兄の代わりを務めたら嫌われものでした

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一日がやっと終わった。


「碧、お疲れ様。」

「待たせちゃってごめんね、ありがとう。」




「ほんとに碧くんありがとう。とっても助かったし今日で終わりはやっぱり寂しいね。本当にいつでも来てね。
そしてこれがお給料。いっぱい働いてくれてありがとう。」

蘭さんからお給料をいただく。


「ありがとうございます!今度はお客さんとして食べに来ますね!」


「うんうん、待ってるからね。」


借りていたものを返し、残り少ない手荷物をまとめると本当に今日で終わりなんだなって思って少し寂しくなる。


「それじゃあ、ありがとうございました!」




蘭さんに別れを告げ、悠人くんとお店を出る。


「今日は荷物もあるし疲れてるだろうから家の車呼んでる。それに乗って俺の家に行こう。」


「本当に何から何までありがとう。」



これから悠人くんとずっと居られることにワクワクする気持ちとずっと一緒っていうドキドキ感で胸がいっぱいだ。


「そういえば、明日お家の方にご挨拶しに行くんだよね?何がお好きかな?」

「そんな気を遣わなくていいのに...でもそれだと碧が気にするよね。うーん、近くにあるケーキ屋さんでケーキ買っていくのでいいかも。」

「わかった、そしたら朝買ってから行こうね。」

「そうしよっか。」


御家族は受け入れてくれてるって聞くけどお付き合いしてるっていう立場で会うなんて緊張しかない。

「ふふっ、碧、不安そうな顔してる」

悠人くんが突然顔を覗き込み笑ってる。


「本当に厳しい人達じゃないから心配しないでいいよ。」

気づいたら手がギュッと握られていて、その感触に安心感を覚える。


僕もぎゅっと握り返す。


少しお店の外で待ってたら悠人くんの家の黒塗りの高そうな車が来た。

音もなく静かに止まり中から運転手さんが出てくる。

「悠人様、お待たせして申し訳ございません。」

「僕の連絡が遅かったからね、気にしないで。」

サッと荷物を受け取られ、ドアが開けられて恐る恐る車に乗り込む。


「ありがとうございます....」

小さく会釈されて微笑んでくれた。

「とてもお可愛らしい方ですね。」

「当たり前。碧は僕のだからね。」

「分かっておりますよ。でもそのような悠人様のお姿は初めて見ました。大変喜ばしいことです。」

「碧に余計なことは言わないでほしいんだけど。」


悠人様と運転手さんはとても仲が良さそうで見ていて幸せな気持ちになる。




そう言いながら車は出発し、快適な乗り心地の中マンションに着いた。




それはとても大きなマンションで、見上げないといけないものだった。
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