モンスターコア

ざっくん

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受験戦争

2話 出発

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 リュートが朝の賑やかな市場が並ぶ石畳で舗装された道を走っている。
 時間に追われているわけではない。だが、この日を長年待っていたのだ。テンションが上がるのいうものだ

「ご主人様、そっちは街の中心じゃぞ?どうしてそっち行く?街を出るのじゃろ?」

「中央の広間に学園の飛行船が来るんだ。あっ、でもその前に一回寄り道するよ」

「それは、ちょっと楽しみじゃな」

「そういえば、コアって目とか見えてるの?」

「それは、ご主人様の体を使って見ているのじゃ。どうやら『結合』のせいで色々繋がったんじゃろ。今のわし体ないからな」

「でも、初めて会ったとき結合して無くても会話出来てたよね?それに、結合魔法って、くっつけるだけで、そういうのは出来ないよね?」

「ッ…、いやぁ、今の無し!お主だって自分どうやって目で見たり、耳で聞いたりする時どうやってるのか分からんじゃろう?」

「おーい!リュート早く行こうぜー!」

 遠くで一人の男子がリュートに手を振っている。彼の名はカイト。リュートとは小さな頃からの親友であり、高め合うライバルでもある
 ツンツンとした黒髪をし、頭にはくるりとした螺旋のツノを生やしている。

 この世界の人間には四つの種族と魔族が存在する。
 リュートとカイトはヒューマンである。しかし、ツノを生やした彼は魔族でもある。

 魔族は突然変異種である。彼らは体の一部が別の生物に置き換わった状態で生まれる。置き換わった部位は正常に作用し、時には強力な力を発揮することもある。

「おはよう、まだ時間あるし魔具店寄っていい?」

 右手の甲を見せる。そこには昨日のコアが結合されていた。

「ん?あぁー、寄生型生物パラサイト系モンスターか、面倒なことになったな」

「ちょ、待て!何するつもりじゃ!?」

 コアは何かを察した

「はぁ!?しゃべれんのコイツ!」
 ーーーーー
 コアは精一杯の抵抗をした。しかし、体の無い彼に出来ることは限られていた。

 コアの品性が1下がった

 案の定、店を出たリュートの手には楕円形の宝石が握られており、手の甲は正常に戻っていた。

「コア、落ち着いた?」

「わし死ぬぞ寂しすぎて本当に…」

 コアは無事取り外された。リュートの手は元に戻る声はかなり沈んでいた。

「お前、死ぬのか!?俺んとこ来るか?」

「いや、本当に死ぬわけではないんじゃ、ただ、退屈で死にそうになるだけでな、ほら、一種の比喩表現じゃ、本当に死ぬわけじゃないぞ!」

 カイトに対してコアはすぐさま訂正した。

「そらそうか…、俺はカイト、リュートコイツの親友けんライバルだ。よろしく!」

「あー、ゴホンッ、わしは、こやつをご主人様と慕うコアじゃ、よろしく」

「あ、あぁ、よろしく?」

 この時、カイトは思った。コイツ、絶対リュートを慕ってねえな。と

 コアとカイトの関係性が唐突に縮まった。

「何でそうなる!」

リュートはライバルよりも相棒の方が距離が近く感じた

「まぁまぁまぁ、落ち着くのじゃ」

「なぁ、コア。ひとつだけ聞いていいか?」

 カイトはコアを手に持つ。彼にはどうしても確かめなければならないことがあった。

「…。相棒」

 コアはカイトの問いに沈黙で返し、その後、小さくつぶやいた。

「…ッ!面倒くさ!はぁ…なぁ相棒」

「なんじゃ、なんじゃ?」

「お前だって最初からそうだったわけじゃないよな。元は何やってたんだ?」

「それはもうイカしたモンスターじゃったのだ!天敵のいない草原でグータラと暮らしていた」

「それ、イカしてるか?」

「当たり前じゃ!特権階級じゃぞ!」

 野生生物である彼と人間の間にはかなり違った感性があるようだ。その証拠に二人ともそれが優れたものの特権であることは理解したが、素晴らしいものとは思えなかった。
 それに、重要な事は何一つ言わなかった。

「リュート、コイツは安全なのか?話しぶりからして随分と力のある生物だったらしいが…嘘ついてるしな」

「まぁ、昔は強かったらしいけど、今は弱いから害はないよ。信用は出来ないけど」

「お前が言うなら間違いないか…」

 二人はコアを手元に置いておくことにした。もし、手に余るようならば然るべき場所に売りつければいい。そう結論付けた

「…ッ!辛辣なのじゃ、わしは人間に友好的な外界生物モンスターじゃぞ」

「僕は騙されたけどね」

「あ、あれは、あわよくば体乗っ取れるかな、って思っただけで他意はなかったのじゃ!」

「アウトじゃねえか!リュート!やっぱりコイツ捨てよう!」

 ーーーーーーー

 広間に着いたリュート達を待っていたのは所々に金属の装甲をあしらった巨大な飛行船だった。

「おー、デカいのじゃ。」

「すごいよね。これに乗るんだよ」

「強い奴はいそうか?」

 三人はこれから行く学園に胸を躍らせていた。
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