兄の代わりを務めたら嫌われものでした

レタ

文字の大きさ
上 下
52 / 57

51

しおりを挟む
部屋に入ると再び抱きしめられる。


「もう会えないかと思って不安だった。」

抱きしめられると悠人くんがいるって実感できる。


どことなくふたり顔を見合わせ、近づいてくる、と思った時には唇が重なっていた。


前のことがあってからこういった接触は無理かもと思っていたけど自然と受け入れられている。



いったん唇を離すと、


「口開けて」


そう言われてポカンとしてると再び重なる。


ヌルッとしたものが口の中に入ってきてて、気づいた時には食べられてるような気持ちになって、
それは僕の息が苦しくなるまで続いた。


苦しくなって、悠人くんの胸元を力なく叩くと離してくれた。


その瞬間力が抜けて立ってられなくなって、すぐに悠人くんが抱きとめてくれた。

「かわいい。腰抜けちゃった?」


恥ずかしくて顔が真っ赤になる。


「もう、悠人くんのバカ」


「ごめんごめん。」

そのまま抱きかかえられてベッドに乗せられる。



「ここ壁薄いし今日はまだしないでおこうね。碧くんもこういうことにこわい気持ち残ってるかもしれないし、ゆっくり進めていきたい。」


「うん。ありがとう。」


もしかして、と思ってドキドキしてたけど、僕のことを考えてゆっくり進めてくれるっていう悠人くんのことが大好きだ。


「ねぇ、碧くんのこと、碧って呼んでもいい?」


「うん。」



碧って呼ばれると距離が縮まった感じがしてますますドキドキする。


「碧は悠人って呼んでくれないの?」


「それは....もうちょっと慣れてから.....」


「ははっ、全然いいよ。悠人くんって呼ばれるのも気に入ってるからね。」




コンコン


「悠人くん、碧くん。お風呂もう湧いてるから好きな時に入ってね。」


「はい。」

蘭さんがドアの外から伝えてくれる。


「悠人くん、お先にどうぞ。僕もうちょっと落ち着いてから入りたい...」

「いいの?じゃあ遠慮なく。」



悠人くんが部屋を出ていった瞬間大きく息を吐く。

あまりに怒涛の展開にこれは現実なんだろうかという気持ちになってくる。


ほっぺたをつねってみるけど痛い。


これからずっと悠人くんと一緒なんだよね?
僕のために色々お家の方にまでお話してくれてて、プロポーズまでしてもらったってことだよね?


薬指をみてみるとそこには綺麗な光る銀色の指輪が輝いている。

改めて考えるとすごいこと過ぎて頭が追いつかない。

そんなふうに1人で頭の中でわたわたしてると悠人くんが戻ってきた。


「碧、お風呂上がったよ。もう落ち着いた?」

久しぶりに見たお風呂上がりの悠人くんは髪から水が滴っていて色気がすごい。

「あ、うん、入ってくるね。」


なんか直視出来なくて、逃げるようにお風呂に向かった。
しおりを挟む
感想 41

あなたにおすすめの小説

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

男子寮のベットの軋む音

なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。 そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。 ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。 女子禁制の禁断の場所。

悪役令息シャルル様はドSな家から脱出したい

椿
BL
ドSな両親から生まれ、使用人がほぼ全員ドMなせいで、本人に特殊な嗜好はないにも関わらずSの振る舞いが発作のように出てしまう(不本意)シャルル。 その悪癖を正しく自覚し、学園でも息を潜めるように過ごしていた彼だが、ひょんなことからみんなのアイドルことミシェル(ドM)に懐かれてしまい、ついつい出てしまう暴言に周囲からの勘違いは加速。婚約者である王子の二コラにも「甘えるな」と冷たく突き放され、「このままなら婚約を破棄する」と言われてしまって……。 婚約破棄は…それだけは困る!!王子との、ニコラとの結婚だけが、俺があのドSな実家から安全に抜け出すことができる唯一の希望なのに!! 婚約破棄、もとい安全な家出計画の破綻を回避するために、SとかMとかに囲まれてる悪役令息(勘違い)受けが頑張る話。 攻めズ ノーマルなクール王子 ドMぶりっ子 ドS従者 × Sムーブに悩むツッコミぼっち受け 作者はSMについて無知です。温かい目で見てください。

俺の義兄弟が凄いんだが

kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・ 初投稿です。感想などお待ちしています。

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。

小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。 そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。 先輩×後輩 攻略キャラ×当て馬キャラ 総受けではありません。 嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。 ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。 だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。 え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。 でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!! ……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。 本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。 こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます

夏ノ宮萄玄
BL
 オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。  ――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。  懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。  義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

春を拒む【完結】

璃々丸
BL
 日本有数の財閥三男でΩの北條院環(ほうじょういん たまき)の目の前には見るからに可憐で儚げなΩの女子大生、桜雛子(さくら ひなこ)が座っていた。 「ケイト君を解放してあげてください!」  大きなおめめをうるうるさせながらそう訴えかけてきた。  ケイト君────諏訪恵都(すわ けいと)は環の婚約者であるαだった。  環とはひとまわり歳の差がある。この女はそんな環の負い目を突いてきたつもりだろうが、『こちとらお前等より人生経験それなりに積んどんねん────!』  そう簡単に譲って堪るか、と大人げない反撃を開始するのであった。  オメガバな設定ですが設定は緩めで独自設定があります、ご注意。 不定期更新になります。   

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

処理中です...