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第二章 リ,スタート
12 長月 アルファの匂い③
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シャワー室から水の音が聞こえる。
中にいる神無月の体を想像し下半身に手が伸びそうになった。慌てて自制するために窓際に行き、窓を開け冷たい空気を部屋に入れた。少しでも神無月の匂いを薄めたかった。
――失恋確定。情けなくて涙すら出てこない。
もとよりオメガだと言わない段階で戦う土俵にはない。それでもオメガが嫌いな神無月ならアルファだと噓をつき続ければ万が一のチャンスがあるかもと馬鹿な事を考えていた。
その場で紫苑は小さなうめき声をあげた。身を守るように顎を体に着け両腕を体に巻き付けた。
普段はえらく頭が回るくせに、神無月のことになると全然冷静でいられない。
――考えればわかる事なのにな。
空に向かって気持ちを吐き出した。
仮にオメガが嫌いで、アルファだと思って僕が付き合えたとして、それでも本物のアルファにはなれないのに。忘れていた。それほどにオメガとしては欠陥品だったし、これならアルファとしても欠陥品である。そもそも僕に誰かを孕ます力は存在しない。
恋とはそんな事すら忘れてしまえるものなのか。壁に頭を凭れかけ大きく息を吸った。
――ガチャリ。
部屋の扉が開きボクサーパンツ一枚の神無月が姿を現した。
「お前、寒くないのか、いくら残暑とは言えもう夜はいささか冷えるぞ」
神無月の声は失恋したばかりの心臓には荷が重い。
「お前も入って来いよ。出て右の扉だ」
汗を流せという提案に、今ここで情けない顔なんか見られたくない紫苑は、キッチンに行く神無月の横を通り過ぎシャワー室に向かった。
♢
――なにこれ。
そう思った時にはもう遅かった。無意識に脱衣かごから脱いだばかりのシャツを握っていた。こんなにも神無月の匂いが充満している。先程脱いだであろうシャツに鼻を押し付け、鼻孔をくすぐる強烈な匂いにアヌスが疼いた。抑制剤とα剤でアルファのフェロモンには影響されなくなっていたはずなのに……気がつけば紫苑のペニスは腹につくほどにエレクトしドクンドクンと揺れ、アヌスからは透明な汁が垂れてきていた。始めて経験する感覚に恐怖を覚え、泣き叫びたい衝動にかられた。
――声が出ない。
「んんんんんんん」
神無月に好きな人がいる、その話を聞いた時に嫌な予感はした。それでも今迄きちんとしたヒートの経験がない紫苑はその恐ろしさを知らなかった。
膝から崩れ落ち床に丸まったまま、芋虫の様にペニスに手を添えた。逝きたい、逝きたい、中を突いて欲しい、奥までアルファが欲しい。そんな感覚だけが紫苑を襲い、ペニスを擦り続けた。神無月の家のシャワー室だという事などすでに頭から飛んでしまっていた紫苑は床に何度も吐精した。
「あん あん あー、んはぁ、んー」
涙で顔がぐちゃぐちゃで、それでも片手はアヌスを、もう片方はペニスを扱き続けた。
「神無月さん……神無月さん……」
息も切れ切れに何度と無く名前を呼んだ。
「んんんんんんん――」
ソファに座っていた神無月は一瞬違和感を覚えた。
「なんだ……これ……」
中心のペニスは恐ろしいほどに腫れ上がり、ズボンが痛いほどに膨らんでいた。
ドアの隙間から凄まじいばかりの甘い香りが神無月を襲う。
――紫苑……君。君はもしかして……。
中にいる神無月の体を想像し下半身に手が伸びそうになった。慌てて自制するために窓際に行き、窓を開け冷たい空気を部屋に入れた。少しでも神無月の匂いを薄めたかった。
――失恋確定。情けなくて涙すら出てこない。
もとよりオメガだと言わない段階で戦う土俵にはない。それでもオメガが嫌いな神無月ならアルファだと噓をつき続ければ万が一のチャンスがあるかもと馬鹿な事を考えていた。
その場で紫苑は小さなうめき声をあげた。身を守るように顎を体に着け両腕を体に巻き付けた。
普段はえらく頭が回るくせに、神無月のことになると全然冷静でいられない。
――考えればわかる事なのにな。
空に向かって気持ちを吐き出した。
仮にオメガが嫌いで、アルファだと思って僕が付き合えたとして、それでも本物のアルファにはなれないのに。忘れていた。それほどにオメガとしては欠陥品だったし、これならアルファとしても欠陥品である。そもそも僕に誰かを孕ます力は存在しない。
恋とはそんな事すら忘れてしまえるものなのか。壁に頭を凭れかけ大きく息を吸った。
――ガチャリ。
部屋の扉が開きボクサーパンツ一枚の神無月が姿を現した。
「お前、寒くないのか、いくら残暑とは言えもう夜はいささか冷えるぞ」
神無月の声は失恋したばかりの心臓には荷が重い。
「お前も入って来いよ。出て右の扉だ」
汗を流せという提案に、今ここで情けない顔なんか見られたくない紫苑は、キッチンに行く神無月の横を通り過ぎシャワー室に向かった。
♢
――なにこれ。
そう思った時にはもう遅かった。無意識に脱衣かごから脱いだばかりのシャツを握っていた。こんなにも神無月の匂いが充満している。先程脱いだであろうシャツに鼻を押し付け、鼻孔をくすぐる強烈な匂いにアヌスが疼いた。抑制剤とα剤でアルファのフェロモンには影響されなくなっていたはずなのに……気がつけば紫苑のペニスは腹につくほどにエレクトしドクンドクンと揺れ、アヌスからは透明な汁が垂れてきていた。始めて経験する感覚に恐怖を覚え、泣き叫びたい衝動にかられた。
――声が出ない。
「んんんんんんん」
神無月に好きな人がいる、その話を聞いた時に嫌な予感はした。それでも今迄きちんとしたヒートの経験がない紫苑はその恐ろしさを知らなかった。
膝から崩れ落ち床に丸まったまま、芋虫の様にペニスに手を添えた。逝きたい、逝きたい、中を突いて欲しい、奥までアルファが欲しい。そんな感覚だけが紫苑を襲い、ペニスを擦り続けた。神無月の家のシャワー室だという事などすでに頭から飛んでしまっていた紫苑は床に何度も吐精した。
「あん あん あー、んはぁ、んー」
涙で顔がぐちゃぐちゃで、それでも片手はアヌスを、もう片方はペニスを扱き続けた。
「神無月さん……神無月さん……」
息も切れ切れに何度と無く名前を呼んだ。
「んんんんんんん――」
ソファに座っていた神無月は一瞬違和感を覚えた。
「なんだ……これ……」
中心のペニスは恐ろしいほどに腫れ上がり、ズボンが痛いほどに膨らんでいた。
ドアの隙間から凄まじいばかりの甘い香りが神無月を襲う。
――紫苑……君。君はもしかして……。
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