愛の鎖が解ける先に

赤井ちひろ

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第三章・凶器という名の愛

3 深海の淵3

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「汚い、大和さん、ごめんなさい、ごめんなさい」
 葵は涙でぐちゃぐちゃになった顔ですがり付いてくる。
「泣かないで、葵。嫌いになるわけないのだよ」
 床に散らばる汚物を片目で盗み見る。そんな葵が愛しくて、ただ強く抱き締めた。
「触らないで、僕汚いよ」
「汚くなんかないぞ、綺麗に拭いてあげるよ」
 東條は拘束具をはずし抱き抱えると風呂場に連れていき温かなお湯で身体の汚れを流した。
「いやん」
「い・やん? 可愛い泣き声だなー」
 東條は葵の鼻の頭にチュッとキスをしベロりと舐めあげた。
 軽く拭かれた身体はベッドまで抱き抱えられつれていかれると、そのままベッドの脚に固定された。
 おおよそ東條からは似つかわしくない天涯つきのベッドはアラブの王様の寝室のようだった。
「恥ずかしくないの?」葵は少しだけ正気に戻ったのか東條を見上げ素朴な疑問を口にする。
「なにがだ?」
「あれ」葵が指さしたのはまさに王室ならではの象徴だった。
「あれは必要なんだ。趣味だよ」
 天涯を趣味という東條は存外乙女チックなのだろうか。葵が考えた事がわかったのだろう。
「そんな訳あるか!」クスクス含みを持って話してくれる。
「こうする為にあるのだよ」
 天涯の横にひっかけてあったバーをおろし、その両サイドについている革ベルトに足首を固定しバーを吊り上げ調節された。
「キツイ……」動かしたくても動かない脚の変わりに手を動かし東條にすがりつく。
「脚がキツイ? 勘違いだ。キツイのは脚だけじゃないさ」
 重い低音にサドらしいいやらしい音をのせていく。
「手も動かないに決まっているだろう。だから今まで誰とも続かない。逃げるなら今逃げろ」
 言いながら左右の頭上から革ベルトを引き出すと、手首も固定され葵の身体は弓なりに宙にゆれた。
「なにするの」
 逃げたいとは思わない。でも恐怖は……ある。
「綺麗に拭くんだよ」
 言葉どおり、東條は葵の身体を隅々まで拭いた。
 睾丸も竿も、菊座のしわまで、唾液とタオルで舐めては拭かれ拭きあげては全身なめまくられた。
「あーん、をは……はっはっはっはっ、んんん」
「なんだ何を話しているかわからんぞ」いいながら足の指の間から足裏を舐め回す。
「くすぐった……んは」
 足裏を舐めながら、さっき綺麗になったおしりの穴にローションをたっぷり含ませ、くぷーくぷーと2本をねじこみ、中にある2本をぐいーと広げた。
「ヤマ……んやーゃゃ」
 宙ぶらりんの葵の身体の中央にへたりとあるチンコをパクりと咥えレロレロと舌先でいたぶった。
「逃げないのか? 先に進むぞ?」
 葵は意識のぼうっとした頭でなんとか思考を動かし口をひらく。
「あなたの好きにして」
 愛の告白だった。
 
 ――アイツもそういっていた。
 ――俺は人殺しだ……。幸せになる権利なんかあっちゃいけない。
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