58 / 64
番外編 騎士団に復帰後のアレコレ
とんでもない初日になったなぁ。でも、俺も話せてよかったですよ!
しおりを挟む
※後味が悪い話の可能性があります。その場で聞いているハスも、若干困惑する展開。
「――私はね、幼子の頃から子供らしくなくて、違う世界を見ていたカムロに構って欲しくて、悪戯ばかりしていたんだよ。嫌われると分かっていても、泣いたり怒ったり、怖がったりするカムロは……とても可愛かった。そうして、私に強い感情を向けてくれるのが、何より嬉しかったんだよ」
出だしから危ない発言が!
えっと、カムロさんが家を出たのが10歳だから、少なくとも10代の子供だったキアムルさんがそういう風に考えてたってことだよな? さすがにそんな感じの人が俺の兄ちゃんだったら、ガチ泣きする!
「カムロとは5歳年が離れているし、本来なら兄として守るべき存在だ。……してはいけない事だという自覚はあった。だが、私はカムロを追い詰めた。……憎いと思ってしたことは一度だってない。誰からも否定されるだろうけれど、私は弟を愛しているんだ」
憎んでいたんじゃないってことは、話しているキアムルさんの表情でよく分かる。可愛くて仕方ないっていう顔だ。……父さんや、母さん、それにクラさんが、俺に向けてくれる顔と同じだったから。
「3回転半捻りくらいしてる愛情だったんですね」
否定はしないけれど、同意はしないっ! 俺としてはカムロさんの苦労を思うと頷けなくて、捻ねくれたコメントになった。
「ははは。愉快な評価をありがとう」
……にしてもだ、ブラコンこじらせるにも程が!
好きな子ほどイジメたいとか、そういうノリとちょっと違う気もするしな。
「両親もそうだ。豊かな暮らしをするために仕事に熱中していた……。商売で利益が上がれば、それだけ私やカムロにいい思いをさせてあげられるってね。……私達を放置していることに気付かないくらいに、そう妄信していたんだ」
カムロさんの言っていたことは、事実だった。
でもなんでだろう……怒りを覚えるよりも、切ない気分になっちゃったぞ。うん、まあ、なんというか、カムロさんが家を飛び出したのは仕方がなかったんだろうって納得もしたし、俺自身に起きたことじゃないから、どうしたらよかったかなんて分からないし、これからだってどうしていいか………分からない。
……いつかは和解して……なんて、そんな軽い言葉なんて言えない。そういう事を俺が言うのは、カムロさんにとって重荷になるかも知れないし。実際、ご両親に挨拶したいとか言ったら、凄く不機嫌になってたしな! デリケートな問題だ。
「今でも、父と母は、彼らなりの幸せの中で生きているよ。それとなく指摘した事はあるけれど、自分達の何がカムロを苦しませたかなんて、まるで理解することができないんだよ。決して、悪い人達ではないのだけれどね」
うわぁ。途方に暮れちゃいそうな話になったな。
家族だからとか、親だから、兄弟だからって……、仲良く暮らしていけるとは限らない。それが悲しく思えて、ちょっと泣きそうになった。
「カムロが家を飛び出して、絶縁までして距離を取ってくれた事で私はやっと自制ができた。……それから……それなりに年を取って、私なりの分別を身に着けたよ。今回の誘拐は、ちょっとタガが外れてしまったけれどもね」
……ニコッと笑って言った最後の一言で、ひゅっと涙が引っ込みましたよお兄様。ダメだこの人! 根本的になんかの部品が頭から抜け落ちてる人なんだよ!
「あまり驚かないようだけれど、カムロから聞いていたのかな」
「ええっと、……結婚する前に、ご両親に挨拶したいって言ったことがあったんですよ。でも、カムロさんはしなくていいって言うばっかりでそれっきりなってしまって。……家族と上手くいってなかった話は、そのときに少し聞いてましたから」
そっちよりも、誘拐されてキアムルさんと会うことになった方がよっぽど驚いたわっ!
「嫌な話を聞かせてしまって、済まなかった」
「そんなことないです。話して下さって、ありがとうございます」
俺が真顔でお礼を言うと、キアムルさんは……泣いているような、笑っているような……奇妙な表情をしてじっと俺を見詰めた後、「どういたしまして」と、返してくれた。
「まあ、自己満足だからお礼なんて言われてしまうと、申し訳ない気がするけれど。私からもお礼を言うよ。ありがとうハス君。こんなろくでもない男の話を、無暗に怒らずに聞いてくれて」
「……正直ちょっとしょっ引こうかって思うくらいには怒ってましたけど、なんかもうキアムルさんの性格が濃すぎて色々吹っ飛びましたよ……」
「ぷっ! くく、言うね君。正直殴られるくらいは覚悟していたけれど、君が柔軟な性格でよかった」
……マジ殴ってふん縛った方がよかったかな?
ある意味そっちの行動の方が、誘拐犯相手としては妥当だろうな! なんかもう、そういう気になれないけど。それに、この人は、ちゃんとカムロさんのお兄さんなんだ。かなりアレな人だけどな。
もうこれさぁ、誘拐って言う名のサプライズってことでよくないか? この人捕まえてもきっと超めんどくさいぞ! 絶対! ――って、心の中で悪魔が妙に疲れ切った声で囁いてるのが聞こえた気がした。ちなみに天使の方はアレコレ衝撃的過ぎて、とっくに息をしていないっぽい!
「あの……、俺、そろそろ帰らせてもらえます?」
お兄様のキャラが濃過ぎだし、話の内容も重たかったからマジで疲れたんでございますよ。あと、ディナーに間に合うならカムロさんと一緒にバターソテー食べたい! イチャイチャ新婚旅行中なんだからな! 早く旦那様のとこに帰りたいっ!
「ああ、もうじきカムロが迎えに来る。きっとね」
「はぁ。まあ、カムロさんですからね」
さすがに何かしら仕掛けていると思う。俺の居場所ぐらい簡単に突き止めるんじゃないかな。魔術刻印びっしりの外れない指輪に、何か付与されてそうだよなぁ……。ブチ飛んでるカムロさんなら、何でもかんでもやりかねない!
「カムロを本当に信頼しているんだね。ふふ。ますます気に入ったよ」
ニコニコ上機嫌なお兄様。気に入られて喜んでいいのか悪いのか微妙でございますよ! こういうタイプの人に気に入られると、なんかとんでもない悪戯とかされそうで怖いっ!
「――ハス君! 迎えに来ましたよ!」
バアン! ってドアがブチ開けられて、マイ旦那様が飛び込んできたあああ!
「うおっ! カ、カムロさんっ!」
駆け寄って来たカムロさんが、俺を椅子から引っ張り上げてぎゅっぎゅしてきて「大丈夫ですか。何かされませんでしたか?」なんて聞いてくるけど、苦しっ! うぐぁ! 締め上げる勢いでハグしないで下さい!
「く、苦しいっ! だ、大丈夫ですからっ……!」って、ぺしぺし背中を叩くと「あ、すみません」って言ってパッと放してくれた。ふぅ、締め落とされるかと思った! 1日に2回も気絶なんてシャレにならないですよ!
「私のハス君を誘拐するなんて! どこまで陰湿なんですかっ!」
「お前がつれないからだよ」
「どの口が言いますか! 社会的に抹殺しますよ!」
「はは。怖いね。……お前の伴侶と話をしてみたかったんだ。とてもいい子だね。お前をよろしく頼むよと言ったら、一生大切にするって言ってくれたよ」
「誘拐する必要がありますか!」
「正攻法でそう連絡を入れても、お前が受け付けるとは思えなくてね」
「当然でしょう! 信用できません!」
カムロさんに超怖い顔で睨まれて、めちゃくちゃ怒鳴られてるのに、キアムルさんは幸せそうに笑っている。
あああ、カムロさんダメですよ! お兄様はちょっとネジと歯車が飛んでいらっしゃるから、そんな勢いで何言っても余計に喜んじゃうんですよ!
……っていうか今、キアムルさんがいいコト言ってたのに、スルーしてるし!
「さ、帰りましょう。こんな性根の腐れた人間と同じ空気を吸っていると、穢れてしまいますよ」
「こき下ろし方がキレキレですよカムロさんっ! あ、えっと、じゃ、帰りますんで。お兄さん、お父さんとお母さんにも伝えてください。俺、カムロさんを幸せにしますって」
「ハス君! こんな悪人と口をきいてはいけませんっ!」
「むがっ!」
がしっと口を押さえられてジタバタしている俺を見て、キアムルさんは「ぶっは!」と盛大に吹き出した。お兄様、笑いの沸点が低いんでしょうかね。よく笑うなぁ。ロタとはまた違うテンションだけど。
「ははは。ああ、わかった。伝えておくよ。きっと両親も喜んでくれる。いやぁ、誘拐してよかったよ」
「ふざけないで下さい! この犯罪者!」
ぬああああ! このお兄様はっ! 燃料投下せんでくださいよバカあああああ!
「むぐ……っ! あ、あの、カムロさん、早くバターソテー食べたいです。ディナーには間に合いますよね。俺もう、すんごく腹ペコなんですよ!」
何とかカムロさんの手を口から引っぺがして、キュッと両手で握って必死に訴える。これ以上もめるとなんかヤバそうだし! キアムルさんから引き離さないとだ!
「あ、はい。まだ十分間に合いますよ」
「よかったぁ! 急いで帰らないと! カムロさんもお腹空いてますよね」
「はい。空いてます」
よ、よーし、いつものニコニコしたカムロさんに戻ったぞ。俺はそのまま、よそ見しないでカムロさんを引っ張って、いそいそと部屋を出る。
「気を付けて帰るんだよ。君と話せてよかった。2人で幸せにね」
っていう、お兄様のほんっとーに楽しそうで嬉しそうな声が、背後から聞こえた。遊びに来てたみたいな感覚で見送られてるけど……、俺、誘拐されてたんだよな? ちょっとどうかと思う!
――とんでもない初日になったなぁ。でも、俺も話せてよかったですよ!
※……キアムル氏、薄めきれない濃さでした。作者的にも困惑させられる人物。ヤバさ加減で言えばカムロ氏もある意味相当ですが、ハスにとっては可愛い旦那様。
「――私はね、幼子の頃から子供らしくなくて、違う世界を見ていたカムロに構って欲しくて、悪戯ばかりしていたんだよ。嫌われると分かっていても、泣いたり怒ったり、怖がったりするカムロは……とても可愛かった。そうして、私に強い感情を向けてくれるのが、何より嬉しかったんだよ」
出だしから危ない発言が!
えっと、カムロさんが家を出たのが10歳だから、少なくとも10代の子供だったキアムルさんがそういう風に考えてたってことだよな? さすがにそんな感じの人が俺の兄ちゃんだったら、ガチ泣きする!
「カムロとは5歳年が離れているし、本来なら兄として守るべき存在だ。……してはいけない事だという自覚はあった。だが、私はカムロを追い詰めた。……憎いと思ってしたことは一度だってない。誰からも否定されるだろうけれど、私は弟を愛しているんだ」
憎んでいたんじゃないってことは、話しているキアムルさんの表情でよく分かる。可愛くて仕方ないっていう顔だ。……父さんや、母さん、それにクラさんが、俺に向けてくれる顔と同じだったから。
「3回転半捻りくらいしてる愛情だったんですね」
否定はしないけれど、同意はしないっ! 俺としてはカムロさんの苦労を思うと頷けなくて、捻ねくれたコメントになった。
「ははは。愉快な評価をありがとう」
……にしてもだ、ブラコンこじらせるにも程が!
好きな子ほどイジメたいとか、そういうノリとちょっと違う気もするしな。
「両親もそうだ。豊かな暮らしをするために仕事に熱中していた……。商売で利益が上がれば、それだけ私やカムロにいい思いをさせてあげられるってね。……私達を放置していることに気付かないくらいに、そう妄信していたんだ」
カムロさんの言っていたことは、事実だった。
でもなんでだろう……怒りを覚えるよりも、切ない気分になっちゃったぞ。うん、まあ、なんというか、カムロさんが家を飛び出したのは仕方がなかったんだろうって納得もしたし、俺自身に起きたことじゃないから、どうしたらよかったかなんて分からないし、これからだってどうしていいか………分からない。
……いつかは和解して……なんて、そんな軽い言葉なんて言えない。そういう事を俺が言うのは、カムロさんにとって重荷になるかも知れないし。実際、ご両親に挨拶したいとか言ったら、凄く不機嫌になってたしな! デリケートな問題だ。
「今でも、父と母は、彼らなりの幸せの中で生きているよ。それとなく指摘した事はあるけれど、自分達の何がカムロを苦しませたかなんて、まるで理解することができないんだよ。決して、悪い人達ではないのだけれどね」
うわぁ。途方に暮れちゃいそうな話になったな。
家族だからとか、親だから、兄弟だからって……、仲良く暮らしていけるとは限らない。それが悲しく思えて、ちょっと泣きそうになった。
「カムロが家を飛び出して、絶縁までして距離を取ってくれた事で私はやっと自制ができた。……それから……それなりに年を取って、私なりの分別を身に着けたよ。今回の誘拐は、ちょっとタガが外れてしまったけれどもね」
……ニコッと笑って言った最後の一言で、ひゅっと涙が引っ込みましたよお兄様。ダメだこの人! 根本的になんかの部品が頭から抜け落ちてる人なんだよ!
「あまり驚かないようだけれど、カムロから聞いていたのかな」
「ええっと、……結婚する前に、ご両親に挨拶したいって言ったことがあったんですよ。でも、カムロさんはしなくていいって言うばっかりでそれっきりなってしまって。……家族と上手くいってなかった話は、そのときに少し聞いてましたから」
そっちよりも、誘拐されてキアムルさんと会うことになった方がよっぽど驚いたわっ!
「嫌な話を聞かせてしまって、済まなかった」
「そんなことないです。話して下さって、ありがとうございます」
俺が真顔でお礼を言うと、キアムルさんは……泣いているような、笑っているような……奇妙な表情をしてじっと俺を見詰めた後、「どういたしまして」と、返してくれた。
「まあ、自己満足だからお礼なんて言われてしまうと、申し訳ない気がするけれど。私からもお礼を言うよ。ありがとうハス君。こんなろくでもない男の話を、無暗に怒らずに聞いてくれて」
「……正直ちょっとしょっ引こうかって思うくらいには怒ってましたけど、なんかもうキアムルさんの性格が濃すぎて色々吹っ飛びましたよ……」
「ぷっ! くく、言うね君。正直殴られるくらいは覚悟していたけれど、君が柔軟な性格でよかった」
……マジ殴ってふん縛った方がよかったかな?
ある意味そっちの行動の方が、誘拐犯相手としては妥当だろうな! なんかもう、そういう気になれないけど。それに、この人は、ちゃんとカムロさんのお兄さんなんだ。かなりアレな人だけどな。
もうこれさぁ、誘拐って言う名のサプライズってことでよくないか? この人捕まえてもきっと超めんどくさいぞ! 絶対! ――って、心の中で悪魔が妙に疲れ切った声で囁いてるのが聞こえた気がした。ちなみに天使の方はアレコレ衝撃的過ぎて、とっくに息をしていないっぽい!
「あの……、俺、そろそろ帰らせてもらえます?」
お兄様のキャラが濃過ぎだし、話の内容も重たかったからマジで疲れたんでございますよ。あと、ディナーに間に合うならカムロさんと一緒にバターソテー食べたい! イチャイチャ新婚旅行中なんだからな! 早く旦那様のとこに帰りたいっ!
「ああ、もうじきカムロが迎えに来る。きっとね」
「はぁ。まあ、カムロさんですからね」
さすがに何かしら仕掛けていると思う。俺の居場所ぐらい簡単に突き止めるんじゃないかな。魔術刻印びっしりの外れない指輪に、何か付与されてそうだよなぁ……。ブチ飛んでるカムロさんなら、何でもかんでもやりかねない!
「カムロを本当に信頼しているんだね。ふふ。ますます気に入ったよ」
ニコニコ上機嫌なお兄様。気に入られて喜んでいいのか悪いのか微妙でございますよ! こういうタイプの人に気に入られると、なんかとんでもない悪戯とかされそうで怖いっ!
「――ハス君! 迎えに来ましたよ!」
バアン! ってドアがブチ開けられて、マイ旦那様が飛び込んできたあああ!
「うおっ! カ、カムロさんっ!」
駆け寄って来たカムロさんが、俺を椅子から引っ張り上げてぎゅっぎゅしてきて「大丈夫ですか。何かされませんでしたか?」なんて聞いてくるけど、苦しっ! うぐぁ! 締め上げる勢いでハグしないで下さい!
「く、苦しいっ! だ、大丈夫ですからっ……!」って、ぺしぺし背中を叩くと「あ、すみません」って言ってパッと放してくれた。ふぅ、締め落とされるかと思った! 1日に2回も気絶なんてシャレにならないですよ!
「私のハス君を誘拐するなんて! どこまで陰湿なんですかっ!」
「お前がつれないからだよ」
「どの口が言いますか! 社会的に抹殺しますよ!」
「はは。怖いね。……お前の伴侶と話をしてみたかったんだ。とてもいい子だね。お前をよろしく頼むよと言ったら、一生大切にするって言ってくれたよ」
「誘拐する必要がありますか!」
「正攻法でそう連絡を入れても、お前が受け付けるとは思えなくてね」
「当然でしょう! 信用できません!」
カムロさんに超怖い顔で睨まれて、めちゃくちゃ怒鳴られてるのに、キアムルさんは幸せそうに笑っている。
あああ、カムロさんダメですよ! お兄様はちょっとネジと歯車が飛んでいらっしゃるから、そんな勢いで何言っても余計に喜んじゃうんですよ!
……っていうか今、キアムルさんがいいコト言ってたのに、スルーしてるし!
「さ、帰りましょう。こんな性根の腐れた人間と同じ空気を吸っていると、穢れてしまいますよ」
「こき下ろし方がキレキレですよカムロさんっ! あ、えっと、じゃ、帰りますんで。お兄さん、お父さんとお母さんにも伝えてください。俺、カムロさんを幸せにしますって」
「ハス君! こんな悪人と口をきいてはいけませんっ!」
「むがっ!」
がしっと口を押さえられてジタバタしている俺を見て、キアムルさんは「ぶっは!」と盛大に吹き出した。お兄様、笑いの沸点が低いんでしょうかね。よく笑うなぁ。ロタとはまた違うテンションだけど。
「ははは。ああ、わかった。伝えておくよ。きっと両親も喜んでくれる。いやぁ、誘拐してよかったよ」
「ふざけないで下さい! この犯罪者!」
ぬああああ! このお兄様はっ! 燃料投下せんでくださいよバカあああああ!
「むぐ……っ! あ、あの、カムロさん、早くバターソテー食べたいです。ディナーには間に合いますよね。俺もう、すんごく腹ペコなんですよ!」
何とかカムロさんの手を口から引っぺがして、キュッと両手で握って必死に訴える。これ以上もめるとなんかヤバそうだし! キアムルさんから引き離さないとだ!
「あ、はい。まだ十分間に合いますよ」
「よかったぁ! 急いで帰らないと! カムロさんもお腹空いてますよね」
「はい。空いてます」
よ、よーし、いつものニコニコしたカムロさんに戻ったぞ。俺はそのまま、よそ見しないでカムロさんを引っ張って、いそいそと部屋を出る。
「気を付けて帰るんだよ。君と話せてよかった。2人で幸せにね」
っていう、お兄様のほんっとーに楽しそうで嬉しそうな声が、背後から聞こえた。遊びに来てたみたいな感覚で見送られてるけど……、俺、誘拐されてたんだよな? ちょっとどうかと思う!
――とんでもない初日になったなぁ。でも、俺も話せてよかったですよ!
※……キアムル氏、薄めきれない濃さでした。作者的にも困惑させられる人物。ヤバさ加減で言えばカムロ氏もある意味相当ですが、ハスにとっては可愛い旦那様。
56
お気に入りに追加
435
あなたにおすすめの小説
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
【BL】どうやら精霊術師として召喚されたようですが5分でクビになりましたので、最高級クラスの精霊獣と駆け落ちしようと思います。
riy
BL
風呂でまったりしている時に突如異世界へ召喚された千颯(ちはや)。
召喚されたのはいいが、本物の聖女が現れたからもう必要ないと5分も経たない内にお役御免になってしまう。
しかも元の世界へも帰れず、あろう事か風呂のお湯で流されてしまった魔法陣を描ける人物を探して直せと無茶振りされる始末。
別邸へと通されたのはいいが、いかにも出そうな趣のありすぎる館であまりの待遇の悪さに愕然とする。
そんな時に一匹のホワイトタイガーが現れ?
最高級クラスの精霊獣(人型にもなれる)×精霊術師(本人は凡人だと思ってる)
※コメディよりのラブコメ。時にシリアス。
平凡な俺が双子美形御曹司に溺愛されてます
ふくやまぴーす
BL
旧題:平凡な俺が双子美形御曹司に溺愛されてます〜利害一致の契約結婚じゃなかったの?〜
名前も見た目もザ・平凡な19歳佐藤翔はある日突然初対面の美形双子御曹司に「自分たちを助けると思って結婚して欲しい」と頼まれる。
愛のない形だけの結婚だと高を括ってOKしたら思ってたのと違う展開に…
「二人は別に俺のこと好きじゃないですよねっ?なんでいきなりこんなこと……!」
美形双子御曹司×健気、お人好し、ちょっぴり貧乏な愛され主人公のラブコメBLです。
🐶2024.2.15 アンダルシュノベルズ様より書籍発売🐶
応援していただいたみなさまのおかげです。
本当にありがとうございました!
異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話
深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる