【完結】騎士団をクビになった俺、美形魔術師に雇われました。運が良いのか? 悪いのか?

ゆらり

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本編

40 さてと、今日も定時だ! お疲れさまでしたー!

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 ――クラさんの報告から1週間後。俺は騎士団に復帰した。


 復帰当日、騎士団の仲間達にもみくちゃにされて「ハス! お帰りー!」って叫びながら飛び付いてきたセブナスに、ふたつ折にされそうな勢いでハグされた!

「ちょ、苦しっ! 締め上げるな! ぐぇ!」
「あっはっは! ごめーん!」
「おまっ! 加減しろよ!」
「ハス! また野営訓練で飯、作ってくれ!」
「キノコリゾットがいい!」
「俺、山菜スープ飲みたい!」
「飯目当てですかああああああ!」

 どさくさに紛れて飯のリクエストしないで下さい先輩達! 

 みんなすごく大はしゃぎして、胴上げまでされた。お帰りコールされながら何回も天高く放り投げられて、最後の方なんて危うく落っことされることだった! マジであぶねえええ! クラさんのダイナミック高い高いよりもビビるわっ!

 涙が出るくらい超嬉しかったけど、ちょっと寿命が縮んだ気がする! 何てことしてくれるんだよもおおお! クラさん、わはわは笑ってないで程々のとこで止めて欲しかったです……。その日の夜は、めちゃくちゃ飲みまくって大騒ぎした! 楽しかったぞ!

 ……諸々の不正発覚の結果、第三騎士団の上層部がゴッソリいなくなって指揮系統は大混乱。当面の間はクラさんが第三を仕切る形になった。マイ理想の騎士様が、仮とはいっても上司になってくれたのが凄く嬉しい! 

 元英雄級騎士様が第三にいるってだけで、みんなのテンションも上がって、一時期はどんよりしていた雰囲気がすんごく明るくなったしな! なんといっても騎士の憧れの人でもあるからな! クラさんは!

 訓練メニューが人外仕様になりかけたときは、ちょっと死にそうになったけど。

 副団長になった某先輩が、冷静に「団員を潰す気ですか」って、止めてなかったら半死くらいはいったかも……。クラさん、たまに自分が人外だって忘れるからな。ちょっと……いやいや、かなり天然。さすがに超危険な魔物がわんさかいる区域で、野営&現地で食料調達はしんどいです! こっちが食料として調達されちゃうからああああ!

  ……訂正。

 半死どころじゃなかった! ははは!

「私の若い頃はよく、家族で数日間キャンプをしたものだが」
「ナイブレイド家の物差しで決めないで下さい。普通に死傷者が出ます」

 団長な元英雄級騎士様と副団長な某先輩はとてもいいコンビっぽい。天然ボケと冷静ツッコミ的な意味で。このままずっとクラさん団長していてくれないかなぁ。面白楽しいから!


 ――なんていう愉快なハプニングがあったりしながら、本当に騎士団の騒ぎが終息するのには、それからもっと長い時間が掛かった。

 団長達のやらかしが、多すぎたからだ。居なくなっても厄介だな! ちくしょう! 一発ぶん殴りたかった! ヤツらは監獄島送り確定してるけど、取り調べのため一時的に王都のどっかにある牢に入れられてるらしい……。

 裁判なんかもたくさんあって、俺も証言台に立った。さすがにもう涙鼻水まみれにはならなかったけど、あんな所に立つのは初めてだったし、すごく緊張したぞ! 騎士団への風評被害なんかもあってごたついたりして、やっと周りが落ち着いたのは、クビにされた日から半年が過ぎた頃だった。

 長かったあああ!

 今では嫌な夢を見てうなされないし、元気に頑張ってるぞ! 目指せ騎士団長! 目標はクラさんみたいな超カッコよくて最高な騎士団長様だ!

 でも無理はしないぞ。なるべく残業もしない。定時帰宅が一番だ!



 ――ん? 家政夫は結局どうしたって? 

 もちろん辞めたぞ。とてもじゃないけど、カムロさんに拾ってもらえた当時みたいに働くなんて無理だからな。お屋敷からも引っ越した。あそこは居心地がよかったけど、騎士団からは遠くて不便だから。

 短い間だったけど、密度の濃い家政夫生活だったなあ。騎士を目指してなかったら、ああいう仕事を続けるのも悪くなかったかも知れない。人に尽くすのは嫌いじゃないっていうか、誰かに喜んでもらえる仕事は好きだしな。



 ――さてと、今日も定時だ! お疲れさまでしたー!
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