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第三章 共生
27霜月 半同棲
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朝はもうぐっと冷え込むようになった。外の草を踏めばシャリっと音がする。お互いに好きあっているのだと自覚してから元々甲斐甲斐しかった神無月は更に世話を焼くようになった。
「好きだ」
無節操に好きだと言ってくるのにももう慣れて、つい適当にあしらってしまう。
「ハイハイ、僕もです」
相変わらず適当だとコーヒーを入れながらぶつぶつ文句を言う神無月に、これでもかと甘ったるいおはようのキスをする。
不意打ちに弱いのだという事もこの一か月半同棲をしながら判った出来事だ。
ガシャーン、キッチンで朝ご飯を作っていた神無月の手元から金属のボールが床に落ちた。
「何してるんですか……」
呆れる僕に冷たい目を向け、わざとだろと冷ややかな声を返してきた。
「人を意地が悪いみたいに言わないでくださいよ。キスしたかっただけですよ」
「美月……」
「キスしない方がよかったですか?」
「そんなことは言っていない。嬉しいに決まっている、でもふいうちは卑怯だぞ」
実は照れ屋なのだと言うこともわかった。
段々と尻つぼみになる声がかわいくて、こんな時だけは自分の方が優位だとちょっとした優越感を覚えていた。
「嚙みたい……」
「嫌ですよ」
「まだそんなことを言っているのか」
紫苑の首にはプロテクターが巻かれていた。二か月前神無月の家に初めて踏み込んだ時、予期せぬ出来事にオメガだとバレた。お互いに好きだという事までは理解ができたもののそれ以上にはなかなか進展しない。
「だいたいきちんとしたヒートが来なければ噛んだとしても番えませんから」
「きちんとしたヒートはいつ来るんだ?」
ムッとした顔でちょっと唇を噛んだ。
そう、疑似α剤をやめた今でも、オメガなら抑制剤は止められない。体質の問題かα剤の副作用か紫苑にはまだヒートの前兆は無かった。
「このまま本格的はヒートないかもしれないですね」
ふと思ったことを口にした。
「絶対にいやだ……」
声のする方を見るとキッチンで朝ごはんを作っていた手を止めて、目に涙を溜めながら悔しそうな顔をしていた。
「好きだ」
無節操に好きだと言ってくるのにももう慣れて、つい適当にあしらってしまう。
「ハイハイ、僕もです」
相変わらず適当だとコーヒーを入れながらぶつぶつ文句を言う神無月に、これでもかと甘ったるいおはようのキスをする。
不意打ちに弱いのだという事もこの一か月半同棲をしながら判った出来事だ。
ガシャーン、キッチンで朝ご飯を作っていた神無月の手元から金属のボールが床に落ちた。
「何してるんですか……」
呆れる僕に冷たい目を向け、わざとだろと冷ややかな声を返してきた。
「人を意地が悪いみたいに言わないでくださいよ。キスしたかっただけですよ」
「美月……」
「キスしない方がよかったですか?」
「そんなことは言っていない。嬉しいに決まっている、でもふいうちは卑怯だぞ」
実は照れ屋なのだと言うこともわかった。
段々と尻つぼみになる声がかわいくて、こんな時だけは自分の方が優位だとちょっとした優越感を覚えていた。
「嚙みたい……」
「嫌ですよ」
「まだそんなことを言っているのか」
紫苑の首にはプロテクターが巻かれていた。二か月前神無月の家に初めて踏み込んだ時、予期せぬ出来事にオメガだとバレた。お互いに好きだという事までは理解ができたもののそれ以上にはなかなか進展しない。
「だいたいきちんとしたヒートが来なければ噛んだとしても番えませんから」
「きちんとしたヒートはいつ来るんだ?」
ムッとした顔でちょっと唇を噛んだ。
そう、疑似α剤をやめた今でも、オメガなら抑制剤は止められない。体質の問題かα剤の副作用か紫苑にはまだヒートの前兆は無かった。
「このまま本格的はヒートないかもしれないですね」
ふと思ったことを口にした。
「絶対にいやだ……」
声のする方を見るとキッチンで朝ごはんを作っていた手を止めて、目に涙を溜めながら悔しそうな顔をしていた。
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