磨彼ふしぎ

しばとまと

文字の大きさ
上 下
4 / 14

第四話「昇っては降り注ぐもの」

しおりを挟む
 加速状態だけに許される引き伸ばされた時間の中で、世之介は手早く二人の賽博格に、状況を説明する。
「微小機械の暴走は、風祭のせいだ! 風祭の際限ない強さへの欲望が、微小機械の暴走に火を点けた!」
 助三郎は叫んだ。
「そうか! 風祭を倒さなければ微小機械の暴走は止まらない、という理屈か!」
 格乃進は疑問を投げかける。
「しかし、どうやって倒す? あいつは賽博格の身体に、世之介さんの〝伝説のガクラン〟の能力も加えているぞ。俺たちだけで、何とかできるのか?」
 世之介は自分の姿を立体映像で投射し、二人の動きに追随させつつ、答えた。
「俺は今、微小機械と直に交信できる状態になっている。だから、風祭の身体を覆っている微小機械に、俺の意識を同調させてみる! うまくいったら、あんたらが風祭を攻撃してくれ!」
 助三郎は仰天したような表情になった。
「そんなことして、大丈夫なのか?」
 世之介は、かぶりを振った。
「判らない……。しかし、他に方法はないんだ!」
 助三郎と格乃進は粛然とした表情になった。格乃進が強く頷き、口を開いた。
「よし、やってくれ! 俺たちは、いつでも攻撃できるよう、待機しているぞ!」
 二人に頷き返し、世之介は二体の巨大な怪物に意識を集中させた。
 巨大化した代償か、風祭は賽博格の加速能力を失っているようだった。
 一方、勝又勝の乗り込む【バンチョウ・ロボ】は、風祭の打撃を受け止め、校舎に叩きつけられ、今ようやく起き上がろうとしている。風祭は肘を引き、腰を落とし、第二の攻撃に移ろうとしている最中だった。
 世之介の視線が、風祭の巨体に向けられた。意識を投射し、風祭の巨体を形作る微小機械の群れに同調させる。
 世之介は意識同調サイコ・ダイブを敢行した!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

最愛の彼

詩織
恋愛
部長の愛人がバレてた。 彼の言うとおりに従ってるうちに私の中で気持ちが揺れ動く

教え子に手を出した塾講師の話

神谷 愛
恋愛
バイトしている塾に通い始めた女生徒の担任になった私は授業をし、その中で一線を越えてしまう話

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

処理中です...