【完結】騎士団をクビになった俺、美形魔術師に雇われました。運が良いのか? 悪いのか?

ゆらり

文字の大きさ
上 下
52 / 64
番外編 騎士団に復帰後のアレコレ

一族の中で最強なのは、意外と父さんなのかもしれない!

しおりを挟む
 ――ちょっとイチャイチャしたその後で、神殿へ入った俺達。

 父さんや母さん達が見守る中、祭司さんの立つ祭壇の前で生涯添い遂げる誓いを立てた。

「……では、誓いの口付けを」

 きりっとした真剣な顔をしたカムロさんが、祭司さんに促されて俺に触れるだけの軽いキスをしてくれた。なんか……、ガッツリされるよりも照れ臭いなぁ! それでもって何とも言えないくらい優しくて幸せなキスだった。このキスは……多分……いやいや! 絶対に! 一生忘れないぞ俺は。

 内輪で軽く式を挙げるってことにしてたから、ほんとに簡単な式だ。神殿で誓いを立てた後は、みんなで食事会をして解散ってスケジュールだぞ。

 ……貴族の結婚式ともなると、ほんとは他の貴族家なんかも呼んで凄い大人数で盛大に祝うらしい。でも、そんな必要はありませんからって、伯爵様なカムロさんがいい笑顔で言ってくれたから、お言葉に甘えることにした!

 あ、クラさんも来たてくれたぞ! うるうるしてる父さんと母さんのそばで、同じように目をうるっとさせてて、なんか父さんが2人いるみたいな感じだった。

 ……でもって、式が終わった直後にダイナミック高い高い(※)されたよ!

「立派になったなハス!」
「うわあああああ!」

 今回も避けられなかったぞ! ちくしょう! 

 すとんと下ろされて、わしわしと頭を撫でられた。王都からわざわざ駆け付けてくれて久しぶりのダイナミック高い高い! 恥ずかしいけど全力で祝ってくれてるその気持ちはすごく嬉しいし、高い高いはやっぱり楽しいっ! 

「良く似合っているな。ユリの花婿姿も素晴らしかったが、お前のそれもとても素晴らしいぞ」
「ありがとうクラさん。俺、クラさんに祝ってもらえて幸せだよ」
「そうか。お前の幸せな姿を見られて、私も幸せだぞハス」

 珍しく整髪料を使ってかっちりセットした髪は、クラさんのでっかい手で撫で回されてもみくちゃだ。でもまあ、そんなことは気にしない。わしわしと頭を撫でてくれる手がとても優しくて気持ちいい。愛情が籠ってる!

「ナイブレイド! 私のハス君になんてことをするんですか!」
「うわっ!」

 俺を抱き寄せて強引に距離を取らせたカムロさんが「場を弁えてくださいっ!」なんてキーキーと抗議を始めた。うわあ。魔術師様が凄いご立腹だ! でもって、どっかであった流れだなコレ!

「愛情表現だ。ハスは私に高い高いをされて頭を撫でられるのが好きなのだ」
「子供の頃の話でしょう! 大人になったハス君にすることではありません!」
「私にとっては、ハスは可愛い甥であることに変わりはない。年齢など些末な問題だ。それに、ハスは嫌がってなどいないのだから、貴殿がそこまで目くじらを立てる必要はないであろう」
「くっ! だからといってこんなときまでっ……!」

 ……あーもう、やっぱり。また喧嘩が勃発しちゃってるよ! しょうがないなー!

「クラ兄、はしゃぐのも程々にしてあげて。2人が主役の式なのだからね」
「うむ……」

 俺がきりっと表情を引き締めて止めるよりも早く、父さんがクラさんを止めに掛かってくれた。

「今日はクラ兄が来るって聞いて、好きなもの作っておいたからね。喧嘩しないで楽しんでいって」
「お前の料理に免じて、ここは引くことにしよう」

 ……父さんに掛かるとちょろいぐらい大人しくなるんだよな、クラさんは。

「カムロ君、クラ兄はハスのことが可愛くて仕方ないんだよ。小さな頃からハスのことを知っているから余計にね。だから、少し大目に見てあげてくれると嬉しいよ」

 カムロさんの方も、父さんの穏やかな仲裁に気を削がれたっぽい。「……わかりました。善処します」なんて言って、今さっきまでの剣幕をひっこめて頷いてくれた。

 父さんが怒ったところを一度も見たことがないけれど、こういう時の諭し方が凄く上手い。逆らおうなんて気にならないんだよな。

 ――一族の中で最強なのは、意外と父さんなのかもしれない!






(※)本編17話参照。結婚式直後の花嫁(婿)を旦那の腕から奪い取ってダイナミック高い高いをした伯父上。正直、カムロ氏に怒り狂われても仕方ない気が。
 ※次回のお話は初夜……を載せるか載せないかで迷い中です。カムロ氏がまだ「全部」コンプリートするのを諦めていないのでどうなるやら。ということで、R18禁の可能性がありますのでご注意を。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

平凡な俺が双子美形御曹司に溺愛されてます

ふくやまぴーす
BL
旧題:平凡な俺が双子美形御曹司に溺愛されてます〜利害一致の契約結婚じゃなかったの?〜 名前も見た目もザ・平凡な19歳佐藤翔はある日突然初対面の美形双子御曹司に「自分たちを助けると思って結婚して欲しい」と頼まれる。 愛のない形だけの結婚だと高を括ってOKしたら思ってたのと違う展開に… 「二人は別に俺のこと好きじゃないですよねっ?なんでいきなりこんなこと……!」 美形双子御曹司×健気、お人好し、ちょっぴり貧乏な愛され主人公のラブコメBLです。 🐶2024.2.15 アンダルシュノベルズ様より書籍発売🐶 応援していただいたみなさまのおかげです。 本当にありがとうございました!

何も知らない人間兄は、竜弟の執愛に気付かない

てんつぶ
BL
 連峰の最も高い山の上、竜人ばかりの住む村。  その村の長である家で長男として育てられたノアだったが、肌の色や顔立ちも、体つきまで周囲とはまるで違い、華奢で儚げだ。自分はひょっとして拾われた子なのではないかと悩んでいたが、それを口に出すことすら躊躇っていた。  弟のコネハはノアを村の長にするべく奮闘しているが、ノアは竜体にもなれないし、人を癒す力しかもっていない。ひ弱な自分はその器ではないというのに、日々プレッシャーだけが重くのしかかる。  むしろ身体も大きく力も強く、雄々しく美しい弟ならば何の問題もなく長になれる。長男である自分さえいなければ……そんな感情が膨らみながらも、村から出たことのないノアは今日も一人山の麓を眺めていた。  だがある日、両親の会話を聞き、ノアは竜人ですらなく人間だった事を知ってしまう。人間の自分が長になれる訳もなく、またなって良いはずもない。周囲の竜人に人間だとバレてしまっては、家族の立場が悪くなる――そう自分に言い訳をして、ノアは村をこっそり飛び出して、人間の国へと旅立った。探さないでください、そう書置きをした、はずなのに。  人間嫌いの弟が、まさか自分を追って人間の国へ来てしまい――

国を救った英雄と一つ屋根の下とか聞いてない!

古森きり
BL
第8回BL小説大賞、奨励賞ありがとうございます! 7/15よりレンタル切り替えとなります。 紙書籍版もよろしくお願いします! 妾の子であり、『Ω型』として生まれてきて風当たりが強く、居心地の悪い思いをして生きてきた第五王子のシオン。 成人年齢である十八歳の誕生日に王位継承権を破棄して、王都で念願の冒険者酒場宿を開店させた! これからはお城に呼び出されていびられる事もない、幸せな生活が待っている……はずだった。 「なんで国の英雄と一緒に酒場宿をやらなきゃいけないの!」 「それはもちろん『Ω型』のシオン様お一人で生活出来るはずもない、と国王陛下よりお世話を仰せつかったからです」 「んもおおおっ!」 どうなる、俺の一人暮らし! いや、従業員もいるから元々一人暮らしじゃないけど! ※読み直しナッシング書き溜め。 ※飛び飛びで書いてるから矛盾点とか出ても見逃して欲しい。  

異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話

深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

余命僅かの悪役令息に転生したけど、攻略対象者達が何やら離してくれない

上総啓
BL
ある日トラックに轢かれて死んだ成瀬は、前世のめり込んでいたBLゲームの悪役令息フェリアルに転生した。 フェリアルはゲーム内の悪役として15歳で断罪される運命。 前世で周囲からの愛情に恵まれなかった成瀬は、今世でも誰にも愛されない事実に絶望し、転生直後にゲーム通りの人生を受け入れようと諦観する。 声すら発さず、家族に対しても無反応を貫き人形のように接するフェリアル。そんなフェリアルに周囲の過保護と溺愛は予想外に増していき、いつの間にかゲームのシナリオとズレた展開が巻き起こっていく。 気付けば兄達は勿論、妖艶な魔塔主や最恐の暗殺者、次期大公に皇太子…ゲームの攻略対象者達がフェリアルに執着するようになり…――? 周囲の愛に疎い悪役令息の無自覚総愛されライフ。 ※最終的に固定カプ

処理中です...