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番外・20年後
あーもう! 俺も伯父さんみたいなお嫁さんが欲しい!
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※本編から20年後の、王都でのお話です。甥っ子レーン視点。
俺はレーン・ブレッデ。王都で下級騎士として働いてる。
生まれは南部のブレッデ。すごく遠いから王都にある騎士団の宿舎に住んでいて、たまに近所にあるハス伯父さんの家に遊びに行ってる。
伯父さんも騎士をしてるから、仕事中には聞けない話なんかをすることもあるし、晩御飯をご馳走してもらうこともある。
伯父さんの作る料理は、プロ顔負けなくらい美味しい。親が料理店してて舌が肥えてるはずの俺でも、びっくりするくらいに美味しいんだよな……なんでこの人、騎士なんだろうって不思議になる。
「レーン、今日は俺んとこで飯食ってくか?」
仕事帰りにハス伯父さんが誘ってくれた。美形って顔じゃないけど、ニコッと笑う顔は愛嬌があって、なんか可愛い。
それに凄く若い。20歳の俺と並んでもそんなに見た目の差がないってどうなんだよ。親父のひとつ上で 42歳のはずなんだけど。
一緒に歩いてたら、友達に間違われたことがあるし! っていうか親父も大概だけどな。妙に若作りだ。
「はい! 御馳走になりますっ!」
ということで、その日の夕方は伯父さん宅にお邪魔することに。宿舎で騎士服から私服に急いで着替えて、駆け足で伯父さん宅へ直行だ。
「おじゃまします!」
「おう、いらっしゃい。今日は魔物肉のシチューだぞ」
「やった! 最高っ!」
伯父さんのシチューはもうなんていうか、舌どころか頭が蕩けそうなくらい美味いんだよ。店で出したら最後尾が見えないくらいの行列間違いなしだと思う。
「はは。大鍋で作ったからお代わり自由だぞ。沢山食べていいからな」
「遠慮なく食べます! 伯父さんのシチュー大好き!」
「レーンは食べてるときに凄くいい顔するから、作りがいがあるよ」
俺の頭をわしわしと撫でて、伯父さんはニコニコしている。
もう大人だから頭を撫でられるのはちょっとどうなの? とは思うけど、伯父さんになら撫でられても悪い気がしない。子ども扱いされるのはムズムズするけど、なんか嬉しいんだよな。
料理上手で世話焼き好きで、笑顔が可愛い。背が高くて騎士だから鍛えてて、細くてもしっかりマッチョな体してるんだけど、雰囲気が癒し系で一緒に居ると安心する。うーん、なんか理想の嫁って感じ……「レーン君、顔がゆるゆるでだらしないですよ」って! 誰だゆるゆるとか言うヤツは!
「んなっ! 大きなお世話ですっ!」
「ふふ。そんなふうにムキになるなんて、まだまだお子様ですねレーン君。可愛いですよ」
ぐぬぬっ! 可愛いなんて思ってないですよね! その澄ました顔はっ!
ハス伯父さんの旦那さんで、魔術師のカムロさんも凄く若い。おかしいなぁ……この人もう50歳のはずなんだけど、全然オジさんに見えない。それにゾッとするくらい顔が綺麗で、声も凄くいい。しかも有名な魔道具メーカーの社長で、王国筆頭魔術師で、伯爵で……あと、昔あった戦争で英雄になった人だ。
どんだけなんだ!
伯父さんと俺が話してると、カムロさんは絶対にからかってくるんだよな……。
もしかして、邪魔だと思われてるのかな。俺の前で伯父さんの背後から腹に腕を回して抱き締めたカムロさんは、肩口に顔を埋めてすりすりと甘えている。
「カムロさん、レーンで遊ばないでください。レーン、手を洗ってきな。カムロさんは甘えてないで、手伝ってくださいよ」
「はーい!」
「はい」
カムロさんはチュッって伯父さんの頬にキスした。伯父さんは「駄目ですよ。甘えるのは後にしてください」なんて言ってるけど嬉しそうだ。
くすぐったそうに目を細めて笑ってから、2人でくっついたまま仲良くキッチンの方へ行てしまった。
……伯父さんは俺を可愛がってくれるけど、カムロさんといるときの顔は全然違う。甘くて、優しくて、ぐんと大人っぽくなる。そんな顔を見てると、ちょっとだけ胸がチクチクする。
なんか、俺の伯父さんを取られた……って気がしちゃうんだよな。
伯父さんはカムロさんの伴侶だし、伯父さんから見たら俺は甥っ子だから、態度が違うっていうのは分かってるんだけど。可愛がってくれるし愛情だって感じるけど、やっぱりカムロさんに向けるような甘くて優しい目はしてくれない。
そんなことを手を洗いながら考えていたら、チクチクが少しだけズキズキに変わった気がした。
俺は、ハスさんのことが好きだ。
でも、一番にはなれない。それがちょっとだけ、ほんとに、ほんとーに、ちょっとだけ、悔しい!
――あーもう! 俺も伯父さんみたいなお嫁さんが欲しい!
※なんというか、甘酸っぱい感じの、禁断の恋的な物を書いてしまいました(梅干し食べた顔)。
※ちなみにハス→クラノゥサの場合は甘酸っぱさゼロです。ライクが振り切れてる方向。
俺はレーン・ブレッデ。王都で下級騎士として働いてる。
生まれは南部のブレッデ。すごく遠いから王都にある騎士団の宿舎に住んでいて、たまに近所にあるハス伯父さんの家に遊びに行ってる。
伯父さんも騎士をしてるから、仕事中には聞けない話なんかをすることもあるし、晩御飯をご馳走してもらうこともある。
伯父さんの作る料理は、プロ顔負けなくらい美味しい。親が料理店してて舌が肥えてるはずの俺でも、びっくりするくらいに美味しいんだよな……なんでこの人、騎士なんだろうって不思議になる。
「レーン、今日は俺んとこで飯食ってくか?」
仕事帰りにハス伯父さんが誘ってくれた。美形って顔じゃないけど、ニコッと笑う顔は愛嬌があって、なんか可愛い。
それに凄く若い。20歳の俺と並んでもそんなに見た目の差がないってどうなんだよ。親父のひとつ上で 42歳のはずなんだけど。
一緒に歩いてたら、友達に間違われたことがあるし! っていうか親父も大概だけどな。妙に若作りだ。
「はい! 御馳走になりますっ!」
ということで、その日の夕方は伯父さん宅にお邪魔することに。宿舎で騎士服から私服に急いで着替えて、駆け足で伯父さん宅へ直行だ。
「おじゃまします!」
「おう、いらっしゃい。今日は魔物肉のシチューだぞ」
「やった! 最高っ!」
伯父さんのシチューはもうなんていうか、舌どころか頭が蕩けそうなくらい美味いんだよ。店で出したら最後尾が見えないくらいの行列間違いなしだと思う。
「はは。大鍋で作ったからお代わり自由だぞ。沢山食べていいからな」
「遠慮なく食べます! 伯父さんのシチュー大好き!」
「レーンは食べてるときに凄くいい顔するから、作りがいがあるよ」
俺の頭をわしわしと撫でて、伯父さんはニコニコしている。
もう大人だから頭を撫でられるのはちょっとどうなの? とは思うけど、伯父さんになら撫でられても悪い気がしない。子ども扱いされるのはムズムズするけど、なんか嬉しいんだよな。
料理上手で世話焼き好きで、笑顔が可愛い。背が高くて騎士だから鍛えてて、細くてもしっかりマッチョな体してるんだけど、雰囲気が癒し系で一緒に居ると安心する。うーん、なんか理想の嫁って感じ……「レーン君、顔がゆるゆるでだらしないですよ」って! 誰だゆるゆるとか言うヤツは!
「んなっ! 大きなお世話ですっ!」
「ふふ。そんなふうにムキになるなんて、まだまだお子様ですねレーン君。可愛いですよ」
ぐぬぬっ! 可愛いなんて思ってないですよね! その澄ました顔はっ!
ハス伯父さんの旦那さんで、魔術師のカムロさんも凄く若い。おかしいなぁ……この人もう50歳のはずなんだけど、全然オジさんに見えない。それにゾッとするくらい顔が綺麗で、声も凄くいい。しかも有名な魔道具メーカーの社長で、王国筆頭魔術師で、伯爵で……あと、昔あった戦争で英雄になった人だ。
どんだけなんだ!
伯父さんと俺が話してると、カムロさんは絶対にからかってくるんだよな……。
もしかして、邪魔だと思われてるのかな。俺の前で伯父さんの背後から腹に腕を回して抱き締めたカムロさんは、肩口に顔を埋めてすりすりと甘えている。
「カムロさん、レーンで遊ばないでください。レーン、手を洗ってきな。カムロさんは甘えてないで、手伝ってくださいよ」
「はーい!」
「はい」
カムロさんはチュッって伯父さんの頬にキスした。伯父さんは「駄目ですよ。甘えるのは後にしてください」なんて言ってるけど嬉しそうだ。
くすぐったそうに目を細めて笑ってから、2人でくっついたまま仲良くキッチンの方へ行てしまった。
……伯父さんは俺を可愛がってくれるけど、カムロさんといるときの顔は全然違う。甘くて、優しくて、ぐんと大人っぽくなる。そんな顔を見てると、ちょっとだけ胸がチクチクする。
なんか、俺の伯父さんを取られた……って気がしちゃうんだよな。
伯父さんはカムロさんの伴侶だし、伯父さんから見たら俺は甥っ子だから、態度が違うっていうのは分かってるんだけど。可愛がってくれるし愛情だって感じるけど、やっぱりカムロさんに向けるような甘くて優しい目はしてくれない。
そんなことを手を洗いながら考えていたら、チクチクが少しだけズキズキに変わった気がした。
俺は、ハスさんのことが好きだ。
でも、一番にはなれない。それがちょっとだけ、ほんとに、ほんとーに、ちょっとだけ、悔しい!
――あーもう! 俺も伯父さんみたいなお嫁さんが欲しい!
※なんというか、甘酸っぱい感じの、禁断の恋的な物を書いてしまいました(梅干し食べた顔)。
※ちなみにハス→クラノゥサの場合は甘酸っぱさゼロです。ライクが振り切れてる方向。
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