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第1章 卵が暴れるソーサレス
プロローグ☆
しおりを挟む「怪我はない?」
「ええ」
夜の学び舎に少女が二人。
異界の植物に侵食されたかつての学び舎で、彼女たちは魔物の群れに取り囲まれていた。
「んふふふ……希望なんてどこにも転がってないんだから、さっさと食われたら?」
褐色の肌をした女の嗜虐的な声が響く。
彼女が言った通り、この学び舎に少女たちが掴める希望など転がってはいなかった。
「魔法力は?」
「準備できてますわ」
だが肩ごしに向き合った少女たちは、絶望とは程遠い表情で微笑む。
「目標はわたしたち以外」
「了解ですわ」
共に学び、共に歩み、共に戦い、築き上げてきた絆。それが希望。その辺に転がってなどいない。
「軟体動物女なんか吹き飛ばしてやる!」
「肺で呼吸してるって何回も言わせないでくれる!?」
褐色の肌をした女が怒声など張り上げたが、少女たちは取り合わずに魔法を紡ぎ始めた。
「あああああああもう! 食べちゃいなさい!」
軟体動物女呼ばわりに腹を立てたのか、女は額に怒りのマークを浮かべると、犬歯を剥き出しにする。
そして――
『シャアアアアアアア!』
魔物の群れが、あらゆる方向から少女たちに襲い掛かった。逃げ場がなければ希望もない。
「苦しみ抜いて死ぬといいわ!」
この場にあるのは恐怖と絶望と、そして嘲り――
『禁じられた魔法!』
「なっ!?」
だが、少女たちの内側から顕現した希望が、何もかもを吹き飛ばす。
・
・
「がんがん焼き払っていくわよ!」
「研究棟には爆薬も保管されているはずですわ!」
「本当!? 楽しい夜になりそうね!」
異界に沈みゆく南端の町。
『パーティーしましょう!』
アレクシアとヨランダ。最後の希望が輝く。
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