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ご飯もだいぶ食べれるようになって、お話もできるようになってきて、かなりリハビリは順調に進んでいる気がする。


悠人くんといつものようにお話してるときに今日はお菓子があることを思い出した。

「ちょっと待ってて、取ってくる!」

棚に取りに行って小走りで戻ってきてたとき、ちょっと足がもつれた。

あ!倒れちゃう.....

覚悟して目をつぶったとき、

「危ない!」

サッと腕を引かれて抱きとめられる。


その瞬間引っ張られる感じとか自分より大きな人に覆い被さられる感じが一気にあの時の感じを呼び起こした。


「いや!」

バッと突き放す。


いやだ。こわい。


ガタガタ身体が勝手に震える。逃げ出したいけど立ってられなくてその場にしゃがみこんで小さく身体を丸める。



「碧くん!碧くん!俺はあいつらじゃないよ。お願い。こっち見て、悠人だよ。」


なんか悠人くんの声がする。


少し顔を上げると悠人くんがいる。


「碧くん、びっくりさせちゃったね、ごめんね。ちょっと呼吸苦しいよね。ゆっくり息を吐いて、吸って~吐いて~」


言われた通りに頑張って呼吸をする。優しく背中をさすられてる。

「少し落ち着いたかな?お茶持ってくるからベットに座ってて。」

悠人くんが今この場を離れて行こうとするのがすごく嫌で行かないでほしくて袖を掴む。

「お茶いらない。ここにいて....」

だんだん自分の状況は分かってきて、せっかく最近リハビリ上手くいってたのに悠人くんを突き飛ばしてしまったっていう事実がすごくショックだった。


「碧くん、手、握ってみよう。」

手?よくわかんないけど悠人くんの方に少しだけ出す。

悠人くんが優しく僕の手を握る。

少しの間そのままでいて少しづつ気持ちが落ち着いてくる。

「碧くん、抱きしめていい?」

抱きしめる?またさっきのが頭をよぎる。


「碧くん、こっち見て。今目の前にいるのは誰?」

「悠人くん...」

「そうだね。今から碧くんのこと抱きしめるのは目の前にいる僕だからね。」

そう言ってゆっくり優しく抱きしめてくれた。

最初ちょっと震えてたけど優しく背中をポンポンされてギュって抱きしめられてなんだか守られてる気がしてきてそのまま僕はそのあたたかい場所にしばらく居続けた。



気持ちが落ち着いたら少し恥ずかしくなってきた。

「悠人くん、ありがとう。もう大丈夫。」

腕の力をゆるめて僕の顔を見た悠人くんは、

「少し落ち着けたかな?」

そう言って僕をゆっくりベッドに移動させた。


「リハビリ上手くいってると思ってたのに...悠人くんのこと突きとばしちゃってごめんなさい....」

「全然だよ。やっぱり急にっていうのが怖かったよね!こっちそごめんね。これから気をつけるね。」

「ありがとう....」



この出来事があってから、悠人くんは少しずつ僕に触れる機会を増やして、僕が慣れるようにしてくれた。
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