコポル伯爵家は御家断絶で一家離散。主犯のヴィランは怪しい研究施設でモルモットとしいて短い生涯を終える……はずでした。なのに何故か薬の副作用で強靭化してしまった。化け物のような『力』を手にしたヴィランは王都を襲い私達一家もそのまま儚く……にはならなかった。 目を覚ましたら幼い自分の姿が……。 何故か十二歳に巻き戻っていたのです。 最悪な未来を回避するためにヴィランとの婚約解消を!と拳を握りしめるものの婚約は継続。仕方なくヴィランの再教育を伯爵家に依頼する事に。 そこから新たな事実が出てくるのですが……本当に婚約は解消できるのでしょうか? 他サイトにも公開中。

処理中です...