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第五章 運命
80文月 抱擁
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「折角皆そろったんだから、店しめて宴でもするかい?」
手伝いにきていた仲間の台詞に紫苑は首を振った。
「折角手伝って下さっているなら、もう1日、お願いすることは出来ますか?」
すぐにでも働きだすのではないかと、心配していた神無月は、不思議そうに紫苑を見た。
「僕だって何も仕事が一番って訳じゃありません。店が荒れているのでないのなら、今日くらいは……」
紫苑の気持ちにすら気がつかず、元来鈍感なこの男は、さっさと上着を脱ぎハンガーにかけ、コックコートに袖を通した。
「ちょっとシェフ……」
「はい?」
「いやいや、ここは着替えちゃだめな所でしょう」
呆れた様に若旦那に制止され、違和感を覚えた神無月は、辺りを見回した。
「やっぱりなんでも無いです。もういいです。仕事しましょう。仕事!僕も着替えます」
ムッとする紫苑を見て、やらかしたと判断した神無月は、慌てて恋人に走りよった。紫苑の腕をつかみ、必死な顔で、紫苑の着替える手を止めながら、覗き込むように懇願する。
「まってくれ、ごめん。まさか美月がそんな風に思っくれているなんて……着替えない、着替えない。ほら、もう脱いだだろ?」
「知りません。着替えたらいいでしょう」
仄かに染まったピンクの頬に、神無月はキスを繰り返し、睨む目にたまる涙をゆっくりと吸った。
「鈍感でごめん。そうだね。今日は皆に任せて家に帰ろう。俺の家でいいか?」
無言で頷く紫苑を抱き抱え、後は頼むと振り返った。
「いや、それは恥ずかしいからおろして下さい」
「いやだ」
「おろしてってば……」
睨む紫苑のおでこをペロリと舐め、耳元で囁いた。
「いいから、腹の子にさわるだろ。いい子にしてくれ」
「ずるい人……」
「したい」
耳元で囁くダイナマイト級の三文字に、紫苑の秘部が濡れたような気がした。
カラン
しがみつく紫苑を抱えたまま、神無月は店を後にした。
「あの二人……やっときちんと繋がったなって気がします」
若旦那の優しい目はのちの二人を案じるものだった。
「大丈夫ですよ。白城の子供を産みたいと言った紫苑君も、産ませたいと言った神無月君も、どちらも大切な物がきちんと見えていましたし、ひとまずは二人でゆっくりさせましょう」
手伝いにきていた仲間の台詞に紫苑は首を振った。
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紫苑の気持ちにすら気がつかず、元来鈍感なこの男は、さっさと上着を脱ぎハンガーにかけ、コックコートに袖を通した。
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「いやいや、ここは着替えちゃだめな所でしょう」
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「やっぱりなんでも無いです。もういいです。仕事しましょう。仕事!僕も着替えます」
ムッとする紫苑を見て、やらかしたと判断した神無月は、慌てて恋人に走りよった。紫苑の腕をつかみ、必死な顔で、紫苑の着替える手を止めながら、覗き込むように懇願する。
「まってくれ、ごめん。まさか美月がそんな風に思っくれているなんて……着替えない、着替えない。ほら、もう脱いだだろ?」
「知りません。着替えたらいいでしょう」
仄かに染まったピンクの頬に、神無月はキスを繰り返し、睨む目にたまる涙をゆっくりと吸った。
「鈍感でごめん。そうだね。今日は皆に任せて家に帰ろう。俺の家でいいか?」
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「いや、それは恥ずかしいからおろして下さい」
「いやだ」
「おろしてってば……」
睨む紫苑のおでこをペロリと舐め、耳元で囁いた。
「いいから、腹の子にさわるだろ。いい子にしてくれ」
「ずるい人……」
「したい」
耳元で囁くダイナマイト級の三文字に、紫苑の秘部が濡れたような気がした。
カラン
しがみつく紫苑を抱えたまま、神無月は店を後にした。
「あの二人……やっときちんと繋がったなって気がします」
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「大丈夫ですよ。白城の子供を産みたいと言った紫苑君も、産ませたいと言った神無月君も、どちらも大切な物がきちんと見えていましたし、ひとまずは二人でゆっくりさせましょう」
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