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本編
37 何かのセールスみたいに、爽やかに軽いノリで言わないで欲しい!
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――お屋敷での暮らしは、少し変わった。なんだか甘い雰囲気の方向に。
10時のおやつタイムの後。
テラスに置かれた長椅子で、膝に乗せたカムロさんの頭をなでなで。ゴロゴロと猫みたいに喉を鳴らしてそうな顔で、そんなに柔らかくない膝にすりすりしながらご満悦の魔術師様……。凄い絵面だな。
まさかこんなことする日が来るなんて! びっくりでございますよ!
「そろそろ休憩終了ですよ。ほら、起きてください」
「もう少しだけ……。あと5分だけでいいですから」
甘えた声を出しながら腰にしがみ付いてくるのがもうね! たまんないぞ!
「もうタイムリミットです。昼の支度とか、色々ありますから」
「うぅ。嫌です……」
ぽんぽんと背中を叩くと「ハス君が厳しい……」とか、「真面目すぎます……」とか、小声でグズりながら離れていく。そんなに厳しくも真面目でもないと思う! メリハリ大事!
にしても、この人って、懐くとすごく甘えてくるタイプだ。こんな姿、他の人が見たら腰抜かすんじゃないかなぁ。超可愛いから誰にも見せたくないけどな!
「しっかり働いてください。俺の給料払えなくなりますよ」
「その辺は抜かりありません。不労収益もたくさんありますから」
お、おう……。しっかりしていらっしゃる。
「でも、ハス君の邪魔になりますよね。仕事してきます」
「俺もちゃんと仕事して、カムロさんのために美味しい料理を作りますよ」
「いつも楽しみにしてます。ハス君の料理しか、もう食べられる気がしませんから」
長椅子から立ち上がったカムロさんがちゅっと、ほっぺたにキスしてきた!
「では、また後で」
「……あっ、はい……! また……」
不意打ちとは卑怯な! ちくしょう! 顔が熱い! しかも殺し文句までくれやがりましたよ! こうなったら胃袋どころか体ごと鷲掴みにする飯ウマ家政夫になってやる!
――こんな感じで、おやつ時間に甘やかしタイムがプラスされて、ちょっと長くなったぞ!
でもって、夜は「同じベッドで眠りたいです」って、駄々こねられたのでカムロさん側の寝室にある、でっかいベッドに2人で寝ることに……!
……で、一緒に寝てるとタダじゃ済まないんだなコレが!
すりすり甘えてくるカムロさんを、可愛いなぁ! って思いながらぎゅって抱き締めて寝てるんだけど、いつの間にかエロい甘え方をされて……んぁ、ちょ、だめですってそこ! ……みたいな感じで気持ちよくされて気付いたら抱かれてるんだよ!
毎日ってほどじゃない……のは、カムロさんが遠慮してくれてる……けど、夜は俺が美味しく頂かれておりますよ! すごく幸せだし気持ちいいけど、朝になるとちょっと体がギシギシいうからきつい! でも気持ちいい! 俺だってシたいのは同じだし!
なんていう贅沢な悩みが続いたのは、ほんの数日だった。
……筋トレみたいに耐久性が付くみたいで、段々と平気になっていったんだよ……。お、俺の体がエロ特化型になったみたいで、すっごく! とっても! 複雑だったけどなあああ!
もやもやしたけど、鍛えきれてない筋肉を、鍛えられているんだからヨシ! という考えに着地させた。される立場になるなんて思わなかったから、それもちょっと複雑だけど、カムロさんに抱かれるのは嫌じゃないし。
ぽろっとそんなことをカムロさんに言ったら「抱いてみますか? 貴方なら私は何でもいいです」なんて、それはそれは美しい笑顔で仰ってくださいました。
ブチ飛んだ魔術師様はそれ方面もブチ飛んでいた。なんて節操なしな!
「いやいやいやいやいや! なんでそんな恐れ多いことを言うんですか俺はもうカムロさんにされてるだけでお腹いっぱいですよ」
……実は、ちょっとそれもいいな! って思った俺も節操なしでした。まことに申し訳ないごめんなさいすみません。お、俺だって男だから、入れたいって気持ちはある。でも、カムロさんにそれをしたらある意味ダメな気がしたんだよ。ほら、襲われかけたりしてる人だから、何かしらのトラウマがあるかも知れないし。
いくら本人がいいって言っても、はい! ぜひ! なんて言えるかああっ!
男としてどうなのか? という前に、人としてどうなんだ! というところだぞ。……あああ! で、でも、トロトロぐすぐすになったこの人はきっと、すんごくエロくて色っぽくて可愛いだろうな! 断言できるっ!
……なんて、ちょっとどころでなく悶々としてしまった俺に、ケダモノな魔術師様は上品すぎるくらい上品に微笑んで、「その気になったら言ってください。いつでもお受けしますよ」なんていうことを仰ってくださりやがりましたけど! 俺は試されてるのか? ぐぬああああぁ!
……何かのセールスみたいに、爽やかに軽いノリで言わないで欲しい!
※このお話は主人公受けです。いやしかし、「全部下さい」の範囲にそっちも含まれる気がしないでもなく。
10時のおやつタイムの後。
テラスに置かれた長椅子で、膝に乗せたカムロさんの頭をなでなで。ゴロゴロと猫みたいに喉を鳴らしてそうな顔で、そんなに柔らかくない膝にすりすりしながらご満悦の魔術師様……。凄い絵面だな。
まさかこんなことする日が来るなんて! びっくりでございますよ!
「そろそろ休憩終了ですよ。ほら、起きてください」
「もう少しだけ……。あと5分だけでいいですから」
甘えた声を出しながら腰にしがみ付いてくるのがもうね! たまんないぞ!
「もうタイムリミットです。昼の支度とか、色々ありますから」
「うぅ。嫌です……」
ぽんぽんと背中を叩くと「ハス君が厳しい……」とか、「真面目すぎます……」とか、小声でグズりながら離れていく。そんなに厳しくも真面目でもないと思う! メリハリ大事!
にしても、この人って、懐くとすごく甘えてくるタイプだ。こんな姿、他の人が見たら腰抜かすんじゃないかなぁ。超可愛いから誰にも見せたくないけどな!
「しっかり働いてください。俺の給料払えなくなりますよ」
「その辺は抜かりありません。不労収益もたくさんありますから」
お、おう……。しっかりしていらっしゃる。
「でも、ハス君の邪魔になりますよね。仕事してきます」
「俺もちゃんと仕事して、カムロさんのために美味しい料理を作りますよ」
「いつも楽しみにしてます。ハス君の料理しか、もう食べられる気がしませんから」
長椅子から立ち上がったカムロさんがちゅっと、ほっぺたにキスしてきた!
「では、また後で」
「……あっ、はい……! また……」
不意打ちとは卑怯な! ちくしょう! 顔が熱い! しかも殺し文句までくれやがりましたよ! こうなったら胃袋どころか体ごと鷲掴みにする飯ウマ家政夫になってやる!
――こんな感じで、おやつ時間に甘やかしタイムがプラスされて、ちょっと長くなったぞ!
でもって、夜は「同じベッドで眠りたいです」って、駄々こねられたのでカムロさん側の寝室にある、でっかいベッドに2人で寝ることに……!
……で、一緒に寝てるとタダじゃ済まないんだなコレが!
すりすり甘えてくるカムロさんを、可愛いなぁ! って思いながらぎゅって抱き締めて寝てるんだけど、いつの間にかエロい甘え方をされて……んぁ、ちょ、だめですってそこ! ……みたいな感じで気持ちよくされて気付いたら抱かれてるんだよ!
毎日ってほどじゃない……のは、カムロさんが遠慮してくれてる……けど、夜は俺が美味しく頂かれておりますよ! すごく幸せだし気持ちいいけど、朝になるとちょっと体がギシギシいうからきつい! でも気持ちいい! 俺だってシたいのは同じだし!
なんていう贅沢な悩みが続いたのは、ほんの数日だった。
……筋トレみたいに耐久性が付くみたいで、段々と平気になっていったんだよ……。お、俺の体がエロ特化型になったみたいで、すっごく! とっても! 複雑だったけどなあああ!
もやもやしたけど、鍛えきれてない筋肉を、鍛えられているんだからヨシ! という考えに着地させた。される立場になるなんて思わなかったから、それもちょっと複雑だけど、カムロさんに抱かれるのは嫌じゃないし。
ぽろっとそんなことをカムロさんに言ったら「抱いてみますか? 貴方なら私は何でもいいです」なんて、それはそれは美しい笑顔で仰ってくださいました。
ブチ飛んだ魔術師様はそれ方面もブチ飛んでいた。なんて節操なしな!
「いやいやいやいやいや! なんでそんな恐れ多いことを言うんですか俺はもうカムロさんにされてるだけでお腹いっぱいですよ」
……実は、ちょっとそれもいいな! って思った俺も節操なしでした。まことに申し訳ないごめんなさいすみません。お、俺だって男だから、入れたいって気持ちはある。でも、カムロさんにそれをしたらある意味ダメな気がしたんだよ。ほら、襲われかけたりしてる人だから、何かしらのトラウマがあるかも知れないし。
いくら本人がいいって言っても、はい! ぜひ! なんて言えるかああっ!
男としてどうなのか? という前に、人としてどうなんだ! というところだぞ。……あああ! で、でも、トロトロぐすぐすになったこの人はきっと、すんごくエロくて色っぽくて可愛いだろうな! 断言できるっ!
……なんて、ちょっとどころでなく悶々としてしまった俺に、ケダモノな魔術師様は上品すぎるくらい上品に微笑んで、「その気になったら言ってください。いつでもお受けしますよ」なんていうことを仰ってくださりやがりましたけど! 俺は試されてるのか? ぐぬああああぁ!
……何かのセールスみたいに、爽やかに軽いノリで言わないで欲しい!
※このお話は主人公受けです。いやしかし、「全部下さい」の範囲にそっちも含まれる気がしないでもなく。
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