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番外編 騎士団に復帰後のアレコレ
久々の実家は楽しかったし、美味しかった!
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――早速、レーンも一緒に5人で店の方に移動した。
裏口から調理場の方に入って「父さん! 母さん! ただいまー!」なんて声を掛けると、片付けが終わって休憩していたっぽい2人が俺がの方にぱっと振り返った。
「お帰りハス。元気そうで何よりだよ」
満面の笑みで近寄って来た父さんが、ぎゅっと俺を抱き締めてくれて、交代で母さんが抱き締めてくれる。それから俺のほっぺたを両手で挟みながら、「おかえりなさいハス。あらあら! しばらく見ないうちに顔付きが大人になったわね。旦那様のお陰かしら」なんて言ってきた! ぬああ! そんなこと言われた俺、照れちゃうよ母さん!
ムニムニとほっぺたを揉まれながら「うう、ちょっ! 母さんっ!」って悶絶してると、「はは。ハスはもう立派な所帯持ちだから当然だよ。僕だってそれなりに大人になったもの。君のお陰でね」なんて父さんが笑いながら母さんを自分の方へ抱き寄せて、ムニムニ地獄から救ってくれた!
「まぁっ! アナタったら! 愛してるわ旦那様」
「ミレ、僕も愛してるよ。可愛い奥さん」
父さんがちゅっと母さんのつむじの辺りにキスをした。うはぁ、くっっそ甘い! 脳みそが全部角砂糖に変わりそうだぞ! 息子とその伴侶の前でラブラブっぷりを見せつけないで下さいお父様&お母様。相変わらずの夫婦円満レベルがマックスで安心するけど!
「初めまして。ユリザリンさん、ミレさん。ハス君と私の入籍をお許し下さり、本当にありがとうございました。今日もこのような場を設けて頂き、誠に感謝が絶えません」
どろっどろに甘い雰囲気にも動じないで、にっこりと微笑んだカムロさんが深々と丁寧に会釈をした。さすがのラブラブ夫婦も、この挨拶にはイチャイチャを続行することはしなかった。ささっとイチャイチャ解除して、同じように丁寧な会釈と挨拶をしてカムロさんに応えてくれた。
「許すも何もないよ。ハスが君を選んだと聞いて少し驚いたけど、2人が幸せなら僕もミレも、否はないから」って、やわらかい笑顔で父さんが言ってくれた。母さんも、「そうよ。ハスが決めたことだもの。私もそれでいいと思っているわ。今日は楽しんでいってね」なんて言いながら、ふわりと笑ってくれてる。
2人の言葉が、じんわりと心に染みた!
「ハス君のことは任せてください。不自由はさせませんし、一生大切にします」
瞳をうるっとさせてカムロさんが言うと、父さんはカムロさんの手を取って、両手でしっかりと握った。そして、母さんがそっとそこに手を重ねる。
「うん、頼んだよ。カムロ君」
「悩み事があったら、遠慮なく相談してね。貴方も私達の家族よ」
「はい……! ありがとうございます。お父様、お母様……!」
守って労わっているみたいな、すごく優しい握手だった。ああ、この人達の子供に生まれてこれて俺は幸せだなぁって、改めて思ったよ!
実はさっきまでちょっと緊張していたっていうか、笑っていても表情が硬かったカムロさんは2人の優しい握手ですっかり安心したみたいで、ぱあああっと明るい笑顔になった。うんうん。よかったよかった!
「さて、これで挨拶は仕舞いにして、ランチタイムにしよう。いっぱい作ったから、遠慮なくたくさん食べて」
ウエイターみたいに「こちらへどうぞ、お客様方」って、冗談っぽく笑いながら父さんが皆を席へ招いてくれた。調理場に入った時からすごくいい匂いがしてたんだよな。テーブルの上にずらりと並んだご馳走に、俺の腹ペコは最高潮だ!
――てことで、楽しいランチタイムが始まった!
「んんー! 父さんのオーブン焼き最高! 母さんのキッシュも美味い!」
シンプルな材料で作ってるのに凄く美味いんだよな! 俺もそれなりに料理はできるけど、まだ2人には敵わない。カムロさんも「美味しいです! ハス君の作る料理と味付けも近いですし。さすが、ハス君のお父様とお母様ですね」なんて、嬉しそうに食べてくれてる。よかったあああ! 父さん達の料理も気に入ってくれて!
俺の大好きな父さんお得意の鳥肉オーブン焼きは、肉が凄くジューシーで柔らかくて、あめ色に焼けた皮はパリパリで……もうね、なんていうか、とにかく美味い! そこらへんで放牧でされてるでっかい鳥の肉で高級食材ってワケでもないんだけど、なんでこんなに超高級感が出るんだろうね!
母さんのお手製なキッシュは、具材のバランスが絶妙でしっとり美味い! 俺1人でひと皿丸ごとペロッといける美味さ! 近所の農家さんから卸してもらってるジャガイモとか卵とか、庭で採れたハーブなんかをふんだんに使っていて、いくら食べてもくどくならない味付けがたまらん!
「俺の作ったスープもあるぞ。飲んでみてくれよ兄ちゃん!」
「ありがとうなロタ。うん、このスープも美味い!」
皿の底が見えるくらいに澄んでるスープは、口に入れやすい大きさにカットされた野菜が彩りよく入っていて、繊細な見た目だ。あっさり目に見えるけど、飲んでみるとがっつりとしたコクがすごい! これとパンがあればもう十分満足できそうなくらいに美味いっ!
「綺麗なスープですね。味も素晴らしいです」
「うんうん。こんなに澄んでるのに、コクが凄いですよね」
「よっしゃ! 褒められたっ!」
ぐっと拳を振り上げるロタ。嬉しそうだな!
他の料理も、もちろん最高! さっくさくの川魚の切り身フリッターとか、薄切りにした香り茸と水の葉のサラダとか、獣肉の岩塩焼きとか……地元の新鮮食材を使った料理が超美味い!
「食後のデザートに、私の作った黄金梨のタルトをどうぞ。自信作よ」
「おおっ! 食べるのもったいないくらい綺麗なタルト!」
黄金梨っていうのはちょうどいい具合に熟したときに食べると、凄く芳醇な酒みたいな甘味のする梨だ。はむっと頬張ると、口の中一杯に酔いそうなくらい芳醇な香りと爽やかな甘味が広がった! 「んっ、うまあっ!」って叫んじゃったぞ!
「メルシャも凄く頑張ってるなぁ」
「うふふ。これ、来年にはお店でも出す予定なの」
「すごいな。これなら絶対、人気が出ると思う!」
ブレッデに帰って来たんだなって、胃袋でしっかり感じられた至福のランチタイムだった。ふはああ。食べた食べた。いつもの倍くらい食べた気がするぞ! 追加でお菓子もプレゼントされた。ずっしりと箱詰めされた焼き菓子セット! 店でも売ってるやつだけど、これがまたすんごく美味いんだよな!
「私とミレさんで作った焼き菓子よ。何種類も作ったから楽しんで食べてね」
「ありがとう! 大事に食べるよ」
「お菓子は嬉しいですね。私は甘党なので」
「あら。それならちょうどいいですね。日持ちするようにって、しっかり甘いお菓子なの」
新婚旅行中の楽しみが増えたぞ! メルシャと母さんのお手製菓子、どれも絶対に美味い!
「あっ、俺達からも渡すものがあるんだよ。ちょっとまってて!」
ランチが美味すぎて忘れるとこだった! 大急ぎで店の横に停めてある馬車からお土産を持ってくる。包みや箱が何個もあるから、空いてるテーブルに山積みにしてみた。
「レーンの分もあるよ!」
「おやおや。これはすごいね」
比喩でなく山になったお土産に、家族みんな目を丸くした。ふはは! 張り切って買ったからな! 家でいつも飲んでるカムロさんお勧めの超美味い紅茶とかディザート社製のティーメーカーとか、レーンのオモチャとか、珍しいハーブの苗とか、レーンの服とか靴とか。あと、お屋敷のミニバーで死蔵してる酒も何本か選んで持ってきた! 父さんとロタが飲めるし、菓子や料理なんかにも使えるのもあるからな!
「ぶっ! あははは! すげぇ! しかもレーンの分が超多い!」
「し、仕方ないだろ! ベビー用品の店に行ったら、あれもこれも可愛くて全部レーンにプレゼントしたくなっちゃったんだよ! ほっ、ほら、これとか可愛いだろ」
大きな箱の中から、カムロさんの選んだ帽子を取り出して見せると「ほんとに可愛いわ! 被せてみるわね」ってメルシャが嬉しそうな声を上げて受け取った。でもってフワフワな三角耳の付いたその帽子を、父さんに抱っこされてたレーンに被せる。
「うん! 思った通りに可愛い!」
「本当に良く似合ってるね。とても可愛いよ」
父さんが一瞬で凄く目尻の下がった超メロメロ顔に! でもって「ん? おねむさんかな」なんて言いながら、半分寝てるっぽいレーンをゆらゆらと優しく揺らした。もう可愛くて仕方ないって感じが全身から伝わってくるぞ!
「ふふ。私の選んだ帽子が似合って良かったです」
「ですよね。すんごくかわいい。あの、ところで俺ってさっき、今の父さんみたいな顔してたんですか」
「ええ。さすが親子ですね。口元の緩み方とか、目尻の下がり方がそっくりです」
「……左様ですか」
そうかぁ。こんなメロメロ顔になってたのかぁ。ちょっと緩み過ぎ! ……でも、父さんは俺達の時もこんな風に優しく抱っこしてくれてたのかなぁって想像したら、くすぐったくて温かい気分にもなった。
レーンの帽子試着から始まったお土産ショーの後は、ティーメーカーで紅茶を淹れて試飲会。それから近況報告なんかをしながら、食べ過ぎなお腹が落ち着くまでまったりした。
「そろそろお暇します。美味しいランチ、ごちそうさまでした」
「すんごく美味しかった! ごちそうさま!」
名残り惜しいくらいだけど、店は明日から通常営業に戻るし、俺達は俺達で式の確認があるしな。「結婚式、楽しみにしてるわ!」とかメルシャに言われたりしながら見送られて、俺達は早めにホテルに戻った。
――久々の実家は楽しかったし、美味しかった!
裏口から調理場の方に入って「父さん! 母さん! ただいまー!」なんて声を掛けると、片付けが終わって休憩していたっぽい2人が俺がの方にぱっと振り返った。
「お帰りハス。元気そうで何よりだよ」
満面の笑みで近寄って来た父さんが、ぎゅっと俺を抱き締めてくれて、交代で母さんが抱き締めてくれる。それから俺のほっぺたを両手で挟みながら、「おかえりなさいハス。あらあら! しばらく見ないうちに顔付きが大人になったわね。旦那様のお陰かしら」なんて言ってきた! ぬああ! そんなこと言われた俺、照れちゃうよ母さん!
ムニムニとほっぺたを揉まれながら「うう、ちょっ! 母さんっ!」って悶絶してると、「はは。ハスはもう立派な所帯持ちだから当然だよ。僕だってそれなりに大人になったもの。君のお陰でね」なんて父さんが笑いながら母さんを自分の方へ抱き寄せて、ムニムニ地獄から救ってくれた!
「まぁっ! アナタったら! 愛してるわ旦那様」
「ミレ、僕も愛してるよ。可愛い奥さん」
父さんがちゅっと母さんのつむじの辺りにキスをした。うはぁ、くっっそ甘い! 脳みそが全部角砂糖に変わりそうだぞ! 息子とその伴侶の前でラブラブっぷりを見せつけないで下さいお父様&お母様。相変わらずの夫婦円満レベルがマックスで安心するけど!
「初めまして。ユリザリンさん、ミレさん。ハス君と私の入籍をお許し下さり、本当にありがとうございました。今日もこのような場を設けて頂き、誠に感謝が絶えません」
どろっどろに甘い雰囲気にも動じないで、にっこりと微笑んだカムロさんが深々と丁寧に会釈をした。さすがのラブラブ夫婦も、この挨拶にはイチャイチャを続行することはしなかった。ささっとイチャイチャ解除して、同じように丁寧な会釈と挨拶をしてカムロさんに応えてくれた。
「許すも何もないよ。ハスが君を選んだと聞いて少し驚いたけど、2人が幸せなら僕もミレも、否はないから」って、やわらかい笑顔で父さんが言ってくれた。母さんも、「そうよ。ハスが決めたことだもの。私もそれでいいと思っているわ。今日は楽しんでいってね」なんて言いながら、ふわりと笑ってくれてる。
2人の言葉が、じんわりと心に染みた!
「ハス君のことは任せてください。不自由はさせませんし、一生大切にします」
瞳をうるっとさせてカムロさんが言うと、父さんはカムロさんの手を取って、両手でしっかりと握った。そして、母さんがそっとそこに手を重ねる。
「うん、頼んだよ。カムロ君」
「悩み事があったら、遠慮なく相談してね。貴方も私達の家族よ」
「はい……! ありがとうございます。お父様、お母様……!」
守って労わっているみたいな、すごく優しい握手だった。ああ、この人達の子供に生まれてこれて俺は幸せだなぁって、改めて思ったよ!
実はさっきまでちょっと緊張していたっていうか、笑っていても表情が硬かったカムロさんは2人の優しい握手ですっかり安心したみたいで、ぱあああっと明るい笑顔になった。うんうん。よかったよかった!
「さて、これで挨拶は仕舞いにして、ランチタイムにしよう。いっぱい作ったから、遠慮なくたくさん食べて」
ウエイターみたいに「こちらへどうぞ、お客様方」って、冗談っぽく笑いながら父さんが皆を席へ招いてくれた。調理場に入った時からすごくいい匂いがしてたんだよな。テーブルの上にずらりと並んだご馳走に、俺の腹ペコは最高潮だ!
――てことで、楽しいランチタイムが始まった!
「んんー! 父さんのオーブン焼き最高! 母さんのキッシュも美味い!」
シンプルな材料で作ってるのに凄く美味いんだよな! 俺もそれなりに料理はできるけど、まだ2人には敵わない。カムロさんも「美味しいです! ハス君の作る料理と味付けも近いですし。さすが、ハス君のお父様とお母様ですね」なんて、嬉しそうに食べてくれてる。よかったあああ! 父さん達の料理も気に入ってくれて!
俺の大好きな父さんお得意の鳥肉オーブン焼きは、肉が凄くジューシーで柔らかくて、あめ色に焼けた皮はパリパリで……もうね、なんていうか、とにかく美味い! そこらへんで放牧でされてるでっかい鳥の肉で高級食材ってワケでもないんだけど、なんでこんなに超高級感が出るんだろうね!
母さんのお手製なキッシュは、具材のバランスが絶妙でしっとり美味い! 俺1人でひと皿丸ごとペロッといける美味さ! 近所の農家さんから卸してもらってるジャガイモとか卵とか、庭で採れたハーブなんかをふんだんに使っていて、いくら食べてもくどくならない味付けがたまらん!
「俺の作ったスープもあるぞ。飲んでみてくれよ兄ちゃん!」
「ありがとうなロタ。うん、このスープも美味い!」
皿の底が見えるくらいに澄んでるスープは、口に入れやすい大きさにカットされた野菜が彩りよく入っていて、繊細な見た目だ。あっさり目に見えるけど、飲んでみるとがっつりとしたコクがすごい! これとパンがあればもう十分満足できそうなくらいに美味いっ!
「綺麗なスープですね。味も素晴らしいです」
「うんうん。こんなに澄んでるのに、コクが凄いですよね」
「よっしゃ! 褒められたっ!」
ぐっと拳を振り上げるロタ。嬉しそうだな!
他の料理も、もちろん最高! さっくさくの川魚の切り身フリッターとか、薄切りにした香り茸と水の葉のサラダとか、獣肉の岩塩焼きとか……地元の新鮮食材を使った料理が超美味い!
「食後のデザートに、私の作った黄金梨のタルトをどうぞ。自信作よ」
「おおっ! 食べるのもったいないくらい綺麗なタルト!」
黄金梨っていうのはちょうどいい具合に熟したときに食べると、凄く芳醇な酒みたいな甘味のする梨だ。はむっと頬張ると、口の中一杯に酔いそうなくらい芳醇な香りと爽やかな甘味が広がった! 「んっ、うまあっ!」って叫んじゃったぞ!
「メルシャも凄く頑張ってるなぁ」
「うふふ。これ、来年にはお店でも出す予定なの」
「すごいな。これなら絶対、人気が出ると思う!」
ブレッデに帰って来たんだなって、胃袋でしっかり感じられた至福のランチタイムだった。ふはああ。食べた食べた。いつもの倍くらい食べた気がするぞ! 追加でお菓子もプレゼントされた。ずっしりと箱詰めされた焼き菓子セット! 店でも売ってるやつだけど、これがまたすんごく美味いんだよな!
「私とミレさんで作った焼き菓子よ。何種類も作ったから楽しんで食べてね」
「ありがとう! 大事に食べるよ」
「お菓子は嬉しいですね。私は甘党なので」
「あら。それならちょうどいいですね。日持ちするようにって、しっかり甘いお菓子なの」
新婚旅行中の楽しみが増えたぞ! メルシャと母さんのお手製菓子、どれも絶対に美味い!
「あっ、俺達からも渡すものがあるんだよ。ちょっとまってて!」
ランチが美味すぎて忘れるとこだった! 大急ぎで店の横に停めてある馬車からお土産を持ってくる。包みや箱が何個もあるから、空いてるテーブルに山積みにしてみた。
「レーンの分もあるよ!」
「おやおや。これはすごいね」
比喩でなく山になったお土産に、家族みんな目を丸くした。ふはは! 張り切って買ったからな! 家でいつも飲んでるカムロさんお勧めの超美味い紅茶とかディザート社製のティーメーカーとか、レーンのオモチャとか、珍しいハーブの苗とか、レーンの服とか靴とか。あと、お屋敷のミニバーで死蔵してる酒も何本か選んで持ってきた! 父さんとロタが飲めるし、菓子や料理なんかにも使えるのもあるからな!
「ぶっ! あははは! すげぇ! しかもレーンの分が超多い!」
「し、仕方ないだろ! ベビー用品の店に行ったら、あれもこれも可愛くて全部レーンにプレゼントしたくなっちゃったんだよ! ほっ、ほら、これとか可愛いだろ」
大きな箱の中から、カムロさんの選んだ帽子を取り出して見せると「ほんとに可愛いわ! 被せてみるわね」ってメルシャが嬉しそうな声を上げて受け取った。でもってフワフワな三角耳の付いたその帽子を、父さんに抱っこされてたレーンに被せる。
「うん! 思った通りに可愛い!」
「本当に良く似合ってるね。とても可愛いよ」
父さんが一瞬で凄く目尻の下がった超メロメロ顔に! でもって「ん? おねむさんかな」なんて言いながら、半分寝てるっぽいレーンをゆらゆらと優しく揺らした。もう可愛くて仕方ないって感じが全身から伝わってくるぞ!
「ふふ。私の選んだ帽子が似合って良かったです」
「ですよね。すんごくかわいい。あの、ところで俺ってさっき、今の父さんみたいな顔してたんですか」
「ええ。さすが親子ですね。口元の緩み方とか、目尻の下がり方がそっくりです」
「……左様ですか」
そうかぁ。こんなメロメロ顔になってたのかぁ。ちょっと緩み過ぎ! ……でも、父さんは俺達の時もこんな風に優しく抱っこしてくれてたのかなぁって想像したら、くすぐったくて温かい気分にもなった。
レーンの帽子試着から始まったお土産ショーの後は、ティーメーカーで紅茶を淹れて試飲会。それから近況報告なんかをしながら、食べ過ぎなお腹が落ち着くまでまったりした。
「そろそろお暇します。美味しいランチ、ごちそうさまでした」
「すんごく美味しかった! ごちそうさま!」
名残り惜しいくらいだけど、店は明日から通常営業に戻るし、俺達は俺達で式の確認があるしな。「結婚式、楽しみにしてるわ!」とかメルシャに言われたりしながら見送られて、俺達は早めにホテルに戻った。
――久々の実家は楽しかったし、美味しかった!
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