タカラジェンヌへの軌跡

赤井ちひろ

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7 神代 淳

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「どういう事だ?」
 校長室の呼ばれた神代と夏井は顔を見合わせ立っていた。
「どぅもこぅもねーしょ」
 神代……頼むよ、校長の前なんだから。せめて言葉使いに気を付けてって私に言われてるなよ。
「あいびきでは無くですね、心配された訳ですよ」
 夏井はぼそぼそと話し出す。
「そもそも恋愛禁止じゃねーのに、呼び出しは不当っしょ?」
 神代ー黙ってくれ。
「恋愛なのか?」
 二人は声をそろえていった。
「違います」
 校長はなら別にいい。
「あまり派手な行為は慎むように」

 軽い注意を受け二人は挨拶をすると、校長室の扉を閉めた。
「お疲れちゃーん」
 くすくすと笑いながら外にいたのは雨情先生だった。講堂の鍵をぐるんぐるん回して遊んでる。アッすみれのことがあって抜けてきたから鞄講堂なのか。申し訳ない……。
 
「なに淳、へまやってんのぉ」
「別にーやってねーよ」
 神代は雨情先生をちらりと見ていった。
「つーかそれ誰得よ」
「それってどれ?」
「そのボディコンミニスカ、チンコ見えそうなやつ」

 誰も突っ込まないことを軽ーく突っ込める神代ってやっぱいっちゃってる!最高。
 でも雨情派か神代派かって言ったら、むしろ私は高倉 伊吹たかくら いぶき派だけどね。
「見セパンだから平気」
 やっぱ雨情先生って変わってる。


 講堂からさっさと荷物を取ってこいと言われてダッシュで取りに行く。
「あれ、さくら」
「部活も来ないでちょっと心配したよ」
 向日葵は大きな目をこすりながら小さな声で『ごめんなさい』って言った。
 そりゃあショックだよね。でもさ
「向日葵、頑張った人間しかスタートラインに立てないよ」
 やるっきゃないっしょ。

 そばで聞いていた神代先生は早く帰れよとシッシと手を振った。
 横から顔を出した雨情は宙を見て言った。
「がんばったからぁ必ず結果が出るわけじゃないのが……つらいとこよねぇー」
 

「出来れば皆合格させてあげたいよ……」

「ねー神代先生、ちょっと付き合ってよ」


【Bar・MOGURIN】
「………………あんた……何してんの?」
 
 

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