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混沌
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訳が分からない。
今初めて会った子に何故か名前を知られていて、その上でアイドルになりたいからプロデュースしてと言われた。
逆にこの状況を理解できる人がいたら教えてほしい。そして、この後自分がどうしたら良いのかを早急に教えてほしい。
え、どーしたら良いの?
「あ、あの.....言ってる意味がよく分からないというか.....」
「そのまんまの意味だよ」
ニコッと女の子が笑う。
いや可愛いけども!可愛いけどもそうじゃない!
その笑顔はキープしたままで、違う内容のこと話して下さいマジで。
よし、一回整理しよう。じゃないと話が進まない。
意を決して女の子に話しかける。
「えーっと、まず名前なんでしたっけ?」
「雨宮雫です」
「あ、雨宮さんね。で、雨宮さん、あの.....」
「雫でいいよー」
女の子がニコニコと言う。
あーもう、ズルイなその笑顔。
絶対寝る前に親に祈り捧げろよマジで。
「いや初対面なのに距離近すぎでしょ。流石に名前呼びとかは.....」
「えーフツーだよ。わたしは陽太って呼ぶからね」
何だこの子。何なんだこの子。童貞クラッシャー過ぎるだろ。
何もしてないのに、何段か大人の階段昇っちまった感覚だよ。
「んー、まぁ良いや。雫さん、とりあえず色々と整理していきたいんだけど、今日僕らって初めて会ったんだよね?」
「うん!」
「何で名前知ってるの?」
「陽太は有名だからね」
「いやフツーのサラリーマンだよ俺?」
学歴も実績もない社畜だよ。
「え、どこで知ったの?」
「どこだっけ?忘れちゃった」
えへへと雫が笑う。
クソッ、なんか腹立つのに顔は可愛いから許せてしまう。マジで親に感謝しろよ。その顔で生まれてきたから、そのキャラで生きることが出来てんだぞキミ。
「いや、まじめに答えてほしいんだけど?」
「真面目に答えたよー。気がついたら記憶の中に陽太がいたから、どこで知ったのかなんて知らないよ」
意味が分からない。
不思議ちゃん過ぎる。大学中退した半端者では、この子の思考を理解するだけの術がない。
まったく、どうしたものか。
とりあえず、お巡りさんに連絡すべきか?
いや、冗談扱いされるのがオチか。てか、はたから見たらどう見ても捕まるの自分の方だ。
さっさと目の前の美女から逃げたいところだが、アパートは目と鼻の先だ。迂闊には帰れない。
「とりあえず、俺の名前に関してはそれで良いよ。でも一度も会ったことがないんだよね?何でそんな奴に自分をプロデュースしてとか頼めるわけ?」
素朴な疑問だった。
もしかしたら、クレカとかから個人情報が漏れて、自分に辿り着けた可能性はあるが、だとしても、そんな訳のわからない奴に夢を託せるものだろうか?
絶対におかしい。
この子の元々の思考は確かにぶっ壊れているように思えるが、それを差し引いてもお釣りがくるぐらいおかしい。
ただ、そんな自分の気持ちとは裏腹に、雫はさっぱりとした表情で答える。
「何言ってんの。わたしをプロデュースできるのは陽太だけじゃん」
ただ、それは明確な"理由"だとは思えなかった。
「いや、だからそれじゃ、理由になってないんだよ。いっとくけど、俺は普通のサラリーマンだ。いや、もしかしたら普通以下のサラリーマンだ。その俺にキミをアイドルにする能力はないし、そもそも今日初めて会ってよく分かってないキミの頼みを聞く気もない。てか正直キミが怖い。何でキミはそこまでして、俺に会いに来たわけ?」
ついつい捲し立てていた。
言いすぎたかな?
そんな想いが頭をよぎる。
しかし、それは結果として杞憂に過ぎなかった。というか、雨宮雫という少女を語る上では、本当に些細なことでしかないのかもしれない。
自分の問いに対する雫の返答は、やはり自分の想像を超えていた。
「何でって、そんなの1つに決まってる。わたしの記憶には陽太しかいないから」
今初めて会った子に何故か名前を知られていて、その上でアイドルになりたいからプロデュースしてと言われた。
逆にこの状況を理解できる人がいたら教えてほしい。そして、この後自分がどうしたら良いのかを早急に教えてほしい。
え、どーしたら良いの?
「あ、あの.....言ってる意味がよく分からないというか.....」
「そのまんまの意味だよ」
ニコッと女の子が笑う。
いや可愛いけども!可愛いけどもそうじゃない!
その笑顔はキープしたままで、違う内容のこと話して下さいマジで。
よし、一回整理しよう。じゃないと話が進まない。
意を決して女の子に話しかける。
「えーっと、まず名前なんでしたっけ?」
「雨宮雫です」
「あ、雨宮さんね。で、雨宮さん、あの.....」
「雫でいいよー」
女の子がニコニコと言う。
あーもう、ズルイなその笑顔。
絶対寝る前に親に祈り捧げろよマジで。
「いや初対面なのに距離近すぎでしょ。流石に名前呼びとかは.....」
「えーフツーだよ。わたしは陽太って呼ぶからね」
何だこの子。何なんだこの子。童貞クラッシャー過ぎるだろ。
何もしてないのに、何段か大人の階段昇っちまった感覚だよ。
「んー、まぁ良いや。雫さん、とりあえず色々と整理していきたいんだけど、今日僕らって初めて会ったんだよね?」
「うん!」
「何で名前知ってるの?」
「陽太は有名だからね」
「いやフツーのサラリーマンだよ俺?」
学歴も実績もない社畜だよ。
「え、どこで知ったの?」
「どこだっけ?忘れちゃった」
えへへと雫が笑う。
クソッ、なんか腹立つのに顔は可愛いから許せてしまう。マジで親に感謝しろよ。その顔で生まれてきたから、そのキャラで生きることが出来てんだぞキミ。
「いや、まじめに答えてほしいんだけど?」
「真面目に答えたよー。気がついたら記憶の中に陽太がいたから、どこで知ったのかなんて知らないよ」
意味が分からない。
不思議ちゃん過ぎる。大学中退した半端者では、この子の思考を理解するだけの術がない。
まったく、どうしたものか。
とりあえず、お巡りさんに連絡すべきか?
いや、冗談扱いされるのがオチか。てか、はたから見たらどう見ても捕まるの自分の方だ。
さっさと目の前の美女から逃げたいところだが、アパートは目と鼻の先だ。迂闊には帰れない。
「とりあえず、俺の名前に関してはそれで良いよ。でも一度も会ったことがないんだよね?何でそんな奴に自分をプロデュースしてとか頼めるわけ?」
素朴な疑問だった。
もしかしたら、クレカとかから個人情報が漏れて、自分に辿り着けた可能性はあるが、だとしても、そんな訳のわからない奴に夢を託せるものだろうか?
絶対におかしい。
この子の元々の思考は確かにぶっ壊れているように思えるが、それを差し引いてもお釣りがくるぐらいおかしい。
ただ、そんな自分の気持ちとは裏腹に、雫はさっぱりとした表情で答える。
「何言ってんの。わたしをプロデュースできるのは陽太だけじゃん」
ただ、それは明確な"理由"だとは思えなかった。
「いや、だからそれじゃ、理由になってないんだよ。いっとくけど、俺は普通のサラリーマンだ。いや、もしかしたら普通以下のサラリーマンだ。その俺にキミをアイドルにする能力はないし、そもそも今日初めて会ってよく分かってないキミの頼みを聞く気もない。てか正直キミが怖い。何でキミはそこまでして、俺に会いに来たわけ?」
ついつい捲し立てていた。
言いすぎたかな?
そんな想いが頭をよぎる。
しかし、それは結果として杞憂に過ぎなかった。というか、雨宮雫という少女を語る上では、本当に些細なことでしかないのかもしれない。
自分の問いに対する雫の返答は、やはり自分の想像を超えていた。
「何でって、そんなの1つに決まってる。わたしの記憶には陽太しかいないから」
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