【完結】騎士団をクビになった俺、美形魔術師に雇われました。運が良いのか? 悪いのか?

ゆらり

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番外編 騎士団に復帰後のアレコレ

一族の中で最強なのは、意外と父さんなのかもしれない!

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 ――ちょっとイチャイチャしたその後で、神殿へ入った俺達。

 父さんや母さん達が見守る中、祭司さんの立つ祭壇の前で生涯添い遂げる誓いを立てた。

「……では、誓いの口付けを」

 きりっとした真剣な顔をしたカムロさんが、祭司さんに促されて俺に触れるだけの軽いキスをしてくれた。なんか……、ガッツリされるよりも照れ臭いなぁ! それでもって何とも言えないくらい優しくて幸せなキスだった。このキスは……多分……いやいや! 絶対に! 一生忘れないぞ俺は。

 内輪で軽く式を挙げるってことにしてたから、ほんとに簡単な式だ。神殿で誓いを立てた後は、みんなで食事会をして解散ってスケジュールだぞ。

 ……貴族の結婚式ともなると、ほんとは他の貴族家なんかも呼んで凄い大人数で盛大に祝うらしい。でも、そんな必要はありませんからって、伯爵様なカムロさんがいい笑顔で言ってくれたから、お言葉に甘えることにした!

 あ、クラさんも来たてくれたぞ! うるうるしてる父さんと母さんのそばで、同じように目をうるっとさせてて、なんか父さんが2人いるみたいな感じだった。

 ……でもって、式が終わった直後にダイナミック高い高い(※)されたよ!

「立派になったなハス!」
「うわあああああ!」

 今回も避けられなかったぞ! ちくしょう! 

 すとんと下ろされて、わしわしと頭を撫でられた。王都からわざわざ駆け付けてくれて久しぶりのダイナミック高い高い! 恥ずかしいけど全力で祝ってくれてるその気持ちはすごく嬉しいし、高い高いはやっぱり楽しいっ! 

「良く似合っているな。ユリの花婿姿も素晴らしかったが、お前のそれもとても素晴らしいぞ」
「ありがとうクラさん。俺、クラさんに祝ってもらえて幸せだよ」
「そうか。お前の幸せな姿を見られて、私も幸せだぞハス」

 珍しく整髪料を使ってかっちりセットした髪は、クラさんのでっかい手で撫で回されてもみくちゃだ。でもまあ、そんなことは気にしない。わしわしと頭を撫でてくれる手がとても優しくて気持ちいい。愛情が籠ってる!

「ナイブレイド! 私のハス君になんてことをするんですか!」
「うわっ!」

 俺を抱き寄せて強引に距離を取らせたカムロさんが「場を弁えてくださいっ!」なんてキーキーと抗議を始めた。うわあ。魔術師様が凄いご立腹だ! でもって、どっかであった流れだなコレ!

「愛情表現だ。ハスは私に高い高いをされて頭を撫でられるのが好きなのだ」
「子供の頃の話でしょう! 大人になったハス君にすることではありません!」
「私にとっては、ハスは可愛い甥であることに変わりはない。年齢など些末な問題だ。それに、ハスは嫌がってなどいないのだから、貴殿がそこまで目くじらを立てる必要はないであろう」
「くっ! だからといってこんなときまでっ……!」

 ……あーもう、やっぱり。また喧嘩が勃発しちゃってるよ! しょうがないなー!

「クラ兄、はしゃぐのも程々にしてあげて。2人が主役の式なのだからね」
「うむ……」

 俺がきりっと表情を引き締めて止めるよりも早く、父さんがクラさんを止めに掛かってくれた。

「今日はクラ兄が来るって聞いて、好きなもの作っておいたからね。喧嘩しないで楽しんでいって」
「お前の料理に免じて、ここは引くことにしよう」

 ……父さんに掛かるとちょろいぐらい大人しくなるんだよな、クラさんは。

「カムロ君、クラ兄はハスのことが可愛くて仕方ないんだよ。小さな頃からハスのことを知っているから余計にね。だから、少し大目に見てあげてくれると嬉しいよ」

 カムロさんの方も、父さんの穏やかな仲裁に気を削がれたっぽい。「……わかりました。善処します」なんて言って、今さっきまでの剣幕をひっこめて頷いてくれた。

 父さんが怒ったところを一度も見たことがないけれど、こういう時の諭し方が凄く上手い。逆らおうなんて気にならないんだよな。

 ――一族の中で最強なのは、意外と父さんなのかもしれない!






(※)本編17話参照。結婚式直後の花嫁(婿)を旦那の腕から奪い取ってダイナミック高い高いをした伯父上。正直、カムロ氏に怒り狂われても仕方ない気が。
 ※次回のお話は初夜……を載せるか載せないかで迷い中です。カムロ氏がまだ「全部」コンプリートするのを諦めていないのでどうなるやら。ということで、R18禁の可能性がありますのでご注意を。
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