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青年藩主編
第三十六話
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「……という訳で、忍びの指導ができる方を探す事になったのです。ちゃんと聞いてましたか?」
失敬な。ちゃんと最後の所は聞いてました。
「忍者を育てられる師匠忍者を探すという事ですね! ちゃんと聞いてましたよ!」
「……それは聞いていたというんですかね?」
なんか信用なさそうな顔をされていますね。
「旅の目的は師匠忍者を探すで間違ってますか?」
「間違ってないのが癪ですね」
間違っていないのに……癪だと言われました。ヒドイです。やはり、殿方にとって女の子は馬鹿なほうが良いのですね。勉強になります。癪ですけど。
こんなやり取りしてますが、歩みの速度は落としてません。
歩き出して半刻ほどになります。そろそろいつもの山の近くにですね。ここまでは良いのですが、ここから高野山へはどういけば良いのでしょう。
「政信さん、このまま紀ノ川に沿って進むのですか?」
「いえ、もうすぐ支流の貴志川の分岐点に差し掛かります。そこから少し貴志川沿いに進むと高野山への登山道があるのです。高野山の近くまで行かなければ、碌に整備のされていない山道ですけどね」
この辺りと言いますか、大抵の道はあまり整備されていません。参勤交代で利用されているような道は別にして、庶民が使用する道は、人が踏み締めた地面が道となっているに過ぎません。通る人が少なければ細っていきますし、山であれば木々が迫ってきます。そうやって段々と道が消えてしまうのです。
山道とはいえ、継続して人が通っている道であれば枝が払われていますし、それなりに足元も踏み固められています。
普段、私たち庭番のものが山に入る時は、獣道ばかりです。獣道は、人に比べて背が低いですから、人が歩くと枝が邪魔です。獣の方が足も小さいので人の足では踏み外してしまいそうな所も多いです。
それに比べれば、山道なんて街中を歩くようなものです。
「私たちにしてみれば人の通り道ってだけで充分ですよ。いつもは獣道ばかりですから」
「それもそうですね。ある程度進めば、峠の茶店があるでしょう。そこまで一気に進んでしまいましょう」
「はい!」
峠の茶店。素敵な響きですね。どんなお団子があるのでしょうか。
ん? 何か違和感がありますね。少し山道を分け入ったところに生き物の気配がします。不思議なのは気配を殺そうとしている事。この辺りでそんなことするのは山犬か人くらいなものです。山犬でもこんな浅いところで待ち伏せなんて滅多にないし、そもそも人を狙うような危険を冒すとは思えません。となると山賊さんですかね。
こっちを見つけられるような距離ではないので、まだ安全でしょう。それにしてもこんな所に山賊さんがいるなんて。
まだ山の入り口なので見張り兼物色担当といったところでしょうか。この辺りは高野山目当てで、一般人の参拝者が多いので、そういう人たちを狙っているのでしょう。
罰当たりですね。やっちゃいますか。
政信さんに声を掛けようと振り返ると、政信さんも気が付かれたようです。小さな声で話しかけてきました。
「ちょっと待ってください。あっちの奥の茂みに野盗がいるようです」
「ですね。やっちゃいますか?」
「放置したら、参拝者に危害が及びますね。気が付かれず狙えますか?」
「お任せを!」
私は政信さんと別れ、山に分け入ります。もちろん、音を立てるような素人みたいな事はしませんよ。印地打ち用の石は、歩きながらいくつか確保してますから問題ありません。事前準備が大事なのです。
気が付かれないように山賊さんと同じ距離を保ちながら円を描くように奥へと進みます。この辺りは鹿狩りと同じで如何に気が付かれず狙撃ポイントに辿り着けるかが肝です。しかし鹿さんと違って鼻が利かないので風向きを気にしなくて良いのは楽ですね。
居ました。私から見て左手斜め前方にいます。木に身体をくっつけ、山道の方を監視しています。それにしても着物の上に袖なしの毛皮を着ていますが暑くないのでしょうか。山賊としての矜持なのでしょうか。もしかして、これが様式美というやつかもしれません!
さて、案の定あの方は私には気が付いていないようですね。背中がガラ空きですよ。この位置は絶好です。射線が空いているうえに、お腹側を木に付けているので、印地の衝撃も逃がせないです。
政信さんも言っていましたが、放置すれば善良な人たちがひどい目に遭ってしまいます。安らかに逝ってもらいましょう。一撃必殺です。
確実にいくため、少し距離を縮め、手持ちの石の中で一番大きく平たいものを選びました。距離を縮めたのは、的を外すからじゃないですよ。威力を高めるためですからね。なんせ私は日葵流印地打ちの開祖なのです。
手に石を握りしめ、振りかぶります。身体の捻りを利用して力を溜めます。標的の山賊さんに背を向けるくらい腰を捩じり、真っすぐ足を踏み出します。腕は身体が元に戻ろうとする動きに合わせて最後に動かします。そうすると体全体が鞭のよう撓り、腕、手、指と先端になるほど加速度を増します。
放り投げる瞬間、左ひざに壁を作るのです。これ重要ですよ。そうすると放る力が一気に爆発します。いけません、日葵流印地打ちの極意を話してしまいました。
と言っている間に命中ですね。仕留めました。きっちり首筋に命中です。周囲の気配は政信さんしかありませんから大丈夫でしょう。念のため、確認しに行きます。
やはり一撃必殺ですね。気が付かれず仕留めました。これで参拝者の人たちの安全が保たれればいいのですが。でもこの人は見張りですから、まだまだ山賊さんいるんでしょうねぇ。
「さすがですね。お見事です」
「いえいえ。普段獲っている鹿の方が難しいですから」
「下っ端の見張りですね。しかし、このままにしては仲間に知られてしまいます。根城を襲って壊滅させるほど、時間も手も足りません。申し訳ないですが、もっと奥に引き込んでおきましょうか」
「りょうかいでーす」
と、予定外の山賊さん退治もありましたが、歩みは順調でした。目的の峠の茶屋が見えてきました。
「着きましたね~」
「そうですね。一息入れましょう」
このお店は山を越え高野山へ参拝する人たちを対象にした茶店のようです。
何と言いますか、趣のある茶店ですね。
これは小屋とも言えないです。まだ四阿の方が建物らしいと思えます。だって、このお店、壁がないんです。柱と柱を細い木材で繋がっているだけです。 いや、木材ではなく、あれは皮を剥いただけの木そのものですね。
壁の代わりに簾で囲われていて、天井も簾です。世の中には不思議な茶店があるものです。旅はしてみるものですね。
私にしてみれば、店構えはあまり気にしません。お団子さえ出してくれれば充分です。
「お茶のお供にはお団子ですよ!」
「そんな事、初耳ですよ?」
おかしいですね。お団子界では有名なのですが。博識の政信さんでも知らないようですね。いけません。布教活動が足りていませんでしたか。もしかして、引きこもりのせいで世情に疎いのかも。まあ、どっちでも良いですね。さっさと頼んでしまいましょう。
「当たり前すぎて皆さん口に出さないだけじゃないですか~? おっちゃん、お茶とお団子二人前ね!」
「はいよ~。団子は醤油塗っただけだけんど、ええかい?」
「はい!」
「良いのか? 城下に比べれば、種類も味も落ちるだろうに」
「お団子に貴賎はありませんから!」
政信さんは言っても無駄かというような、お顔をされてます。なかなか分かり合えそうにありません。
分かってもらえないのは悲しいですけれど、私は今回の団子は特別と思ってます。味とかそういうのが大事じゃないんです。
だって初めての旅で食べる初めてのお団子なんです。それだけで胸一杯、お腹一杯ですよ。と言ってもちゃんとお団子は食べますよ? それとこれとは話が別ですから。
冗談はさておき、そういうお団子なので食べないなんて選択肢ありません。
ふう。良いお団子でした。団子は固め、醤油は、こちらでは珍しい濃口醤油で香りが強かったです。わかりやすい味で食べ応えがありました。お食事団子って感じです。
お団子一個一個は少し大振りでしたが一人前二本ではちょっと少ないですね。二人前で何とか足りるかなといった程度。
「もう良いですか? お団子の二人前はあなたの分だったのですね」
「おや、食べたかったのですか? 味の心配をされてたので、てっきり食べたくないのかと思ってました」
「そうすると食べないって事になるんですか?」
「ふふふ、ご馳走様でした!」
まだまだ甘いですね。お団子は戦争です。政信さんには負ける気がしません。
失敬な。ちゃんと最後の所は聞いてました。
「忍者を育てられる師匠忍者を探すという事ですね! ちゃんと聞いてましたよ!」
「……それは聞いていたというんですかね?」
なんか信用なさそうな顔をされていますね。
「旅の目的は師匠忍者を探すで間違ってますか?」
「間違ってないのが癪ですね」
間違っていないのに……癪だと言われました。ヒドイです。やはり、殿方にとって女の子は馬鹿なほうが良いのですね。勉強になります。癪ですけど。
こんなやり取りしてますが、歩みの速度は落としてません。
歩き出して半刻ほどになります。そろそろいつもの山の近くにですね。ここまでは良いのですが、ここから高野山へはどういけば良いのでしょう。
「政信さん、このまま紀ノ川に沿って進むのですか?」
「いえ、もうすぐ支流の貴志川の分岐点に差し掛かります。そこから少し貴志川沿いに進むと高野山への登山道があるのです。高野山の近くまで行かなければ、碌に整備のされていない山道ですけどね」
この辺りと言いますか、大抵の道はあまり整備されていません。参勤交代で利用されているような道は別にして、庶民が使用する道は、人が踏み締めた地面が道となっているに過ぎません。通る人が少なければ細っていきますし、山であれば木々が迫ってきます。そうやって段々と道が消えてしまうのです。
山道とはいえ、継続して人が通っている道であれば枝が払われていますし、それなりに足元も踏み固められています。
普段、私たち庭番のものが山に入る時は、獣道ばかりです。獣道は、人に比べて背が低いですから、人が歩くと枝が邪魔です。獣の方が足も小さいので人の足では踏み外してしまいそうな所も多いです。
それに比べれば、山道なんて街中を歩くようなものです。
「私たちにしてみれば人の通り道ってだけで充分ですよ。いつもは獣道ばかりですから」
「それもそうですね。ある程度進めば、峠の茶店があるでしょう。そこまで一気に進んでしまいましょう」
「はい!」
峠の茶店。素敵な響きですね。どんなお団子があるのでしょうか。
ん? 何か違和感がありますね。少し山道を分け入ったところに生き物の気配がします。不思議なのは気配を殺そうとしている事。この辺りでそんなことするのは山犬か人くらいなものです。山犬でもこんな浅いところで待ち伏せなんて滅多にないし、そもそも人を狙うような危険を冒すとは思えません。となると山賊さんですかね。
こっちを見つけられるような距離ではないので、まだ安全でしょう。それにしてもこんな所に山賊さんがいるなんて。
まだ山の入り口なので見張り兼物色担当といったところでしょうか。この辺りは高野山目当てで、一般人の参拝者が多いので、そういう人たちを狙っているのでしょう。
罰当たりですね。やっちゃいますか。
政信さんに声を掛けようと振り返ると、政信さんも気が付かれたようです。小さな声で話しかけてきました。
「ちょっと待ってください。あっちの奥の茂みに野盗がいるようです」
「ですね。やっちゃいますか?」
「放置したら、参拝者に危害が及びますね。気が付かれず狙えますか?」
「お任せを!」
私は政信さんと別れ、山に分け入ります。もちろん、音を立てるような素人みたいな事はしませんよ。印地打ち用の石は、歩きながらいくつか確保してますから問題ありません。事前準備が大事なのです。
気が付かれないように山賊さんと同じ距離を保ちながら円を描くように奥へと進みます。この辺りは鹿狩りと同じで如何に気が付かれず狙撃ポイントに辿り着けるかが肝です。しかし鹿さんと違って鼻が利かないので風向きを気にしなくて良いのは楽ですね。
居ました。私から見て左手斜め前方にいます。木に身体をくっつけ、山道の方を監視しています。それにしても着物の上に袖なしの毛皮を着ていますが暑くないのでしょうか。山賊としての矜持なのでしょうか。もしかして、これが様式美というやつかもしれません!
さて、案の定あの方は私には気が付いていないようですね。背中がガラ空きですよ。この位置は絶好です。射線が空いているうえに、お腹側を木に付けているので、印地の衝撃も逃がせないです。
政信さんも言っていましたが、放置すれば善良な人たちがひどい目に遭ってしまいます。安らかに逝ってもらいましょう。一撃必殺です。
確実にいくため、少し距離を縮め、手持ちの石の中で一番大きく平たいものを選びました。距離を縮めたのは、的を外すからじゃないですよ。威力を高めるためですからね。なんせ私は日葵流印地打ちの開祖なのです。
手に石を握りしめ、振りかぶります。身体の捻りを利用して力を溜めます。標的の山賊さんに背を向けるくらい腰を捩じり、真っすぐ足を踏み出します。腕は身体が元に戻ろうとする動きに合わせて最後に動かします。そうすると体全体が鞭のよう撓り、腕、手、指と先端になるほど加速度を増します。
放り投げる瞬間、左ひざに壁を作るのです。これ重要ですよ。そうすると放る力が一気に爆発します。いけません、日葵流印地打ちの極意を話してしまいました。
と言っている間に命中ですね。仕留めました。きっちり首筋に命中です。周囲の気配は政信さんしかありませんから大丈夫でしょう。念のため、確認しに行きます。
やはり一撃必殺ですね。気が付かれず仕留めました。これで参拝者の人たちの安全が保たれればいいのですが。でもこの人は見張りですから、まだまだ山賊さんいるんでしょうねぇ。
「さすがですね。お見事です」
「いえいえ。普段獲っている鹿の方が難しいですから」
「下っ端の見張りですね。しかし、このままにしては仲間に知られてしまいます。根城を襲って壊滅させるほど、時間も手も足りません。申し訳ないですが、もっと奥に引き込んでおきましょうか」
「りょうかいでーす」
と、予定外の山賊さん退治もありましたが、歩みは順調でした。目的の峠の茶屋が見えてきました。
「着きましたね~」
「そうですね。一息入れましょう」
このお店は山を越え高野山へ参拝する人たちを対象にした茶店のようです。
何と言いますか、趣のある茶店ですね。
これは小屋とも言えないです。まだ四阿の方が建物らしいと思えます。だって、このお店、壁がないんです。柱と柱を細い木材で繋がっているだけです。 いや、木材ではなく、あれは皮を剥いただけの木そのものですね。
壁の代わりに簾で囲われていて、天井も簾です。世の中には不思議な茶店があるものです。旅はしてみるものですね。
私にしてみれば、店構えはあまり気にしません。お団子さえ出してくれれば充分です。
「お茶のお供にはお団子ですよ!」
「そんな事、初耳ですよ?」
おかしいですね。お団子界では有名なのですが。博識の政信さんでも知らないようですね。いけません。布教活動が足りていませんでしたか。もしかして、引きこもりのせいで世情に疎いのかも。まあ、どっちでも良いですね。さっさと頼んでしまいましょう。
「当たり前すぎて皆さん口に出さないだけじゃないですか~? おっちゃん、お茶とお団子二人前ね!」
「はいよ~。団子は醤油塗っただけだけんど、ええかい?」
「はい!」
「良いのか? 城下に比べれば、種類も味も落ちるだろうに」
「お団子に貴賎はありませんから!」
政信さんは言っても無駄かというような、お顔をされてます。なかなか分かり合えそうにありません。
分かってもらえないのは悲しいですけれど、私は今回の団子は特別と思ってます。味とかそういうのが大事じゃないんです。
だって初めての旅で食べる初めてのお団子なんです。それだけで胸一杯、お腹一杯ですよ。と言ってもちゃんとお団子は食べますよ? それとこれとは話が別ですから。
冗談はさておき、そういうお団子なので食べないなんて選択肢ありません。
ふう。良いお団子でした。団子は固め、醤油は、こちらでは珍しい濃口醤油で香りが強かったです。わかりやすい味で食べ応えがありました。お食事団子って感じです。
お団子一個一個は少し大振りでしたが一人前二本ではちょっと少ないですね。二人前で何とか足りるかなといった程度。
「もう良いですか? お団子の二人前はあなたの分だったのですね」
「おや、食べたかったのですか? 味の心配をされてたので、てっきり食べたくないのかと思ってました」
「そうすると食べないって事になるんですか?」
「ふふふ、ご馳走様でした!」
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