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何でもありな体育祭!
62話 自然公園ゲリラ戦.2
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自然公園の入り口で見張りをしていた。ルカ、レイラ、ミコの三人は気絶したレイを抱えてエースの後を走る。
彼らは見張りをしていたのだが想定より早い襲撃を受けた。痛手を受けたが辛うじて撤退したところである。
「ねぇ、ここどこ?」
レイが目を覚ます。彼女はルカの小脇に抱えられていた。
「拠点にむかってるところだ」
「そう…」
聞いてみたものの、その広い視野のおかげである程度の見当はついていた。
「僕は何にやられたの?」
「あんたは見えてなかったもんな。トカゲ女の声魔法だ」
「あのうるさいヤツ?」
「そう、うるさいヤツ」
「ねぇ、もう一ついい?」
「なんだ?」
「相手に飛べる人、居たっけ?」
「居ないと思うが…」
「教員じゃないか?戦闘は監視されてるって言うし」
「…そっか」
ーーーー
少し前、サリア達が入り口で暴れている時。他の1-5生徒は4人一組に分かれて公園内に侵入していた。
「来た来た…」
リュートは茂みから敵を観察している。サリア達の対応をしに行く者たちを狩るつもりである。
彼が属する班はサイカ、リュート、カリス、コユメの四人班である。
元は一人一人減らして行く予定であったが、敵は常に三人1組で動いている為、予定の変更を余儀なくされた。
(作戦通りに…行くよ)
リュートは『座標魔法』と『軟化魔法』を発動させる。三人の足元を広範囲に渡って泥のように柔らかくする。
「「…ッ!」」
「うわっ!」
先頭を走っていた二人には避けられたが、少し遅れて走っていた男を捕らえた。
ただ、これは捕らえるための落とし穴では無い。
ーーー空中に追いやり、そこを狩る!
カリスが敵の正面から超スピードで攻撃を仕掛ける。
そして、彼の後ろにはコユメの『冷炎魔法』で形成された無数の花びらが追従している。
「二兎は追わん!一兎を確実に狩る!」
彼は向かって右側の木の幹に着地した男を狙った。
ガキン!
風の太刀は即席で生成された闇のナイフに受け止められてしまう。だが、そのまま木に押し付けて男を抑え込む。コユメの花びらを確実に当てる狙いである。
「今、助け…」
落とし穴にはまった男は手のひらにガラスの礫を形成する。先が捻れ尖っており殺傷能力は十分である。
しかし、それが戦況に変化を与えることは無かった。
「グウァァ!」
彼らは落とし穴、空中への奇襲、花びらによる広範囲攻撃、過剰な情報量を受けている。目の前の事で手一杯になっていた。さらに戦闘中である。
後ろはともかく頭上の敵に気づくの不可能と言っていい。
「無力化しました!」
サイカの雷は確実に相手の意識を刈り取った。
そしてもう一人、カリスに抑えられていた男も花びらに削られ倒れる。
「ガハッ、」
バタン、
残るは御空色の髪をした女性のみである。
右手に『雪魔法』で形成されたレイピアを持ち、左肩には鳥の羽を模した片羽が生成されている。
「二人とも手練れなのだが、奇襲とはいえこうもあっさりと…絶望的な状況だな。久方ぶりに滾って来た。さぁ、悪あがきだ!私が果てるまで付き合ってもらうぞ!」
「…ッ!新手か!」
彼女は攻めの姿勢を取ろうとしたが、何かに気付き背後にレイピアを振り下ろした。
ブォォーーーン!!
凄まじい風圧が辺りに広がる。それは土煙を巻き上げ辺りの視界を曇られた。
「クッ!」
ザァァーー!
サイカがリュートの方へ吹き飛ばされて来た。彼女は『雷魔法』で武器を形成している。
斧と盾を手に持ち、二つの円盤を『念力魔法』で操っている。
「あの人、多分やられてます。明らかなイレギュラーです。教員に連絡してください!」
「分かった。…イッ!」
リュートがカードを取り出そうと懐に手を入れた時、肩を撃ち抜かれた。
「そんな事しないでよ。吊れないなぁー。食べちゃうよ?」
煙が晴れると、そこには真っ白なマネキンの様な何かがが立っていた。
ーーーーー
レイがルカの腕を振り解いて飛び上がる。
「逃げて!」
「おい!何がしたいん…」
ルカは頭上を見上げて言葉を失った。レイと何が激しい空中戦を繰り広げていたのである。明らかにレベルが違う戦い横槍を入れることすら許されない。
おそらく、時々直角に曲がったり、止まったりする方がレイだ。相手は誰だ?
気づけば立ち止まって眺めていた。
「リーダーからの命令よ!逃げないの!?」
「少しでいい、見ていたい…」
長い間眺めていたいと言う思いとは裏腹に、戦いを始めて十数秒でルイの前に対戦相手であろう白いマネキンが降りて来た。
「…(何をするつもりだ?)」
「ちょっと使いすぎちゃったから、補充させてよ!
バン!
「…ッ!イッター…」
マネキンはルカに襲い掛かろうとした時、透明の何かにぶつかった。
「二人とも退がれ!何かおかしい!」
ワナ張っといて良かった…コスプレか?ふざけてるのか?
「もう、無駄遣いしたく無いのに!」
マネキンはもう一度襲い掛かる。しかし、今回は仕掛けた罠を全て避けている。
「なっ!(魔視か!マズイ!)」
ガギン!
レイが割って入り風の刃で首を切り付ける。しかし、切り付けたはずの刃が砕けてしまった。
「僕は”逃げて”って言ったよね!?何してるの!?うっ…!」
彼女はマネキンに首を掴まれてしまった。
ーーー待て…コイツ殺しに来てないか…?ヤバい!戦犯のどころの騒ぎじゃない!
「レイを離せ!」
『金属魔法』で剣を二本持ち走る。
どうすればいい?こんな攻撃、効くはずがない。レイの剣が砕かれてるじゃ無いか…
(衝撃魔法っ!)
ドン!
「皆んな、逃げてくれ俺が殿をする」
彼らは見張りをしていたのだが想定より早い襲撃を受けた。痛手を受けたが辛うじて撤退したところである。
「ねぇ、ここどこ?」
レイが目を覚ます。彼女はルカの小脇に抱えられていた。
「拠点にむかってるところだ」
「そう…」
聞いてみたものの、その広い視野のおかげである程度の見当はついていた。
「僕は何にやられたの?」
「あんたは見えてなかったもんな。トカゲ女の声魔法だ」
「あのうるさいヤツ?」
「そう、うるさいヤツ」
「ねぇ、もう一ついい?」
「なんだ?」
「相手に飛べる人、居たっけ?」
「居ないと思うが…」
「教員じゃないか?戦闘は監視されてるって言うし」
「…そっか」
ーーーー
少し前、サリア達が入り口で暴れている時。他の1-5生徒は4人一組に分かれて公園内に侵入していた。
「来た来た…」
リュートは茂みから敵を観察している。サリア達の対応をしに行く者たちを狩るつもりである。
彼が属する班はサイカ、リュート、カリス、コユメの四人班である。
元は一人一人減らして行く予定であったが、敵は常に三人1組で動いている為、予定の変更を余儀なくされた。
(作戦通りに…行くよ)
リュートは『座標魔法』と『軟化魔法』を発動させる。三人の足元を広範囲に渡って泥のように柔らかくする。
「「…ッ!」」
「うわっ!」
先頭を走っていた二人には避けられたが、少し遅れて走っていた男を捕らえた。
ただ、これは捕らえるための落とし穴では無い。
ーーー空中に追いやり、そこを狩る!
カリスが敵の正面から超スピードで攻撃を仕掛ける。
そして、彼の後ろにはコユメの『冷炎魔法』で形成された無数の花びらが追従している。
「二兎は追わん!一兎を確実に狩る!」
彼は向かって右側の木の幹に着地した男を狙った。
ガキン!
風の太刀は即席で生成された闇のナイフに受け止められてしまう。だが、そのまま木に押し付けて男を抑え込む。コユメの花びらを確実に当てる狙いである。
「今、助け…」
落とし穴にはまった男は手のひらにガラスの礫を形成する。先が捻れ尖っており殺傷能力は十分である。
しかし、それが戦況に変化を与えることは無かった。
「グウァァ!」
彼らは落とし穴、空中への奇襲、花びらによる広範囲攻撃、過剰な情報量を受けている。目の前の事で手一杯になっていた。さらに戦闘中である。
後ろはともかく頭上の敵に気づくの不可能と言っていい。
「無力化しました!」
サイカの雷は確実に相手の意識を刈り取った。
そしてもう一人、カリスに抑えられていた男も花びらに削られ倒れる。
「ガハッ、」
バタン、
残るは御空色の髪をした女性のみである。
右手に『雪魔法』で形成されたレイピアを持ち、左肩には鳥の羽を模した片羽が生成されている。
「二人とも手練れなのだが、奇襲とはいえこうもあっさりと…絶望的な状況だな。久方ぶりに滾って来た。さぁ、悪あがきだ!私が果てるまで付き合ってもらうぞ!」
「…ッ!新手か!」
彼女は攻めの姿勢を取ろうとしたが、何かに気付き背後にレイピアを振り下ろした。
ブォォーーーン!!
凄まじい風圧が辺りに広がる。それは土煙を巻き上げ辺りの視界を曇られた。
「クッ!」
ザァァーー!
サイカがリュートの方へ吹き飛ばされて来た。彼女は『雷魔法』で武器を形成している。
斧と盾を手に持ち、二つの円盤を『念力魔法』で操っている。
「あの人、多分やられてます。明らかなイレギュラーです。教員に連絡してください!」
「分かった。…イッ!」
リュートがカードを取り出そうと懐に手を入れた時、肩を撃ち抜かれた。
「そんな事しないでよ。吊れないなぁー。食べちゃうよ?」
煙が晴れると、そこには真っ白なマネキンの様な何かがが立っていた。
ーーーーー
レイがルカの腕を振り解いて飛び上がる。
「逃げて!」
「おい!何がしたいん…」
ルカは頭上を見上げて言葉を失った。レイと何が激しい空中戦を繰り広げていたのである。明らかにレベルが違う戦い横槍を入れることすら許されない。
おそらく、時々直角に曲がったり、止まったりする方がレイだ。相手は誰だ?
気づけば立ち止まって眺めていた。
「リーダーからの命令よ!逃げないの!?」
「少しでいい、見ていたい…」
長い間眺めていたいと言う思いとは裏腹に、戦いを始めて十数秒でルイの前に対戦相手であろう白いマネキンが降りて来た。
「…(何をするつもりだ?)」
「ちょっと使いすぎちゃったから、補充させてよ!
バン!
「…ッ!イッター…」
マネキンはルカに襲い掛かろうとした時、透明の何かにぶつかった。
「二人とも退がれ!何かおかしい!」
ワナ張っといて良かった…コスプレか?ふざけてるのか?
「もう、無駄遣いしたく無いのに!」
マネキンはもう一度襲い掛かる。しかし、今回は仕掛けた罠を全て避けている。
「なっ!(魔視か!マズイ!)」
ガギン!
レイが割って入り風の刃で首を切り付ける。しかし、切り付けたはずの刃が砕けてしまった。
「僕は”逃げて”って言ったよね!?何してるの!?うっ…!」
彼女はマネキンに首を掴まれてしまった。
ーーー待て…コイツ殺しに来てないか…?ヤバい!戦犯のどころの騒ぎじゃない!
「レイを離せ!」
『金属魔法』で剣を二本持ち走る。
どうすればいい?こんな攻撃、効くはずがない。レイの剣が砕かれてるじゃ無いか…
(衝撃魔法っ!)
ドン!
「皆んな、逃げてくれ俺が殿をする」
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