モンスターコア

ざっくん

文字の大きさ
上 下
10 / 94
受験戦争

3話 飛行船、離陸

しおりを挟む
 広場に着陸した飛行船の周りにはたくさんの人が集まっていた。見送りや見物など目的は様々である。
 リュートとカイトの二人はその人波をかき分けて飛行船を目指す。

「やけに多いな」

「そうだね」

「何かあるのじゃ?」

「学園は色々やってるんだよ。多分荷下ろしとかじゃないかな。見送りと混ざって大変なことになってるけど」

 学園は教育機関であるがそれだけでは無い。魔道具の開発、コアの輸出、傭兵業など主に対外界生物モンスター関係で様々な事を行なっている。
 島が丸ごと敷地となっており、どちらかと言うと国に近い。

「受験生はこちらに並んでください!」

「行くよ」

 リュート達は受付を済ませ飛行船に乗り込んだ。
 飛行船の内部は三階建てらしい。一階を見ると席には人がまばらに座りそれぞれの時間を有意義に過ごしていた 。
 問題なく座れそうである。
 
「わしをは一番前の窓際を所望するのじゃ!」

 コアが眺めの良い先頭の席をねだった。
 そこは前方の壁がガラス張りで外の景色がよく見える。ガラスの筒を半分に切ったような形で下や上をある程度見渡せるようになっている。
 壁際の席にもそれぞれガラスの窓が取り付けられているが、コアは満足できないようだ

「でも、空いてないよ?」

「上行けばいいじゃろう。上、2階と3階があるぞ!」

「そうだな、上行くか」

 2階は1階ほど席は埋まって無かったが、先頭は空いていなかった。その為、3階に移動した。

「おっ、スカスカなのじゃ!」

 3階にはぱっと見人は居らず、青色の柔らかそうな座席がずらりとならんでいた。

「先頭空いてるといいね」

「なんじゃ、その対幼子のような接し方は!もっと丁寧に…そう、割れ物みたいに扱え!」

「それでいいのか、特権階級」

「いや、わしもうお荷物じゃろ?」

「自覚があるようで何より」

「でも、わしはありがたーい御神体じゃ!」

「へぇ~、右と左どっちが…あ、人がいる」

「というか寝てるのじゃ」

 前に進んで行くこと、二人の少女が寝ているのが目に入った。
 彼女らは先頭右側の横3列、縦2列、計六つもの席を倒して寝ている。布団や目覚まし時計などを持ち込み自身のもののように占領していた。

 少女Aの身長は少し小さく肉付きがいい。やや緑みの明るい青の色をした髪はボサボサになっている。
 少女Bは一人で五つのの席を占領していた。これは、彼女の十寝相が悪いわけではない。彼女には赤紫色のうろこがついた巨大な尻尾を持っている。そのため、横になるのにより大きなスペースをとることになるのだ。

誰もいなかったから寝ているのか、寝ているから誰もいないのか

「これどうする?戻った方がいい?」

リュートがコアとカイトに尋ねた。

「ほおっておくのじゃ、そんなことより、わしは外が見たい!」

 コアが言った。

「いやいや、離れよう絶対めんどうなことになる」

 カイトが反論した。

「まて!確かに面倒ごとになるのは分かりきっておる!じゃが、わしは前面にあるの 透明な壁の誘惑に逆らえんのじゃ!」

「しー、コア、起きちゃう」

 リュートがコアに言った。

「ほら、お主ら空の景色見てみたいじゃろ、わしはすごく見たい。それはそれとして、、隣にはそれなりの美少女が二人、外見るついでに視界に入ってしまうこともあるかも知れん。もし文句言われても、外が見たかったと言えば良い。さらに言えば、わしが居る。何を言われようとも、わしがわがままを言ったことにすれば、全てが丸く収まる」

 コアがコソコソ話しで二人を説得をした。

「で、でも…」

 リュートが頬を赤らめながら、女子A、Bをチラチラと見た。

「ご主人様、お主も男じゃろう。この誘惑には逆らえまい」

 結局、二人は先頭の左側に座った。

ピンポンパンポーン

「これより、離陸します。快適な旅をお楽しみください」

船内アナウンスが鳴った。
 アナウンス終了とほぼ同時に隣で目覚ましが鳴りびきかけた。

ピp、

 少女Aが鳴った目覚ましをすぐさま止めた。そして、少女Bをさすって起こした。

「リア、起きて」

「う、うぅ…飛行船が来て速攻三階まで駆け上がって来る変態なんていないわよ。もう少し寝させて…」

 少女Bが目をつぶったままグスって寝返りをうった。少女Aは少女Bの対応を諦めて顔を上げた。そして、その様子を見ていたリュート達を翠色の瞳で見つめた。

「あっ、へんたい」

 少女Aが呟いた。

「誰が変態よ!」

 少女Bが飛び起き、鮮やかな黄緑 シャルトルーズイエローの瞳を見開いた。

「ちがう、」

「え?」

 少女Bは少女Aの見ている方向に目を向けた。しかし、起きたばかりで脳の活性化が十分でなかったため、

「うぁ…マジモンの変態じゃない。、あなた達どんな神経してるの?大丈夫?」

 と、呆れて引き気味に言う事となった。
 その直後、飛行船がぐらりと揺れ、上昇した。

「ん?あれ?飛んでる?えっ?えっ?」

 少女Bが戸惑い少し取り乱しだ。ここで彼女の脳が完全に活性化した。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

白の魔女の世界救済譚

月乃彰
ファンタジー
 ※当作品は「小説家になろう」と「カクヨム」にも投稿されています。  白の魔女、エスト。彼女はその六百年間、『欲望』を叶えるべく過ごしていた。  しかしある日、700年前、大陸の中央部の国々を滅ぼしたとされる黒の魔女が復活した報せを聞き、エストは自らの『欲望』のため、黒の魔女を打倒することを決意した。  そしてそんな時、ウェレール王国は異世界人の召喚を行おうとしていた。黒の魔女であれば、他者の支配など簡単ということを知らずに──。

異世界転生 剣と魔術の世界

小沢アキラ
ファンタジー
 普通の高校生《水樹和也》は、登山の最中に起きた不慮の事故に巻き込まれてしまい、崖から転落してしまった。  目を覚ますと、そこは自分がいた世界とは全く異なる世界だった。  人間と獣人族が暮らす世界《人界》へ降り立ってしまった和也は、元の世界に帰るために、人界の創造主とされる《創世神》が眠る中都へ旅立つ決意をする。  全三部構成の長編異世界転生物語。

婚約破棄?一体何のお話ですか?

リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。 エルバルド学園卒業記念パーティー。 それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる… ※エブリスタさんでも投稿しています

貧弱の英雄

カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。 貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。 自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる―― ※修正要請のコメントは対処後に削除します。

ここは貴方の国ではありませんよ

水姫
ファンタジー
傲慢な王子は自分の置かれている状況も理解出来ませんでした。 厄介ごとが多いですね。 裏を司る一族は見極めてから調整に働くようです。…まぁ、手遅れでしたけど。 ※過去に投稿したモノを手直し後再度投稿しています。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

王女、豹妃を狩る

遠野エン
ファンタジー
ベルハイム王国の王子マルセスは身分の差を超えて農家の娘ガルナと結婚を決意。王家からは驚きと反対の声が上がるが、マルセスはガルナの自由闊達な魅力に惹かれ押し切る。彼女は結婚式で大胆不敵な豹柄のドレスをまとい、周囲をあ然とさせる。 ガルナは王子の妻としての地位を得ると、侍女や家臣たちを手の平で転がすかのように振る舞い始める。王宮に新しい風を吹かせると豪語し、次第に無茶な要求をし出すようになる。 マルセスの妹・フュリア王女はガルナの存在に潜む危険を察知し、独自に調査を開始する。ガルナは常に豹柄の服を身にまとい人々の視線を引きつけ、畏怖の念を込めて“豹妃”というあだ名で囁かれるのだった。

婚約破棄からの断罪カウンター

F.conoe
ファンタジー
冤罪押しつけられたから、それなら、と実現してあげた悪役令嬢。 理論ではなく力押しのカウンター攻撃 効果は抜群か…? (すでに違う婚約破棄ものも投稿していますが、はじめてなんとか書き上げた婚約破棄ものです)

処理中です...