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第一の神獣。死の軍勢の片鱗
40話 分身の苦難
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上空から擦り注ぐ無数のモンスターを前にトウカの分身たちは自身の最後を悟る。せめて一矢報いてやろうと思い、コアを強く握りしめたその時、大きな轟音と共にピキピキした雷のような光を纏った青く輝く巨大な球が現れ、上空のモンスターを薙ぎ払った。
「はぁ!?」
分身たちは目の前の理不尽に怒りのこもった声を発し、全力で防御を固める。その直後、光が収束したかと思うと白く眩い光と共に辺り一体を吹き飛ばした。
「人権とか…ない訳?」
爆発で凸凹になった地面から数十人が這い出てくる。魔法で作られた分身とはいえ少しくるものがある。ボロボロになりながらも各々やるべきことを判断し行動を始めた。だが、本人たちは限界であった『水魔法』で形成された服も所々霧散し、本人達の体も角の辺りから霧散が始まっている。中には動けないほどの外傷を負ってしまっている個体もいた。
「外傷が少ないのいる?」
片足を丸々吹き飛ばされたトウカの分身が呼びかける。
「私とかどう?」
別の分身が手を差し伸べて声をかける。ボロボロではあるが四肢がちゃんと残っていて出血も少ない。
「合格」
足を吹き飛ばされた個体が手を取る。目を瞑るとそのまま吸い込まれるように吸収されていった。これを繰り返して動ける者にマナを集めた結果として人数は十人まで減ってしまった。分身たちは手を取り合い立ち上がる。
「大丈夫?」
「ありがと」
しかし、そんなやりとりも束の間、新たな悲劇が次々と襲い掛かることになる。
「…」
モンスターの気配を感じて装備を形成する。ほどなくして、地面がボコッと盛り上がる。ゴゴゴと地面を揺らしながら毒々しい紫色の触手が地上に這い出てきた。
「何?こいつら!?」
「奴らの一部?」
分身たちは警戒して戦闘体勢に入った。しかし、どんどんと触手の様子がおかしくなっていく。まるで何かに苦しめられている様に触手が周囲をのたうち回っている。
「…ッ!危ないわね」
規則性の無い攻撃にやりにくさを感じるがその程度の攻撃に当たるほど彼女らは弱くは無い。誰一人掠ることなく触手を躱し続ける。『炎魔法』のコアを持った個体がナタを『水魔法』のコアを持った個体が盾の形成と服の修繕を終え、いざ反撃に転じようとした時に触手のモンスターはこと切れて地に伏した。動かなくなったそれは根っこの方から霧散していき、地面の下で何者かに襲われたことが分かる。
「ねぇ、アレそれなりに強かったんだけど…」
触手状のモンスタが一方的にボコられているだろう状況を見て驚愕する。
「…」
案の定と言うべきか蟻型外生生物次々とが這い出てくる。
「こんな奴らもいたのね」
分身の一体が斬りかかる。が、炎のナタはガン!と鈍い音を立てて弾かれてしまった。
「固った!ナイフちょうだい!」
「こんなんで刺せるの?」
声と共に炎のナイフが二本飛んでくる。
「関節を刺すのよ」
ナタと盾を地面に落としナイフを受け取る。そして、モンスターに跨り、細い首を刺した。しかし、固い皮膚に阻まれ、またしても刺さらなかった。
「ちょっ、本当に固いんだけど!」
「釘とハンマーいる?」
「要らない。いくら鈍くても、数がいるわ」
分身たちはこの手詰まりの状況にある結論を出した。
「放置しましょ」
驚異的な頑丈さの代わりに機動力が失われている。撃破しようとすると苦労するが、自ら向かっていかなければ脅威になることもない。アント系モンスターを無視して万軍の現状を確認するために『水魔法』のコアを持った個体が巨大な柱を作り出し、上を登って周囲を確認した。
「どうだった?」
柱から降りてきたか個体に質問をする。
「パニクらないで聞いて」
神妙な面持ちで口を開く。
「?」
「囲まれてる」
「え?」
「円状に集まった黒い影がカサカサしてたわ…」
「変な表現しないで」
「って、それだけなの?」
「円がドンドン狭まってきていたわ」
「捕捉されてるってこと?」
「そうらしいわ」
「どうするの?」
「どうするって…」
絶望的な状況に悲観していると、パタッと白い板が落ちてきた。
「ん?」
どこからともなく現れたそれは矢印の形をしていた。これは、教員リオンからのメッセージであった。
「頑張れば人権って勝ち取れるかしら?」
分身たちが一斉に矢印方向に走り出した。
「策はあるの?」
「思い出して、私たち捨て駒よ」
「…もうやだ~」
「本当に人権欲しいわ…」
分身たちははヤケクソでモンスターに襲いかかる。目的は誘導である。具体的には学園の砲台が集中砲火出来るだけの距離に万軍を止めることであり、この作戦に分身の生存は含まれていないのである。
「はぁ!?」
分身たちは目の前の理不尽に怒りのこもった声を発し、全力で防御を固める。その直後、光が収束したかと思うと白く眩い光と共に辺り一体を吹き飛ばした。
「人権とか…ない訳?」
爆発で凸凹になった地面から数十人が這い出てくる。魔法で作られた分身とはいえ少しくるものがある。ボロボロになりながらも各々やるべきことを判断し行動を始めた。だが、本人たちは限界であった『水魔法』で形成された服も所々霧散し、本人達の体も角の辺りから霧散が始まっている。中には動けないほどの外傷を負ってしまっている個体もいた。
「外傷が少ないのいる?」
片足を丸々吹き飛ばされたトウカの分身が呼びかける。
「私とかどう?」
別の分身が手を差し伸べて声をかける。ボロボロではあるが四肢がちゃんと残っていて出血も少ない。
「合格」
足を吹き飛ばされた個体が手を取る。目を瞑るとそのまま吸い込まれるように吸収されていった。これを繰り返して動ける者にマナを集めた結果として人数は十人まで減ってしまった。分身たちは手を取り合い立ち上がる。
「大丈夫?」
「ありがと」
しかし、そんなやりとりも束の間、新たな悲劇が次々と襲い掛かることになる。
「…」
モンスターの気配を感じて装備を形成する。ほどなくして、地面がボコッと盛り上がる。ゴゴゴと地面を揺らしながら毒々しい紫色の触手が地上に這い出てきた。
「何?こいつら!?」
「奴らの一部?」
分身たちは警戒して戦闘体勢に入った。しかし、どんどんと触手の様子がおかしくなっていく。まるで何かに苦しめられている様に触手が周囲をのたうち回っている。
「…ッ!危ないわね」
規則性の無い攻撃にやりにくさを感じるがその程度の攻撃に当たるほど彼女らは弱くは無い。誰一人掠ることなく触手を躱し続ける。『炎魔法』のコアを持った個体がナタを『水魔法』のコアを持った個体が盾の形成と服の修繕を終え、いざ反撃に転じようとした時に触手のモンスターはこと切れて地に伏した。動かなくなったそれは根っこの方から霧散していき、地面の下で何者かに襲われたことが分かる。
「ねぇ、アレそれなりに強かったんだけど…」
触手状のモンスタが一方的にボコられているだろう状況を見て驚愕する。
「…」
案の定と言うべきか蟻型外生生物次々とが這い出てくる。
「こんな奴らもいたのね」
分身の一体が斬りかかる。が、炎のナタはガン!と鈍い音を立てて弾かれてしまった。
「固った!ナイフちょうだい!」
「こんなんで刺せるの?」
声と共に炎のナイフが二本飛んでくる。
「関節を刺すのよ」
ナタと盾を地面に落としナイフを受け取る。そして、モンスターに跨り、細い首を刺した。しかし、固い皮膚に阻まれ、またしても刺さらなかった。
「ちょっ、本当に固いんだけど!」
「釘とハンマーいる?」
「要らない。いくら鈍くても、数がいるわ」
分身たちはこの手詰まりの状況にある結論を出した。
「放置しましょ」
驚異的な頑丈さの代わりに機動力が失われている。撃破しようとすると苦労するが、自ら向かっていかなければ脅威になることもない。アント系モンスターを無視して万軍の現状を確認するために『水魔法』のコアを持った個体が巨大な柱を作り出し、上を登って周囲を確認した。
「どうだった?」
柱から降りてきたか個体に質問をする。
「パニクらないで聞いて」
神妙な面持ちで口を開く。
「?」
「囲まれてる」
「え?」
「円状に集まった黒い影がカサカサしてたわ…」
「変な表現しないで」
「って、それだけなの?」
「円がドンドン狭まってきていたわ」
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「そうらしいわ」
「どうするの?」
「どうするって…」
絶望的な状況に悲観していると、パタッと白い板が落ちてきた。
「ん?」
どこからともなく現れたそれは矢印の形をしていた。これは、教員リオンからのメッセージであった。
「頑張れば人権って勝ち取れるかしら?」
分身たちが一斉に矢印方向に走り出した。
「策はあるの?」
「思い出して、私たち捨て駒よ」
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「本当に人権欲しいわ…」
分身たちははヤケクソでモンスターに襲いかかる。目的は誘導である。具体的には学園の砲台が集中砲火出来るだけの距離に万軍を止めることであり、この作戦に分身の生存は含まれていないのである。
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