65 / 94
第一の神獣。死の軍勢の片鱗
55話 学園の対応
しおりを挟む
時はシル起動前の司令室、オペレーター達が一丸となってとなって戦闘のサポートをしていた。
現在は飛ばされた先遣隊と負傷者の対処が一区切り着いたところである。
学園は万軍の猛攻により大きな被害を受けていた。幸い、リオンの奮闘もあり人的被害は無い。しかし、状況は悪くいつ死人が出てもおかしく無い状態であった。
学長が重い口を開く。
「アイツのおかげで最悪の事態はまだ起きてないが万が一がない訳では無い。交換要員も含めランクBと点が二千未満のランクAは戦線離脱させろ。こちら側に決定打がない以上まともに戦っては勝てん。だが、あちら側の攻撃も対処可能。よって、奴には餓死してもらう。」
作戦の指示を出す。
その作戦とは、万軍を一つの場所に留め長い年月を掛けて餓死あるいは、革新的な技術発展を待つのである。
今までも対処しきれないモンスターが外界から現れた場合はこのように対処してきた。それに、奴が空腹に耐えかねて大暴したところで抑え込める自信があった。
しかし、物事はそう上手くいかなかった。
「対象、跳躍しました!こちらに向かっています!」
オペレーターの一人が声を張り上げた。彼女は慌てた様子であり不安と焦りが読み取れる。
「何ぃ!?(まさか、そこまで…いや、どうすれば)」
学長は万軍の予想外の力に唖然とする。だが、彼にそんな暇は無かった。
理想的な結果を掴むためには学園内の人手では足りなかった。
彼はどうなっても犠牲が出る究極の選択を迫られていた。しかも、奴が着地するまでの時間制限尽きである。
ーーーーー
今は亡き妻が頭をよぎる。
彼女は『世界中の人間を幸せにする』と言う馬鹿げた目標を掲げ、成し遂げた前学長である。
ーーーーー
(器じゃ無い…そんな事はいやと言うほど味わった。だが、俺はアイツに学園を託されてんだ!クソッ!)
自身の惨めさに打ちひしがれる。
「着地地点は目測で割り出し、その地域に避難勧告を出せ!学園内待機の戦闘要員全員で奴の気を引…」
学長は淡い希望を抱いてリスクの高い指示を出そうとした。成功すれば犠牲は出ないが、そんな甘い事はそうそう無い。
その時、司令室内にリオンの声が響いた。
「ミーニャが時間を稼ぐ!その間に着地地点を出せ!救助は俺がする!」
声はするが部屋の中にリオンの姿は無い。彼は自身の能力で司令室内に声を飛ばしている。
「分かった!少し待て!」
学長は現状を打破する魔道具でリオンに返事をする。
「大雑把で良い!すぐに出せ!」
彼は現状に希望を見出し歓喜した。
「出ました。牧場の北西部です!」
オペレーターの女性が顔を上げて報告する。
「聞いたか!?リオン!そこ誰もいねえわ!ドワッハッハッハッハッーーー!!」
学長は先程との反動で大笑いした。
「あー、これならまた何とかなるわ」
安心感からホッと一息つく。
だが、状況が好転した訳では無い。依然として脅威は去っていない。
「リオン、大陸の戦力をコッチに戻せ、取り敢えず奴はこちらで抑え…」
新たな指示を出そうとした学長の声が遮られた。
「あっ…」
ある男が何かに気づいたのである。彼はミーニャに握手を申し込んだものである。
絶望感が和らいできた司令室に不穏な空気が流れる。彼が真面目で優秀な人間である事がより一層その場の空気を重くした。
「お、おい、どうした?」
学長が動揺して聞き返す。
「シルと起動用コアってどこにありましたっけ?」
「「あっ…」」
ーーーーー
そして現在、リオンは真っ暗で狭い空間で目を覚ます。
「うっ…(確かに刺したんだが、抗体でも作ったか?)」
彼は朦朧としながらも起きあがろうとした。
「起きて、お兄ちゃん!」
見覚えのない子供がリオンを揺さぶる。さらに、彼女は膝枕をしてニコリと笑った。
現在は飛ばされた先遣隊と負傷者の対処が一区切り着いたところである。
学園は万軍の猛攻により大きな被害を受けていた。幸い、リオンの奮闘もあり人的被害は無い。しかし、状況は悪くいつ死人が出てもおかしく無い状態であった。
学長が重い口を開く。
「アイツのおかげで最悪の事態はまだ起きてないが万が一がない訳では無い。交換要員も含めランクBと点が二千未満のランクAは戦線離脱させろ。こちら側に決定打がない以上まともに戦っては勝てん。だが、あちら側の攻撃も対処可能。よって、奴には餓死してもらう。」
作戦の指示を出す。
その作戦とは、万軍を一つの場所に留め長い年月を掛けて餓死あるいは、革新的な技術発展を待つのである。
今までも対処しきれないモンスターが外界から現れた場合はこのように対処してきた。それに、奴が空腹に耐えかねて大暴したところで抑え込める自信があった。
しかし、物事はそう上手くいかなかった。
「対象、跳躍しました!こちらに向かっています!」
オペレーターの一人が声を張り上げた。彼女は慌てた様子であり不安と焦りが読み取れる。
「何ぃ!?(まさか、そこまで…いや、どうすれば)」
学長は万軍の予想外の力に唖然とする。だが、彼にそんな暇は無かった。
理想的な結果を掴むためには学園内の人手では足りなかった。
彼はどうなっても犠牲が出る究極の選択を迫られていた。しかも、奴が着地するまでの時間制限尽きである。
ーーーーー
今は亡き妻が頭をよぎる。
彼女は『世界中の人間を幸せにする』と言う馬鹿げた目標を掲げ、成し遂げた前学長である。
ーーーーー
(器じゃ無い…そんな事はいやと言うほど味わった。だが、俺はアイツに学園を託されてんだ!クソッ!)
自身の惨めさに打ちひしがれる。
「着地地点は目測で割り出し、その地域に避難勧告を出せ!学園内待機の戦闘要員全員で奴の気を引…」
学長は淡い希望を抱いてリスクの高い指示を出そうとした。成功すれば犠牲は出ないが、そんな甘い事はそうそう無い。
その時、司令室内にリオンの声が響いた。
「ミーニャが時間を稼ぐ!その間に着地地点を出せ!救助は俺がする!」
声はするが部屋の中にリオンの姿は無い。彼は自身の能力で司令室内に声を飛ばしている。
「分かった!少し待て!」
学長は現状を打破する魔道具でリオンに返事をする。
「大雑把で良い!すぐに出せ!」
彼は現状に希望を見出し歓喜した。
「出ました。牧場の北西部です!」
オペレーターの女性が顔を上げて報告する。
「聞いたか!?リオン!そこ誰もいねえわ!ドワッハッハッハッハッーーー!!」
学長は先程との反動で大笑いした。
「あー、これならまた何とかなるわ」
安心感からホッと一息つく。
だが、状況が好転した訳では無い。依然として脅威は去っていない。
「リオン、大陸の戦力をコッチに戻せ、取り敢えず奴はこちらで抑え…」
新たな指示を出そうとした学長の声が遮られた。
「あっ…」
ある男が何かに気づいたのである。彼はミーニャに握手を申し込んだものである。
絶望感が和らいできた司令室に不穏な空気が流れる。彼が真面目で優秀な人間である事がより一層その場の空気を重くした。
「お、おい、どうした?」
学長が動揺して聞き返す。
「シルと起動用コアってどこにありましたっけ?」
「「あっ…」」
ーーーーー
そして現在、リオンは真っ暗で狭い空間で目を覚ます。
「うっ…(確かに刺したんだが、抗体でも作ったか?)」
彼は朦朧としながらも起きあがろうとした。
「起きて、お兄ちゃん!」
見覚えのない子供がリオンを揺さぶる。さらに、彼女は膝枕をしてニコリと笑った。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
白の魔女の世界救済譚
月乃彰
ファンタジー
※当作品は「小説家になろう」と「カクヨム」にも投稿されています。
白の魔女、エスト。彼女はその六百年間、『欲望』を叶えるべく過ごしていた。
しかしある日、700年前、大陸の中央部の国々を滅ぼしたとされる黒の魔女が復活した報せを聞き、エストは自らの『欲望』のため、黒の魔女を打倒することを決意した。
そしてそんな時、ウェレール王国は異世界人の召喚を行おうとしていた。黒の魔女であれば、他者の支配など簡単ということを知らずに──。

異世界転生 剣と魔術の世界
小沢アキラ
ファンタジー
普通の高校生《水樹和也》は、登山の最中に起きた不慮の事故に巻き込まれてしまい、崖から転落してしまった。
目を覚ますと、そこは自分がいた世界とは全く異なる世界だった。
人間と獣人族が暮らす世界《人界》へ降り立ってしまった和也は、元の世界に帰るために、人界の創造主とされる《創世神》が眠る中都へ旅立つ決意をする。
全三部構成の長編異世界転生物語。
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

婚約破棄?一体何のお話ですか?
リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。
エルバルド学園卒業記念パーティー。
それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる…
※エブリスタさんでも投稿しています

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる