46 / 48
次男様のお部屋2
しおりを挟む「次男様。し」
「フレーテ」
「……フレーテ様、しご」
「フレーテ」
「仕事って、何したらいいんですかね?」
埒が明かない。
ついさっき、彼は青い騎士さんに言っていた。
私に仕事を頼むから、と。
ということは仕事があるのだろう。それなら早く指示を出して欲しい。
彼は指示よりも先にどうしても私にフレーテと呼ばせたいらしいが、さすがに呼び捨てはちょっとなぁ。
「フレーテって呼ばないなら、呼ぶまでこの部屋に閉じ込めてもいいんだよ?」
「フレーテ、仕事の指示をお願いします」
そっと頭を下げてそう言った。
私の立場は凄く弱いのだ。脅されてしまえば従わざるを得ない。
ふと顔を上げて次男様の方を見ると、未だに不服そうな顔をしていた。
何故だろう、私が折れて名前を呼んだと言うのに。
「あの伯爵とは親しそうに話すのに、僕と話すときは敬語なの?」
「……っ」
なんだこの人、どこまで知ってるんだろう?
赤松と一緒に居る時は、一応周囲に人が居ないことを確認してから通常通りの口調で話している。
奴と仲がいいということをバラしていない人が一人でも居れば、当然敬語で話している。……崩れかけた敬語だけど。
どこかで見られていたのだろうか、と思ったが、そもそも次男様は滅多に部屋の外に出ないと言っていたし……
完全に動揺してしまった私は、咄嗟に右足を引いた。
いつでもドアの外に出られるように。
形振り構っていられないし、本当に大声で青い騎士さんを呼びたくなる勢いだ。
「外に出ちゃダメだよ。おいで、トリーナ」
次男様は立ち上がり、素早い動きで私の手を引く。
彼はそのまま私を抱き寄せ、くるりと反転する。
そして流れるような動きでドアに鍵をかけた。
簡単に開きそうな鍵ではなく、彼の手元にある鍵を使わなければ開かないようなものだ。
っていうか機敏な動き出来るんだな。引き篭もりと思って油断した。
「仕事をしてもらわなきゃ」
そう言った彼は、私を抱きかかえたまま部屋の奥へと進んでいく。
床に散らかったままの本を器用に掻き分けながら。
「あの、仕事って」
「はい、どうぞ」
彼は私の言葉を遮りつつ、下ろしてくれた。
お尻には、ぽふん、と柔らかいものが当る。
「トリーナがこの部屋に来てくれるって言うから、ソファだけは綺麗にしておいたんだ」
「は、はあ……」
私が下ろされたのはソファの上で、言われた通りソファの周辺のみ片付けられている。
他はもう所狭しと本が積んであり、言葉通り足の踏み場もない状態だ。
仕事は、それの片付けでいいのではないだろうか。
「はい」
ぼんやりと本を見ていると、膝の上に何かが乗せられる。
本からそちらに視線を移すとそこにあったのはソファの隅に置いてあったクッションだった。
「……ふわふわですね」
「うん。トリーナ、ふわふわしたもの好きでしょ? それあげる」
「え? いや、貰えません」
確かに、ふわふわしたものは好きだけど……
「新品だよ。トリーナの為に用意してたんだから遠慮しなくてもいいよ」
そういう問題ではない。
「あ、あの、次男様」
「フレーテだってば」
次男様はムッとしたようにそう言いながら部屋の隅に置いてあった袋を手に取っている。
「フレーテ、仕事は何をすればいいんでしょう……?」
「いいから座ってて」
にっこりと笑った彼は言う。
その笑顔に裏表は感じない。とても楽しそうな笑顔だ。
「何故鍵を閉めたのでしょう?」
「だってトリーナが逃げそうだったから」
そりゃあ逃げたくもなるわ。
自分以外の人が知る由もないようなこと次々言い当てられてるんだから、怖くないわけがない。
「それは、うわっ」
逃げたくなるような事をされたからで、と言おうとしたのだが、彼が勢い良く私の隣に腰を下ろしたので言葉が繋げなかった。
勢い良すぎてその反動で私の尻が跳ねたんだけど。
文句を言おうと口を開いたところで、彼が持っていた袋から何かを取り出した。
そしてそれを私の目の前に突き出す。
「これ! あげる」
「……っ!?」
突き出されたそれは、ずっと前に雑貨屋さんで見たくまのぬいぐるみだった。
それを買うために、ここで働き出してからずっと貯金していたんだけど。
もしかして、この人はそれも知っていたのだろうか……
「あの時、約束したよね? 次に会った時にあげるって。随分遅くなっちゃったけどね」
と、苦笑気味に言う。
どうやら知っていたわけではないらしい。
ほんの少し安心した。
「……じゃ、じゃあさっき言ってた約束って」
「それとこれは別の約束だよ! 本当に覚えてないんだ……」
彼はくまのぬいぐるみを私に押し付け、しょんぼりと俯いてしまった。
「あの、ご、ごめんなさい……」
「ううん。いいんだ。トリーナも僕も小さかったからね」
顔は寂しそうなままだったが、彼はそっと微笑んでくれた。
「……ところでこのぬいぐるみ」
「それね、トリーナが欲しいって言ってたものにぴったりだったんだ。銀色の毛皮で、首に赤いリボンをつけたくまのぬいぐるみ」
言われたとおり、私の手元にあるのは銀色で首に赤いリボンが巻かれている可愛いくまさんだ。
「私、そんなこと言ったんですね……」
「うん。もしかして、今はもう気が変わってたりする? トリーナももう子供じゃないもんね、大人の女性だもんね、宝石とかのほうが良かったかな?」
と、どこか心配そうな目をして私の顔を覗き込む。
「いえ……実は、これを買うために貯金していたんです」
そうやって口にすると、急に恥ずかしくなってきた。
そうだよね、次男様の言う通り私はもう子供じゃないんだし、ぬいぐるみなんて欲しがってる歳じゃないよね。
「良かった! ……貰ってくれるよね?」
彼の私を見る目は真剣そのもので、貰えませんとは言い辛い。
それにずっと欲しかったものだし貰えるものなら貰いたい。
どうしようか……
「でも、その……」
ふとさっき『あげる』と言われたクッションが視界に入る。
「じゃあ! じゃあそのクッションはトリーナがこの部屋に来た時用にここに置いてっていいから、くまさんだけは持っていって! お願い」
お願いって……お願いっておかしいだろ。
と思いつつ、私は首を縦に振った。
欲望に……打ち勝てなかった……!
私が頷くと、彼はとても安心したように息を吐く。
そのリアクションの意味が解らなかった私は、ふと隣にある彼の顔を見る。
「それがあれば、トリーナは寂しくない?」
そんな事を聞かれた。
「寂しい……?」
「あの日、トリーナは言ったんだよ。寂しいからくまさんが欲しい、って」
全っっ然覚えてない!
「僕ね、あの時『トリーナはお母さん居なくて寂しい?』って聞いちゃったんだ。今考えれば酷い事言ったって思ってる」
孤児院に居る子にその質問はさぞ残酷だっただろう。
おそらく彼は、その言葉を放ってしまったという罪悪感で約束を覚えていたんだと思う。
きょとんとしたまま彼の顔を見ていると、彼はふと笑い出した。
「本当に覚えてないんだ、可愛いなぁトリーナ。あの頃から全然変わってない」
……ごめんね、途中で変な記憶を思い出してしまったから中身はちょっと変わっちゃってるかもしんない。と思ったが、そんな事言えるわけもなく。
「ねぇトリーナ、あの日の約束は絶対に思い出せない?」
これだけ会話をしても思い出せなかったんだから、今後思い出せる自信は皆無だ。
「私、孤児院に入る前の記憶が一切ないので……ちょっと記憶力が残念なのかもしれません。だから……」
きっと思い出せません、と言おうとしたのだが、唐突に頭を撫でられたので驚いて固まってしまった。
っていうか、次男様と言い奥方様と言い人の言葉を最後まで聞いてくれない確率高いよね。
親子ってそんなところまで似るんだろうか。
「じゃあヒントだよ。あの日、僕は提案したんだ。そしたらトリーナは『うん、わかった』って言ってくれた」
今更ヒントかよ。しかも全然覚えてないし。
提案……提案か。
小さい子の約束だろ? 小さい子にありがちな約束……
「……結婚するとか」
そんな言葉が口を衝いて出た。
ふと日本に居た時友人が話していた初恋の相手は幼稚園の時同じ組だった子だとか、その時結婚する約束をしたことがあるだとか、そんな話を思い出したから。
「ト、トリーナがその気なら、僕はそれでもいいんだけど……」
こらこら頬を染めるんじゃない。
まぁそんな事を言うのなら、約束の内容はそれではないんだろう。安心した。
結婚じゃあないのか。
そういえば、この人は私がこの部屋に入ってきた時『僕のトリーナ』と言ったな。
それで思い出すのは奥方様の言葉だ。
あの人も確か『会いたかったわ、私のトリーナ』と言っていた。
……今考えたらこの親子、第一声が全く同じなんだな。
顔もそっくりだし、本当に親子なんだなぁ。
……おっと、思考がズレていた。
第一声が同じだったということは、彼はもしかしたら私を養女にする話を奥方様から聞いていたのかもしれない。
「……妹?」
未だに若干頬を染めたままの彼を見てそう呟くと、彼の顔はあからさまに輝きだした。
「思い出したの?」
「いえ、推測ですけど」
「……そっか。そう、僕の妹になってってお願いしたんだ。そしたらトリーナは『いいよ』って」
それ、おままごとか何かしてたんじゃないの? という言葉が喉元まで出かかった。
……って、その話するために鍵閉めたの?
それよりも、自分以外が知らないことを知っていたのは何なんだ、この話とどう繋がるんだよ。
なんだー妹かー! と安心しそうになったのも束の間、怖い事に変わりはなかった。
「僕はトリーナが家に来てくれるのをずっと待ってた。それなのに、トリーナは一向に来てくれなくて……」
それは多分、私が養女の話を断ったからだろうな。
「それは」
「お友達が行かないでって泣いたからでしょう? トリーナは優しいから。でも、僕よりお友達を選んだ事はちょっとだけショックだったよ」
咄嗟にごめんなさい、と謝る。
「いいんだ。結果的にトリーナはこの家に来てくれたんだから」
次男様はそう言って嬉しそうに笑いながら私の頭を撫でる。
「……あの……その、妹の話と、私の最近の事を知っていた事とはどういう関係が……?」
ほぼ自分しか知り得ないことを知っていたのだから、その部分はちゃんと聞いておかないと、今後怯えながら生活しなければならなくなる。
「だって僕はトリーナのお兄さんだからね、妹の事を守るためには、知らないことがあったらダメだから」
とんでもないシスコン発言だからな、それ。
「そ、それにしては知りすぎかと」
「そうかな? トリーナのことは父様と母様に全部報告してもらってたから知ってるだけだよ」
そうか、旦那様と奥方様が報告していたのか。
……いや、だとしても赤い騎士さんに襲われかけた事を知っているのはおかしくないだろうか。
私の表情が晴れない事に気が付いた彼は、一つ補足してくれた。
「もちろん騎士や使用人さん達にも色々教えてもらってたよ。まぁ……ファルケさんは何も教えてくれなかったけど」
と。
ってことは赤い騎士さんが『襲ったけど返り討ちにあいました』とか、そんな報告でもしたのかな。
「トリーナと会わせてもらえない間は皆に報告してもらってたから寂しくなかった。……いや、こうして触れられなかったから寂しかったのは寂しかったけど」
「……何で会わせてもらえなかったんでしょう?」
「母様と同じ理由だよ。ベタベタに甘やかして、トリーナの仕事を邪魔してしまうかもしれなかったから。でも母様がトリーナと接触したんだったら、僕ももう会ってもいいかなぁって」
本当にそっくり親子だな。
あまりにもそっくりなので、不意に笑いが込み上げてきた。
「で、でもねトリーナ、その、トリーナがさっき言ったみたいに、お嫁さんになってくれても」
「そんなこと言ってません」
次男様は撃沈した。
「……でも、妹にはなってくれるんだよね?」
と、叱られた子犬のような目で私を見る。
「こうして働き出しましたし、今更こちらの家の養女になることはない思いますが……まぁ、形だけなら」
いいんじゃないでしょうか? と首を傾げて見せると、次男様は両手を上げて喜んだ。余程妹が欲しかったんだな。
「やった!」
「じゃあ、フレーテお兄様……ですね」
ふふ、と笑いながら言うと、彼は目を丸くしてこちらを見る。
「トリーナ、もう一度言って?」
「……フレーテお兄様?」
もう一度、今度は彼の顔を見ながら言うと、思いっ切り飛びつかれた。
完全に気を抜いていたので、私は抱きつかれたままぐいぐいと押されてしまう。
物凄い力なんだけど! 引き篭もりと思って油断した!
「うぎゃー!」
潰れるー! なんて言っていたら、廊下の方から轟音が聞こえてきた。
そしてすぐにガンガンガンガン、と物凄い音がする。
どうやら誰かがこの部屋のドアを叩いている……いや殴っているようだ。
……多分青い騎士さんかな。
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説

なんか、異世界行ったら愛重めの溺愛してくる奴らに囲われた
いに。
恋愛
"佐久良 麗"
これが私の名前。
名前の"麗"(れい)は綺麗に真っ直ぐ育ちますようになんて思いでつけられた、、、らしい。
両親は他界
好きなものも特にない
将来の夢なんてない
好きな人なんてもっといない
本当になにも持っていない。
0(れい)な人間。
これを見越してつけたの?なんてそんなことは言わないがそれ程になにもない人生。
そんな人生だったはずだ。
「ここ、、どこ?」
瞬きをしただけ、ただそれだけで世界が変わってしまった。
_______________....
「レイ、何をしている早くいくぞ」
「れーいちゃん!僕が抱っこしてあげよっか?」
「いや、れいちゃんは俺と手を繋ぐんだもんねー?」
「、、茶番か。あ、おいそこの段差気をつけろ」
えっと……?
なんか気づいたら周り囲まれてるんですけどなにが起こったんだろう?
※ただ主人公が愛でられる物語です
※シリアスたまにあり
※周りめちゃ愛重い溺愛ルート確です
※ど素人作品です、温かい目で見てください
どうぞよろしくお願いします。
貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する
美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」
御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。
ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。
✳︎不定期更新です。
21/12/17 1巻発売!
22/05/25 2巻発売!
コミカライズ決定!
20/11/19 HOTランキング1位
ありがとうございます!
辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします
雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました!
(書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です)
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

転生した世界のイケメンが怖い
祐月
恋愛
わたしの通う学院では、近頃毎日のように喜劇が繰り広げられている。
第二皇子殿下を含む学院で人気の美形子息達がこぞって一人の子爵令嬢に愛を囁き、殿下の婚約者の公爵令嬢が諌めては返り討ちにあうという、わたしにはどこかで見覚えのある光景だ。
わたし以外の皆が口を揃えて言う。彼らはものすごい美形だと。
でもわたしは彼らが怖い。
わたしの目には彼らは同じ人間には見えない。
彼らはどこからどう見ても、女児向けアニメキャラクターショーの着ぐるみだった。
2024/10/06 IF追加
小説を読もう!にも掲載しています。
【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件
三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。
※アルファポリスのみの公開です。
皇帝の番~2度目の人生謳歌します!~
saku
恋愛
竜人族が治める国で、生まれたルミエールは前世の記憶を持っていた。
前世では、一国の姫として生まれた。両親に愛されずに育った。
国が戦で負けた後、敵だった竜人に自分の番だと言われ。遠く離れたこの国へと連れてこられ、婚約したのだ……。
自分に優しく接してくれる婚約者を、直ぐに大好きになった。その婚約者は、竜人族が治めている帝国の皇帝だった。
幸せな日々が続くと思っていたある日、婚約者である皇帝と一人の令嬢との密会を噂で知ってしまい、裏切られた悲しさでどんどんと痩せ細り死んでしまった……。
自分が死んでしまった後、婚約者である皇帝は何十年もの間深い眠りについていると知った。
前世の記憶を持っているルミエールが、皇帝が眠っている王都に足を踏み入れた時、止まっていた歯車が動き出す……。
※小説家になろう様でも公開しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる