犯され探偵

白石潤之介

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秘密

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 「優作くん、久しぶり!」と言って麻衣まい加奈かな梨奈りなは、もちろんのこと・・・小太郎やららぁまでが、優作くんを歓迎していた。

 「ここのところ、どこで何してたの?」と麻衣に質問されて、優作くんは――――
 「有給休暇ゆうきゅうきゅうかをとって、旅に出ていたんだ」と応じて・・・

 「お土産おみやげのお菓子を袋から取り出して、テーブルに載せた。麻衣たちは、よろこいさんで菓子を取り合う。

 わたしの顔を注意深く見つめていた麻衣が
 「お姉ちゃん、小太郎の散歩から戻ってきて顔が青ざめているよ、どうしたの?」と訊いてきた。
 「久しぶりに身体からだ動かしたからかしら・・・」と応じると、、、
 「そうよ、お姉ちゃん最近引きこもって小説に向かいすぎだよ。少しは運動しなきゃ」と麻衣。「そうよ、そうよ」と加奈、梨奈が同調どうちょうする。

 優作くんと話し合って〝脅迫きょうはく〟されていることなどは、家族には内密ないみつしておくということに決めていたので、妹たちには申し訳ないが事実は話せなかった。


 わたしは、優作くんが帰ったあと・・・
 陽子ちゃんに渡す原稿のチェックのつづきに、取りかかった、がしかし少し書き加えた。

 午前2時を回ったところで、加筆そして一通りの誤字・脱字などのチェックを終えて、プリントアウトを始めた。 

 
 なんとか午後の講義のあとに、陽子ちゃんに原稿を渡せた――――
 けれど、睡眠不足で眠たくてしかたがなかった。

 「ありがとう、友香ちゃん」と言って陽子ちゃんは、わたしの原稿を受け取り、持ってきた原稿のコピーを貸してくれた。
 わたしもお礼を言って
 「ゴメン、眠たいから今日はもう帰る。原稿は、急いで読んで返すね」と彼女に言うと、、、
 「そんなに無理しなくて良いわよ、ゆっくり読んでちょうだい」と返された。

 

 早々に、帰宅して〝爆睡ばくすい〟した。
 目覚めた時には、日付がかわって・・・夜明けが迫っていた。リビングに行くと麻衣が、朝刊を読んでいた。

 「麻衣、早いわね」と声をかけると――――
 「お姉ちゃん、おはよう!たっぷり寝たみたいだね?」と返事を寄越した。

 「お姉ちゃん、コーヒー飲む?」と彼女は、訊いてきた。
 「麻衣が、淹れてくれるの?」と返すと・・・
 「もちろん、挽きたてのコーヒーを飲ませてあげる」と彼女は、新聞をたたんでさっそく豆を挽き始めた。 

 

 わたしは、彼女がテーブルにたたんで載せた朝刊を手に取り目を通していて・・・
 とある記事に、釘付くぎづけになった。





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