兄の代わりを務めたら嫌われものでした

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数日経って、皇様とは普通にお話できるようになった。いや、皇様じゃない。悠人くんだ。



呼び方が変わった昨日のことを思い出す。

「お願いがあるんだけど、様付けで敬語でだと話しにくいかなと思って、良かったら普通に話してほしいんだけど、ダメかな?」

「え、いや、でも、みんなそう呼んでるので...僕が急にそんな馴れ馴れしくするのは良くないかと....」

「そっか...考えが足りてなかった。自分がそうしてもらいたいがために面倒なことに巻き込むとこだった。でも2人の時はダメかな?ここにいる時とか、部屋に戻れるようになったら部屋でとかだけ....」


1回断ったけどそんなふうに言われたら2人の時だけはいいかも...

「それなら、はい。なれなくて変な感じなりそうですけど...」

「良かった。嬉しい。悠人って呼んで?」

「え、下の名前を呼び捨てですか...?ちょっとハードル高いです...」

「ほら、俺には兄がいるから苗字だとちょっとね、名前で呼んで欲しい。」

「それなら...悠人くん、で.....」


なんか無理やり押さえつけたようなよく分からない表情をした皇様、いや、悠人くんだったけど、ふーっと息を吐いて、「じゃあ慣れたら呼び捨てにしてね」と言った。




今日も夕方が待ち遠しい。先生から、そろそ一緒にご飯食べれそうなら食べたら?って言われて、今日から一緒に夜ご飯も食べる。最近は少しずつ食欲も出てきて、たまに調子悪いけどいい感じの日が多くなっている。


ガチャ

「碧くん、入るよ?」

来た。

「悠人くん!」

「ちょっと顔色いいね。」

しばらくお話して、夜ご飯を一緒に食べることになった。

「今日、俺が作るよ。ここのミニキッチン貸してくれるって先生がいうから。」

「え、悠人くん、料理するの...?僕が作ろうか...?」

「元々してなかったけど、碧くんいつも作ってくれててこういう時に逆に作ってあげれるようになりたくてちょっと練習したんだ。ごめん、碧くんみたいにそんな美味しくは作れないんだけど...」

「とんでもないです...」

自分のために練習してくれたっていうのが嬉しくて胸があったかくなる。

「ちょっと準備してくるからゆっくり待ってて。」

そう言って準備に向かっていった。
気持ちのいい包丁の音とか料理している音をバッグに僕はだんだん眠くなって気づいたら眠っていた。



「碧くん・・・碧くん・・・・・!」


ん.....あ、ごはん!

「ごめんなさい!作ってくれてたのに眠っちゃいました....」

「全然気にしないで!ご飯準備できたけど食べれそうかな?」

いい匂いがしている。近くを見るとお腹に優しそうな雑炊やお味噌汁といったものが少しずつついである。

「どれくらい食べれるか分からなかったから、とりあえずこれくらいついでるけど、もしもう少し食べれそうだったら言ってね。また鍋に残ってるから。味は多分そんな変じゃないと思うけど...もし口に合わなかったら教えてね。」

少し不安そうな顔でこっちを伺ってくる。
なんだか悠人くんがかっこいいのにかわいくみえる。

「ふふっ。ありがとうございます。いただきます。」

どれも美味しそう。
ふぅっと冷ましながら食べる。


「美味しい...!」

前まで何食べても戻してて最近も少し食べれるけど美味しいなんて気持ちにならなかったのに、いまはこのご飯がとても美味しい。

「良かった.....無理しないで食べれる分だけ食べてね。」

「いん。悠人くんも、食べよう?」

「ははっ。そうだね。いただきます。」

また一緒にご飯を食べている。嬉しくて、目から涙がこぼれる。

「碧くん......?どうした?まずかった?気分悪くなった??」

悠人くんが慌てだした。

「違うの、またこうやってご飯一緒に食べれるようになったのが嬉しくて.....」

「俺も凄く嬉しいよ。」

そう言って悠人くんは嬉しそうに微笑んだ。

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