3 / 6
一日目
投票
しおりを挟む
ゴーン、ゴーン、ゴーン
9時の鐘が鳴った。どうやら合図のようだ。
ホールには全員が集まり、椅子に座っていた。
『ハ~イ。全員カードヲ所持シテイル様デスネ~ デハ、ゲームヲ開始シマ~ス』
『時間ヲ10分与エマスノデ最初二2名指名シテ下サ~イ』
「……おい、どうする?」
友也がズレた眼鏡を直しながら言う。
「決まってんじゃん。私は、翔太と花江を指名する」
両腕を伸ばし、二人に指を指したのはみさきだった。彩香にとっては、クラスで関わることが少なかったが、彼女が指名した花江を中学校の時からいじめていることは知っている。
「なんでよ!」
花江が叫びだした。
「なんでいつも私がこんな目に合わなきゃいけないの!」
花江は美咲に訴え続けた。目には涙が溢れている。
「は? 花江のくせに私らに逆らうわけ?」
「……」
「それに消去って言っても死ぬわけじゃないんだから」
遠目で見ていた楓が声をあげる。
「何も言わないってことは決定で良いよね」
美咲の一方的な語りに辺りが沈黙した。
『誰ヲ指名スルカ決メマシタネ』
「俺らは何をすればいいんだ?」
「全員が指を同時に指せばすぐ決められる」
誠が言った。誠はクラスでは学力トップの成績だ。頭の回転が早く、さすがだなと彩香は思った。「早くやろう。どうせ票が集まるのは花江なんだから」
花江はもう何も言わない。大粒の涙を流し続けていた。
「せーの!」
健の掛け声とともに全員が腕を上げる。
全員の腕が花江を指した。
『二名ガ指名サレマシタ~』
全員まだ腕を上げたままだ。指された花江は腕を上げたまま下を向き泣き続けていた。
『指名サレタノハ花江サン、結衣サンデ~ス』
彩香はすぐに結衣の方を見る。彼女は目を見開いたまま、固まっている。結衣の正面に座っているのは花江。花江の腕が結衣の方向に伸びていた。
「……嘘……」
『デハデハ花江サン、結衣サン、円の中心ヘ』
結衣が持っているのはクローバーの3。3が勝てるカードは無い。最悪の結末が彩香の頭によぎった。
『ソレデハ、持ッテイルカードヲ出シテ、全員ニ見セテ下サ~イ』
二人はゆっくりとカードを取り出す。同時に、カードを表にして身体の前に差し出した。ホールにいる全員の視線が集まる。
差し出されたカードはハートの7とクローバーの10。
「……私の勝ち」
言ったのは——結衣だった。
直後、花江の身体が後ろに反り返るように倒れ、首を抑えて叫び出す。
「あ、あぁぁぁ!!!………」
床で暴れまわる花江の身体がピタッと止まった。
「は、花江……?」
楓が花江を触れた瞬間
「うわぁっ!!」
倒れていた花江が楓に飛びつき、再び床に倒れた。倒れた花江の身体が痙攣して不気味な動きをしている。
「まさか、あの首輪が……」
そう呟いたのは翔太だった。彼の方が震えている。
「……おい、嘘だろ?なぁ、嘘だと言ってくれよ」
誠が取り乱す。祐介がおどついて、
「…一度みんな落ち着こう」
「ッテメェ、ンなことできるわけないだろ!1人死んだんだぞ!これで落ち着いてられるオマエは普通じゃねぇ!」
和也が祐介に反発する。そんな時、急に
『ヤッパリ人間ハモロイデスネ~』
「…う、うるせぇ!本気何なんなんだよテメェは!」
和也が椅子を蹴り倒して叫ぶ。
「和也落ち着けって言ってるだろ!」
健が後ろから和也を押さえつけた。
『ソ~デスヨ~ 落チ着イテ下サ~イ』
『皆サンノ椅子ノ裏二マタカードガ有リマス』
全員が急いで、一斉に確認した。
「…ほ、本当だ。封筒がちゃんとある」
『デハマタ9時二集合シテ下サイネ~』
さっき花江が死んだのが嘘のように静まり返った。
「…何だか変じゃないか?」
友也が不信がって言った。
「何がだ?」
「だって僕たちはこの部屋をずっと探索していた 。だけど誰も花江も含めて13人以外見ていない。そして音声は普通に僕たちと話せていた 。ということは、もし黒幕が動画を使ってリアルタイムで見ていないいならこの生き残っている12人の中の誰かになる」
それを聞き、大勢が驚愕の顔を見せた。
「確かにそうだな」
祐介が落ち着いた様子で言った。
「一度みんな部屋に戻った方がいい。明日の朝になったら話し合おう」
「で、でも、1人は怖いよ」
ビビリの翔太が声を震わせて言った。
「強制するつもりは無いよ。ただ明日までには全員心を落ち着かせておいてほしい。」
どうやら全員納得したらしく大人しく部屋に戻って行った。
「結衣ちょっといい?」
彩香は結衣に声をかけ、部屋へ招いた。
結衣はベッドに座り、彩香は壁に寄りかかりながら問いた。
「どうゆうこと?」
結衣は彩香に持っているカードを伝えた。だか、結衣の持っているカードは違っていた。
「なんで私に嘘をついたの? 信じてくれなかったの?」
「ごめん、ただ生き残りたかっただけなの」
涙を流しながら答えた。
長い沈黙が続いた。
「……なんで嘘ついたの?」
「明日、私の部屋に来て。全部言うから」
そう告げると、部屋から出ていった。
彩香はベッドに横になったが、寝付くことなど出来なかった。
1日目END
死者1名 生存者12名
9時の鐘が鳴った。どうやら合図のようだ。
ホールには全員が集まり、椅子に座っていた。
『ハ~イ。全員カードヲ所持シテイル様デスネ~ デハ、ゲームヲ開始シマ~ス』
『時間ヲ10分与エマスノデ最初二2名指名シテ下サ~イ』
「……おい、どうする?」
友也がズレた眼鏡を直しながら言う。
「決まってんじゃん。私は、翔太と花江を指名する」
両腕を伸ばし、二人に指を指したのはみさきだった。彩香にとっては、クラスで関わることが少なかったが、彼女が指名した花江を中学校の時からいじめていることは知っている。
「なんでよ!」
花江が叫びだした。
「なんでいつも私がこんな目に合わなきゃいけないの!」
花江は美咲に訴え続けた。目には涙が溢れている。
「は? 花江のくせに私らに逆らうわけ?」
「……」
「それに消去って言っても死ぬわけじゃないんだから」
遠目で見ていた楓が声をあげる。
「何も言わないってことは決定で良いよね」
美咲の一方的な語りに辺りが沈黙した。
『誰ヲ指名スルカ決メマシタネ』
「俺らは何をすればいいんだ?」
「全員が指を同時に指せばすぐ決められる」
誠が言った。誠はクラスでは学力トップの成績だ。頭の回転が早く、さすがだなと彩香は思った。「早くやろう。どうせ票が集まるのは花江なんだから」
花江はもう何も言わない。大粒の涙を流し続けていた。
「せーの!」
健の掛け声とともに全員が腕を上げる。
全員の腕が花江を指した。
『二名ガ指名サレマシタ~』
全員まだ腕を上げたままだ。指された花江は腕を上げたまま下を向き泣き続けていた。
『指名サレタノハ花江サン、結衣サンデ~ス』
彩香はすぐに結衣の方を見る。彼女は目を見開いたまま、固まっている。結衣の正面に座っているのは花江。花江の腕が結衣の方向に伸びていた。
「……嘘……」
『デハデハ花江サン、結衣サン、円の中心ヘ』
結衣が持っているのはクローバーの3。3が勝てるカードは無い。最悪の結末が彩香の頭によぎった。
『ソレデハ、持ッテイルカードヲ出シテ、全員ニ見セテ下サ~イ』
二人はゆっくりとカードを取り出す。同時に、カードを表にして身体の前に差し出した。ホールにいる全員の視線が集まる。
差し出されたカードはハートの7とクローバーの10。
「……私の勝ち」
言ったのは——結衣だった。
直後、花江の身体が後ろに反り返るように倒れ、首を抑えて叫び出す。
「あ、あぁぁぁ!!!………」
床で暴れまわる花江の身体がピタッと止まった。
「は、花江……?」
楓が花江を触れた瞬間
「うわぁっ!!」
倒れていた花江が楓に飛びつき、再び床に倒れた。倒れた花江の身体が痙攣して不気味な動きをしている。
「まさか、あの首輪が……」
そう呟いたのは翔太だった。彼の方が震えている。
「……おい、嘘だろ?なぁ、嘘だと言ってくれよ」
誠が取り乱す。祐介がおどついて、
「…一度みんな落ち着こう」
「ッテメェ、ンなことできるわけないだろ!1人死んだんだぞ!これで落ち着いてられるオマエは普通じゃねぇ!」
和也が祐介に反発する。そんな時、急に
『ヤッパリ人間ハモロイデスネ~』
「…う、うるせぇ!本気何なんなんだよテメェは!」
和也が椅子を蹴り倒して叫ぶ。
「和也落ち着けって言ってるだろ!」
健が後ろから和也を押さえつけた。
『ソ~デスヨ~ 落チ着イテ下サ~イ』
『皆サンノ椅子ノ裏二マタカードガ有リマス』
全員が急いで、一斉に確認した。
「…ほ、本当だ。封筒がちゃんとある」
『デハマタ9時二集合シテ下サイネ~』
さっき花江が死んだのが嘘のように静まり返った。
「…何だか変じゃないか?」
友也が不信がって言った。
「何がだ?」
「だって僕たちはこの部屋をずっと探索していた 。だけど誰も花江も含めて13人以外見ていない。そして音声は普通に僕たちと話せていた 。ということは、もし黒幕が動画を使ってリアルタイムで見ていないいならこの生き残っている12人の中の誰かになる」
それを聞き、大勢が驚愕の顔を見せた。
「確かにそうだな」
祐介が落ち着いた様子で言った。
「一度みんな部屋に戻った方がいい。明日の朝になったら話し合おう」
「で、でも、1人は怖いよ」
ビビリの翔太が声を震わせて言った。
「強制するつもりは無いよ。ただ明日までには全員心を落ち着かせておいてほしい。」
どうやら全員納得したらしく大人しく部屋に戻って行った。
「結衣ちょっといい?」
彩香は結衣に声をかけ、部屋へ招いた。
結衣はベッドに座り、彩香は壁に寄りかかりながら問いた。
「どうゆうこと?」
結衣は彩香に持っているカードを伝えた。だか、結衣の持っているカードは違っていた。
「なんで私に嘘をついたの? 信じてくれなかったの?」
「ごめん、ただ生き残りたかっただけなの」
涙を流しながら答えた。
長い沈黙が続いた。
「……なんで嘘ついたの?」
「明日、私の部屋に来て。全部言うから」
そう告げると、部屋から出ていった。
彩香はベッドに横になったが、寝付くことなど出来なかった。
1日目END
死者1名 生存者12名
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
コ・ワ・レ・ル
本多 真弥子
ホラー
平穏な日常。
ある日の放課後、『時友晃』は幼馴染の『琴村香織』と談笑していた。
その時、屋上から人が落ちて来て…。
それは平和な日常が壊れる序章だった。
全7話
表紙イラスト irise様 PIXIV:https://www.pixiv.net/users/22685757
Twitter:https://twitter.com/irise310
挿絵イラスト チガサキ ユウ様 X(Twitter) https://twitter.com/cgsk_3
pixiv: https://www.pixiv.net/users/17981561
野辺帰り
だんぞう
ホラー
現代ではすっかり珍しいものとなった野辺送りという風習がある。その地域では野辺送りに加えて野辺帰りというものも合わせて一連の儀式とされている。その野辺の送りと帰りの儀式を執り行う『おくりもん』である「僕」は、儀式の最中に周囲を彷徨く影を気にしていた。
儀式が進む中で次第に明らかになる、その地域の闇とも言えるべき状況と過去、そして「僕」の覚悟。その結末が救いであるのかどうかは、読まれた方の判断に委ねます。
梟(フクロウ)の山
玉城真紀
ホラー
人を愛するという事は、とても素晴らしい事。
兄妹愛、親の愛、夫への愛、子供への愛。人は、様々な愛情を知っている。しかし、その「愛」を間違った使い方をしてしまうとそれは「憎しみ」へと変わる。
話をしてはいけないという奇妙な祭りの禁忌を犯してしまった事から始まる物語。
愛した男の裏切りから女の死、村の全滅。
それは、死んだ女の怨念がなしたものなのか、それともそれ以前からの呪詛のせいなのか・・・
【短編集】霊感のない僕が体験した奇妙で怖い話
初めての書き出し小説風
ホラー
【短編集】話ホラー家族がおりなす、不思議で奇妙な物語です。
ーホラーゲーム、心霊写真、心霊動画、怖い話が大好きな少し変わった4人家族ー
霊感などない長男が主人公の視点で描かれる、"奇妙"で"不思議"で"怖い話"の短編集。
一部には最後に少しクスっとするオチがある話もあったりするので、怖い話が苦手な人でも読んでくださるとです。
それぞれ短くまとめているので、スキマ時間にサクッと読んでくださると嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる