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37 なつかしの小田原

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「よお」
 キャーキャー言われているそいつらは翠川  零斗みどりかわ れいとだった。
 ユニフォームをきているとこ見るとロードワーク中か。
「練習中?」
「ああ、お前ら5分休憩にするぞ!木陰にはいれ」
 部員たちは誰だ誰だと こそこそ噂話をしていた。
「可愛い、すげー可愛い、翠川  みどりかわさんの彼女かなー」
「うわ、皆可愛い!あの人せーたけーカッコいい」
「未来のタカラジェンヌだ!受験要項に容姿端麗ってあるからな」
 キャプテンがそう言うと、部員は茶化すように言った。
「彼女っすか?」
 
 一際背の高いサツキが言った。
「恋は禁止だよ」


 守屋のパン屋からピーナッツやあんずジャムをぬったバタロールと甘食を買ったさくらが飛び出して、零斗れいとに抱きついた。
 零斗れいと!地区予選勝ったんでしょー?おめでとう。次は甲子園だよね!」
「サンキュー、なあお前いつまで夏休み?」
 零斗れいとはさくらにチケットを渡し行った。

「決勝戦のチケット、必ず勝ち上がるから見に来てくれないか?」
 いつものお姉言葉じゃなく、はっきり勝ち上がると告げる力強い言葉。
「決勝……23日か。わかった、行くよ。絶対勝って!」 
「何々翠川みどりかわ君、さくらだけ?私達のチケットは?」
 さくらが中をチラッとみると、なかにはあと3枚入っていた。
「全部で4枚入ってるよ」
「1枚は向日葵ひまわりちゃんがいくっていっていたからあと2人かな」
 キャプテンの川越が口を挟む。
「足りるか?」
「サツキとあんず行く?」
「勝ち上がるなら行ってあげよう!」
「同じく同郷のよしみだ!」

 パン屋からおばちゃんが出てくる。
「相模の子達、パン持ってきな!!」
「今ロードワーク中で持てないんで大丈夫です」
 ペコリと頭をさげる。
「残念だわー」
 おばちゃんは心底残念そうだ。
「おばちゃん、私が相模学園まで届けるよ。貰って帰っていいかなー」
「ほんとかい?ありがとうねー」
 栗饅頭まで入った、愛が沢山詰まった守屋のパンスペシャルをもち、さくらは【豆や】に向かった。



 【通称豆や】
 小田原には漫画専門店がある。
 なんで豆やって、入り口に豆が売られているからだ。
 ここで揃わない漫画は恐らくない。
「こんにちわ」
「サツキちゃん、さくらちゃん、帰ってきてるの?」
 ここのおばちゃんたちは凄く気さくで、ほんと小学生のころからここで【マーガレット】を買っていた。
 レジの後ろから二階に続く階段に声をかけた。
「お土産持ってきたんだよ!宝塚名物さくらのみち饅頭」 
 バタバタと響く足音と共におじいが降りてきた。
「さくらちゃん、元気だったかい?」

 久しぶりに沢山の漫画を買い漁り
 20冊近い漫画をゲットした。

「漫画読み耽って遊ぶのは今日までよ?」
 おばちゃんにチクりと釘を刺された。

 残りのお土産を持ち、桜城下高校へ向かった。

 
 
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