兄の代わりを務めたら嫌われものでした

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「今日は遅くなってごめん。これからもこういうことあると思うからその時は伝えられるように連絡先、交換しない？」


え、連絡先？？
交換してくれるの？？


「全然気にしないで大丈夫ですよ！でも、はい！交換しましょう！」


「はい、これ。」

そう言って皇様はQRコードを出してきた。
これ、どうやって友達になればいいんだろう...
連絡先を交換するのが人生で初めてだからやり方が分からない...


「すみません、やり方がわからないんです...」

「え？あ、そうか。貸して。」

そう言ってさっと僕のスマホを操作し始めた。

少し操作したあとスマホを返してきた。

「はい、これで追加しといたから。何かあったら連絡して。」

「ありがとうございます！」

初めての連絡先の交換が嬉しくって顔が緩みっぱなしになってしまう。

どんどん仲良くなれてる気がして、もしかしたら友達とまでは言わなくてもいい同室者になれるかもしれないという気がしてきた。


(悠人side)

西園寺と連絡先を交換しようと思ってQRコードを見せた。
するとやり方がわからないという。
記憶喪失になったらそういうのも忘れるのか？
いや、今までは他の人にやらせてたから知らないのか？

まあそれを言っても仕方がないからやってあげることにする。

スマホを借りて友達追加しようと思って操作していると友達の欄に"父"と"母"しかいない。

そんなことあるのか？

違和感がどんどん強くなる。
記憶喪失になってから今までつるんでたヤツらと連絡を取っていないだけか。

勝手に人の友達の欄を見るのも悪いし、考えても仕方がないと思いそっと考えを放棄した。


スマホを返すと嬉しくて仕方がないというような表情をした西園寺がいた。

こんなに自然に笑えるやつだったのか。
なんだか可愛く見える気がして慌ててそう考えた自分を落ち着かせた。

あんなに嫌いなはずだったのにどうしたんだろう。