:Δ第1話更新Δ:【不定期連載】拳で語れ-ナグリ屋、始めました。-

北斗

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第1話 人生逆転?川の中の女神(?)様

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俺は今、追われていた。

『てめぇ待ちやがれぇぇぇ!』
『次こそは絶対逃がさねぇからなぁ!!』

後ろからバンダナを付けたジジィが俺を追いかけながら叫び倒している。
た。

『....やっべ!!』

俺がどうして追われているのかって?そう、食い逃げだ。

『おいガキィ!そっちに逃げたって行き止まりだぞ!おとなしく捕まりやがれぇ!』

この人はとある老舗ラーメン屋の店主。毎回食い逃げに成功してきた店だったが、何度も
してきたせいか、流石にもう逃がすわけにはいかんとばかりの鬼の形相で追ってきやがる。

『...くっそ...流石にまじィな...!』

俺としたことが、一本道の路地に逃げ込んでしまった。
何度も逃げきってきたとはいえ、俺はそこまでこの土地に長くいない。このジジィの方が
圧倒的に分がある。正直この状況はかなりヤバい。

え?なんで食い逃げするかって?そりゃあ...金がねぇからよ。
ちょっといろんな事情で、ホームレス。しばらくその日暮らしで生きてるってわけ。
まぁその分自由に生きてるわけだが。

『でも、それも今日で終わりかもなぁ。悪い意味で。』

走っていく方向に、柵。

『はァ...はァ...もうここまでだな...。』

流石にもうあきらめるしかない。サツに捕まって人生終了するしかない。

『もう逃げられないからなァ!クソガキィィ!』

店主がしたり顔で追ってくる中、水の音がする。川だ。

『なるほど...この川が俺にとっての三途の川ってことか...。』

俺は覚悟した。もう飛び込むしかない。
俺は柵を上り始めた。

『おい!待て!早まるな!逃がすかァ!!!』

したり顔だった店主の顔が何とも言えない顔になった。
俺は柵に上り終え、叫んだ。

『アディオス日本!滝健斗先生の次回作にご期待くださァァァァァいッッ!!!!』

勢いよく着水した。一瞬にして視界が鮮やかな群青色に染まった。
...俺は気を失った。






しばらくしたのかわからないが、気づいた時には見慣れない橋の隅にいた。

『...ッハ!生きてる!俺は転生したのか!?』

気になって川面を覗いた。

『なッ,,,!イケメンになってるゥゥゥウ?!...って俺は元々イケメンか。ったく何にも変わってねえじゃねえかよ。つまんねぇの。』
『しかし、なんとか逃げられてよかったなァ...三途の川じゃなくてよかった...ホッ...。』

なんとか生き延びてホッとしていた矢先、何か視線を感じる...。

『おーい!おっさんなにしてんのー?』

小学生の団体様御一行だ。こういう時のガキが一番めんどくさい。

『るせぇ!ガキ!見てんじゃねぇ!あとおっさんじゃねぇ!俺はまだ20代だ!!』

『うわぁ~!ホームレスがなんか言ってるよ~!』『ぎゃはははははー!』

これぐらいの年頃は時に残酷なことを言う。マジだから言い返せない、ほんと情けない20代男性だ。
嵐のような小学生団体様御一行が過ぎ去ったところで、次は風に乗ってチラシが飛んできた。

『...ッ!ッンハッッッ...!!』

チラシが顔面に吹きかかり、危うく息を拭き取るところだった。

『ッたくなんなんだよ~ついてねえなあ!』

チラシを地面にたたきつけたが、ふと目に留まり、再度手に取った。

『あァ?これ求人チラシか?...なッ!正社員の求人じゃねえかこれ!...んーと何々?...ナグリ屋...?
なんだそれ。意味わかんねえな...。でも、給料も悪くねえし、住みこみみたいだし....これに賭けてみるか!!』

俺はさっそく、チラシに書いてある住所に向かった。






『え...ここなのか...?ほんとに...?』

思わずチラシを確認した。あってる。明らかに普通のボロい一軒家である。

『いや...家じゃん。』

俺はとりあえずチャイムを鳴らすことにした。

(ピーンポーン)

返事はない。家の中でチャイム音が響いているだけで、人の声など1ミリも聞こえなかった。

『留守なのかな,,,んん~....』

(ガラガラガラ...)

『あ...やべ....鍵開いてんのかよ...不用心だな...』

試しに扉に手を伸ばしたら開いてしまった。この時点で異常な不安感が募った。

『...あの~すいませ~ん...求人のチラシを見て来たんですけど~...誰かいませんか~...』

とりあえず呼びかけてみたが、やはり返事がない。

『...すいませーーーんッッ!!求人見て来たんですけどーーー!!誰かいませんかーー!!』

返事がなかったので大声で呼んでみた。

?『ったくうっせえなァ...なんだよー。』

野太い声でだるそうに返事が来た。

『...はぁぁ..!!』

大声を出して...というか、ここに来たのを後悔した。

?『あぁ、なんだあんた。』

そこにはぴっちぴちのエプロンを着て、手足が原木ぐらい太く、目がガンギマったゴリゴリのおっさんがどっしりと構えていた。

『ひぃぃ...!』

((やべぇとこに来ちまったぁ~~~~~~~~!!!!!))




                      2話に続く






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