32 / 44
32 夢への第一歩
しおりを挟む
『合格者の皆様は講堂内へお入りください。間もなく説明会の時間になりますので……』
「行こう、皆」
「先生たちはどうするの?」
「待っててやる。帰りにお好み焼き食べて帰らないか?」
伊吹先生の一言で、みんなは大盛り上がりだ。
いくいくー
「おめでとうございます。あちらにお座りください」
あの人、背ーたっかーい。
「本科生だね」
「静かにしないと、最初から目はつけられたくないから……」
「黒レオタードか、今も黒だから同じか」
『ー以上、4月20日の入学式までに必ず用意してください』
「すみれ寮だよね。こっちに親戚とかおばあちゃんちとかある人いるの?」
『自宅から通学できないものはすみれ寮に入っていただく規則になっています。質問は?』
「はい!」
縦にピンと伸びた右手がホントキレイ。ただ手を挙げているだけでこんなに花があるなんて……
「うわぁ、あの人めっちゃ美人やん」
こそこそと小さな声が聞こえる。
「名前は!」
「受験番号23、桜華あんずです」
「ああ、君が首席か、なんだ」
「自宅とはどこまでをカウントされるのでしょうか」
「なるほど、持ち家ならそこにご両親がいなくても自宅だが……栄養バランスの優れた食事をとることも舞台に立つものの仕事の一環だとするならば……ということにしておこう」
「かしこまりました。ありがとうございます」
「あんず首席だったの?」
「そうらしい」
――では以上で制服制帽の採寸に入ります。
2列に並んでください。
後ろの人の邪魔にならないように、速やかに歩いてください。
【正門前】
「お待たせいたしました」
「摩利ちゃん待ったー?」
「お前は少しは桜華の爪の垢でも煎じて飲んでみろよ」
「うるさいですー」
「でどこいくの?」
「なあチケットとったから、バウホールの舞台観ていかないか?」
じゃーんと雨情先生はチケットを10枚見せてくれた。
「どこ止まるんですか?」
そこな。と高倉先生がチラッと桜華を見た。
「取りましたよ。桜純ホテル……まったくもー先に言ってくださいね。埋まっていたらどうするつもりだったんですか?」
「どういうこと?」
え?さくら知らないの?と皆がびっくりした顔で見てくる。
どうやらあんずの実家は大層なお金持ちでホテル王らしく、日本全国にも沢山のホテルがあるらしい。
桜純ホテル……聞いたことある気がする。
「先生何時から?」
サツキは動じない。同期のバックグラウンドは関係ない。
「普通のお客様としてみるのはこれが最後だよね」
きらびやかで華やかな夢の世界に……
私達は
今一歩を踏み出した。
「行こう、皆」
「先生たちはどうするの?」
「待っててやる。帰りにお好み焼き食べて帰らないか?」
伊吹先生の一言で、みんなは大盛り上がりだ。
いくいくー
「おめでとうございます。あちらにお座りください」
あの人、背ーたっかーい。
「本科生だね」
「静かにしないと、最初から目はつけられたくないから……」
「黒レオタードか、今も黒だから同じか」
『ー以上、4月20日の入学式までに必ず用意してください』
「すみれ寮だよね。こっちに親戚とかおばあちゃんちとかある人いるの?」
『自宅から通学できないものはすみれ寮に入っていただく規則になっています。質問は?』
「はい!」
縦にピンと伸びた右手がホントキレイ。ただ手を挙げているだけでこんなに花があるなんて……
「うわぁ、あの人めっちゃ美人やん」
こそこそと小さな声が聞こえる。
「名前は!」
「受験番号23、桜華あんずです」
「ああ、君が首席か、なんだ」
「自宅とはどこまでをカウントされるのでしょうか」
「なるほど、持ち家ならそこにご両親がいなくても自宅だが……栄養バランスの優れた食事をとることも舞台に立つものの仕事の一環だとするならば……ということにしておこう」
「かしこまりました。ありがとうございます」
「あんず首席だったの?」
「そうらしい」
――では以上で制服制帽の採寸に入ります。
2列に並んでください。
後ろの人の邪魔にならないように、速やかに歩いてください。
【正門前】
「お待たせいたしました」
「摩利ちゃん待ったー?」
「お前は少しは桜華の爪の垢でも煎じて飲んでみろよ」
「うるさいですー」
「でどこいくの?」
「なあチケットとったから、バウホールの舞台観ていかないか?」
じゃーんと雨情先生はチケットを10枚見せてくれた。
「どこ止まるんですか?」
そこな。と高倉先生がチラッと桜華を見た。
「取りましたよ。桜純ホテル……まったくもー先に言ってくださいね。埋まっていたらどうするつもりだったんですか?」
「どういうこと?」
え?さくら知らないの?と皆がびっくりした顔で見てくる。
どうやらあんずの実家は大層なお金持ちでホテル王らしく、日本全国にも沢山のホテルがあるらしい。
桜純ホテル……聞いたことある気がする。
「先生何時から?」
サツキは動じない。同期のバックグラウンドは関係ない。
「普通のお客様としてみるのはこれが最後だよね」
きらびやかで華やかな夢の世界に……
私達は
今一歩を踏み出した。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
全力でおせっかいさせていただきます。―私はツンで美形な先輩の食事係―
入海月子
青春
佐伯優は高校1年生。カメラが趣味。ある日、高校の屋上で出会った超美形の先輩、久住遥斗にモデルになってもらうかわりに、彼の昼食を用意する約束をした。
遥斗はなぜか学校に住みついていて、衣食は女生徒からもらったものでまかなっていた。その報酬とは遥斗に抱いてもらえるというもの。
本当なの?遥斗が気になって仕方ない優は――。
優が薄幸の遥斗を笑顔にしようと頑張る話です。
如月さんは なびかない。~片想い中のクラスで一番の美少女から、急に何故か告白された件~
八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」
ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。
蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。
これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。
一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。
ヤマネ姫の幸福論
ふくろう
青春
秋の長野行き中央本線、特急あずさの座席に座る一組の男女。
一見、恋人同士に見えるが、これが最初で最後の二人の旅行になるかもしれない。
彼らは霧ヶ峰高原に、「森の妖精」と呼ばれる小動物の棲み家を訪ね、夢のように楽しい二日間を過ごす。
しかし、運命の時は、刻一刻と迫っていた。
主人公達の恋の行方、霧ヶ峰の生き物のお話に添えて、世界中で愛されてきた好編「幸福論」を交え、お読みいただける方に、少しでも清々しく、優しい気持ちになっていただけますよう、精一杯、書いてます!
どうぞ、よろしくお願いいたします!
自称未来の妻なヤンデレ転校生に振り回された挙句、最終的に責任を取らされる話
水島紗鳥
青春
成績優秀でスポーツ万能な男子高校生の黒月拓馬は、学校では常に1人だった。
そんなハイスペックぼっちな拓馬の前に未来の妻を自称する日英ハーフの美少女転校生、十六夜アリスが現れた事で平穏だった日常生活が激変する。
凄まじくヤンデレなアリスは拓馬を自分だけの物にするためにありとあらゆる手段を取り、どんどん外堀を埋めていく。
「なあ、サインと判子欲しいって渡された紙が記入済婚姻届なのは気のせいか?」
「気にしない気にしない」
「いや、気にするに決まってるだろ」
ヤンデレなアリスから完全にロックオンされてしまった拓馬の運命はいかに……?(なお、もう一生逃げられない模様)
表紙はイラストレーターの谷川犬兎様に描いていただきました。
小説投稿サイトでの利用許可を頂いております。

久野市さんは忍びたい
白い彗星
青春
一人暮らしの瀬戸原 木葉の下に現れた女の子。忍びの家系である久野市 忍はある使命のため、木葉と一緒に暮らすことに。同年代の女子との生活に戸惑う木葉だが……?
木葉を「主様」と慕う忍は、しかし現代生活に慣れておらず、結局木葉が忍の世話をすることに?
日常やトラブルを乗り越え、お互いに生活していく中で、二人の中でその関係性に変化が生まれていく。
「胸がぽかぽかする……この気持ちは、いったいなんでしょう」
これは使命感? それとも……
現代世界に現れた古き忍びくノ一は、果たして己の使命をまっとうできるのか!?
木葉の周囲の人々とも徐々に関わりを持っていく……ドタバタ生活が始まる!
小説家になろう、ノベルピア、カクヨムでも連載しています!
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?
「南風の頃に」~ノダケンとその仲間達~
kitamitio
青春
合格するはずのなかった札幌の超難関高に入学してしまった野球少年の野田賢治は、野球部員たちの執拗な勧誘を逃れ陸上部に入部する。北海道の海沿いの田舎町で育った彼は仲間たちの優秀さに引け目を感じる生活を送っていたが、長年続けて来た野球との違いに戸惑いながらも陸上競技にのめりこんでいく。「自主自律」を校訓とする私服の学校に敢えて詰襟の学生服を着ていくことで自分自身の存在を主張しようとしていた野田賢治。それでも新しい仲間が広がっていく中で少しずつ変わっていくものがあった。そして、隠していた野田賢治自身の過去について少しずつ知らされていく……。

ペア
koikoiSS
青春
中学生の桜庭瞬(さくらばしゅん)は所属する強豪サッカー部でエースとして活躍していた。
しかし中学最後の大会で「負けたら終わり」というプレッシャーに圧し潰され、チャンスをことごとく外してしまいチームも敗北。チームメイトからは「お前のせいで負けた」と言われ、その試合がトラウマとなり高校でサッカーを続けることを断念した。
高校入学式の日の朝、瞬は目覚まし時計の電池切れという災難で寝坊してしまい学校まで全力疾走することになる。すると同じく遅刻をしかけて走ってきた瀬尾春人(せおはると)(ハル)と遭遇し、学校まで競争する羽目に。その出来事がきっかけでハルとはすぐに仲よくなり、ハルの誘いもあって瞬はテニス部へ入部することになる。そんなハルは練習初日に、「なにがなんでも全国大会へ行きます」と監督の前で豪語する。というのもハルにはある〝約束〟があった。
友との絆、好きなことへ注ぐ情熱、甘酸っぱい恋。青春の全てが詰まった高校3年間が、今、始まる。
※他サイトでも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる