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30(悠人side)
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(悠人side)
明日からはテストで教室に行かないとだけど今日までは生徒会室にいるか...そう思って昼休みを生徒会室で過ごしていた。
ガチャ
誰だろう?あ、蓮だ。テスト間に合ったんだな。
「蓮、お帰り。」
なんだか表情が険しい気がする。
「ああ。悠人、西園寺の事だけど、西園寺と最近どうだ?」
西園寺??その事は思い出したくなくてせっかくここにいるのにその話か。帰ってきたばっかりで知られてるってもう有名なんだな。
「蓮ももう話聞いたの?早いね。もう全然顔みてない。見たくもない。」
「何の話だ?」
どういうことだ?
「え、聞いたんじゃないの?」
「今日帰ってきたばっかで何も聞いてない。何があった?」
「それが...........」
とりあえずあの日のことを話した。今思い出してもイライラする。あの時の西園寺のあの姿は目に焼き付いていて忘れたいのに今でも鮮明に思い出せるのだ。
「悠人、てめぇ......お前なんも見えてなかったな。ほんとにあいつが好き好んでそんなことするやつだとここ何日か一緒に暮らしててそう思ったのか?お前は同じ部屋で暮らして何を見てきたんだ?」
は?
突然蓮が怒鳴り出した。
蓮が怒鳴るとこなんて長い付き合いだが見たことない。
しかも西園寺を庇ってる?今の話の何を聞いてたんだ?
「は?蓮、何言ってんの?」
「自分で気づけよと思って言ってなかったけど........
あいつは西園寺敦じゃねぇ。あいつは双子の弟の西園寺碧だ。本物の敦は階段から落ちたあと今もまだ意識が戻ってなくて代わりに弟の碧が敦に成り代わって学校に来てるんだ。」
「え・・・・・・」
頭が真っ白になった。
双子?別人?成り代わり?あおい・・・・・・?
俺が今まで過ごしてたのは西園寺敦じゃない・・・・・・?
「え、そんな、え、俺が一緒に過ごしてたのは別人ってこと....?」
「そうだよ。てめぇ、西園寺は今どうしてる?」
「最近全然見てないから分からない....」
とりあえず聞かれたことに答えはするけど混乱しすぎて頭が追いつかない。
「まずいぞ、昼だしあのネコんとこにいるかと思って行ったけどいなかった。とりあえず教室に行ってみるぞ。」
「あぁ......」
今まであいつに対しての言動が一気に蘇る。
俺、あの日、西園寺になんて言った.....
顔から血の気が引く。
「そんな...別人だなんて....俺、色々言っちゃいけないこと言ってしまった....」
「後悔してる場合じゃねぇよ。早く行くぞ。」
蓮に引きずられながら急いで教室に向かう。
ガラガラガラッ
西園寺はいない。
「なぁ、西園寺って今日学校来てたか?」
蓮が近くにいたクラスメイトに聞いている。
「あ、九条様......いや、今日は来てないです。あの......最近様子が変で、それでも昨日までは学校来てたんですけど今日来てなくて.....なんかちょっと心配で.......」
「分かった、ありがとう。」
西園寺が学校休んでる?最近見てないけど行ってないなんて思ってなかった。
「寮の部屋に行くぞ。」
他行きそうな場所はなく、蓮に言われた通り寮に向かった。
急いでるせいでうまく鍵がはまらない。
「貸せ。」
蓮が鍵を取ってすぐに開ける。
西園寺の部屋は今まで入ったことは無い。
蓮と目配せして部屋の扉をノックする。
・・・・・・
返事がない。
「西園寺、いるのか?部屋入るぞ。」
・・・・・・
やはり返事はない。
勝手に入るのはくないが今は入らないと行けない。そんな気がしてドアを開ける。
鍵はかかっておらずすんなり開く。
「西園寺.......!」
ベッドが盛り上がっており、そこにいるのが分かる。
居たことに少し安心して近づく。寝てるのか?
布団をそっと捲ってみた。
俺は息を飲んだ。
最後に見た時より随分頬が痩け、汗をかきながらも寒そうに布団の中で丸まっている西園寺がそこにいた。
「西園寺!大丈夫か!?」
おでこに手をあてるとあまりの熱さにびっくりする。
「悠人、俺が校医に連絡する。西園寺は呼吸はしてるよな?」
「あぁ、呼吸は少し弱くなってるけどしてはいる。」
校医はすぐに担架を持って来た。
担架に乗せるため西園寺を抱き上げる。
軽っ.........
あまりの軽さに衝撃を受ける。身体も元々華奢で細かったけど、今はさらに痩せてしまっている。
急いで乗せて医務室に運ぶ。寮生のために入院できる場所が学園の敷地にあるのだ。
「先生、西園寺は大丈夫ですか?」
「これは...かなりの栄養失調だね.....低血糖も起こしているな。急いで処置するからそこで待ってて。」
何も出来ない俺たちは近くでただ待つしかなかった。
「とりあえずもう大丈夫だ。こっち来ていいよ。」
先生から呼ばれ、急いで西園寺の元に行く。改めて見ても苦しそうな顔をしている。
「今日はここに泊まらせる。栄養状態が戻るまではしばらくここかもね。良かったら着替えとか持ってきてあげてほしいんだけど。同室...だよね?」
同室なのにこんななるまで放って置いてしまったことを責められているような気がした。
「そうです......、取って持ってきます。」
「俺も行く。」
蓮とふたりで荷物を取りに一旦寮に戻った。
明日からはテストで教室に行かないとだけど今日までは生徒会室にいるか...そう思って昼休みを生徒会室で過ごしていた。
ガチャ
誰だろう?あ、蓮だ。テスト間に合ったんだな。
「蓮、お帰り。」
なんだか表情が険しい気がする。
「ああ。悠人、西園寺の事だけど、西園寺と最近どうだ?」
西園寺??その事は思い出したくなくてせっかくここにいるのにその話か。帰ってきたばっかりで知られてるってもう有名なんだな。
「蓮ももう話聞いたの?早いね。もう全然顔みてない。見たくもない。」
「何の話だ?」
どういうことだ?
「え、聞いたんじゃないの?」
「今日帰ってきたばっかで何も聞いてない。何があった?」
「それが...........」
とりあえずあの日のことを話した。今思い出してもイライラする。あの時の西園寺のあの姿は目に焼き付いていて忘れたいのに今でも鮮明に思い出せるのだ。
「悠人、てめぇ......お前なんも見えてなかったな。ほんとにあいつが好き好んでそんなことするやつだとここ何日か一緒に暮らしててそう思ったのか?お前は同じ部屋で暮らして何を見てきたんだ?」
は?
突然蓮が怒鳴り出した。
蓮が怒鳴るとこなんて長い付き合いだが見たことない。
しかも西園寺を庇ってる?今の話の何を聞いてたんだ?
「は?蓮、何言ってんの?」
「自分で気づけよと思って言ってなかったけど........
あいつは西園寺敦じゃねぇ。あいつは双子の弟の西園寺碧だ。本物の敦は階段から落ちたあと今もまだ意識が戻ってなくて代わりに弟の碧が敦に成り代わって学校に来てるんだ。」
「え・・・・・・」
頭が真っ白になった。
双子?別人?成り代わり?あおい・・・・・・?
俺が今まで過ごしてたのは西園寺敦じゃない・・・・・・?
「え、そんな、え、俺が一緒に過ごしてたのは別人ってこと....?」
「そうだよ。てめぇ、西園寺は今どうしてる?」
「最近全然見てないから分からない....」
とりあえず聞かれたことに答えはするけど混乱しすぎて頭が追いつかない。
「まずいぞ、昼だしあのネコんとこにいるかと思って行ったけどいなかった。とりあえず教室に行ってみるぞ。」
「あぁ......」
今まであいつに対しての言動が一気に蘇る。
俺、あの日、西園寺になんて言った.....
顔から血の気が引く。
「そんな...別人だなんて....俺、色々言っちゃいけないこと言ってしまった....」
「後悔してる場合じゃねぇよ。早く行くぞ。」
蓮に引きずられながら急いで教室に向かう。
ガラガラガラッ
西園寺はいない。
「なぁ、西園寺って今日学校来てたか?」
蓮が近くにいたクラスメイトに聞いている。
「あ、九条様......いや、今日は来てないです。あの......最近様子が変で、それでも昨日までは学校来てたんですけど今日来てなくて.....なんかちょっと心配で.......」
「分かった、ありがとう。」
西園寺が学校休んでる?最近見てないけど行ってないなんて思ってなかった。
「寮の部屋に行くぞ。」
他行きそうな場所はなく、蓮に言われた通り寮に向かった。
急いでるせいでうまく鍵がはまらない。
「貸せ。」
蓮が鍵を取ってすぐに開ける。
西園寺の部屋は今まで入ったことは無い。
蓮と目配せして部屋の扉をノックする。
・・・・・・
返事がない。
「西園寺、いるのか?部屋入るぞ。」
・・・・・・
やはり返事はない。
勝手に入るのはくないが今は入らないと行けない。そんな気がしてドアを開ける。
鍵はかかっておらずすんなり開く。
「西園寺.......!」
ベッドが盛り上がっており、そこにいるのが分かる。
居たことに少し安心して近づく。寝てるのか?
布団をそっと捲ってみた。
俺は息を飲んだ。
最後に見た時より随分頬が痩け、汗をかきながらも寒そうに布団の中で丸まっている西園寺がそこにいた。
「西園寺!大丈夫か!?」
おでこに手をあてるとあまりの熱さにびっくりする。
「悠人、俺が校医に連絡する。西園寺は呼吸はしてるよな?」
「あぁ、呼吸は少し弱くなってるけどしてはいる。」
校医はすぐに担架を持って来た。
担架に乗せるため西園寺を抱き上げる。
軽っ.........
あまりの軽さに衝撃を受ける。身体も元々華奢で細かったけど、今はさらに痩せてしまっている。
急いで乗せて医務室に運ぶ。寮生のために入院できる場所が学園の敷地にあるのだ。
「先生、西園寺は大丈夫ですか?」
「これは...かなりの栄養失調だね.....低血糖も起こしているな。急いで処置するからそこで待ってて。」
何も出来ない俺たちは近くでただ待つしかなかった。
「とりあえずもう大丈夫だ。こっち来ていいよ。」
先生から呼ばれ、急いで西園寺の元に行く。改めて見ても苦しそうな顔をしている。
「今日はここに泊まらせる。栄養状態が戻るまではしばらくここかもね。良かったら着替えとか持ってきてあげてほしいんだけど。同室...だよね?」
同室なのにこんななるまで放って置いてしまったことを責められているような気がした。
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