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32 夢への第一歩
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『合格者の皆様は講堂内へお入りください。間もなく説明会の時間になりますので……』
「行こう、皆」
「先生たちはどうするの?」
「待っててやる。帰りにお好み焼き食べて帰らないか?」
伊吹先生の一言で、みんなは大盛り上がりだ。
いくいくー
「おめでとうございます。あちらにお座りください」
あの人、背ーたっかーい。
「本科生だね」
「静かにしないと、最初から目はつけられたくないから……」
「黒レオタードか、今も黒だから同じか」
『ー以上、4月20日の入学式までに必ず用意してください』
「すみれ寮だよね。こっちに親戚とかおばあちゃんちとかある人いるの?」
『自宅から通学できないものはすみれ寮に入っていただく規則になっています。質問は?』
「はい!」
縦にピンと伸びた右手がホントキレイ。ただ手を挙げているだけでこんなに花があるなんて……
「うわぁ、あの人めっちゃ美人やん」
こそこそと小さな声が聞こえる。
「名前は!」
「受験番号23、桜華あんずです」
「ああ、君が首席か、なんだ」
「自宅とはどこまでをカウントされるのでしょうか」
「なるほど、持ち家ならそこにご両親がいなくても自宅だが……栄養バランスの優れた食事をとることも舞台に立つものの仕事の一環だとするならば……ということにしておこう」
「かしこまりました。ありがとうございます」
「あんず首席だったの?」
「そうらしい」
――では以上で制服制帽の採寸に入ります。
2列に並んでください。
後ろの人の邪魔にならないように、速やかに歩いてください。
【正門前】
「お待たせいたしました」
「摩利ちゃん待ったー?」
「お前は少しは桜華の爪の垢でも煎じて飲んでみろよ」
「うるさいですー」
「でどこいくの?」
「なあチケットとったから、バウホールの舞台観ていかないか?」
じゃーんと雨情先生はチケットを10枚見せてくれた。
「どこ止まるんですか?」
そこな。と高倉先生がチラッと桜華を見た。
「取りましたよ。桜純ホテル……まったくもー先に言ってくださいね。埋まっていたらどうするつもりだったんですか?」
「どういうこと?」
え?さくら知らないの?と皆がびっくりした顔で見てくる。
どうやらあんずの実家は大層なお金持ちでホテル王らしく、日本全国にも沢山のホテルがあるらしい。
桜純ホテル……聞いたことある気がする。
「先生何時から?」
サツキは動じない。同期のバックグラウンドは関係ない。
「普通のお客様としてみるのはこれが最後だよね」
きらびやかで華やかな夢の世界に……
私達は
今一歩を踏み出した。
「行こう、皆」
「先生たちはどうするの?」
「待っててやる。帰りにお好み焼き食べて帰らないか?」
伊吹先生の一言で、みんなは大盛り上がりだ。
いくいくー
「おめでとうございます。あちらにお座りください」
あの人、背ーたっかーい。
「本科生だね」
「静かにしないと、最初から目はつけられたくないから……」
「黒レオタードか、今も黒だから同じか」
『ー以上、4月20日の入学式までに必ず用意してください』
「すみれ寮だよね。こっちに親戚とかおばあちゃんちとかある人いるの?」
『自宅から通学できないものはすみれ寮に入っていただく規則になっています。質問は?』
「はい!」
縦にピンと伸びた右手がホントキレイ。ただ手を挙げているだけでこんなに花があるなんて……
「うわぁ、あの人めっちゃ美人やん」
こそこそと小さな声が聞こえる。
「名前は!」
「受験番号23、桜華あんずです」
「ああ、君が首席か、なんだ」
「自宅とはどこまでをカウントされるのでしょうか」
「なるほど、持ち家ならそこにご両親がいなくても自宅だが……栄養バランスの優れた食事をとることも舞台に立つものの仕事の一環だとするならば……ということにしておこう」
「かしこまりました。ありがとうございます」
「あんず首席だったの?」
「そうらしい」
――では以上で制服制帽の採寸に入ります。
2列に並んでください。
後ろの人の邪魔にならないように、速やかに歩いてください。
【正門前】
「お待たせいたしました」
「摩利ちゃん待ったー?」
「お前は少しは桜華の爪の垢でも煎じて飲んでみろよ」
「うるさいですー」
「でどこいくの?」
「なあチケットとったから、バウホールの舞台観ていかないか?」
じゃーんと雨情先生はチケットを10枚見せてくれた。
「どこ止まるんですか?」
そこな。と高倉先生がチラッと桜華を見た。
「取りましたよ。桜純ホテル……まったくもー先に言ってくださいね。埋まっていたらどうするつもりだったんですか?」
「どういうこと?」
え?さくら知らないの?と皆がびっくりした顔で見てくる。
どうやらあんずの実家は大層なお金持ちでホテル王らしく、日本全国にも沢山のホテルがあるらしい。
桜純ホテル……聞いたことある気がする。
「先生何時から?」
サツキは動じない。同期のバックグラウンドは関係ない。
「普通のお客様としてみるのはこれが最後だよね」
きらびやかで華やかな夢の世界に……
私達は
今一歩を踏み出した。
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